博士(薬学)重野和彦 学位論文題名
発癌プ口モーター、ホルボールェステル類の合成研究
学位論文内容の要旨
生体を構成する細胞は協調してその個体の生命活動を維持している。
この細胞情報伝達により、細胞の分化、増殖、代謝調節などが通常は正 常に保たれているものの、ひとたびその機構が乱れると細胞の癌化など の疾病が引き起こされる。細胞情報伝達機構の一端を担い近年注目を集 めている物質にセリン/スレオニン蛋白質燐酸化酵素のブ口テインキナ ーゼC がある。プ口テインキナーゼC は、そのアミノ酸配列の違いから 現在までに10 種類以上のサブタイプの存在が確認されており、細胞情報 伝達機構に於ける作用の多様性が明らかにされっっあるものの、それら の研究に利用されているプ口テインキナーゼC の活性化剤及び阻害剤の 特異性の低さが生化学的研究を行うに当っての障害のーっとなっている。
そこでもしその特異的な活性化剤等作用の分離が可能な物質が得られる ならば、生体機能解明のためのバイオ口ジカルツールとして非常に有効 である。
一方プロテインキナ―ゼC をレセプターとしこれを直接的に活性化す る物質として、強カな発癌プロモー夕―活性を有するPhorbol Myristate Acetate (PMA) が知られている。近年プロテインキナーゼC に対するPMA の結合部位に関して多くの研究がなされている。本来レセブターの構造 から結合部位を探索する事が最も効率的であるが、プロテインキナ―ゼ C の三次元構造が未だに解明されていないため、PMA と同様の作用機構 で活性化する Teleocidin やAplysiatoxin などの他のPMA タイプの発癌プ ロモー夕―とのコンピュータを用。ヽた重ね合わせに基くものが多く提出 されている。その結果PMA の3 位、 4 位、9 位、20 位の酸素官能基群と12 位 の疎水性基の関与が示唆されている。それと平行して天然物並びにその 誘導体を用いた生物活性試験による構造活性相関が精力的に行われてい るものの、それらの研究は限られた天然物に依存しているため、得られ
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る 情報 も自 ずと 限ら れ未 だ最 終的 な結 諭に は至 っ てい ない。そこで著者 は 、 プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼ C に 対 す る PMA の結 合部 位の 探索 及 び発 癌機 構 解 明 に 有 用 と考 えら れる 新規 PMA ア ゴニ スト 及び アン タゴ ニ ス卜 の創 製 を目指し本研究に着手した。
PMA の 基 本 骨格 であ る Phorbol は分 子量 が 364 と 比較 的低 分 子な がら 五 員環( A 環)、七員環(B 環)、六員環(C 環)、三員環(D 環)から成る四環 性 化 合 物 で 、そ の骨 格上 のハ ヶ 所に 不斉 中心 を有 して いる 。更 に4 位 、 9 位 、 13 位 の 三 0 所 に 三 級 水 酸 基 が 存 在 する 高度 に酸 素官 能 基化 され た 特 異 な 構 造 を有 する 化合 物で あ る。 又Phorbol は 、酸 、ア ル カリ 、光 及 び 種々 の酸 化剤 に対 して 非常 に不 安定 であ る事 が 知ら れている。従って ホ ルポ ―ル エス テル 類の 合成 には 苛酷 な反 応条 件 を用 いる事は困難であ り 、こ のり ジッ ドな 骨格 であ る五 、七 、六 、三 員 環を いかなる順序でし か も 全 て の 立 体 配 置 を 制 御 し つ つ 構 築 す る か が 問 題 と な る 。 先 ず 著 者 は 、 ブ 口 テ イ ン キ ナ ー ゼ C に 対す るPMA の 結合 部 位を 探索 す べ く 、 活 性 発現 に直 接寄 与し な いと 考え られ PMA の 11 位の メ チル 基及 び 13 位の アセ トキ シル 基を 除去 した 化合 物を 標的 化 合物 として設定した。
