圏J。
第6節 第3期新教育課程の評価
ここではB高校で現在実施されている新教育課程について、どのような効果があり、ど のような問題点が出て来ており、それに対して今後どのようにしていこうとしているのか について見ていきたい。なお新教育課程全体については第1項で、「産業社会と人間」に ついては第2項にて記述する。
第1項 新教育課程運営上の評価
新教育課程の評価として、任意選択科目については、これを選択したことによって進学 意識をより喚起された生徒はかなりいたようであるω。ただし、時間割に入れていない部 分の授業については部活動もあるので放課後にはせず、長期休みなどを利用して行うとい う申し合わせ事項があったようだが、現実には放課後にまでずれ込んでいるようである。
以前であれば、勉強を頑張っている生徒が部活動も頑張るという状況であったので、この ように申し合わされていたのであろうが、最近ではそれぞれに頑張る生徒層が出てきたこ
ともあり、あまり問題にはされていないようであるω。
クラス分けの現状は、産業流通エリアが5クラス、他の3エリアで2クラスが編成され ている。進路状況については、時代背景もあると思われるが、担任団としては、「産業 社会と人間」のような授業をしているのだから少しでも希望を叶えてやりたいという姿勢 からか、就職はまだ生徒の希望と求人内容に隔たりがあるようだが、大学についてはそれ なりの成果を収めているようであるω。
しかし教育課程改編の目的の一つでもある、学力層の幅広い生徒が入学してくる学校づ くりという観点からはまだまだ満足できる状況には至っておらずω、B高校ではより魅力 あるB高校を目指して「総合学科準備委員会」(1998.1設立)を作り、総合学科になるため の準備も進められている。
第2項 「産業社会と人間」の評価
生徒はこの授業に対して好印象を持っているようだ(5x6)。従来の教科教育とは違い、自 分自身の生き方や将来に直接関わる内容が教材となっていることと、小中学校では体験し たことのない授業に対する新鮮さなどがその原因であろう。この授業が始まって4年目と なる現在では、この授業をきっかけとして自分の将来を探し始めた生徒や、実際に見つけ
た生徒が出てきているのはその効果と言えよう。
この授業を担当した教師は、ほとんどすべての教師が自分の教科でもない全く初めての 教材を指導しなければならないことで、かなり戸惑っていたようである。特に自己肯定感
を育成するための教材やアサーショントレーニングなどは、抵抗があったようだ。実際に 授業をし、生徒の反応を見て初めて教材の持つ意図を理解した教師も多くいたようだ(η(8)。
中にはこの授業の内容を機軸として2年生3年生でも生徒を引っ張っていくことができた という教師がいる( )反面で、授業の展開方法で生徒が乗って来ず苦労をした教師も存在す る㈹。授業内容としては、もっと教室や学校を離れて体験的学習をすることや地域人材の 活用の必要性を感じている教師( D( 2)( 3}もいる。また、この授業を実施した教師への効果と して、自分自身の授業のスタイルや生徒への接し方を見直したという教師も出てきている
( 4×15)
B
次に指導担当者の問題であるが、4年目を迎えた現在も担任・副担任の指導ではなく、
立候補した担当者が指導している。ただし1年生の担任が立候補するケースは多いようで ある。この担当者制の指導形態が定着しつつある現在、担当することに消極的な担任や副 担任に無理に押しつけるよりも、積極的に立候補する教師集団で指導する方がよいという 考えが増えてきているようである⑯( η。
今後の「産業社会と人間」の行方であるが、総合学科準備委員会の下部組織として「産 業社会と人間」企画委員会が設置されており、現在中身についての検討がなされている。
B高校が総合学科高校になれば、「産業社会と人間」の授業内容も大幅に見直されること
になるであろう(18)。
(1) ただ意欲のある子だけが採りなさいというのではなくて、進学するためにはこの科目を採った方が いいよということで。だから人より余分に勉強するんやという、そういう一定の層ができたとは思 いますけどね。(A)
