• 検索結果がありません。

博士(医学)渡部一郎 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(医学)渡部一郎 学位論文題名"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(医学)渡部一郎 学位論文題名

Flow cytometry を用いた全身性エリテマトーデス 患者の好中球機能の研究

学位論文内容の要旨

I  目   的

   全身性エリテマトーデス(SLE )の好中球機能異常として、貧食能の 低下 によ る易感 染性 、免 疫複 合体の クリ アラ ンスの 低下 によ るm 型 アレ ルギ ー反応 の増 強、 好中 球活性酸素による組織障害が考えられ てい るが 、その 測定 法は なお 確立されていない。貪食能と好中球内 活性酸素のflow cytometry による定量解析法を検討し、SLE 患者の病 態との関係を調べた。

u 方 法

   貪食能は既報の方法に準じ、 heparin 加全血 100 皿1 と標的螢光粒子

( 1 .97 〃m 径fluorescent carboxylate microspheres ,  Polyscience 社 製)浮遊液を37 ℃一時間incubate した。冷却O .2%EDTA 加PBS で反応を 停止し、溶血処理後 O .2 %ED TA 加PBS にて再浮遊した。FACScan (Becton Dickinson 社製)で前方、側方散乱の cytogram でりンパ球以外の細胞 分 画を trigger area と し、 一個以 上の粒子を貪食した細胞の貪食率 を 求めた。種々の粒子濃度における貪食率から、貪食率50X となる標

76

(2)

的 粒 子 数 対 貪 食 細 胞 数 比 (T/C ratio) を 算 定 し 、Ph50値 と 定 義 し た 。   好 中 球 内 活 性 酸 素 は Bassの 方 法 に 準 じ 、heparin加 全 血100ロ1と5 ロM dichlorofluorescin diacetate(DCFH―DA,Eastman−Kodak社 製 )2 mlを37℃ 20分 間incubateし た 。 刺 激 群 は25ロg/ml PMA 10li1添 加 し 再 び20分 間incubateし た 。 溶 血 処 理 後 再 浮 遊 し 、 前 方 、 側 方 散 乱 の cytogramに て 好 中 球 領 域 を trigger areaと しdichlorofluorescein

(DCF) の 螢 光 強 度 を 解 析 し た 。

  対 象 は ア メ リ カ ・ リ ウ マ チ 協 会 診 断 基 準 を 満 た すSLE,RA例 と し た 。 m 結 果

  前 方 、 側 方 散 乱 の cytogramで は 、 貪 食 現 象 に よ り 単 球 群 と 好 中 球 群 の 側 方 散 乱 が 増 加 し 、 貧 食 細 胞 の 螢 光 強 度 は 貪 食 し た 粒 子 数 を 表 わ す 多 峰 性 のhistogramを 呈 し た 。

  貪 食 率 とT/C ratioの 関 係 で は 、 標 的 粒 子 の 少 な い 場 合 、 貪 食 率 は T/C ratio値 に 正 比 例 し 、 標 的 粒 子 数 が 過 剰 量 存 在 す る 場 合 、 貪 食 率 は 約90% でplateauと な っ た 。 標 的 粒 子 数 が 適 当 量 の 場 合 、 貪 食 率 (P) はT/C ratio値 の 対 数 関 数 式 で 表 わ さ れ た (P=Kixlog(T/C ratio) + Kz,Ki,K2; 定 数 ) 。

  健 常 人 血 球 浮 遊 液 と 自 己 血 清 に よ る 検 討 で は 、Ph50は 血 清 量6.25 X―100%の 範 囲 で は 変 化 し な か っ た が 、 血 清 が 存 在 し な い 場 合 や 非 働 化 処 理 血 清 ( 56℃ 30分 ) で は Ph50が 高 く 貪 食 能 が 低 下 し た 。   全 血 のPh50は 、 健 常 人 群5.2土1.1(10) ( 平 均 土 標 準 偏 差 ( 検 討 数 ) ) よ り 、SLE例 群10.3士4.8(15) ,RA群8.3土2.3(5) が有 意に 高 く、 疾患 群 の 貪 食 能 の 低 下 が 示 さ れ た 。 ま た8名 のSLE患 者 に つ い て そ れ ぞ れ の 非 活 動 期 血 球 浮 遊 液 を 用 い 、 活 動 期 血 清 、 非 活 動 期 血 清 を 添 加 し Ph50を 調 べ る と 、7例 で は 活 動 期 血 清 の 添 加 に てPh50は 高 く 活 動 期 血 清 が 貪 食 能 を 低 下 さ せ る こ と が 示 さ れ た 。

  好 中 球 内 活 性 酸 素 と 刺 激PMA量 と の 関 係 で は 、 あ る 濃 度 以 上 のPMA 量 で 急 激 にDCF螢 光 強 度 が 増 加 し た が 、 そ れ 以 上 のPMA濃 度 で は 螢 光 強 度 は ほ と ん ど 変 化 せ ず 、 好 中 球 内 活 性 酸 素 は 一 好 中 球 単 位 でall− orーnone responseを 示 し たo

  採 血 後5時 間 室 温 放 置 (preincubation) し た 健 常 人 例 とSLE例 のPMA 刺 激 好 中 球 、 非 刺 激 好 中 球 の 螢 光 強 度 の histogramを 検 討 し た 。PMA

(3)