こ のも のは PMA 自体 よ りも 効率 良い 合成 が可 能と 考え られ、PMA と同等以 上 の活 性を 有す るな らば 、PMA の advanced analog と成 り得る。標的化合 物 を合 成す るに 当た り、 単に 骨格 構築 を行 うぱ か りで なく後にプ口テイ ン キ ナ ー ゼ C との 結合 部位 を解 明す るた め様 々な 官能 基を 有 する 誘導 体 合 成が 容易 とな る様 、活 性発 現に 関与 する と考 え られ る官能基の集中す る A 環 及 び B 環 部 を 合 成 の 後 半 に 行 う 事 に し た 。 そ こ で D 環 部 に 相 当 す る ジメチルシクロプロパン環を有する安価で光学活性 な(十)‑3 ーcarene を 出発 原料 とし 、三 員環 によ るコ ンホ メー ショ ン の固 定を利用して順次 C 環、B 環、 A 環を構築する事を計画した。
一方 ホル ポー ルエ ステ ル類 の合 成研 究は 、い く っか のグルーブによっ て 試み られ てい るが 、そ のい づれ もが ラセ ミ体 で の検 討であり、光学活 性 体で の合 成を 行う 事は 有機 合成 化学 的見 地の み なら ず、生物活性を検 討する立場からも意義深いものである。
【1 】 C 、 B 環部の立体特異的構築
C 、 B 環部 は分 子内 ニト リル オキ シド ーオ レフ ィ ン環 化付加反応を利用
して立体特異的に構築した。即ち、(+)ー3 ーcarene より誘導した(1S ,3R) ー
2 .2 −dimethy 卜3 −(3 −nitropropyl) −l‑vinylcyclopropane をトリエチルア
ミ ン 存 在 下 イ ソ シ ア ン 酸 メ チ ル で 処 理 し た と こ ろ 、 隣 接 す る 三 員 環 に よ り 遷 移 状 態 の コ ン ホ メ ー シ ョ ン が 固 定 さ れ る た め 、 高 収 率 で か つ 立 体 特 異 的 にC環 の 形 成 され た (1S.8R.9R)−10,10−dimethyl―3―oxaー4‐aza―triー cyclo[7.1.0.01'。 ]dec―4−eneを 得 る事が 出来た 。次 に常法 に従い (1R,2S. 3S,6R)−7.7−dimethyl一3一hydroxy−2−(4―nitro−1−Z−butenyl)−3−vinyl−bi cyclo [4.1.O]heptaneヘ 変 換 し た 後 、 同 様 の 条 件 下 反 応 に 付 す 事 で 通 常 で は そ の 形 成 が 困 難 と さ れ る 七 員 環 を 有 す る(8S.9R,10R,13R.14R)ー15, 15‐dimethyl−9―hydroxy−2ーoxa―3−aza―tetracyclo [12.1.O.0 .lo.08,9] pentadec−3,6−dieneを 収 率 良 く 得 る 事 に 成 功 し た 。 更 に イ ソ キ サ ゾ リ ン 環 の 開 裂 に 関 し 種 々 条 件 を 検 討 し た 結 果 、 反 応 中 に 生 成 す る イ ミ ン の 加 水 分 解 を 促 進 す る た め 大 過 剰 の 硼 酸 存 在 下 、Raney−Ni(W−2) を 触 媒 と し て 用 い る 事 に よ り 、B環 上 の 二 重 結 合 を 還 元 す る 事 無 く(1S.6S,7R,10R, 11R)ー12,12一dimethyl‑7−hydroxy−1−hydroxymethyl−2―ox0―tricyclo [9.
