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博士(農学)金 允 根 学位論文題名

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     博士(農学)金   允   根 学位論文題名

キ タコ ブ シ (Magnolia Ko ろ t.LS DC . var . ろ orealis Sarg .)の抽出成分に関する研究

学位論文内容の要旨

  本 論 文 は9章 で構成 され、図54、表17、 引用文 献110、 総頁数217頁の 和文論文 である 。 別に参考論文4編が添えられている。

  木研究 はキタコ プシを 対象とし て、樹 葉、花蕾 、樹皮お よび木 部の各部 位に含まれる紬 fn成分をi杠離 し、化 学構造を 明らかに すると ともに、各部位の舶出成分の定量分析、樹葉 巾の成 分の季節 変動、 および各 部位の拙 出成分 および単 離成分 の抗酸化 性と生物活性を検 索 し 、 木 質資 源 の 機能 を 効 率 的に 活 用 する た め の基 礎 的 知見 を 得 るた め に 行わ れ た 。   本研究で得られた結果は次のように要約される。

1)キタコブシの抽fn成分

  キ タ コ プシ 樹 葉のアル コール 抽m物 からジク 口口メ タン可溶 物を分 別し、ジ ク口ロメ タ ンnf溶部に禽まれる抽Hi成分を、シリカゲルカラムクロマトグラフイー、I・・IP I̲Cおよび

′´} 取'LCに より単 離精製し 、新規化 合物を 含めて12種類の化合物を得た。これらの化合 物およ び誘導体 の化学 構造を分光分析手法により解析し、12種類の化合物をkobusin(I)、

aschant in(II)、eudesmin(m)、magnolin (IV)、yangambin(V) 、medioresinol

(W) 、fargcsin (VII)、phiiiygcniri(vm)、epimagnolin( 腿):kobusinolA(X) 、 kobusinolB(XI)、magnostellin( 珊 )と 同 定 した 。I〜 朕の 化 合 物は 何 れ も[ 十 ] の 旋光度を持ち、2,6−diaryl一3,7―dioxabicyclo−[3,3,0]octane構造を有するfurofuranoid 型リグ ナンであ った。furofuran環に 結合す るニつの アリル 基の立体 配置はNOE、ケミカル シフ卜 、結合定 数など が結果か ら、vn、vmと取ではequatorialーaxial配置、残りの化合物 ではequatorialーequatorial配 置 であ る こと が示唆さ れた。 また、IとW、rvと取 はお互 いにC←26tの エピ マーであ った。 これらfurofuran型リ グナンは 、VIとvmを 除いて 、二つ     ‑ 773 ‑

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の ア リ ル 基が3,4―methYlendiOXYphenYl、3,4一dimethOXYPhenYlおよび3,4,5−trime thoxyph Cflylの 非 フ ェ ノ ー ル 骨 格 で あ り 、 フ ウ ノ ー ル 骨 格 が 主 要 で あ る ト ド マ ツ 、 カ ラ マ ツ な ど の 樹 木 リ グ ナ ン 類 と 際 立 っ た 相 違 を 示 し た 。 し か し 、I〜 腿 の り グ ナ ン 類 は モ ク レ ン 属 の 他 の 樹 木 で も 単 離 さ れ て い る 既 知 化 合 物 で あ っ た 。X〜 珊 はtetrahydrofuran型 リ グ ナ ン で あ り 、xnは 既 知 化 合 物 で あ っ た が 、Xと 瓢 は 新 規 化 合 物 で あ ` り 、kobusinolAとkobusin 01Bと 命 名 し た 。 分 光 学 的 分 析 の 結 果 か らkobusinolAとBを ( 十 ) −tetrahydro‑a4ー (3,   5一dime thoxyphenyl)―3−me thyl―2一く4−hyd roxy―3―methoxyphenyl)―4ーfuranmethanol(X) お よ びtetrahydro‑a4,2ーbis(3,4―dimethoxyphenyl)̲a4,3一furandimethanol( ぬ ) と 同 定 し た 。 こ れ ら の 立 体 配 置 をNOESY法 な ど の 結 果 か ら 推 定 し た 。 木 部 抽 出 成 分 か ら 同 様 な 操 作 に よ りfurof uranoidリ グ ナ ン のHお よ びVと 、 新 た に ( ー )‑syringaresinol (XK[)を 単 離 ・ 同 定 し た 。 旋 光 度 の 値 か らxmの ( ― ) 型 の 比 率 は70% で あ っ た 。 樹 皮 か ら はfurofura noidII,V、VIと ( 十 )‑syringaresinol(xm)、tetrahydrofuranoidの ぬ の 各 リ グ ナ ン 類 が 単 離 さ れ た 。 旋 光 度 の 値 か らxmの ( 十 ) 型 の 比 率 は54% で あ っ た 。花 蕾 の 抽 出成 分 と し て I、HおよびVの非フェノール性furofuran型リグナンが単離された。

