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博 士 ( 薬 学 ) 野 村 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 薬 学 ) 野 村 学 位 論 文 題 名

免疫系 遺伝子の 転写調節 因子とし てのMSSP の解析

― Fas 誘導アポトーシス系における MSSP の機能を中´心として一

学位論文内容の要旨

    MSSP  (c‐myc gene single strand binding 2roteins)は,ヒトc‑myc遺伝子第1エキソンの 約2 kb上 流に 存 在 す るDNA複 製開始 部位/ 転写エン ハンサ ー(myc(H‑P)21配列)に 直接結 合す る転写 因子とし て本研 究室で 単離・ 同定された.またc‑Mycと複合体を形成することか ら ,MSSPはc‑Mycと 協調 的 な機 能がこ れまで 多く報 告され ている,MSSPは現 在5つの スプ ラ イ シ ン グ バ リ ア ント が 報 告 され て お り ,そ の す べ てに お い てRNA結合 モ チ ー フ(RNA binding motif)を2ケ 所 有し ,RNA結合 モチー フがDNAと の結合 ,転写 ,DNA複製 ,アポ 卜 ー シスに 必須で あるこ とが明 らかと なってい る.ま たMSSPはc‑mycの転写 エンハ ンサー に 結合し,転写制御を行うほか,甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR),a‑smooth muscle actin, MHC classI,MHC class IIな ど の 遺 伝 子 も 転 写 制 御 す る こ と が 報 告 さ れ て い る .   さら なるMSSPの 機能や 個体レ ベルで の表現型を解析するため,本研究室でMSSP(‑/‑)マウ スを 作製し た.その 結果,MSSP(‑/‑)マウ ス新生児には一部胎生致死傾向が見られるほか,

プロ ゲステ ロン量低 下など のホル モン異 常,E2.5・8細胞期における初期発生段階での細胞 死が 認めら れた.MSSPがアポ トーシ スを誘 導するこ とは既 に細胞 レベルで明らかとなって おり ,MSSP(‑/‑)マ ウスの 表現型か らもMSSPが生死を司る分子であることが明らかとたって いる .この ことから 本研究 では,MSSPによ るアポト ーシス 誘導機 構を個体レベルおよび分 子レベルで解析した.

  は じめにc‑Mycが制 御する 遺伝子 の発現がMSSP(+/+)マウ スとMSSP(‑/‑)マウス 組織で 変 化 するか 解析を 行った .この 結果, デスレセ プター であるFas (CD95)はMSSP(‑/‑)マウス のほ ばすべ ての組織 で減少 が認め られた ,一方,c‑Mycが直接転写制御するFas Ligandでは 変化 が認め られなか った. さらに 生後1日 以内のマウスより調製した初代培養線維芽細胞で のFasの 発現もMSSP欠損細 胞では 減少し ていた ,MSSP欠損 によりFasの遺伝子発現が低下す るた め,MSSP(‑/‑)マウス はアポト ーシス 不全であり,自己免疫疾患様の病態にあると考え られ た.そ こではじ めに初 代培養 胸腺細 胞をMSSP(+/+)マウス とMSSP(‑/‑)マウスから調製 し ,抗Fas抗 体処置 によル アポト ーシス 誘導を 行った .この 結果,MSSP欠損の 胸腺細 胞で は細 胞死が 減少し, 細胞レ ベルで のアポ トーシ ス抵抗 性が明 らかとなった.一方,個体レ ベル での致 死性,ア ポトー シズ, 組織の 損傷を解析するため,抗Fas抗体を尾静脈より投与 し ,肝臓 組織標 本を用 いたTUNEL assayを行っ た,こ の結果 ,MSSP(+/+)マ ウスで は抗Fas

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抗 体 投 与 で 死 亡 例 が1例 出 た ほ か , ほ ば す べ て の マ ウ ス で 肝 臓 組 織 に お け る 出 血 が 確 認 さ れ     f  

た . ま た ,TUNEL assayの 結 果 ,MSSP(‑/‑)マ ウ ス はMSSP(+/+)マ ウ ス に 比 ベ ア ポ ト ー シ ス 陽 性 細 胞 が ほ ば 半 減 し た こ と か ら ,MSSP欠 損 に よ り 個 体 レ ベ ル で も ア ポ ト ー シ ス 抵 抗 性 を 示 す こ と が 明 ら か と な っ た ,

