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博士(医学) 渡辺昌也 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)   渡辺昌也 学位論文題名

膜電位光学マッピング法を用いた1 型糖尿病ラットにおける      心房細動基質の検討

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

[ 背 景 と 目 的 ]

  糖 尿 病 は 心 房 細 動 の 独 立 し た 危 険 因 子 で あ る が 、 糖 尿 病 が 心 房 の 電 気 生 理 学 的 特 性 に 与 え る 変 化 に つ い て は 十 分 に 検 討 さ れ て い な い 。 実 験 的 研 究 に お い て も 、 問 質 の 線 維 化 亢 進 に 関 連 し た 興 奮 伝 導 遅 延 や 交 感 神 経 活 性 の 増 強 に よ る 不 応 期 の 不 均 一 性 の 増 大 に よ っ て 心 房 細 動 の 誘 発 性 が 高 ま る こ と が 報 告 さ れ て い る の み で あ り 、 糖 尿 病 心 の 心 房 に お け る 催 不 整 脈 的 機 序 に 関 わ る 知 見 は 未 だ 不 足 し て い る 。 特 に 、 多 く の 発 作 性 心 房 細 動 は 肺 静 脈 内 起 源 の 高 頻 度 反 復 性 異 常 興 奮 に よ っ て 発 生 す る た め 、 高 頻 度 の 電 気 的 興 奮 に 対 す る 糖 尿 病 心 の 心 房 で の 電 気 生 理 的 変 化 を 解 明 す る こ と は 臨 床 医 学 的 に も 求 め ら れ て い る 。 こ の た め 、 我 々 は 糖 尿 病 動 物 の 心 房 に お い て 、 興 奮 伝 導 遅 延 や 興 奮 伝 導 の 不 均 一 性 、 活 動 電 位 持 続 時 間(APD) の 時 間 的 空 間 的 不 均 一 性 が 増 大 し て い る か 、 ま た 、 そ れ ら が 興 奮 頻 度 の 増 加 に 伴 っ て 増 強 さ れ る か を 検 証 す る 目 的 で 、 膜 電 位 光 学 マ ッ ピ ン グ 法 を 用 い 薬 剤 誘 発 性 糖 尿 病 ラ ッ ト の 右 心 房 に お け る 電 気 生 理 的 変 化 に つ い て 検 討 し た 。

[ 材 料 と 方 法 ]

  8週 齢 のWister rat( オ ス ) にStreptozotocin (STZ) 65mg/kgを 腹 腔 内 投 与 し 、 糖 尿 病 ラ ッ 卜 を 作 成 し た 。 実 験 に は 糖 尿 病 ラ ッ ト20匹 、 対 照 ラ ッ ト21匹 を 使 用 し た 。 直 接 的 気 管 切 開 に よ る 人 工 呼 吸 下 に 心 臓 を 摘 出 し 、Langendorff法 に よ り 逆 行 性 灌 流 を 行 っ た 。 心 房 細 動 誘 発 試 験 は 対 照 ラ ッ ト12匹 、 糖 尿 病 ラ ッ ト10匹 に 対 し て 行 い 、5秒 間 の 連 続 刺 激 法 を 計5回 行 い 、 最 長 持 続 時 間 を 心 房 細 動 持 続 時 間 と し た 。 膜 電 位 光 学 マ ッ ピ ン グ 法 は 、 対 照 ラ ッ ト9匹 、 糖 尿 病 ラ ッ ト10匹 に 対 し て 行 っ た 。 膜 電 位 感 受 性 色 素Di−4−ANEPSSの 投 与 後 、 ミ オ シ ンII特 異 的 阻 害 剤Blebbistatineの 持 続 灌 流 に よ り 、 電 気 的 活 動 を 保 っ た ま ま 心 拍 動 を 停 止 さ せ た 。 励 起 光 源 を 標 本 心 臓 に 照 射 し 、 放 射 螢 光 を 高 感 度 電 荷 結 合 素 子   (CCD)カ メ ラ に て 撮 影 し た 。 撮 影 は 右 心 耳 か ら の 頻 回 刺 激 中 に 行 い 、 刺 激 間 隔 は200、150、100、80、 75msec、 以 下 は 刺 激 頻 度 と 心 房 興 奮 が1:1に 繋 が ら な く な る ま で5msecず つ 減 少 さ せ た 。 活 動 電 位 持 続 時 間(Action potential duration,APD)と し て 、 そ の80%再 分 極 点 ま で の 時 間APD80と 同APD50を 測 定 し た 。 局 所 の 脱 分 極 点 は 、 活 動 電 位 波 形 の 立 ち 上 が り 最 大 速 度 時 点 と し 、 ペ ー シ ン グ 部 位 と 各 ピ ク セ ル 間 の 時 間 差 を 算 出 し 、 興 奮 伝 播 マ ッ プ を 当 時 間 線 で 表 し た 。 更 に 、 そ れ を 元 に 速 度 ベ ク ト ル マ ッ プ を 作 成 し 、 ベ ク ト ル の 平 均 値 を 平 均 興 奮 伝 導 速 度 と し た 。 ま た 、 興 奮 伝 導 の 不 均 一 性 の 評 価 と し て 、 ピ ク セ ル 間 の 脱 分 極 時 間 の 差(phase difference)か らphase differenceマ ッ プ を 作 製 し 、 そ の 定 量 評 価 と し て 不 均 一 性 絶 対 値 、 不 均 一 性 指 数 を 算 出 し 、 両 群 間 の 差 を 比 較 し た 。 組 織 学 的 検 討 は 両 群6匹 ず っ の ラ ッ ト で 行 い 、 組 織 断 面 積 に お け る 線 維 化 領 域 面 積 の 割 合 を 測 定 し た 。