2)リグナン成分の定量分析

  キ タ コ プ シ 各 部 位 の 抽 出 成 分 の エ ー テ ル 可 溶 物 に 含 ま れ る り グ ナ ン 類 の 定 量 ・ 定 性 分 析 を 、 こ れ ら13ftr類 の り グ ナ ン 類 お よ び ト ド マ ツ 材 か ら 単 離 し たpinoresinol(XIV)の 保 持 時 間 と 内 部 標 準 物 に 対 す る 相 対 比 吸 光 係 数 を 用 い てHPLCに よ り 分 析 し た 。 樹 葉 に は 、 syringaresinol(xm)を 除 い た 全 て の 供 試 リ グ ナ ン 類 が 存 在 し 、 主 要 な り グ ナ ン は 含 量 順 に 双 、 IV.W、vmとmで あ っ た 。 樹 皮 に は 全 て の 供 試 リ ヴ ナ ン 類 が 存 在 し 、 主 要 な り グ ナ ン はI、V、n、 .ni、 花 蕾 で は 、 樹 葉 の 主 要 リ グ ナ シ で あ るWは 存 在 せ ず 、n、IV、I、 uとVが 主 要 な り グ ナ ン で あ っ た 。 木 部 で はXmが 主 要 で あ り 、 ぬ 、IVを 含 む が 、I、VI、 vn、vniは 検 出 さ れ な か っ た 。 花 蕾 の 他 に 、 樹 葉 も 漠 薬 と し て 利 用 で き る こ と を 示 唆 し た 。   キ タ コ プ シ リ グ ナ ン 類 の 生 合 成 に 関 す る 知 見 を 得 る た め に 、 樹 葉 中 の り グ ナ ン 含 量 の 季 節 変 動 (5月 〜n月 ) を 検 討 し た 。 各 リ グ ナ ン 含 量 は 一 般 に5月 か ら6月 に か け て 増 加 し 、 最 大 値 を 示 し 、8月 に 向 け て 一 端 、 減 少 す る が 、 再 び11月 す る 傾 向 を 示 し た 。XIVの み は こ の 期 間 を 通 じ て 量 的 変 化 が 少 な く 、 他 の り グ ナ ン が 減 少 す る8月 に は 増 加 し た 。 こ れ ら の 季 節 変 動 は キ タ コ ブ シ リ グ ナ ン 類 の タ ー ン オ ー バ にXIVが 深 く 関 与 し て い る こ と を 示 唆 し

‑ 774 ‑

(3)

た。また、tetrahydrofuran 型リグナンがfurofuran リグナンの前駆物質である可能性も新 たに示唆された。

3 )抽H j 物およびりグナン類の抗酸化性

   ラジカル捕捉剤を用いて、各部位の抽出物とりグナン類の抗酸化性を検討した。各部位 のアルコール抽m 物の抗酸化性は木部、樹皮、花蕾、樹葉の順であり、市販の抗酸化剤に 比べて何れも高くはないが、糀抽In 物が抗酸化剤として利用できることを示唆した。抽出 物を溶媒分別すると、木部ではポリフウノールを禽む酢酸エチル可溶部がilf 販品の70 %に 相当する活やトを示し、他の部位では酢酸工チル不溶部が高く、40 〜50 %の活性を示した。

