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博士(獣医学)平‘井伸、明 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(獣医学)平 井伸、明 学位論文題名

Immunomodulative effects of bovinelmmunodeficiency ‑ like       vlrus in experimentally infected animals

(ウ シ免 疫不 全様 ウイ ルス実 験感 染動物における免疫応答の変化)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  ウシ免疫不全様ウイルス(bovine immunodeficiency‑like virus; BIV)は持続性のりン パ 球 増 多症 を 呈 し た ウ シ か ら分 離さ れた レン チウ イル スで ある 。し かしBIVの 病原 性、 特に 感染 動物に 免疫 不全 を引 き起 こす のか どう かに つい ては 不明 である 。そこ で ま ずBIVの 実 験 感 染 系 を 確 立 す る ため に 、 ウ サ ギ な ら ぴ にヒ ッジ ヘBIVを感 染さ せ、感染に伴う免疫応答の変化を解析した。

  BIV―R29株感染ウシ胎仔脾臓(BESP‐BIV)細胞をウサギ(日本白色種)に接種したと ころ 、全 例の 末梢血 単核 球(PBMC)か らBIVの朋 呂領域に特異的な配列を示すウイル スDNAが遺 伝子 増幅 法(PCR) によ り検 出さ れた 。ま たそ の血 中にBIVのp26蛋 白に対 する 抗体 がWestemblottingに より 検出 され た。 ウイ ルス 接種 後270〜282日目 のウサ ギ の 牌 臓か らBIVが 分 離 さ れ 、 更 に 脾臓 、 リ ン パ 節 、 肺 と 肝臓 から ウイ ルスDNAが 検出 され た。 これら の成 績は ウサ ギの 体内 でウ イル スが 増殖 して いる ことを 示す。

BIV接 種 後2か 月 目 と4か 月 目 の ウ サ ギ のPBMCのconcanavalinA(ConA) 刺 激 に 対 す る 幼 若化 反 応 は 非 感 染 対 照群 と異 なら なか った 。BIV感染 群お よぴ 対照 群に 牛血 清 ア ル プミ ン な ら ぴ に ヒ ッ ジ 赤 血 球 を ウ イ ル ス 接 種 後4週 日、9週目 にそ れぞ れ免 疫し 、酵 素抗 体法(ELISA) によ って 抗体 価の推 移を比較した結果、感染群において これ らの 異種 蛋白に 対す る抗 体応 答の 抑制 が認 めら れた 。感 染ウ サギ は臨床 症状を 示さ なか った が、リ ンパ 節に おい てり ンバ 球の 脱落 が見 られ た。 以上 の成績 は、ウ サ ギ がBIVの 実 験 モ デ ル 動 物 と し て 有用 で あ る こ と 、 な ら ぴにBIV感 染が ウサ ギの 免疫応答に影響を及ぼすことを示している。

  BIVを 接 種 し た ヒ ッ ジ のPBMCか ら も ウ イ ル スDNAが 検 出 さ れ 、 ま た そ の 血 中 に 抗BIV抗 体 が 検 出 さ れ た 。 ま た 感 染 ヒ ッ ジ の り ンパ 球 数 は 増 加 し た が 、PBMC中 の CD4陽 性 とCD8陽 性T細 胞 の 比 に 変 化 は 認 め ら れ な か っ た 。BIV接 種 後3〜4か 月 目 に 感 染 ヒ ッ ジPBMCのCOnAに 対 す る 幼 若 化 反 応 が 一 過 性 に 低 下 し た 。BIV感 染 に

(2)

伴う免疫応答の変化が、ウシ白血病ウイ少ス(BLV)の増殖と腫瘍発現にどのような 影響を及ぼすかを調べるために、BIV感染ヒツジにBLVを接種して重感染させた。

BLV接種後6ケ月日を経過してからBLV単独感染ヒツジと比較してりンバ球数の著 しい増加を示す個体が見られた。BIVとBLVの重感染ヒツジの抗BLV抗体価ならぴ にPBMC中のBLV価は 、と もにBLVを単 独で 感染さ せた ヒツジの場合より高かっ た。この所見はBIV感染がBLVの増殖を促進する可能性を丶示唆する。BIVとBLVの 重感染ヒッジではウサギで見られたような異種蛋白質に対する抗体産生の抑制は認 められなかった。