[ 結 果 ] 心 房 細 動 の 持 続 時 間 は 糖 尿 病 ラ ッ ト で 有 意 に 延 長 し た ( 対 照 ラ ッ トO.9土0.3 vs.糖 尿 病 ラ ッ ト 2.4土O.6 sec、P<O. 05)) 。 興 奮 伝 導 速 度 は 糖 尿 病 ラ ッ ト で 有 意 に 低 下 した 。 不 均 一 性絶 対 値 、 不 均 一性 指 数 は 糖 尿 病 ラ ッ 卜 に お い て 有 意 に 高 値 だ っ た 。 ま た 、 こ れ ら の 数 値 は 、 糖 尿 病 ラ ッ ト に お い て 刺 激 周 期 の 短 縮 に 伴 う 上 昇 を 認 め た 。APD80は 右 心 房 内 の4領 域 ( 右 心 耳 、 右 心 房 自 由 壁 、 高 位 右 心 房 、 下 位

372―

(2)

右 心 房 ) で 測 定 し 、 そ の 平 均 値 は 糖 尿 病 ラ ッ ト で 有 意 に延 長し た( 対照 ラ ット40.4土2.6vs.糖 尿病 ラ ット53.4土2.3msec、P<O. 01) 。 また 、APD80の不 均一 性を 示 す変 動係 数( 標準 偏 差/平均)は、糖尿病 ラ ッ ト に お い て 有 意 に 高 値 だ っ た( 対照0. 15土O.01 vs.糖尿 病ラ ット0.20土0.02)。刺 激周 期の 変 化 に よ るAPDの 短 縮 は 糖 尿 病 ラ ッ ト に お い て 強 調 さ れ て お り 、 刺 激 周 期200msecで のAPD80に 対 す る 刺 激 周 期150、100、80msecのAPD80の 割合 は、 糖尿 病ラ ッ トで 有意 に低 下し て おり 、同 様の 結 果は 、APD50 で も 認 め た 。 糖 尿 病 ラ ッ ト で は100msec前 後 の 刺 激 周 期 で、 活 動電 位オ ルタ ナン ス と呼 ばれ る活 動電 位 が1拍 毎 に 長 短 長 短 を 繰 り 返 す 現 象 が 頻 繁 に 認 め ら れ 、 そ の 出 現 頻 度 は 対 照 ラ ッ卜 で11%、 糖尿 病ラ ッ トでlOOYoと 糖尿 病 ラッ トで 高値 だ った(P<O. 001) 。更 に刺 激 頻度 を短 くし てい く と、一部の糖尿病ラッ ト で は 活 動 電 位 波 形 が 複 雑 に 変 化し 、局 所的 な 興奮 伝導 ブロ ッ クが 観察 され た。 活 動電 位オ ルタ ナン ス の出 現 機序 のー っと 考え ら れて いるAPDの回 復曲 線特 性 を検 討したが、曲線の最大傾 きは対照0.6土0.2、 糖尿 病 ラッ ト0.8土0.2と 有意 差を 認め ず、 最 大傾 き値1以 上で あっ た個 体 の割 合に ついても対照22cYo、 糖 尿 ラ ッ ト20% と 有 意 差 を 認 め なか った 。組 織 学的 検討 にお い て、 線維 化領 域の 割 合は 対照 ラッ ト7.0 土0.4%に 対し 、糖 尿病 ラ ット12.0土0.8% と 糖尿 病ラ ッ卜 で有意に線維化の亢進 を認めた(P<O. 001)。