リグナン類ではXIII とX が市販品と同等かそれ以上の活性を持ち、VI とXW は70 %の活性を示 し、木部の高い抗酸化性はXm に起閃することを示唆した。

4 )轟llfH 物およびりグナン類の生物活性

   ク口カワカピ、枯草繭、緑膿繭、黄色プドウ菌、肺炎かん菌に対する生物活性を検討し た。抗カピrE の検索はバイオオートグラフイー法で行い、何れの部位でも石油工ーテル可 溶部とエーテル可溶部で高い抗カピ性を示すゾーンが認められた。リグナンでは、xm で強 い 活性 、 フ ウノ ー ル 型リ グ ナン で 巾 庸、 非 フウ ノール 型では弱 い活性を 示した。

   抗繭性はぺーパデスク法で行った。各部位のアルコール抽出物の抗菌性は木部、樹皮、

樹皮、樹葉、花荷の胴であったが、何れも強い活性は認められず、花っばみでは殆ど活性 を 示 さ な か っ た 。 ま た 、 リ グ ナ ン 類 は 何 れ も 弱 い 抗 繭 性 し か 示 さ な か っ た 。    以上、本研究はキタコブシ樹木より新規化合物を含む13 種のりグナン類を単離し、それ らの化学構造と立体酉己邏を明らかにするとともに、リグナン類の生合成機構に関する研究 に爾亜な指針を' える新たな知見を与えた。また、リグナン類の組成はキタコプシが有用 な漠薬原料であり、各部位の抽!u 物とりグナン類の抗酸化性と生物活性の結果はキタコブ シが有用な木質バイオマス資源であることを示唆した。これらの業績は関連学会において 高い評価を受けている。

‑ 775 ‑

(4)

tn

3.7

4 6 (Eudesmin)

2 8 Tetrahydrofurofuran type lignans

HIll

OMe 25                      I Tetrahydrofuran skeleton 5  Compound x            (Kobusinol A) Compound XI   (Kobusinol B) (MaZnostelliA)

OMc OMe OMc OMe OMe Tetrahydrofuran type lignans

        川         川 岨     H

識 細 g

(5)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

キ タ コ ブ シ (Magnolia Ko ろ ひ sDC . var . ろ orealis Sarg .)の抽出成分に関する研究

  本論文は9章で 構成さ れ、図54、 表17、引 用文献110、総 頁数21.7頁の霸I文論文である。

別に参考論文4編が添えられている。

  本 研 究は キ タ コプ シ を対 象として 、木質 資源の機 能を効 率的に活 用する ための基 礎的知 見 を 得 る た め に 行 わ れ た 。 本 研 究 で 得 ら れ た 結 果 は 次 の よ う に 要 約 さ れ る 。 1)キタコブシの抽出成分

  キタコブ シ樹葉か ら新規 化合物を 含めて 】2種 類の化合 物を単 離した。 分光分 析法により 12種 類 の 化 合 物 をkobusin(I) 、aschantin(n)、eudesmin(m) 、magnolin(IV)、

yangambin(V) 、medioresinol  (VI) 、fargesin(vn)、phillygenin(vm)、cpimagno lin(IX) 、kobusinolA(X) 、kobusinolB( 姆 ) 、magnostellin(xn) と同 定 し た。

9稀 の 化 合 物 は 旋 光 度 が (十 ) のfurofuran型リ グ ナ ンで あ り 、立 体 配 置をNOEと 結 合 定 数 などか ら決定した。これらfurofuran型リグナンの多くは3,4−me thylendioxyphenyl、3, 1一dime t.hoxyphenylおよび3,1,5−1.rime Lhoxyphcnylの非フェノール骨格を有し、他の樹木 リ グ寸亠 ン翻と際 かった 射1述 を永した。しかし、これらは何れもモクレン属の他の樹木でも 単 離 さ れ て い る 既 知 化 合 物で あ っ た。3種 はtetrahydrofuran型 リグ ナ ン であ り 、2っは 新 規 化 合 物 でkobusinolAとkobusinolBと 命 名 し た 。 分 光 分 析 法 に よ りkobusinolAと Bの 化 学 構造 を 決 定し 、 立 体構 造 をNOF,SY法 な どか ら 推定した 。木部抽 出成分 から新た に