  牛群におけるBIVとBLVの抗体保有状況と自血球数の変化との関連を調べるため に、BLVに対して高い抗体陽性率の認められた北海道の3牧場の牛120頭について BIVに対する抗体調査を行った。その結果約半数が抗BLV抗体を、7.5%が抗BI'V抗 体を保有していた。抗BLV抗体陽性牛では自血球の増多例が高率に見られたが、抗 BLV抗体陰性で抗BIV抗体陽性の牛にはそれが認められなかった。また牛における BIVと BLVの そ れ ぞ れ の 抗 体 陽 性 例 間 の 相 関 は 認 め ら れ な か っ た 。   血清胸腺因子(FTS)は各種哺乳類の血清や胸腺から検出されるべプチドで、T細胞 やNK細胞機能の賦活化作用などの生物活性を示すことが知られている。そこで FTSをBIV感染牛とBIV感染ウサギに連続的に投与し、免疫応答の回復を試みた。

BIV感染牛ではマクロファージのケミルミネッセンス(CL)反応の低下と異種蛋白質 に対する抗体産生の遅延が、またBIV感染ウサギでも異種蛋白質に対する抗体産生 の抑制が認められた。しかしこれらのBIV感染牛と感染ウサギにおいてFTS投与に よって抗体産生とCL反応の回復が認められた。

  以上の結果、本来の宿主ではないウサギとヒッジにBIVが感染し、その免疫応答 に影響を及ぼすことが示された。またヒッジヘのBIVの感染がBLVの増殖を促進す る可能性が示唆された。野外における抗体調査では、BIVとBLVのそれぞれの感染 例の 相関な らび にBIV感 染に伴う白血球数の増加はともに認められなかった。

BIV感染牛と感染ウサギでは、Frsの投与によって免疫応答を回復が認められた。

(3)

学 位 論 文審 査 の 要 旨

主 査    教 授    小 沼    操 副 査    教 授    橋 本信 夫 副 査    教 授    喜 田    宏 副査   助教授   杉本千尋      学 位 論 文 題 名

Immunomodulative effects of bovinelmmunodeficiency ‑ like        vlrus in experimentally infected animals

(ウシ免疫不全様ウイルス実験感染動物における免疫応答の変化)

  ウシ免疫不全様ウイルス(BIV)は持続性のりンパ球増多症を呈したウシから分離 されたレンチウイルスであるが、その病原性、特に感染動物に免疫不全を引き起こ すのかどうかは不明である。本研究はBIVの実験感染系を確立するために、ウサギ な ら びに ヒ ッジ ヘBIVを 感染 させ、感染 に伴う免疫 応答の変化 を解析した 。   BIVをウサギに接種すると感染が成立し、全例の末梢血単核球(PBMC)から遺伝子 増幅法(PCR)によりBIVのウイルスDNAが、またWestern blottingによりBIVのp26蛋 白質に対する抗体が検出された。感染ウサギは臨床症状を示さなかったが、リンパ 節でのりンパ球の脱落がみられ、異種蛋白質に対する抗体応答の抑制が認められ た。以上の成績は、ウサギがBIVの実験モデ丿レ動物として有用であること、ならび に BIV感 染 が ウ サ ギ の 免 疫 応 答 を 抑 制 し て い る こ と を 示 し て い る 。   BIVを接種し たヒッジのPBMCからもウイルスDNAが、またその血中に抗BIV抗 体 が検出された。BIV接種後3〜4か月目にコンカナバリンAに対するりンパ球幼 若化反応が一過性に低下した。BIV感染に伴う免疫応答の変化が、ウシ自血病ウイ ル ス(BLV)感染にどのような影響を及ぽすかを調べるために、BIV感染ヒッジに BLVを重感染させた。その結果、BIVとBLVの重感染ヒッジの抗BLV抗体価ならぴ にPBMC中のBLV価は、ともにBLV単独感染させたヒッジの場合より高く、リンパ 球数の著しい増加を示す個体が認められたdこの所見はBIV感染がBLVの増殖を促 進する可能性を示唆している。

  BLVに対して高い抗体陽性率の認められた北海道の3牧場のウシ120頭について BIVに対する抗体調査を行った。その結果、7.5%のウシが抗BIV抗体を保有してい た が 、BIVとBLVの そ れ ぞ れ の 抗 体 陽 性 例 間 の 相 関 は認 め られ な かっ た 。   血清胸腺因子(FTS)は各種哺乳類の血清や胸腺から検出され免疫機能の賦活化作 用を示すぺプチドである。FTSをBIV感染動物に連続的に投与したところ、抗体産

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生 と マ ク ロ フ ァ ー ジ の ケ ミ ル ミ ネ ッ セ ン ス 反 応 の 回 復 が 認 め ら れ た 。   この 成績 は、BIVが 本来 の宿 主で はないウサギとヒッジに実験感染が成立し、そ の 免疫 応答 を抑制 する こと 、な らび にこの抑制はFTSの投与により回復することを 示したものである。この研究は動物レンチウイ丿レス感染の病態解明に重要な知見を 提 供す るものである。よって審査員一同は平井伸明氏が博士(獣医学)の学位を受 けるのに十分な資格を有するものと認めた。

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