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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 ) 橋 野   聡

    学位論文題名

    Antileukemlc Effect of Interleukin−2     on Spontaneous Development of Leukemia     afterHー2―Corn patible  Allogeneic  Bone     Marrow Transplantation in AKR/JMice

    ( AKR/ Jマ ウ ス に お け る H― 2一 致 同 種 骨 髄 移 植 後 の インタ―口イキン―2投与による自然発症自血病に対する抗白血病効果)

学位論文内容の要旨

目的

AKR/Jマ ウ ス は 、 胸 腺 由 来 の 自 血 病 を 自 然 発 症 す る こ と が 知 ら れ て い る 。 そ の 発 病 プ ロ セ ス に は 、 種 々 の 因 子 が 関 与 し て お り 、 現 在 ま で に 、AKR/J マ ウ ス の 自血 病 の 発 症 を 予 防 す る 様 々 な試 み が 報 告 さ れ て いる。 胸腺 摘出 、 自 血 病 発 症 に 抵 抗 性 の 遺 伝 的 素 因 を 持 つ マ ウ ス よ り の 同 種 骨 髄 移 植 、自 血 病 性 変 化 を 来 た し う る 細 胞 の モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 に よ る 除 去 な ど に より 自 血 病 の 発 症 が 予 防 で き る こ と が 知 ら れ て い る 。 一 方 、 最 近 、 イ ン タ ーロ イ キ ン .2投 与 に よ り 、H・2一 致 及 び 不 一 致 同種 骨 髄 移 植 後 の 移 植 片 対 宿主 効 果(GVL効 果 ) が 増 強 さ れ る こ と が 報 告 さ れ て き た 。 今 回 の 研 究 で は 、 自 血 病 発 症 に 抵 抗 性 で な いC3H[HeJマ ウ ス か らの 同 種 骨 髄 移 植 後 に 、 イ ンタ ー ロ イ キ ン‑2を 投 与 し て 、AKR/Jマ ウ ス の 自 然 発 症 自 血 病 を 予 防 し え る か ど う か に つ いて 検 討 し た 。

材 料 お よ び 方 法

  1) マウ ス:H‑2の一 致したAKI</JとC3H/HeJマウ スとを 用い た。 マウス は、

SPF環 境 下 で 飼 育 し 、 骨 髄 移 植 に は 6‑8週 令 の 雄 を 用 い た 。   2) 骨 髄 移 植 : キ メ ラ マ ウ ス は 、AKR/Jマ ウ ス に860 cGyのX線 照 射 後 、

(2)

1 x10

個 の

C3H/HeJ

マ ウ ス の 骨 髄 細 胞 を 輸 注 し て 作 製 し た 。

  3

)インターロイキン‐

2

(IL −2 )投与:IL ‐2 は、移植直後より1 日5 、000 単 位 を 、

7

日 間 、 腹 腔 内 に 投 与 し 、 こ れ を 毎 月 繰り 返 した 。 投与 期 間は 、1 年 間の み 投与 す る実 験群 と 死ぬ ま で継 続 する 群 とに分けた 。コントロー ル 群には、

PBS

を投与した。

  4

)マウス 脾細胞の調整 :in vitro assay 用に、各実験群のマウスより脾臓 を 摘出 し 、ガ ラ スホ モジ ェ ナイ ザ ーに て 押し 潰 し、細胞を 回収した。サ イ ト カイ ン の

mRNA

を解析 するためには 、赤血球をTris‑NH 。Cl で処理 してから 用 いた 。 自血 病 発症 後の マ ウス の 自血 病 細胞 も 、同様の方 法で調整した 。

