• 検索結果がありません。

博士(獣医学)石名坂学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(獣医学)石名坂学位論文題名"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(獣医学)石名坂 学位論文題名

北海道沿岸海域に来遊するトド,ゴマフアザラシおよび クラカケアザラシの繁殖生理学的特性ならびに

繁殖学的/ ヾラメータに関する研究 学位論文内容の要旨

  北海道沿岸海域に主に冬季に来遊するトド(Eumetopias jubatus)、ゴマフアザラシ(Phoca largha)およびクラカケアザラシ(Phoca fasciata)を対象に、繁殖生理学的特性ならびに繁 殖学的バラヌ一夕に関する研究をおこなった。本研究の最終目的は、内分泌撹乱物質をは じめとする海洋汚染や有害駆除など、各種の人為的要因による個体群存続への悪影響を適 切に評価し、個体群の保全・管理にフイードバックするための基礎デ一夕を蓄積すること である。

  生殖器標本(卵巣、子宮および胎盤)は、1995〜1999年の各年1月下旬〜4月初旬に北 海道北東部知床半島の根室海峡側(羅臼町側)の沿岸海域で、有害駆除により捕獲された 個体から採集した。それらは肉眼による観察の後、常法にしたがって厚さ5肛mのパラフ ィ ン 切 片 と し 、 免 疫 組 織 化 学 的 分 析 お よ び 組 織 学 的 観 察 に 供 し た 。   黄体および胎盤におけるステ口イド合成酵素(P450s丶3pHSDおよびP450arom)の免 疫染色の結果、P450sccおよび3ロHSDは対象とした鰭脚類3種のすべての黄体細胞に局在 しており、P450aromも多くの黄体細胞で陽性であった。胎盤では、P450aromのみが局在し ているのが認められた。このことから、トドの妊娠後期黄体およびアザラシ類2種の妊娠 末期黄体は、プレグネノ口ン、プ口ジェステ口ンおよびェストロジェンを合成しているこ と、胎盤はエスト口ジェン合成能を有しているが、プロジェステ口ンは合成していないこ とが示唆された。これらの内分泌学的特性は、分類上近縁であるイヌ亜目の陸棲食肉類と 類似していた。

  そこで鰭脚類の野生個体群で散見される着床後の胚吸収や流産の至近要因をさらに探る ため、プ口ラクチン受容体(Clone:U5)に対する妊娠黄体の免疫染色を実施したところ、

すべての黄体細胞が陽性であった。このことから、着床後の鰭脚類の妊娠黄体は、陸棲食

‑ 1221 ‑

(2)

肉類 と同 様ブ 口ラクチンの刺激 によって維持されている可能 性があることが示唆された 。   次 に、 北海 道沿岸に来遊する 鰭脚類個体群の繁殖状況を把 握するため、繁殖学的パラ メ 一夕 の調 査を 実施した。黄体ま たは黄体退縮物(自体)の存 在を指標とし、□ジスティ ツ ク回 帰を 用い た平 均 性成 熟年 齢は 、ト ド で4.7歳 であ った 。ア ザラシ類2種では標本の 年 齢構 成が 著し く偏っていたため 、平均性成熟年齢の算出はお こなわなかった。成獣妊娠 率 はトド:90.5%(57/63)、ゴマフアザラシ:91.3%.(21/23)、クラカケアザラシ82.2%(37/45) であ り、 海外 で報告されている ような妊娠率の低下傾向は認 められなかった。また成獣 妊 娠率 には 若干 の年変動がみられ たが、その変動は羅臼沖にお ける鰭脚類の主要食物であ る スケトウダラなどの漁獲量の 年変動とは一致していなか った。

  最後に、保全,管理の緊急 性がもっとも高いトドの千 島系個体群について、VORTEX 8.41 (IUCN/SSC Conservation BreemngSpeci甜istGroup)を用 いたコンピュ一夕一シミュレーシ ヨンによる個体群存続可能性 分析(Pヽらりを実施した。 その結果、有害駆除の規制がはじ まっ た1994年 度(1995年 )以 降に 北海 道 沿岸 で毎 冬実 施 され ている程度の駆除は、千 島 系個 体群 全体 を絶滅に追いやる 危険性は低いが、北海道沿岸 来遊群が地理的に近い特定 の 繁殖 場( ウル ップ島北方のブラ ット・チルポェフ島およびそ の北側のスレドネバ岩礁) 由 来の 集団 に偏 っていた場合は、 それらの繁殖集団を消滅また は激減させる危険性が高い こ とが 示さ れた 。また食物不足あ るいは内分泌撹乱化学物質な どによる影響で、出産率が 現 状よ り20%以 上低下した状態が っづいた場合は、千島系個体 群全体の絶滅リスクも急激 に 高まることが示唆された。