  MSSPが 転 写 因 子 で あ る こ と か ら , 直 接Fasの 遺 伝 子 発 現 を 転 写 レ ベ ル で 制 御 し て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た . そ こ でFas遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー 領 域 を ル シ フ ェ ラ ー ゼ 遺 伝 子 に 連 結 し た べ ク タ ー と と も にMSSP発 現 ベ ク タ ー をMSSP(‑/‑)線 維 芽 細 胞 に 共 導 入 し ル シ フ ェ ラ ー ゼ ァ ッ セ イ を 行 っ た 結 果 ,MSSP依 存 的 な プ ロ モ ー タ ー 活 性 の 上 昇 が 認 め ら れ た , そ こ で さ ら に MSSP依 存 的 に Fas遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー 活 性 を 上 昇 さ せ る 領 域 を ル シ フ ェ ラ ー ゼ ァ ッ セ イ お よ びChIP assayを 行 い 解 析 し た 結 果 ,‑1035か ら‑635の 領 域 が 得 ら れ た . こ の 領 域 を 検 索 し た 結 果 ,MSSPコ ン セ ン サ ス 配 列(AIT CT A/T」 ` 汀T) で あ る TClAAT の 存 在 を 確 認 し た , そ こ で TC1AAT を 含 むFas遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー 領 域 を プ ロ ー ブ と し た ゲ ル シ フ ト ア ッ セ イ を 行 っ た 結 果 , コ ン セ ン サ ス 配 列 特 異 的 な シ フ ト バ ン ド が 検 出 さ れ た . さ ら に 抗MSSP抗 体 を 用 い た ス ー パ ー シ フ ト ア ッ セ イ を 行 っ た と こ ろ 抗MSSP抗 体 特 異 的 な シ フ ト バ ン ド が 検 出 さ れ た こ と か ら , .MSSP Fas遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー 領 域 の ‐l035か ら .635の 領 域 に 存 在 す TC1AA 配 列 に 結 合 す る こ と が 明 ら か と な っ た .

  ま たMSSPの ス プ ラ イ シ ン グ バ リ ア ン ト で あ る こ と が 既 に 明 ら か と な っ て い るYClIL2 受 容 体q鎖 (CD25) のrressorタ ン パ ク 質 と し てGenBankに 登 録 さ れ て い る .MSSP( ‐ ′ う マ ウ ス で はMSSP欠 損 に よ りIL2受 容 体a鎖 の 発 現 抑 制 が 解 除 さ れ る こ と で 発 現 が 増 加 し て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た. そ こ でMSSP( 十/十 ) マ ウ ス とMSSP( . / ‐) マ ウ ス か らIL2受容 体 の 発 現 が 高 い り ン パ 系 組 織 で あ る 脾 臓 を 用 いRrPCRを 行 っ た 結 果 ,MSSP( ‐ / ‐ ) マ ウ ス でIL2受 容 体a の 発 現 の 増 加 が 認 め ら れ た . マ ウ スIL2受 容 体a鎖 プ ロ モ ー タ ー 領 域 を ル シ フ ェ ラ ー ゼ 遺 伝 子 に 連 結 し た べ ク タ ー とMSSP発 現 ベ ク タ ー をMSSPI/‐ ) 線 維 芽 細 胞 に 共 導 入 し ル シ フ ェ ラ ー ゼ ァ ッ セ イ を 行 っ た 結 果 ,MSSP依 存 的 な プ ロ モ ー タ ー 活 性 の 減 少 が 確 認 さ れ た , マ ウ ス lL2受 容 体a鎖 プ ロ モ ー タ ー 領 域 にMSSPコ ン セ ン サ ス 配 列 が 存 在 す る か 検 索 を 行 っ た と こ ろ ,7ケ 所 存 在 す る こ と を 確 認 し た ,MSSPは こ の コ ン セ ン サ ス 配 列 に 結 合 しIL2受 容 体a の 発 現 を 制 御 す る 可 能 性 が 示 唆 さ れ る .