  5

) キ メ リズ ム の検 索 :キ メ ラマ ウス 脾 細胞 を 、

Thyl.2

モ ノ ク口 ー ナル 抗体と補体とで処理し、死細胞の割合より検討した。

  6

) 細 胞 障 害 性 試 験 : 脾 細 胞 の 細 胞 障 害 活 性は 、標 的 細胞 に

LAK

活 性 の 標 的 で あ る

P815

NK

活 性 の 標 的 で あ る

YAC1

AKR/J

マ ウス の

T

細胞 性 リン パ腫由来のcell line であるBW5147 を用いた。細胞障害活性は  ̄Cr 遊離4 時間 法にて算定した。

  7

)マイト ジェンおよび

IL

2

反応性試験: 脾細胞を

10

%牛胎児血清および

2 x10‑5M2‑

メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル を 添 加 し た 培 養 液 に 入 れ 、

ConA

PHA

pWM

LPS

を 各 々終 濃 度lODg/ml 、お よぴ

IL‑2

を 終濃 度1 、OOO 単 位

/ml

2

日 間培 養し 、

H‑

サイ ミ ジン の 取り 込 みを

6

時間 法で測定した 。自血病 細胞の

IL‑2

反応性も同様の方法で検索した。

  8

)tumor necrosis factor‑alpha (TNF‑alpha) 産成能:脾細胞のTNF‑alpha 産 成 能は 、 脾細 胞 を

LPSlO,ug/ml

存在 下で24 時間培養後 、その培養上 清を用い て、LM 細胞を標的細胞に用いたMTT 法にて測定した。

  9

)サイトカインmRNA 量の解析:脾細胞のinterleukin‑l beta (IL‑1 beta) 、

IL‑2

、interleukin‑4 、interleukin‑6 、TNF‑ alpha 、interferon −gamma (IFN ‐

  gamma

) の

mRNA

発現 量 をRT _PCR 法 によ って 検 索し た 。脾 細 胞よ り

RNA

を 抽 出し 、 リノ ヾ ーストランス クリプターゼに より

cDNA

に変換し、

PCR

法 によ り 半 定 量 した 。 各々 の サイ ト カイ ンに 対 応す る プラ イ マー は 、DNA シン セ サ イザ ー にて 作 製し た。 各 サン プ 少は 、

25

30

、35 サ イクルの増幅の 後、

ゲ ル電 気 泳動 に て解 析し 、 エチ ヂ ウム ブ ロマ イ ドにより発 色させて検討 し た。

  10

) 生 存 率 の 算 定 : 連 日 マ ウ ス を 観 察 し 、 死亡 し た場 合 は解 剖 して 、

自血病 死かどうかを 確認した。生存 曲線の算定に は、カプラン‐マイヤー法

(3)

を用いた。

結 果

  1) キ メ リ ズ ム の 検 索 : 臨 床 的 に は 移 植 片 対 宿 主 反 応 を 認 め な かっ た が、

キ メ リ ズ ム の 検 索 で は 約 50% の ド ナ ー 由 来 の 細 胞 が 認 め ら れ た 。   2IL‑2投 与 の 抗 腫 瘍 効 果 に 与 え る 影 響 :IL‑2を 投 与 さ れ た キ メラ マ ウス の 脾 細 胞 は 、 コ ン ト ロ ー 少 に 比 較 し て 、 よ り 強 い 細 胞 障 害 活 性 がP815YAC1BW5147の そ れ ぞ れ の 細 胞 に 対 し て 認 め ら れ た 。

  3IL‑2投 与 の マ イ ト ゲ ン お よ びIL‑2反 応 性 に 与 え る 影 響 :PWMLPSIL‑2刺 激 に 対 す る 反 応 性 は 、 IL‑2投 与 群 に お い て 亢 進 し て い た 。   4) 白 血 病 細 胞 のIL‑2反 応 性 に 与 え るIL‑2投 与 の 影 響 : 正 常AKR/Jマ ウ ス の 脾 細 胞 はIL2に 濃 度 依 存 性 に 反 応 す る が 、 自 血 病 細 胞 はIL‑2へ の 反応 性 が失 わ れて い た。 こ の変 化 は、IL2投 与群 と コン ト ロー ル 群と で 差が な かっ た 。

  5IL‑2投 与 のTNF‑alpha産 成 能 に 与 え る 影 響 :LPSに よ り 刺 激 さ れ た 脾 細 胞 の TNF‑alpha産 成 能 は 、 IL‑2投 与 群 で 亢 進 し て い た 。   6) サ イ ト カ イ ン のmRNA発 現 に 対 す るIL‑2投 与 の 影 響 :IL‑2投 与 キ メ ラ マ ウ ス の 脾 細 胞 で は 、 検 索 し た サ イ ト カ イ ン の 中 で は 、IL‑lbetaTNF

‑alphaIFNgammamRNAの 発 現 量 が 、 コ ン ト ロ ー ル 群 に 比 較 し て 増 加 し て い た 。

  7) 同 種 骨 髄 移 植 お よ びIL‑2投 与の 自 然発 症 自 血病 予 防効 果 :IL‐2を 死ぬ ま で 投 与 し た 群 で は 、 生 存 率 の 上 昇 、 お よ び60% に 自 血 病 の 発 病 が 予 防 し え た 。 一 方 、1年 間 の みIL‑2を 投 与 し た 群 で は 、 コ ン ト ロ ー ル 群 に 比 較 し て 、 明 ら か な 生 存 率 の 改 善 を 認 め ず 、 全 例 自 血 病 死 で あ っ た 。