[考察]

  今 回 の 研 究 に お い て 、 糖 尿 病 心の 心房 にお け る心 房細 動持 続 時間 の延 長、 興奮 伝 導速 度の 低下 と興 奮 伝 導 の 不 均 一 性 の 増 大 、APDの 延 長 、 刺 激 周 期 の 短 縮 に 伴 うAPD短 縮 度 の 増 大 、 活 動電 位オ ルタ ナン ス の 易 出 現 性 、 問 質 の 線 維 化 の 増 大を 認め た。 興 奮伝 導速 度低 下 や興 奮伝 導の 不均 一 性の 増大 は、 過去 の 報 告 か ら 心 房 細 動 基 質 と し て 重 要で ある こと が 報告 され てい る が、 我々 は膜 電位 光 学マ ッピ ング を用 い る こ と に よ り 、 糖 尿 病 心 の 心 房 にお ける これ ら の指 標を 初め て 詳細 に検 討し 得た 。 また 、我 々は 糖尿 病 心 の 心 房 に お け るAPDの 延 長 も 確 認 し た 。 糖 尿 病 心 の 心 房 に お け るAPDに 関 し た 報 告は 非常 に限 られ て い る 。 加 え て 、 そ れ ら の 結 果 は 動物 モデ ルに よ って 異な って お り、 今後 のエ ビデ ン スの 蓄積 が必 要と 思 わ れ る 。 こ のAPD延 長 の 機 序 に つ い て は 全 く 明 ら か と さ れて い なぃ が、 糖尿 病心 の 心室 では 外向 きカ リ ウム 電 流の 減弱 やナ トリ ウ ムー カル シウ ム交 換 電流 の増 強が 報 告さ れて おり 、心 房 においても同様の機序 の 関 与 が 推 測 さ れ る 。APDの 延 長 が 有 す る 催 不 整 脈 性 に つい て も未 だ明 らか では な ぃが 、近 年の 動物 実 験 に お け る 報 告 か ら 早 期 脱 分 極 に よ る 異 所 性 興 奮 が 関 与し てい ると 推測 さ れる 。今 回、APDの空 間的 不 均 一 性 の 増 大 や 活 動 電 位 オ ル タ ナン スの 易出 現 性に つい ても 確 認し たが 、こ れら の 再分 極異 常は 心房 内 で の 伝 導 ブ ロ ッ ク を 助 長 し 、 心 房細 動の 発生 に 関与 する 可能 性 があ り、 糖尿 病に お ける 心房 細動 発生 機 序 の ー っ と 考 え ら れ た 。 活 動 電 位オ ルタ ナン ス の出 現機 序に つ いて は、 これ まで の 研究 から 回復 曲線 の 影 響 と 細 胞 内 カ ル シ ウ ム 制 御 不 全の 影響 のニ つ の可 能性 が考 え られ てい る。 今回 の 研究 では 、そ のー つ で あ るAPD回 復 曲 線 の 特 性 に つ い て 検 討 し た が 、 両 群 間 に差 は 認め なか った 。こ の 結果 に加 え、 糖尿 病 下 の 心 室 筋 で は 細 胞 内 カ ル シ ウ ム制 御異 常が 報 告さ れて いる こ とか ら、 我々 が観 察 した 糖尿 病下 の心 房 に お け る 活 動 電 位 オ ル タ ナ ン ス の出 現に は細 胞 内カ ルシ ウム 制 御不 全が 関与 して い るこ とが 間接 的に 示 唆される。

  上 述 の よ う な 糖 尿 病 下 の 心 房 にお ける 電気 生 理学 的変 化は 、 基礎 疾患 を背 景と し なぃ 心房 細動 患者 に お け る 心 房 細 動 の 病 態 進 行 に お ける 機序 とは 異 なっ てお り、 今 後の 更な る研 究に よ り詳 細な 病態 の把 握 と背景にある機序の 解明が望まれる。