1.0. Oa, ] undec―4−eneへ と 高 収 率 で 導 き 得 る 事 が 判 っ た 。 【2)A環構 築の検 討
次 に 分 子 内McMurryカ ッ プ リ ン グ 反 応 並 び に 分 子 内 ア ル ド ー ル 反 応 に よ るA環 構 築 を 検 討 し た 。 し か し な が ら 分 子 内McMurryカ ッ プ リ ン グ 反 応 に よ っ て 得 ら れ た 四 環 性 化 合 物(4S,8S,9R.10S.13R.14R)‐4―hydroxy一3
‑Oxo―2.15,15‑trimethyl‑9−trimethylsilyloxy‑tetracyclo[12.1.0.04, i0. 08,9】 pentadec―l‑eneは 、X線 結 晶 解 析 に よ り4ーa−phorbol骨 格 を 有 し て い る 事 が 判 明 し た 。 一 方 分 子 内 ア ル ド ー ル 反 応 の 基 質 (1S,2R.6S. 7R.10R,11R)―12,12‑dimethyl‑lーformyl−2−hydroxy―2−(1−oxopropyl) ー7― trimethylsilylーtricyclo [9.1.0.Oe. ]undecaneは 、 塩 化 セ リ ウ ム に 対 し2モ ル 当 量 の 求 核 剤 を 用 。 ヽ た セ リ ウ ム ア ル コ キ シ ド 中 間 体 を 経 る 擬 似 分 子 内 反 応 に よ り 、 ア シ ル ア ニ オ ン 等 価 体 を 立 体 特 異 的 に 導 入 す る 事 で 、 収 率 良 く 得 る 事 が 出 来 た 。 そ こ で 本 化 合 物 を 用 いA環 構 築 を 検 討 し た と こ ろ 、 天 然 物 と 同 じ4‑S−phorbol骨 格 を 有 す る 四 環 性 化 合 物 を 得 る 事 に成 功し、 ホルポ ール骨 格の 立体特 異的合 成を完 了し た。
【3】12位への ロ配置 の水酸 基の導 入法 の開発
次 にPMAの12位 に 相 当 す る 位 置 へ の 水 酸 基 の 導 入 を 検 討 し た 。C環 部 が 舟 形 に 固 定 さ れ た カ ラ ン 骨 格 の12位 へ の 求 核 付 加 反 応 は 、 三 員 環 上 の メ チ ル 基 と の 立 体 障 害 の た めa方 向 か ら 進 行 し 、 更 に こ の 位 置 に 脱 離 性
の あ る 官能 基 が 存在する 場合三 員環の開 裂が予 想され、 その導入 が困難 と 考えられ た。しかしながら(1R,2R.6R)―2‑tbutylcarbonyloxymethy卜 7.7−dimethyl―3―Ox0−bicyclo [4.1.0]hept−4―eneへのエポキシ化続く開 裂 により、a配置 の水酸 基へと変 換する 事が出来 た。更 に数工程を経る事 で水酸基の立体配置を反転させた(1R,2R,4S,5R.6R)−2− butyldimethyl‑
silyloxy−7,7−dimethyl−4−hydroxy−5ーbydroxymethyl−4−vinyl‑bicyclo‑
【4.1.O] heptaneを得る事が出来、ここに12位へのロ配置の水酸基の導入 に成功した。
以 上の 様 に 著者 は 、 細胞 増 殖 調節 機 構 に対 するPMAの関与 に興味 を持 ちPMAのadvanced analogの合成研 究を行 った。そ の結果二 度の分 子内二 卜 リ ル オキ シ ド 環化 付 加 反応 を 鍵 工程 と し てC、B環 を立 体 特 異的 に 構 築 し 、 更に 分 子 内ア ル ド ール 反 応 によ りA環を 形成する 事で四環 性化合 物 を 得 る方 法 諭 の確 立 に 成功 し た 。又PMAの12位 に相 当 す る位 置 へ の8 配 置 の 水酸 基 導 入法 の 確 立に 成 功 した 。 以 上の結 果は、PMAの基 本骨格 の 光 学 活性 体 で の合成の 最初の 例であり 、かつ 標的化合 物に存在 する七 ケ 所 の 不斉 中 心 を全 て 制 御し 得 た 事で 、 種 々のadvanced analog合成 に 有効な興味ある知見と考えている。
