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博士(医学)渡辺 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(医学)渡辺 学位論文題名

亠 ― 亅 亠 に ゴ

脳 下 垂 体 前 葉 細 胞 か ら の

AdrenocortlcotropiCHOrmone     

    ( ACTH) 分 泌 動 態 に 関 す る 生 理 学 的 研 究 MICROPERIFUSION SYSTEM

の 開 発 と そ の 応 用 一

学位論文内容の要旨

1背景

  副 腎 皮質 か ら 分 泌 され るcortisolなど のglucocorticoidは, 生体の 恒常性 維持に 極めて 重要 な 働 き を 持つoglucocorticoidの 合 成 , 分 泌は 主 と し て 脳下 垂 体 前 葉か ら分泌 され るadreno‑

corticotropic hormine(ACTH) に よ り 調 節 さ れ て おり ,ACTHは 日 内 リ ズム を も っ て 分泌 さ れる他 ,各種 のス トレス に対応 して急 速に分 泌が 亢進す る。こ のよう な脳下垂体一副腎皮質系 ホ ルモ ンの 分泌調 節には ,corticotropin―releasing factorくCRF),  arglnln vasopressln   (AVP),  angiotensin亠II  (A−II),  oxytocin  くOT),  epinephrine  (EPI),  nor, epinephrine  (NEPI) ,  gastrin−releasing peptide (GRP),  atrial natriuretic factor

(ANF) ,cholecystokinin(CCK)な ど 多 くの ホ ル モ ン が関 与 し て い るこ と が 推 察 さ れて い る が ,CRF以 外 は 各 ホ ル モ ン の 脳 下 垂 体 前 葉 か ら のACTH分 泌 調 節 に おけ る 生 理 的 意義 は , い まだ充 分に解 明さ れてい るとは 言えな い。゛

  脳 下 垂体 前 葉 細 胞 のホ ルモ ン分泌 機能 研究の ためのin vitro実 験シス テムは ,細胞 潅流 法ま た は初代 単層培 養法 が一般 的に用 いられ てきた 。細 胞潅流 法は単 層培養 法に比ベ,刺激因子を持 続 的に作 用でき る点 ,細胞 代謝産 物をす みやか に除 去でき る点な どで, 生体内での反応をより忠 実 に 再 現 でき る と 考 え ら れて い る 。 し かし , 脳 下 垂 体か ら のACTHは 短時 間にパ ルス 様に分 泌 さ れるこ とが示 唆さ れてお り,こ れは視 床下部 から のホル モンの 分泌が 短時間に繰り返しおきる こ とによ ると考 えら れてい る。従 って, 脳下垂 体前 葉から のホル モン分 泌動態をより詳細に検討 す るた めに は,従 来の潅 流シス テム を改良 し,1)刺 激物質 が急峻 な濃度 変化 をもっ て投与 でき る こ と ,2) 刺 激 物 質 の濃 度変 化を確 実にコ ント口 一ル できる こと,3) 細胞が 充填さ れる潅 流 室 の断面 積は充 分に 小さく ,潅流 室内部 での流 れが 均等であること,4)流出液が直接採取でき,

可 能な 限り 少量を ,また は短時 間で 採取で きるこ と,5)流 出液中 の各種 ホル モンの 定量が 確実

(2)

に行え ること 等の条 件を みたすシステムの開発が必要であると考えた。

2研究目 的

  視 床下部 ・脳下 垂体門 脈系 におけ る脳下 垂体ホ ルモン 分泌 動態を 詳細に 検索する目的で脳下垂 体 前 葉 細胞 の 潅 流 実 験シ ス テ ム を 開 発し , そ れ を 用い て 各 種ACTH分 泌刺激 因子の 作用, 相互 作用 を検 討した 。

3実験方 法

  今 回 , 新 た に 開 発 し たMICROPERIFUSION SYSYTEMで は , 内 容 量50ロ1のCHAM‑

BER中 に 支 持 体 ( セフ ァ デ ッ ク ス樹 脂 ) と 共 に, 卜リプ シン処 理によ り単 離した ラッ卜 の脳下 垂 体 前 葉細 胞 を 充 填 し, 毎 分72肛1の 流 速 で 還流 し5秒 毎 に6皿1の 流出 液を採 取する こと がで き た 。 刺 激 物 質 はCHAMBER直 上 よ り 流 速 を 変 化 さ せ る こ と な く 作 用 で き る 。 流 出 液 中 の ACTH等 のホル モンは ,radioimmunoassay (RIA)により 測定し た。

