博 士 ( 獣 医 学 ) ウ イ ト ラ ウ イ リ ア ム ハ ロ ル ド
学 位 論 文題 名
Genetic Factors of Drug Resistance and ●
Diversity in Trypanos07na evansz
(ト リ パノ ソ ー マ. エ バン シ ー 原虫の薬 剤耐性と 遺伝子多型 解析)
学位論文内容の要旨
トリパノソーマ原虫症は、アフリカやアジアの家畜および野生動物に感染し、多 大な被害 を与えて いる。近年 、原虫薬 耐性株の 出現によ ってその被害は深刻化し ているが 、どのよ うな機序で 薬剤耐性 になるか は不明で ある。本研究は、南アジ アに分布するIトリバノソーマ・エパンシー(Trypanosoma evansi:工evansi)の薬剤 耐性機序の解明を目的に以下の項目について検討した。
薬剤の体 内取り込 みにおいて アデノシ ントラン スポーター(AT)は重要であるこ とが 報 告さ れ て いる 。 そ こで 、f evansiの同 遺伝子の 機能解析 を行うた めにAT 遺伝 子(TevATl)を決定後、RNA干渉法(RNAi)に よるノッ クダウン 原虫を作 出し抗 原虫薬で あるAntrycide、SuraminおよびBerenilに対する感受性を検討した。その 結果 、TevATlノ ッ クダ ウ ンfevansiは 、AntrycideとSuraminに 対し ては野外 株 同様の感 受性、す なわち耐性 を示さなかったが、Berenilに対し顕著な耐性を示し た。 こ のことから 、Berenilに対す る薬剤耐 性にはTevATlが 重要であ ることが 示 された。
一方で、Berenil感受性fevansi野 外株におい ても長期 継代することによって抵 抗性を獲 得したこ とから、サ プトラク ション法 を用いて 新規薬剤耐性関連因子に つい て 解析 し た 。そ の 結 果、 原 虫表 面 上 に発 現 する40kDaの 新 規分 子(TeDR40) を得 た 。TeDR40遺 伝子 は 、Berenil耐性Eevansi株 では感受 性野外株 に対し1000 倍以上発 現が亢進 しているこ とが明らかとなった。また、同遺伝子をBerenil感受 性野外株に過剰発現した結果、Berenilに対する抵抗性を獲得したことから、Berenil 耐性獲得に同因子が深く関与することが示唆された。
最後に、 癌細胞の 薬剤の取り 込みに関 与するレ セプターであるトランスフェリ ンレ セ プターにつ いても解 析を行っ た。原虫 のトラン スフウリ ン遺伝子(ESAG6) はイ オ ンや 薬 剤 の取 り 込 みに 必 須で あり、遺 伝子多型 も報告さ れているこ とか ら、 夕 イ各地の牛 、豚、鹿 および水 牛より分 離された エevansi7株につ いて遺伝 子解 析 を行った。 その結果 、夕イ分 離株にお いてESAG6遺伝 子の多型 が認められ た。さら に、アフ リカのトリ バノソー マには認 められな いエevansi固有の遺伝子 配 列 が 確 認 さ れ た 。こ の こ とか ら 、ト リ バ ノソ ー マ の型 別 が可 能 と なっ た 。 本研究で 、抗トリ パノソーマ薬として汎用されているBerenilに対する工evansi の 薬 剤 耐 性 に はTevATlお よ びTeDR40が 重要 で あ るこ と が 示さ れ た。 さ ら に、
野外分離株においてESAG6 遺伝子の多型が認められたことから、今後の病原性解
析に寄与する情報を得たと考えられた。
学位 論文審査の要旨 主査
副査 副査 副査
教授 教授 教授 助教授
小 沼 操 前 出 吉 光 片 倉 賢 大 橋 和 彦
学 位 論 文 題 名
Genetic Factors of Drug Resistance and ●