学位論文審査の要旨 主査
副査 副査 副査
教授 助教授 助教授 教授
米 光 森 濱 田 柴 崎
室 美 和子 辰 夫 正 勝
学位論文題名
発癌ブ口モーター、ホルポールエステル類の合成研究
生体を構成する細胞は協 調してその個体の生命活動を維持している。
この細胞情報伝達により、 細胞の分化、増殖、代謝調節などが通常は正 常に保たれているものの、 ひとたびその機構が乱れると細胞の癌化など の疾病が引き起こされる。 細胞情報伝達機構の一端を担い近年注目を集 めている物質にセリン/ス レオニン蛋白質燐酸化酵素のブロテインキナ ー ゼC があ る。 ブロ テイ ン キナ ーゼ C は 、そ のア ミノ 酸配列の違いから 現在までに10 種類以上のサ ブタイブの存在が確認されており、細胞情報 伝達機構に於ける作用の多 様性が明らかにされつっあるものの、それら の 研究 に利 用さ れて いる プロテインキナーゼC の活性化剤及び阻害剤の 特異性の低さが生化学的研究を行うに当っての障害のーっとなっている。
そこでもしその特異的な活 性化剤等作用の分離が可能な物質が得られる ならば、生体機能解明のた めのバイオロジカルツールとして非常に有効 である。
一方 ブ口 テイ ンキ ナー ゼC をレセブターとしこれを直接的に活性化す
る物質として、強カな発癌 プロモーター活性を有するPhorbol Myristate
Acetate (PMA) が知 られ て いる。近年プロテインキナーゼC に対するPMA
の結合部位に関して多くの 研究がなされている。本来レセプターの構造
から結合部位を探索する事 が最も効率的であるが、ブロテインキナーゼ
C の三 次元 構造 が未 だに 解 明さ れて いな いた め、 PMA と同様の作用機構
で 活性 化す るTeleocidin やAplysiatoxin などの他のPMA タイプの発癌ブ
口モ ーターと のコン ピュータを用いた重ね合わせに基くものが多く提出 され ている。 その結 果 PMA の3 位、4 位、9 位、20 位の酸素官能基群と12 位 の疎 水性基の 関与が 示唆されている。それと平行して天然物並びにその 誘導 体を用い た生物 活性試験による構造活性相関が精力的に行われてい るも のの、そ れらの 研究は限られた天然物に依存しているため、得られ る情 報も自ず と限ら れ未だ最終的な結諭には至っていない。そこで著者 は 、 プロ テイン キナーゼ C に 対するPMA の結 合部位の 探索及び 発癌機 構 解明 に有用と 考えら れる新規 PMA アゴ ニスト 及びアンタゴニス卜の創製 を目指し本研究に着手した。
PMA の基本骨 格であ るPhorbol は 分子量 が 364 と 比較的低分子ながら五 員環(A 環)、七員環(B 環)、六員環(C 環)、三員環(D 環)から成る四環 性化 合物で、 その骨 格上のハ ヶ所に不 斉中心 を有している。更に4 位、
9 位 、 13 位の三 0 所に 三級水 酸基が存 在する 高度に酸 素官能基 化され た 特異 な構造を 有する 化合物で ある。又 Phorbol は 、酸、アルカリ、光及 び種 々の酸化 剤に対 して非常に不安定である事が知られている。従って ホル ポールエ ステル 類の合成には苛酷な反応条件を用いる事は困難であ り、 このりジ ッドな 骨格である五、七、六、三員環をいかなる順序でし か も 全 て の 立 体 配 置 を 制 御 し つ つ 構 築 す る か が 問 題 と な る 。 先ず 著 者は、プ ロテイ ンキナー ゼC に 対する PMA の結 合部位 を探索す べく 、活性発 現に直 接寄与し ないと考 えられ PMA の 11 位のメチル基及び 13 位の アセトキ シル基 を除去した化合物を標的化合物として設定した。
この ものはPMA 自体 よりも効率良い合成が可能と考えられ、PMA と同等以
上の 活性を有 するな らば、 PMA のadvanced analog と成り得る。標的化合
物を 合成する に当た り、単に骨格構築を行うぱかりでなく後にブロテイ