  今 後PVAの 精度 をよ り向 上 させ 、ト ドの千島系個体群の保 全・管理を適切に進めるた め には、繁殖学的パラメ一夕な どに関するモ二夕リングの 継続はもちろん、、北海道沿岸来遊 群を 構成 して いる各島由来集団 の北海道沿岸での混合割合、 混獲数、駆除数および自然 死 亡率 に関 する より 正 確な デ一 夕を 収集 する努カが求められ る。またアザラシ類2種に関 し ては 、ト ドと 比較 し て全 般的 にデ 一夕 が不足しているため 、PVAが実施可能となるだけ の 個体群生態学的デ一夕を早急 に集める必要がある。

1222

(3)

学位論文 審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

大泰司 岩永 高橋 鈴木

学 位 論 文 題 名

紀之 敏彦 芳幸 正嗣

北 海道 沿岸 海域に来遊するトド,ゴマフアザ ラシおよび      ク ラ カ ケ ア ザ ラ シ の 繁 殖 生 理 学 的 特 性 な ら び に      繁殖 学的 / ヾ ラメ ータ に関 す る研 究

  各 種の 人為 的要 因 によ る個 体群 存続 への 悪影 響を 適切 に評 価し 、鰭 脚類個体群の保全 ・ 管理に活用するため、北海道沿岸海域 に来遊するトド(Eumetopias jubatus)、ゴマフアザラシ (Phoca largha)お よびクラカケア ザラシ(Phoca fasciata)を対象に、繁殖生理学的特性な ら びに 繁殖 学的 パラ メ ータ に関 する 研究 がお こな われ た。 具体 的に 実施 された研究項目は 、 1)妊娠黄 体・胎盤におけるステ口イド合成酵素およびプ口ラクチ ン受容体の免疫組織化学、

2)メ スの 生殖 器検 索による繁殖学的パラヌータの推定、3)トド千島系個体群の個体群存 続 可 能 性 分 析(PVA)で あ る 。 そ れ ら の 結 果 、 以 下 の こ と が 示 さ れ た 。I) 鰭 脚 類 の 黄 体 お よび 胎盤 の妊 娠後 期 〜末 期の 内分 泌学 的特 性は 、分 類上 近縁 な陸 棲食 肉類と類似してい る こ と 、 皿 )北 海道 沿岸 に来 遊 する3種 の鰭 脚類 個体 群の 妊 娠率 は、 少な くと も現 時点 では 正常 値を 維持 して い るこ と、 皿) 卜ド の千 島系 個体 群の 一部 は、 北海 道における有害獣 駆 除に よっ て今 後も 著 しい 悪影 響を 受け る可 能性 があ り、 それ は想 定さ れる範囲内の出産 率 低下による影響よりも重大であること 。

以 上の 内容 は、 まず トド 、ゴ マフ アザ ラ シお よび クラ カケ アザ ラシ の妊娠後期〜末期の ス テ口 イド 合成 に関する特性が陸棲食肉類と類似してい ることを初めて明らかにし、今後 の 鰭脚 類の 繁殖 生理 学的 研究 に有 益な 示 唆を与えた。また上記3種の繁殖学的パラヌータ を 明ら かに した 上で 、そ れを 利用 して ト ドのPVAを実施 し、有害獣駆除および出産率低下

(4)

が個体群存続に与える悪影響を定量的に示した。これらの知見は、今後の極東海域におけ る鰭脚類個体群の保全・管理に有用である。よって審査委員一同は、上記博士論文提出者、

石名坂豪の博士論文は、北海道大学大学院獣医学研究科規程第

6

条の規定により本研究科

が行う博士論文の審査等に合格と認めた。

参照

関連したドキュメント

非常に多 くの化学物質 が環境中に存在 している現在、同定困難な未知の化学物質 も含 めた環境影響 を評価する場 合、生息環境の 違いによって 、CYP

PGD2 や PGE2 の投 与によりNA 代 謝回転の亢 進が再現さ れた。従って IL‑1 による交感神経 系の 活性化には 脳内 PGE2 が、脳 内NA 作働性神 経系の活性

  

   [ 14C] PAPM を用 いて ,緑膿 菌の PAPM 取り込み量に対する塩 基性アミノ酸の影響について検討した。塩基性アミノ酸・(リジ ン )は PA01 株の [ 14C] PAPM

   以上のごとく,本研究によって,マク口ファ―ジにおけるハンタウイルスのADE

ウズラNF 蛋白は,哺乳類およびニワ卜りにおけると同様に,三っの主要ナょバンドとして認め ら れ た (NF ー L は 70kD , NF ― M は 160kD , NF 一 H は 170kD) 。 Quv 系の 脳,

   以上のように,本論文はC3

当な回答をなした。また両教授には個別に審査を頂き,合格と判定された。本研究は重症呼吸不 全犬モデルを作製しこれに ECMO