( − )‑syringaresinol(xm)を単 離し、旋 光度の 値から( ー)型の 比率は70%であっ た。

樹 皮 か ら は( 十 )‑syringaresinol(xm)を 含 む4つ のりグ ナン類が 単離さ れ、前者 の旋光 度の値から(十)‑xmの比率は5、4%であった。

2)リグナン成分の定最分析

  キ タ コプ シ 各 部位 の エー テル可溶 部に含 まれるり グナン 類の定性 定量分 析を、こ れら13 稀 類のり グナン類 およびpinoresinol(XW)を用い てHPLCで行 った。各 部位で りグナン の組

777 ‑

   

   

   

(6)

成に顕蕃な舸I 違が認められたが、花蕾の他にも、樹葉と樹皮が漢薬として利用できること が示唆された。樹葉巾のりグナン含量の季節変動(5 月〜11 月)を検討した。各リグナン含 嚴はー 般に5 月から6 月にかけて増加し、8 月に向けて一端、減少するが、再び11 月に向 けて増加|する傾向を示した。pinorcsinol (XIV) は鼠的変化が少なく、他のりグナンが減少 する8 ′J には増加した。これらの季節変動はキタコプシリグナン類のターンオーパにpino resinol (x[v) が深く関与し、また、t,etrahydrofuran 型リグナンがfurofuran 型リグナンの 前駆物質である可能性も新たに示唆された。

3 )抽IH 成分の抗酸化性および生物活性

   ラジカル捕捉剤を川いて、抗酸化性を検討した。各部位のアルコール抽出物の抗酸化性 は木部、樹皮、イ匕傭、樹葉の順であり、j 販の抗酸化剤に比ぺて高くはないが、粗抽出物 が抗酸化剤として利用できることを示唆した。抽出物を溶媒分別すると、木部ではポリフ ェノールを含む酢酸工チル可溶部が市販品の70 %に相当する活性を示し、他の部位では酢 酸工チル不溶部が高い活性を示した。リグナン類ではxm とX が市販品と同等かそれ以上の 活性を示した。

   ク口カワカビ、枯草繭、緑膿菌、黄色プドウ菌、肺炎かん菌に対する生物活性を検討し た。抗カビ性は何れの部位でも石油工ーテル可溶部とエーテル可溶部で高い活性を示すゾ ーンが認められた。リグナンでは、xm で強い活性、フェ丿ール型リグナンで中庸、非フ ェノール型では弱い活性を示した。各部位のアルコール抽出物の抗菌性は木部、樹皮、樹 葉、花蕾の順であったが、何れも強い活性は示さず、花蕾では殆ど活性が認められなかっ た。また、リグナン類は何れも弱い抗菌性しか示さなかった。

   以.I :、本研究はキタコソシ樹木より新規化合物を含む13 種のりグナン類を単離し、それ らの化学構造と、ア休陀緞を1 丱らかにするとともに、リグナン類の坐合成機構に関する研究 にm 要な指針をりえる新たな知見を与えた。また、リグナン類の組成はキタコプシが有用 な漢葉原料であり、各部位の抽出物とりグナン類の抗酸化性と生物活性の結果はキタコプ シが有用な木質パイオマス資源であることを示唆した。これらの業績は関連学会において 高い評価を受けている。

   よっ て、 審査 員一同は、別に行った最終試験の結果と合わせて、本論文の提出者金 允 根 は 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 が あ る も の と 認 定 し た 。

‑ 778

(7)

q q tO

4 6

3 2 8                        7 3.7‑dioxabiWclo  C3,3.0 octanskeleton

   ぴ H ・ I ・ 謬 . く て コ

Compound (Eudcsmin)

Me0 Mc0

H Compound vm (Phillygcnin)

OMc OMe Tetrahydrof urofuran type lignans

Me0 HOCompound lTt (Pinoresino[)

OMe e

2

p ;

Tetrahydrofuraskeleton    Compound X            (KobusinoA) Compound  (KobusinoB) (MaonostelliA)

OMe OMe OMe OMe OMe Tetrahydrofuran type lignans

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