[結論]

  本 研 究 で は 、STZ投 与 に よ り 誘 発 さ れ た 糖 尿 病 ラ ッ ト の右 心 房に おい て、 正常 対 照ラ ッ卜 との 比較 に より 、 下記 のよ うな 電気 生 理学 的、 組織 学的 変 化が 確認 され た 。(1)心 房 細動 持続 時間の延長、(2)興奮 伝導速度の低下、(3)興奮伝導の不均一性が増大 、(4) APDが延長、(5) APDの空間的不均〜性の増大、(6) APD の 頻 度 依 存 性 短 縮 度 の 増 大 、(7)活 動 電 位 オ ル タ ナ ン ス の 易 出 現 性 、(9)問 質 の 線 維 化 の 亢 進 。   上 記 の よ う な 糖 尿 病 ラ ッ 卜 の 心房 にお ける 変 化は 、糖 尿病 患 者に おけ る心 房細 動 発生 の機 序と なっ て いる可能性が示唆さ れた。

ー373ー

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

学 位 論 文 題 名

膜電位光学マッピング法を用いた1 型糖尿病ラットにおける      心房細動基質の検討

  本研究は、糖尿病の危険因子である心房細動の発症メカニズムを、ラットを用い検討した実験 的研究である。ストレプトゾシン投与によルラットに1型糖尿病を発症させ、ランゲンドルフ逆 行性灌流心を用いて電位感受性色素による光学的手法を行い右心房における膜電位を計測し、催 不整脈に関わるメカニズムの検討を行った。その結果、心房細動持続時間延長、興奮伝達速度の 低下、興奮伝達の不均一性の増大、活動電位持続時間の延長、活動電位持続時間の心臓内での不 均一性の増大、刺激頻度増大に伴う活動電位オルタナンスの出現、心筋問質の線維化の亢進が観 察された。これらの電気生理学的、形態学的変化が、糖尿病における心房細動出現頻度の増大の メカニズムとして強く示唆される結果である。

  審査会においては、副査の神谷教授より、本研究で膜電位感受性色素によるイメージング解析 を用いた理由、特に、直接的な電気活動計測に比較して光学的計測は反応が遅いために波形にゆ がみができないか、活動電位との一致度はどの程度かとの質問があった。申請者は、本法は心臓 を切断することなく心筋の活動を記録できる点で有利で、一般的に用いられる実験方法であるこ と、また、心臓の活動電位は、骨格筋や神経細胞に比較して遅い反応であるため、電位感受性色 素でも波形のゆがみや遅れはあまり問題にならないこと、波形は直接電極を刺入して計測した結 果と大差ないと回答した。さらに、活動電位オルタナンス発生に関わる心筋のCa十十transient延長 のメカニズムについて質問があり、申請者は、メカニズムは不明であるが、拡張期のCa十十取り込 みの延長、Na十‑Ca+゛交換系の機能低下、異なるK十やCa十゛チャネルの関与が想定される旨の回答が あった。引き続き、副査の上田教授より、光学マッピングにおけるイメージングの範囲が比較的 狭いので、心臓全体を一度にイメージングし全体の興奮伝達を検討できないかどうかとの質問が