  IL2受 容 体a鎖 は マ ウ ス に お い て は 機 能 的IL_2受 容 体 形 成 に 必 須 で あ り,MSSP(‐ ′ ‐ ) マ ウ ス で はIL2シ グ ナ ル 伝 達 過 剰 に よ り 生 体 に 異 常 が 生 じ て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ る . 一 方 ,IL2 受 容 体a鎖 は 自 己 反 応 性T細 胞 の 抑 制 を 行 う 「 制 御 性T細 胞 」 の マ ー カ ー (CD4D25十 ) と し て 報 告 さ れ て い る . こ の こ と か らMSSP( 一/I) マ ウ ス はFasの 減 少 に よ ル ア ポ ト ー シ ス 不 全 と な り 自 己 免 疫 疾 患 様 の 病 態 に あ る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た が , 制 御 性T細 胞 の 増 加 に よ り 自 己 免 疫 疾 患 様 の 病 態 は 抑 制 さ れ て い る 可 能 性 も 示 唆 さ れ る . 以 上 よ りMSSPは 広 く 免 疫 系 分 子 の 発 現 制 御 を 行 い , ま た 免 疫 寛 容 , 免 疫 バ ラ ン ス に 関 与 す る 分 子 で あ る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た .

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学位論文審査の要旨 主査    教授    有賀寛芳 副査 ゛教授    横沢英良 副査   助教授    松本健一 副査   助教授    川原裕之

学 位 論 文 題 名

免疫系遺伝子の転写調節因子としてのIVISSP の解析

一Fas 誘導アポトーシス系におけるMSSP の機能を中心として―

  本 研 究 室 に お い て ヒ トc‑myc遺 伝 子 の 第1エ キ ソ ン の 約2kb上 流 にDNA複 製 開始 / 転 写 エ冫 ン サ ー領 域(myc(H,P)21) が存在 すること を明ら かにし た.こ の配列 特異的 に結合 するタ ンパク 群と してMSSP(c‑myc single strand binding 2roteins)が同 定され た.MSSPの機能解明のため,本 究室でMssp欠損(./.)マウスを作製した.今回Mssp(‑/‑)マウスの主要な組織においてアポトーシ に 関 与す るDeath Receptor,Fas(CD95)の 発 現レベ ルが顕 著に低 下して いること を明ら かにし た 細 胞 及び 個 体 レ ベル で も ア ポト ー シ ス 刺激 に 対 し ,Mssp(‑/‑)の 感 受性 は 低 下 して い た . さら MSSPが 転 写 レ ベ ル でFas遺 伝 子 発 現 の 調 節 を 行 っ て い る こ と を 明 ら か に し た . 同 様 にMSSP IL‑2受 容 体a鎖(CD25)の 遺 伝 子 発現 も 調 節 した こ と か ら, 広 く 免 疫系 遺 伝 子 の調 節 因 子 とし で MSSPの可能性が示唆された,

!:Mssp(‑/‑空丕廷壷V歪FascCD95)c登葱ヒ釜坐

  Mssp(‑/‑)マ ウス,野 生型マ ウスの主要組織におけるFas夕ンバク質量を比較しところ、

Mssp(‑/‑)マウスの組織において顕著なFas夕ンパク質の低下を確認した.さらにMssp(‑/‑)マウ ス組織で見られるFas遺伝子発現の低下は細胞レベルでも同様であり,MSSP(‑/‑)線維芽細胞で Fas遺伝子発現が低下していた.

2:拭Fas ffi体によるアポトーシス感受性O変

  5|7週齢の雄性マウス(野生型マウス,Mssp(‐/・)マウス)に抗Fas抗体O.5mひ(g静脈内投与TUN assayを行った.Mssp(‐/‐)マウスでは野生型マウスのアポトーシス陽性細胞数に比べほぽ半減し おり ,個体 レベル でもア ポトー シス感 受性が低 下して いるこ とが明 らかと なった ,同様 にMssp(1 初代培養胸腺細胞にFas依存アポトーシスが誘導は半減していた。

≧ : 転 塁国 王 堕墨塁£ のFas遺伝王登 現へQ関与     ―827 ‑

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  MSSP発 現 ベ ク タ ー とFas遺伝 子上 流を ル シフ ェラ ーゼ に連 結 した べク ター をMssp(‑/‑)線 維萄 胞 に 共 導 入 し ル シ フ ェ ラー ゼア ッ セイ を行 った . この 結果 ,MSSP用 量 依存 的な 活性 が現 れ た事 り ,MSSPが 転 写 因 子 と し てFasの 遺 伝 子 発 現 を 制 御 し て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 4. MSSPに よ るF埜 遺 伝 王Q転 塁 麺 範 趣 壇Q固 定

  MSSP導 入 に よ ル プ ロ モ ー タ ー 活 性 が 変 化 す る領 域を 決定 す るた め,Fas遺伝 子上 流と そ の欠 変 異 体 を ル シ フ ェ ラ ー ゼ遺 伝子 ベ クタ ーに 連結 さ せ,HeLa細胞 に導 入 しル シフ ェラ ーゼ ア ッセ を 行 っ た と こ ろ ,‑1035か ら‑635間 の 領 域 に お い てMSSP導 入に よる プ ロモ ー夕 一活 性の 変 化が 認 さ れ た . さ ら にMSSPのFas遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー 領 域 へ の 結 合 を 抗MSSP抗 体 を 用 い た ク 口 チ ン 免 疫 沈 降 法 で 確 認 を 行 っ た .