4実 験 結 果

  1)CRF,AVP,OT,A―IIに よ るACTH分 泌 反 応 は 刺 激 開 始 後 ,5秒 以 内 に 認 め ら れ 40秒 で 定 常 状 態 に 達 し , プ ラ ト 一 様 のACTH分 泌 反 応 を 示 し た 。こ の 反 応 はCRFの 潅 流 が続 い て い る 間 , 認 めら れ た 。CRF潅 流 終 了 後,ACTH分 泌 は 徐 々 に 基礎 値 に 向 か って 低 下 し た 。 こ れ に 対 し ,AVPに よ るACTH分 泌 は , 刺 激 開 始 後 ,5秒 以 内 に 認 め ら れ20秒 以 内 に最 高 値 に 連 し , そ れ に 引 き 続 き 徐 々 に 基 礎 値 に 向 か っ て 低 下 し た。A、IIによ るACTH分 泌 反 応 は AVP同 様 ス パ イク 様 で あ っ たが , ピ ー ク に達 し た 後 ,速 やかに 基礎値 に復し ,持 続的な 分泌相 は 認 め ら れ な か っ た 。OTに よ るACTH分 泌 反 応 はAVPに 見 ら れ た ス パ イ ク 様 分 泌 と そ れ に 続 く持 続 的 な 分 泌 相が 認 め ら れ た。

  2)AVPのCRFに よ る 相 乗 的ACTH分 泌 刺 激 効 果 の 時 間 的 相 互 作 用 を 検 討 し た 。AVP はCRFと 同 時 ま た はCRF潅 流 直 後 に 潅 流 し た 場 合 に の みCRFのACTH分 泌 刺 激 効 果 を 相 乗 的に 増 強 し た 。

  3)同 様 に 短 時 間 作 動 性 で あ るA−IIとAVPのACTH分 泌 刺 激 効 果 の 時 間 的 相 互 作 用 を 検 討 し た 。A―IIに よ るACTH分 泌 は 細 胞 がA一IIの 潅 流 直 前 にAVPま た はOTに 暴 露 さ れ る と 強 く 抑 制 さ れ た が , 細 胞 が 直 前 にA・IIに 暴 露 さ れ て もOTま た はAVPに よ るACTH分 泌 は 影 響 を 受 け な か っ た 。 ま た ,AVP,A・IIのACTH分 泌 刺 激 効 果 は 相 加 的 で あ っ た 。

(3)

  4) MICROPERIFUSION SYSTEM,浮 遊 細胞 培養 法, およ び 単層 培養 法を 用い てCRF, AVP,OT,A―II,EPI,NEPI,ANF,CCK,GRPの 脳 下 垂 体 前 葉 細 胞 か ら のACTH分 泌 刺激 作用 の強 さ を比 較し た。CRF,AVP,OT,A―IIは ,いずれの実験系において もACTH 分泌刺激作用が認められた 。EPI,NEPIは浮遊細胞培養 法,単層培養法においてはAVPと同 程 度 のACTH分 泌 刺 激 作 用 を 示 し た がMICROPERIFUSION SYSTEMで は 作 用 は 極 め て 微 弱で あっ た。GRP,ANF,CCKはい ずれ の実 験 系におい ても明らかなACTH分泌刺激 反応は 認められなかった。

5考案

  MICROPERIFUSION SYSTEMに よ り ,ACTH分 泌 刺 激 因 子 の 作 用 動 態 を 詳 細 な 時 間 経 過を追って検討でき,視床下部ホルモンの生理的分泌動態であると考えられている断続的分泌 (episodic又はpulsatile secretion)に極めて近い形で刺激因子を作用できる。また,非特異 的ACTH分泌作用は,ほとんど認められず,極めて鋭敏な実験システムであると言える。今回 の検討の結果から1)種々の柬l亅激原因に対する脳下垂体前葉細胞からのACTH分泌反応は強さ の違いだけでなく反応パタ ーンの相違に見られるよう に質的な違いがある,2)種々のACTH 分泌刺激因子の効果の発現のためには互いの刺激が加えられる時間的前後関係が重要である,3) 分泌パ夕一ンの相違は,これらの因子がACTH分泌をぢ|き起こす際に刺激する細胞内刺激伝達 経路 が異 なる た めか もし れな いこ と が示 唆さ れた 。MICROPERIFUSION SYSTEMは ,脳下 垂体前葉からのホルモン分泌動態を詳細に解析し,種々の刺激因子の相互作用を検索することに よ り 細 胞 内 刺 激 伝 達 経 路 の 解 析 の た め に 有 用 な 実 験 系 で あ る と 思 わ れ る 。

学位論文審査の要旨

  脳下垂体前葉から のadrenocorticotropic hormone(ACTH)は,生体の恒 常性の維持に 重要な働きをもち,その分泌は視床下部からのcorticotropinーreleasing factor  (CRF)など

和 一

   

   

義 研

上 間

川 本

授 .

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

数多 くの ホ ルモ ンよ り 調節 されていると 考えられているが ,この調節系は完 全には解明されてい ない。

  本論文は,視 床下部―脳下垂体系 における脳下垂体 ホルモン分泌動態 を詳細に検索する目的で,

脳下 垂体 前 葉細 胞の 潅 流実 験シ ス テム を開 発 し, それ を 用い て各 種ACTH分 泌刺激因子の作用,

相 互 作 用 を 検 討 し た も の であ る 。新 たに 開 発さ れた シ ステ ムで は ,内 容量 が50ロ1のchamber 内に ,支 持 体( ラフ ァ デッ クス)と共に ,トリプシン処理 により単離したラ ットの下垂体前葉細 胞 を 充 填 し , 毎 分72ロ1で 還 流 し5秒 毎 に6u1の 流出 液 を採 取す る こと がで き る。 刺激 物 質は chamber直 上よ り 流速 を変 化さ せることなく作用 できる。このシステ ムの特性は,(1)刺激物質 が急峻な濃度変化をもって投与できる,(2)刺激物質の濃度変化を確実にコント口一ルできる,(3) 細胞が充填され る潅流室の断面積は 充分に小さく,潅 流室内部での流れが均等である,(4)流出液 が直接採取でき 可能な限り少量を, または短時間で採 取できる,(5)流出液中の各種ホルモンの定 量が確実に行え る等である。