―374−

と 之

之 男

さ 温

裕 哲

問 谷

井 田

本 神

筒 上

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

あ っ た 。 こ れ に 対 し 、 申 請 者 は 、 広 範 な イ ヌ ー ジ ン グ を 行 う と 、 螢 光 色 素 の 検 出 感 度 が 低 下 し て し ま う こ と 、 ま た 、 周 辺 に ひ ず み が で き 、 正 確 な 計 測 が で き な い た め 、 今 回 の 測 定 範 囲 を 設 定 し た と の 回 答 が あ っ た 。 次 に 、 夕 イ ト ル の 「 心 房 細 動 基 質 」 の 意 味 に つ い て 質 問 が あ り 、 こ の 場 合 の 「 基 質 」 は 、substrateやmatrixの 意 味 で は な く 、「 素 因 」 、 「原 因 と な る メカ ニ ズ ム 」 の意 味 で あ る と の 回 答 が あ っ た が 、 誤 解 を 生 じ る 可 能 性 が あ り 、 語 句 の 使 い 方 と し て 不 適 切 と 思 わ れ る 。   さ ら に 、 副 査 の 筒 井 教 授 よ り 、 本 実 験 の 結 果 と し て 、 糖 尿 病 に お け る 様 々 な 心 筋 の 障 害 、 特 に 心 筋 問 質 の 線 維 化 の 亢 進 , や 心 房 内 興 奮 伝 達 の 不 均 一 性 な ど を 生 じ る そ も そ も の 原 因 は 高 血 糖 に あ る と 考 え ら れ る が 、 高 血 糖 が こ れ ら の 障 害 を 生 じ る メ カ ニ ズ ム に つ い て ど の よ う な こ と が 考 え ら れ る か と の 質 問 が あ っ た 。 こ れ に 対 し 、 申 請 者 は 、 高 血 糖 が 血 管 障 害 を 生 じ 、 結 果 的 に 心 筋 の 酸 素 や 栄 養 因 子 の 供 給 に 障 害 を 来 す 可 能 性 が 特 に 、 心 室 筋 で は 推 察 さ れ て い る こ と 、 そ の 際 、 い く っ か の 転 写 因 子 な ど の 関 与 が 想 定 さ れ る こ と 、 心 房 筋 で も 同 様 の メ カ ニ ズ ム が 推 察 さ れ る と 回 答 し た 。 ま た 、 圧 倒 的 に 数 の 多 い2型 糖 尿 病 に お い て は ど う か 、 と の 質 問 に 対 し 、 同 様 の 検 討 の 必 要 性 は 認 識 し て い る が 、 ラ ッ ト に お い て 心 房 細 胞 を 生 じ る ま で の 変 化 が 生 じ に く く 、 検 討 は 困 難 で あ る と 回 答 し た 。 最 後 に 主 査 の 本 間 教 授 よ り 、 今 回 の 実 験 で 用 い た ス ト レ プ ト ゾ シ ン 投 与 後 16週 ( 生 後20週 ) の ラ ッ ト の 体 重 が 、 離 乳 直 後 の ラ ッ ト 並 の 低 体 重 で あ る こ と か ら 、 実 験 動 物 の 全 身 症 状 に つ い て 、 糖 尿 病 以 外 の 様 々 な 栄 養 状 態 の 障 害 、 血 管 障 害 な ど が 問 題 に な ら な い か 、 ベ ー ス メ ー カ ー 電 位 へ の 直 接 作 用 が 今 回 の 結 果 に 影 響 し て い な い か ど う か 、 心 房 筋 の 興 奮 性 の 不 均 一 性 に ギ ャ ッ プ 結 合 の 数 、 障 害 が 関 与 し て い な い か ど う か 、 の 質 問 が あ っ た 。 こ れ に 対 し 、 申 請 者 は 、 心 房 細 動 を 生 じ る ま で に は 、16週 の 経 過 が 必 要 で あ っ た こ と 、 特 に 多 飲 多 尿 に よ る 全 身 症 状 の 悪 化 が あ っ た が 、 他 の 方 法 論 に 比 較 し て 確 実 に 心 房 に 変 化 を 来 す 方 法 で あ っ た た め 、 採 用 し た こ と 、 ベ ー ス メ ー カ ー 電 位 そ の も の に も 、 糖 尿 病 に よ る 影 響 が み ら れ た こ と 、 問 質 の 線 維 化 の 増 大 に 伴 い 、 ギ ャ ッ プ 結 合 の 数 の 低 下 は 観 察 さ れ 、 こ れ が 活 動 電 位 や 興 奮 性 の 不 均 一 性 の 増 大 の 一 因 に な っ て い る 可 能 性 が 大 で あ る と 、 回 答 し た 。

  糖 尿 病 が 心 房 細 動 の 危 険 因 子 と な る メ カ ニ ズ ム を 、 光 学 マ ッ ピ ン グ 法 に よ り 検 討 し た 本 研 究 の 成 果 は 、 糖 尿 病 患 者 で の 心 房 細 動 発 症 機 序 を 示 唆 し 、 治 療 ・ 予 防 の タ ー ゲ ッ ト と な る 点 で も 意 義 が あ る 。 審 査 員 一 同 は 、 こ れ ら の 成 果 を 高 く 評 価 し 、 大 学 院 課 程 に お け る 研 鑽 や 取 得 単 位 な ど も 併 せ 申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

ー375−

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