ンキ ナ―ゼC との結 合部位 を解明す るため 様々な官 能基を有する誘導体
合成 が容易と なる様 、活性発現に関与すると考えられる官能基の集中す
る A 環及 び B 環部 を 合 成の 後 半 に行 う 事にし た。そこ でD 環 部に相 当す
るジメチルシクロプ口パン環を有する安価で光学活性な(+)− 3 ―carene
を出 発原料と し、三 員環によるコンホメ―ションの固定を利用して順次
C環、B環、A環を構築する事を計画した。
一 方 ホ ル ポ ー ル エ ス テ ル 類 の 合 成 研 究 は 、 い く っ か の グ ル ー ブ に よ っ て 試 み ら れ て い る が 、 そ の い づ れ も が ラ セ ミ 体 で の 検 討 で あ り 、 光 学 活 性 体 で の 合 成 を 行 う 事 は 有 機 合 成 化 学 的 見 地 の み な ら ず 、 生 物 活 性 を 検 討する立場からも意義深レヽものである。
【1)C、B環部の立体特異的構築
C、B環 部 は 分 子 内 二 ト リ ル オ キ シ ド ー オ レ フ ィ ン 環 化 付 加 反 応 を 利 用 して 立体 特異 的 に構 築し た。 即 ち、(十 )ー3−careneより誘導した(1S,3R) ‑ 2.2−dimethyl−3−(3−nitropropyl)−1−vinylcyclopropaneをト リエチルア ミ ン 存 在 下 イ ソ シ ア ン 酸 メ チ ル で 処 理 し た と こ ろ 、 隣 接 す る 三 貝 環 に よ り 遷 移 状 態 の コ ン ホ メ ー シ ョ ン が 固 定 さ れ る た め 、 高 収 率 で か つ 立 体 特 異的にC環の形成された (1S.8R,9R)―10,10ーdimethyト3−oxaー4−aza‐tri― cyclo [7.1.0.0i.5]decー4−eneを得る事が出来た。次に常法に従い(1R.2S, 3S,6R)―7,7−dimethylー3ーhydroxy‐2ー(4−nitroー1ーZ−butenyl)−3−vinyl−bi cyclo [4.1,0]heptaneヘ 変 換 し た 後 、 同 様 の 条 件 下 反 応 に 付 す 事 で 通 常 で は そ の形 成が 困難 とさ れ る七 員環 を有 す る(8S.9R,10R,13R.14R)−15, 15−dimethyl−9ーhydroxy−2ーoxa−3−aza−tetracyclo[12.1.0.04,t0.08.9] pentadec―3.6ーdieneを 収 率 良 く 得 る 事 に 成 功 し た 。 更 にイ ソキ サ ゾリ ン 環 の 開 裂 に 関 し 種 々 条 件 を 検 討 し た 結 果 、 反 応 中 に 生 成 す る イ ミ ン の 加 水 分 解 を 促 進 す る た め 大 過 剰 の 硼 酸 存 在 下 、Raney−Ni(W―2)を 触 媒と し て 用 い る 事 に よ り 、B環 上 の 二 重 結 合 を 還 元 す る 事 無 く(1S,6S,7R,10R. 11R)−12,12−dimethyl−7−hydroxy−1−hydroxymethyl−2−oxo−tricyclo [9.
1. 0. Oe.7】undec− 4−eneへ と 高 収 率 で 導 き 得 る 事 が 判 っ た 。 【2]A環構築の検討
次 に 分 子 内McMurryカ ッ プ リ ン グ 反 応 並 び に 分 子 内 ア ル ド ー ル 反 応 に よ るA環 構 築 を 検 討 し た 。 し か し な が ら 分 子 内McMurryカ ッ ブ リ ン グ 反 応に よっ て得 られた四環性化合物(4S.8S,9R.10S,13R,14R)ー4−hydroxy−3
−oxo−2.15,15−trimethyl―9−trimethylsilyloxy−tetracyclo[12.1.0.04, io. 08.9]pentadec―1−eneは 、X線 結 晶 解 析 に よ り4ーa−phorbol骨格 を 有 し て い る 事 が 判 明 し た 。 一 方 分 子内 アル ドー ル反 応 の基 質(1S.2R,6S.