Diversity in Trypa7zos07naぞva7zsz
( ト リ パ ノ ソ ー マ ・ エ バ ン シ ー 原 虫 の 薬 剤 耐 性 と 遺 伝 子 多 型 解 析 )
ト リ パ ノ ソ ー マ 原 虫 は 、 ア フ リ カ や ア ジ ア の家 畜 お よび 野 生 動物 に 感 染し 、 多 大 な 被 害 を 与 え て い る 。 近 年 、 抗 原 虫 薬 耐性 株 の 出現 に よ って そ の 被害 は 深 刻化 し て い る が 、 ど の よ う な 機 序 で 薬 剤 耐 性 に なる か は 不明 で あ る。 本 研 究は 、 南 アジ ア に 分 布 す る ト リパ ノ ソ ーマ ・ 工 パ ンシ ー(Trypanosoma evansi:Zevansi)の 薬 剤耐 性 機 序 の 解 析 を行 っ た 。
薬 剤 の 体 内 取 り 込 み に お い て ア デ ノ シ ン ト ラ ン ス ポ ー タ ー(AT)は 重 要 で あ る 。 そ こ で 、Z evansiのAT遺 伝 子(TevATI)をRNA干 渉 法(RNAi)に よ ル ノ ッ ク ダ ウ ン し た 原 虫 を 作 出 し 、 抗 原 虫 薬 に 対 す る 感 受 性 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、TevATlノ ッ ク ダ ウ ン 原 虫 は 、AntrycideとSuraminに 対し て は 野外 株 同 様の 感 受 性 、す な わ ち耐 性 を 示 さ な か っ た が 、Berenilに 対 し 顕 著 な耐 性 を 示し た 。 この こ と から 、Berenilに 対 す る 薬 剤 耐 性 に はTevAT1が 重 要 で あ る こ と が 示 さ れ た 。 一 方 で 、Berenil感 受 性 野 外 株 に お い て も 長 期 継 代 す る こ と に よっ て 抵 抗性 を 獲 得し た こ とか ら 、 サブ ト ラ ク シ ョ ン 法 を 用 い て 新 規 薬 剤 耐 性 因 子 を解 析 し た。 そ の 結果 、 原 虫表 面 上 に発 現 す る40kDaの 新 規 分 子(TeDR40)を 得 た 。Te DR40遺 伝 子 は 、Berenil耐 性 株 で は発 現 が 亢 進 し て しゝ た 。また、 同遺伝 子をBerenil感受性 野外株に 過剰発 現した結 果、Berenil に 対 す る 抵 抗 性 を 獲 得 し た こ と か ら 、Berenil耐 性 獲 得 に 同 因 子 が 深く 関 与 す るこ と が 示 唆 され た 。
原 虫 の ト ラ ン ス フ ウ リ ン レ セ プ タ ー 遺 伝 子(ESAG6)は イ オ ン や 薬 剤 の 取 り 込み に 必 須 で あ り 、 遺 伝 子 多 型 も 報 告 さ れ て いる 。 そ こで 、 最 後に タ イ 各地 の 牛 、豚 、 鹿 お よ び 水 牛 よ り 分 離 さ れ たf evansi7株 に つ い て 遺 伝 子 解 析 を 行 っ た 。 そ の 結果 、 夕 イ 分 離 株 に お い てESAG6遺 伝 子 の 多 型 が 認 め ら れ た 。 さ ら に 、 ア フ リ カ の ト リ パ ノ ソ ー マ に は 認 め ら れ な い Z evansi固 有 の 遺 伝 子 配 列 が 確 認 さ れ た 。
本 研 究 は 、 抗 ト リ パ ノ ソ ー マ 薬 と し て 汎 用 さ れ て い るBerenilに 対 す るFevansi の 薬 剤 耐 性 機 序 な ら び に 、 野 外 分 離株 で の 遺伝 子 多 型を 明 ら かに し た もの で あ り 、