考 察

今 回 の 研 究 で は 、IL‑2を 長 期 間 投 与 し た 同 種 キ メ ラ マ ウ ス で の み 、 生 存 率 の 改 善 と 部 分 的 な 自 血 病 の 発 病 阻 止 が 観 察 さ れ た 。1年 間 の みIL‑2を 投 与 し た キ メ ラ マ ウ ス で は 、 明 ら か な 自血 病 発症 阻 止効 果 は認 め られ な かっ た 。 抗 腫 瘍 効 果 の 機 序 と し て は 、 非 特 異 的 細 胞 障 害 活 性 の 亢 進 と 、 抗 腫 瘍 性 サ イ ト カ イ ン の 増 強 が そ の 主 体 と 考 え ら れ た 。 一 方 、 キ メ1Jズ ム の 検 索 結 果

(4)

から、ドナー由来の細胞が主体となったGVL 効果が、IL‑2 の長期間投与で 持続的に維持されたためと推測された。今回の研究では、AKR/J マウスの

60

%にのみ自血病発症を阻止しえたが、

IL‑2

の投与方法を工夫することに より、完全なる阻止も可能であると考えられた。さらに、今後の研究によっ て、より詳細な抗自血病効果の機序が明らかにされると考えられるが、今 回の研究の試みから、今後の自血病における骨髄移植後の再発予防に新し い展望をもたらす可能性のあることが示唆された。

結語

同種骨髄移植と移植後長期間に亘る

IL‑2

投与により、AKR/J マウスの自血

病発症が部分的に阻止された。この抗腫瘍効果には、GVL 効果の増強によ

る可能性が示唆された。

(5)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    宮 崎    保 副 査    教 授    皆 川 知 紀 副査    教授    細川眞澄男

学 位 論 文 題 名

   Antileukemic Effect of Interleukin‑2 on Spontaneous Development of Leukemia    after II‑2‑Compatible Allogeneic Bone IVIarrow Transplantation in AKR/J Mice

     AKR Jマ ウ ス に お け る H 2― 致 同 種 骨 髄 移 植 後 の イ ン タ ー ロ イ キ ン −2投 与 に よ る 自 然 発 症 白 血 病 に 対 す る 抗 白 血 病 効 果 )

    I、 研 究 目 的

AKR/Jマ ウ ス は 高 頻 度 に 自 血 病 を 自 然 発 症 し 、 現 在 ま で に 、 発 症 を 予 防 す る 様 々 な 試 み が 報 告 さ れ て い る 。 一 方 、 イ ン ター ロイ キン‑2Iし2)は 、同 種骨 髄移 植後 の 移植 片対 自 血 病 効 果(graft‑versus‑leukemia:GVL効 果) を増 強す るこ とが 報告 され てい る 。今 回の 研 究 で は 、C3H/HeJマ ウ ス か ら の 同 種 骨 髄 移 植 後 のIL‑2の 長 期 間 歇 投 与 が 、AKR/Jマ ウ ス の 自 血 病 発 症 を 抑 制 す る か ど う か に つ い て 検 討 し た 。

    H、 材 料 及 ぴ 方 法

lI) キ メ ラ マ ウ ス の 作 製 :6‑8週 齢 の 雄 のAKR/Jマ ウ ス に860cGyの放 射線 照射 後、

C3H/HeJマ ウ ス の 骨 髄 細 胞lx107個 を 輸 注 し て 作 製 し た 。

  2IL‑2の 投 与 方 法 :IL‑2は 、115000単 位 を 、 月 初 め の1週 間 腹 腔 内 に 投 与 し た 。 生 存 率 の 検 索 で は 、 投 与 期 間 は 、1年 間 の み 投 与 す る 群 と 、 生 存 期 間 中 投 与 を 継 続 す る 群 と を 設 定 し た 。 対 照 群 に は 、PBSを 投 与 し た 。

  3) マ ウ ス 脾 細 胞 の 調 整 : 各 群 の マ ウ ス よ り 、 脾 臓 を 摘 出 し 、 ホ モ ジ ェ ナ イ ザ ー に て 押 し 潰 し 、 細 胞 を 回 収 しin vitroの 検 索 に 用 い た 。

  4) キ メ リ ズ ム の 検 索 : 抗Thyl.2抗 体 と 補 体 で 処 理 し 、 死 細 胞 の 割 合 よ り 検 討 し た 。   5) 細 胞 障 害 性 試 験 : 標 的 細 胞 に はLAK活 性 に 感 受 性 のP815NK活 性 に 感 受 性 の YAC1AKR/Jマ ウ ス のT細 胞 性 リ ン パ 腫 由 来 のBW5147を 用 い 、51Cr遊 離4時 間 法 に て 算 定 し た 。