  こ の 結 果 ,MSSPがFas遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー 上 の‑1035か ら‑635問 の 領 域 に 結 合 しFas遺 伝 子 転 写 活 性 化 を 行 う こ と が 明 ら か と な っ た . さ ら に こ の 領 域 にMSSPの コ ン セ ン サ ス 配 (A/TCTA/TA/TT)が 存 在 す る か 否 か の 検 討 を 行 っ た と こ ろ ,TCTAAT配 列 の 存 在 を 確 認 し た ,

5. MSSPによ るFas遺 伝 王謹 怨倒 御

  MSSPがFasプ ロ モ ー タ ー 領 域 に 存 在 す る コ ン セ ン サ ス 配 列 特 異 的 に結 合 し,Fas遺伝 子発 現 御 に 関 与 す る かMSSPコ ン セ ン サ ス 配 列 を 含 むFasプ ロ モ ー タ ー 領 域 を プ ロ ー ブ に し た ゲ ル シ ト ア ッ セ イ , さ ら に 抗MSSP抗 体 を 用 い た ス ー パ ー シ フ ト ア ッ セ イ , そ し てMSSPコ ン セ ン サ 配 列 を 除 い たFas遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー 領域 を ルシ フェ ラー ゼに 連 結し たべ ク夕  ̄ を用 いた ル フ ェ ラ ー ゼ ア ッ セ イ に よ り 検 討 し た .Fas遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー 領 域 に 存 在 す るTCTAATを 含 む 列 にMSSPが 結 合 す る こ と が ゲ ル シ フ ト ア ッ セ イ 及 び 抗MSSP抗 体 を 用 い た ス ー バ ー シ フ ト ア セ イ に よ り 明 ら か と な っ た . さ ら にMSSP結 合 配 列 と 考 え ら れ るTCTAMを 除 い た ベ ク タ ー を いた .ル シフ ェラーゼアッ セイでは,プロモーター活性 が減少した.この結果,MSSPはFas promoi 領 域 に 存 在 す る コ ン セ ン サ ス 配 列 に 結 合 しFas遺伝 子発 現を 制御 す るこ とが 明ら か とな った .

壘:Mssp(‑/‑)ヱ空丞腫 魅睦壷けるIL‑2量室笠oclS9t(CD2s)Q登現

  本 研 究 室 で ク ロ ー ニ ン グ し たMSSPと 他 グ ル ー プ よ ル ク ロ ー ニ ン グ さ れ た ヒ トYCl(GenBd L11289) は ス プ ラ イシ ング の違 いに よ り生 ずる こと が 明ら かと なっ てい る .ヒ トYClはIL‐2受 体(x鎖のrepressor夕 ンバク質として登録されている.Mssp(‐/うマウス,野生型マウスの脾臓を用 てlmPCR法を行ったとこ ろ,Mssp(‐ルマウス脾臓 で凡.2受容体(x鎖が増加し ていた.IL.2Recep a鎖 は,p鎖 そし て償 と結 合しIL2高親 和性レセ プターを形成することから,MSSP(・ノうマウス脾 ではIL.2シ グナ ルの 異 常が 予想 され る .ま た凡 .2受容 体伐 鎖が 自 己反 応性T細 胞の 抑制に関与 る と い う 「 制 御 性T細 胞 」 の 特 異 的 マ ー カ ー と し て も 報 告 さ れ て お り ,MSSPは 自 己 の 免 疫 バ ンスにも関与する可能 性も示唆された,

  こ の よ う に , 野 村 淳 は 精 力 的 にMSSPの 機 能 解 析 を 行 な い , 多 く の 成 果 を あ げ た . こ れ ら の 業 績 は 野 村 淳 に 博 士 ( 薬 学 ) の 学 位 授 与 に 十 分 値 し , 推 薦 す る も の で あ る .

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