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7R.10R,11R)‐12.12−dimethyl−1‐formyl−2−hydroxy−2ー(1‐oxopropyl)‐7− trimethylsilyl−tricyclo [9.1.0.Oe17] undecaneは 、 塩 化 セ リ ウ ム に 対 し2モ ル 当 量 の 求 核 剤 を 用 い た セ リ ウ ム ア ル コ キ シ ド 中 間 体 を 経 る 擬 似 分 子 内 反 応 に よ り 、 ア シ ル ア ニ オ ン 等 価 体 を 立 体 特 異 的 に 導 入 す る 事 で 、 収 率 良 く 得 る 事 が 出 来 た 。 そ こ で 本 化 合 物 を 用 いA環 構 築 を 検 討 し た と こ ろ 、 天 然 物 と 同 じ4ー ロ −phorbol骨 格 を 有 す る 四 環 性 化 合 物 を 得 る 事 に成功 し、ホ ルポー ル骨 格の立 体特異 的合成 を完了 した 。
【3】12位へ のロ 配置の 水酸基 の導入 法の開 発
次 にPMAの12位 に 相 当 す る 位 置 へ の 水 酸 基 の 導 入 を 検 討 し た 。C環 部 が 舟 形 に 固 定 さ れ た カ ラ ン 骨 格 の12位 へ の 求 核 付 加 反 応 は 、 三 員 環 上 の メ チ ル 基 と の 立 体 障 害 の た めa方 向 か ら 進 行 し 、 更 に こ の 位 置 に 脱 離 性 の あ る 官 能 基 が 存 在 す る 場 合 三 員 環 の 開 裂 が 予 想 さ れ 、 そ の 導 入 が 困 難 と 考 え ら れ た 。 し か し な が ら (1R.2R.6R)‐2‑tbutylcarbonyloxymethylー 7.7−dimethyl―3ーox0ーbicyclo[4‑1.0】hept―4−eneへ の エ ポ キシ 化 続 く 開 裂 に よ り 、a配 置 の 水 酸 基 へ と 変 換 す る 事 が 出 来 た 。 更 に 数 工 程 を 経 る 事 で 水 酸 基 の 立 体配 置 を 反 転 させ た(1R,2R,4S,5R,6R) −2− butyldimethyl− silyloxy−7,7−dimethyl−4―hydroxy−5―hydroxymethyl−4ーvinylーbicyclo‑
[4.1.0]heptaneを 得 る 事 が 出 来 、 こ こ に12位 へ の ロ 配 置 の 水 酸 基 の 導 入 に成功 した。
以 上 の 様 に 著 者 は 、 細 胞 増 殖 調 節 機 構 に 対 す るPMAの 関 与 に 興 味 を 持 ちPMAのadvanced analogの 合 成 研 究 を 行 っ た 。 そ の 結 果 二 度 の 分 子 内 二 卜 リ ル オ キ シ ド 環 化 付 加 反 応 を 鍵 工 程 と し てC、B環 を 立 体 特 異 的 に 構 築 し 、 更 に 分 子 内 ア ル ド ー ル 反 応 に よ りA環 を 形 成 す る 事 で 四 環 性 化 合 物 を 得 る 方 法 諭 の 確 立 に 成 功 し た 。 又PMAの12位 に 相 当 す る 位 置 へ の ロ 配 置 の 水 酸 基 導 入 法 の 確 立 に 成 功 し た 。 以 上 の 結 果 は 、PMAの 基 本 骨 格 の 光 学 活 性 体 で の 合 成 の 最 初 の 例 で あ り 、 か つ 標 的 化 合 物 に 存 在 す る 七 ケ 所 の 不 斉 中 心 を 全 て 制 御 し 得 た 事 で 、 種 々 のadvanced analog合 成 に 有効な 興味あ る知見 と考 えてい る。