(6)

  6) マ イ ト 芝 三Z靂 ぴIL‑2反 応 性 :ConA PHAPWMLPSを 終 濃 度10pg/ml、 及 びIL 2 1、000単位/mlで2日間培養し、3H̲TdRの取り込みを6時間法で測定した。

  7tumor necrosis factor‑alpha(TNF‑alpha) i生 宣 ! :LPSlOyg/ml存 在 下 で24時 間 、 培養 後 の 上 清 を 用 い て 、LM細 胞 を 標 的 細 胞 に し たMTT(3‑(45‑dimethylthiazol‑2‑yl)‑25diphenyl tetrazolium bromide)法にて測定した。

  8) サ イ ト カ イ ンmRNA Q鰹 盤 : 脾 細 胞 をTris‑NH4Clで 処 理 後 、mRNAを 抽 出 し 、 in俛rleubh‐1beta(IL―1beta冫、IL―2、in忙rleukm−4、interlem【m‐6、TNF−甜pha、interferon―gamma   ( 正Ngamma) のmRNA発 現 量をreVersetranSCnptaSepolymeraSeChむnreaCnon(RTPCR)法 に より検索した。

  10) 生 存 曲 線 堕 隻 走 : 死 亡 日 を 記 録 し 、 自 血 病 死 の 有 無 は 解 剖 し て 確 認 し た 。 生 存 曲 線の算定は、カプラン‐マイヤー法を用いた。

    m、結果、

  1)キ メ リズ 杢 堕 塗索 : キ メラ マ ウス 脾 細 胞の 約50ワ 。 は、 ド ナ ー由来であ った。

  2IL‑2投与堕壇腫癌塾墨!≦丞tl墨空影響:P815、YAC1、BW5147に対する障害活性は、

    .■−

いずれも亢進していた。

  3IL‑2投与のマイとZZ靂ぴIL‑2区塵:睦!三丞!墨窒髪饗:PWM、LPS、IL−2に対する反応 性が亢進していた。

  4)自血 病細胞のIL‑2反応性: キメラマウ スの自血 病細胞は 、IL2投与群、対照群と もIL‑2への反応性が喪失していた。

  5IL一2投与cDTNF:alpha産lt宣!!≦丞!墨空影響:LPS刺激後の脾細胞のTNF‑alpha産生能 は、IL‑2投与群で亢進していた。

  6IL‑2投与のサイトカインmRN△登盟!三及ぽす影響:IL−1beぬ、TNF‐甜pha、IFN‐gamma のmRNAの発現量が増加していた。

  7)自血 病発痙惣制効果:IL−2を生存期間中継続して投与した群では、60ワ。に自血病 の 発症 を 阻止でき 、生存期 間の延長 が認めら れた。一 方、1年間 のみIし2を投 与した群 と対照群では、全例自血病を発症して、死亡した。

    IV、考察 及ぴ結語

  1AKR/Jマウ スに対し て、C3FVHeJマウ スからの 同種骨髄 移植及びIL−2の長期間歇投 与によ り、自血 病の自然 発症を部 分的に阻 止しえた。

  2in vitroの脾 細胞を用 いた解析 では、IL‑2投与群において、非特異的細胞障害活性 の亢進 、LPS、PWMIL‑2に 対する反 応性の亢 進、TNF‑alpha産生 能の増強、IL‑1 beta  IFN‑gammaTNF‑alphamRNAの 発現の増 強を認め た。

  3)自 血 病細胞のIL‑2反応性は 、IL‑2投与群と 対照群の いずれで も喪失し ており、 腫 瘍細胞 に対するIL‑2の直接的 影響は認 められな かった。―

  4)自 血 病 発症 を 抑制 す る 機序 の 主体 は、GVL効果 に関連し た抗腫瘍 活性の増 強と考 えられ 、骨髄移 植及びIL2の投与方 法を工夫することにより、発症の完全阻止も期待し

(7)

得ることが示唆された。

  以上の 結果、AKR/Jマ ウスの自 血病発症 抑制に対 し、同種 骨髄移植後、長期間のIL‑2 投 与 が 有 効 で あ り 、 そ の 機 序 の 主 体 がGVL効 果 の 増 強 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た。

  以 上 よ り 、 本 研 究 は 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 論 文と し て妥 当 な もの と 判断 さ れ る。

参照

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