  結 果tま ,(1)CRFに よるACTH分 泌反 応は 刺 激開 始後 , 5秒 以内 に認 め られ40秒 で 定常 状態 に 達 す る プ ラ ト 一 様 の 分 泌 反 応 を 示 し た 。 こ れ に 対 し ,Arginine Vasopressin(AVP)によ るACTH分 泌 は刺 激開 始 後,5秒以 内に 認 めら れ20秒 以内 に最 高 値に 達し , それ に引 き 続き 徐々 に 基 礎 値 に 向 か っ て 低 下 し た 。Angiotensin―II(AーII) に よ るACTH分 泌 反 応 はAVP同 様スパイク様で あったが,その後, 速やかに基礎値に 復し,持続的な分 泌相は認められなかった。

Oxytosin(OT) に よ るACTH分 泌 反 応 はAVPに 見 ら れ た ス パ イ ク 様 分 泌 と , そ れ に 続 く 持 続 的 な 分 泌 相 が 認 め ら れ た 。(2)AVPのCRFに よ る 相 乗 的ACTH分 泌 増 強 効 果 の 時 間 的 相 互 作 用 の 検 討 で は ,AVPはCRFと 同 時 ま た はCRF潅 流 直 後 に 潅 流 し た 場 合 に の み ,CRFの ACTH分泌 刺 激効 果を 相 乗的 に増 強 する こと が 認め られた。(3)本実験シス テ厶,浮遊細胞培養 法 , お よ び 単 層 培 養 法 の3種 類 の 実 験 系 を 用 い てCRF,AVP,OT,A II,Epinephrine (EPI),  Norepinephrine  (NEPI),  Atrial Natriuretic Factor  くANF),  Cholecys‑

tokinin (CCK),Gastrin Peptide (GRP)の , 脳 下 垂 体 前 葉 細 胞 か ら のACTH分 泌 刺 激 作 用 の 強 さ を 比 較 し た と こ ろ ,CRF,AVP,OT,A‑ IIは , い ず れ の 実 験 系 に お い て もACTH 分 泌 刺 激 作 用 が 認 め ら れ た が ,EPI,NEPIは , 浮 遊 細 胞 培 養 法 , 単 層 培養 法に お いて はAVP と 同 程 度 のACTH分 泌 刺 激 作 用 を 示 し た が , 本 シ ス テ ム で は 作 用 は 極 め て 微 弱 で あ っ た 。 GRP,ANF,CCKは い ず れ の 実 験 系 に お い て も 明 ら か なACTH分 泌 刺 激 反 応 は 認 め ら れ な かった。

  以 上の 結 果か ら, (1) 種 々の 刺激 因 子に 対す る脳下垂 体前葉細胞からのACTH分泌反応は強さ

(5)

の 違い だ けで なく 反 応パ ター ンの相違に 見られるように質 的な違いがあるこ とが見い出され,こ の よ う な 分 泌 パ タ ー ン の 相違 は ,こ れら の 因子 がACTH分泌 を引 き 起こ す際 に 刺激 する 細 胞内 刺 激伝 達 経路 が異 な るこ とに よ るこ とが 示 唆さ れた ,(2)複数のACTH分泌 刺激因子の効果発現 には, 互いの刺激が加え られる時間的前後関 係が重要である, (3)本システムでは,細胞周囲の代 謝 産物 等 が速 やか に 除去 され るため非特 異的分泌反応が生 じにくく,また軽 微な分泌反応が阻害 されな いことが示唆され た。

  以上 の 口頭 発表 に 際し ,本 間 教授 から (1)ACTH分 泌細胞と他の細 胞のlnteractionにっいて,

(2)分泌パターンと細胞内情報伝達系の関与にっいて,藤本教授から(1)チャンバ一内の細胞数はコ ン ス タン トか , (2) 細胞 のViabilityにっ いて ,(3)CRFとAVPの 相 乗効 果に っ いて ,(4)2分程 度 でcAMPは 刺 激 さ れ る か , 西 教 授 か ら 用 語 , 特 にcephadex gell resinとmicroperifusion に っ いて ,皆 川 教授 から (1) 用 いたCRFはrecombinantか,(2)naturalなも の に比 べて 差 はな いか, (3)サイ トカインの関与は ないかなど多数質 問があったが,申請者は概ね妥当に答えたと思 う。

  以 上 , 本 論 文 は 脳 下 垂 体前 葉 細胞 から のACTH分泌 動 態を 新し く 開発 した シ ステ ムを 用 いて 詳細に 追求したもので学 位(医学)に相当す るものと認めた。

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