(2) だから絶対7時間目に食い込むなということをうるさく言うてたんやけど、今はずいぶん延びてる 状態ですし、6限7限といってるパターンもあるし。今は生徒の層が分かれてきたんですわ。昔は 結構重なる生徒がいてたんですわ。だから勉強を頑張る子はクラブも頑張ってたというパターンが 多かったですけど、今はその辺の棲み分けが進んだかな一っていう気はしますね。(C)
(3)進学に関して言えば、四年掛に関しては若干行けなかった者もおりますけど、短大に関しては全入 です。専門学校に関してもまあまあ結果はこんなもんかなと思いますね。就職の方は、景気の問題 と子どもの持ってる就職のイメージと現実が違いますので、その分ではかなえられてはいないです けど、進学についてはけっこうよく行ってもつらたと思っています。(D)
第5章 B高校の教育課程経営改革 「産業社会と人間」の影響もあるかとは思うんですけど、担任団も「産業社会と人間」をやる上 でね、子どもたちの希望をできるだけかなえてやろうという姿勢も大きいんじゃないかとは思って ます。もう一点は子どもが減ってきて大学短大の入試が楽になったという方向はございますね。た だ四年制に関しては担任団も子どもたちもよく頑張られたなという印象はありますね。(D)
(4) 中学校から送られてくる生徒の幅は多少幅広くなったけども、やっぱり一定の層しか来ないという ことで、この教育課程も曲がり角になってきていると思います。(A)
(5) 意外と生徒には受けがいいなあという気はしますね。いろんなものを使っていきますんでね、生徒 は「何やつてんのかな一」というところはあるけれども「何か他教科にはないものやな一」という 印象は持ってるみたいですね。(C)
(6) 最初はビデオ見て感想書いて授業終わりでしょ、「これでいいの」という感じで喜んでますわ。教 科らしくない教科があることに対する驚きとか喜びとか。「こんなことしてるだけで欠点取らんでえ えねんな」という感じもあって。1年目は反応よかったですよ。ビデオや本を読んで「こんな事考 えたことない、自分を見つめ直せた」とかね。そういうふうな言い方をする子がたくさんいました ね。もちろん全然入らん(授業に乗ってこない)子もおりましたけどね。(E)
(7) 僕は1年目と今年(4年目に)担当しているんですけど、僕らはこういう発想はなかなか触れてなか つたということもあって、「自己肯定感」とか「アサーション」という部分でなかなか納得しきれん ところがあって、… 。それに対する抵抗は自分自身あったと思います。これには教師にも生徒に もとまどいがあったと思います。そのとまどいg中で、やっていくということを通してね、プラン ナーのねらい通り生徒の心は柔らかくなっていくとか、学校・教師・大人に対して、認められるこ とによって「心を開いてもいいんかな」というような、そんな雰囲気はできてきてたと思うんです よ。やることの意味が分かってくれば、やれるんですよ。ただやるほう(授業担当者)は、このこと がほんまに大事やねんとか、あるいはやることによってこうなるねんという確信なしにこの教材を 渡されて「やれよ」って言われたときのしんどさみたいなものは今でもありますわ。(E)
(8) 人権教育でも使えるネタをずいぶん引っ張って来はったんやろなというのはありますね。アサーシ ョンですか、あれはいろんな意味で担当される先生は抵抗感があるみたいですね。ただ、やった結 果としてはよかったんと違いますかね。だからたとえ自分がこんなん合えへんわと思うもんでも、
それで普段反応のない生徒がそこで反応する場合もあるというところで、可能性の一つとしてさわ りはやっとくべきやろな一とは思いますね。(C)
(9) 結論から言ったら、自分が3年間担任してた学年やから思うんかもしれませんけど、そういう(ね らい通りの)生徒が育ったと自分では思っています。もちろんこの2時間の授業だけでそういう生 徒は育てへんと思いますけど、この授業は考え方、発想の部分の始まりの部分で「こっち向いて み」という授業なんでね。「こっち向いてみ」という授業があって、日常の行事や他の授業の中に 「ほらな」という部分がないとだめやと思うんですよ。このことを意識して2年も3年もやってき ましたんでね。(E)
(10) 今でも「担任やから」ということで持ってくれはった人の中には、この教材を受けてやることで