刺 激 好 中 球 で は 健 常 人 とSLE例 は 差 が な か っ た 。 非 刺 激 好 中 球 で は 、 健 常 人 は 単 峰 性 のhistogramを 呈 し た がSLE例 は 二 峰 性 のhistogramを 呈 し 、 活 性 酸 素 の 高 い 好 中 球 の subpopulationが 存 在 し た 。   採 血 か ら 測 定 ま で4−7時 間 室 温 放 置 (preincubation) し た 検 体 と 、 4℃ で 保 存 し た 検 体 の PMA刺 激 好 中 球 、 非 刺 激 好 中 球 の 活 性 酸 素 陽 性 好 中 球 の 割 合 を 健 常 人 、SLE群 、RA群 で 比 較 し た 。PMA刺 激 好 中 球 は 、 ど の 群 で も90X以 上 で 差 を 認 め な か っ た 。 非 刺 激 好 中 球 で は 、 健 常 人 群 、SLE群 、RA群 と も に 、 室 温 放 置 検 体 ( 健 常 人5.4土4.4% (10) ,SLE 11.6土12. O'X(19),RA  11.8土7.9%(17))が4℃保存検体(健常人0.7土 O.5X(9) ,SLE3.9土4.7X(19),RA3.7土5.5%(17))より有意に高値を 示 し 、preincubationで 活 性 酸 素 陽 性 好 中 球 の 増 加 を 認 め た 。4℃ 保 存 検 体 で は 、SLE群 ,RA群 が 健 常 人 群 よ り 有 意 に 高 値 を 示 し た 。   非 刺 激 の4℃ 保 存 検 体 の 活 性 酸 素 陽 性 好 中 球 は 、SLEで は 血 沈 (0.31

(19))(相関係数(検討数) )、抗核抗体(0.65(19))と正の相関、血清補 体価(−0. 47(19))と負の 相関を示し、RAではCRP(0.69(17))と正の相 関を示し、疾患活動性と相関し た。

1V考 案

   均一な粒子を用い、貪食率とT/C ratio とのkinetics を詳細に検討 できた。標的粒子が少ない場合は加えた標的粒子がほばすべて貪食 され、標的粒子が多いplateau 相での貪食率はtrigger area への好酸 球などの非貪食細胞の混入率を反映するため、貪食率50 %付近の対数 相 で の 検 討 が 有 用 と 思 わ れ 、 Ph50 値 を 定 義 し た 。    健常人と異なり、活動期SLE 血清の添加では貪食能が低下した。こ れは、熱非働化処理血清で健常人においても貪食能が低下したこと から、SLE での補体活性の低下や、血中免疫複合体の標的粒子との競 合 が 貪 食 能 が 低 下 さ せ る 要 因 で あ る 可 能 性 が 考 え ら れ た 。    今回の好中球1 個毎に細胞内 Hzoz をみる方法は、従来の活性酸素 の測定法と本質は異なるが、PMA 刺激好中球ではなく、非刺激好中球 の活性酸素陽性好中球においてSLE と健常人に有意差を認め、従来法 の報告に矛盾しなかった。本法は慢性肉芽腫症例の活性酸素生成能 の定性診断に利用されていたが、定量分析法としての基準はなかっ た。PMA 刺激でall ―or ‐none response を示し、SLE 例の非刺激好中球

78

(4)

は二峰性の螢光強度のhistogram を示すことから、平均螢光強度より 螢光強度が基準以上の活性酸素陽性好中球の陽性率が本法による活 性酸素測定法のよい指標と思われた。

   健常人と異なり疾患では室温放置によるpreincubation で多くの活 性酸素を産生した。これは好中球機能異常や血清中の刺激因子の存 在を示唆し、さらに臨床的な疾患活動性の指標との相関を認めたこ とからも、病態との密接な関係が考えられた。

V 結 語

  Flow cytometry により、種々の粒子濃度での貧食率の計測から統

計的にPh50 値を求める貧食能の測定や、DCF 螢光強度のhistogram の

解析による活性酸素陽性好中球の測定は、全血を用い分離精製処理

を省略でき、多数細胞を迅速に解析できるため、SLE の好中球機能の

解析に有用な手段と考えられた。

(5)

学位論文審査の要旨

学 位論文題名

Flow cytometryを 用いた 全身性エ リテマ トーデス患者     の 好中球機 能の研究

  全 身性エリ テマト ーデス(SLE)では 、貪食能 の低下 による易 感染性、免疫 複 合体のク リアラ ンスの低 下、好中 球活性酸素による組織障害ナょどの好中 球 機 能 障害 が 存在 すること は知ら れている が、確 立された 測定法 はなく、

従 来 ほ と ん ど 病 態 と の 関 係 が 解 析 さ れ て い な か っ た 。 今回 、 申 請者 は flow cytometryを 利用 し 、 螢光 粒 子 に よる 貪食能 、dichlorof luoresein (DCF) に よ る好 中球内 活性酸 素の定量 解析法 を、主に 全血法に て検討 し、

SLE患者の好中球機能と病態との関係を解析した。

  その結果、

(1)前 方、側方散乱のcytogramでは、貪食現象により単球群と好中球群の側 方 散乱が増 加し、 螢光強度 は貪食し た粒子 数を表わ す多峰 性のhistogramを 示した。

(2)貪食率とT/C(target particles/phagocytes) ratioの関係では、標的粒 子 の少ない 場合、 貪食率はT/C ratio値 に正比例 し、標 的粒子数が過剰量存 在 す る 場合 、 貪食 率は約90%でplateauとぬ った。標 的粒子数 が適当 量の場 合 、貪食率 はT/C ratio値の対数 関数式 で表わさ れた。 以上の観察より好中 球 の50Xが 貪 食し たときのT/C ratio値 をPh50値と 定義し、 貪食能 の指標と して以下の検討に用いた。

(3)全 血では、健常人よりSLE群、慢性関節リウマチ(RA)群の貪食能の低下 が示された。

(4)患 者の非活 動期血 球浮遊液 を用い、同じ患者の治療経過中の‑70℃凍結 血 清 を 添加 し た検 討では、 活動性 の高い時 期の血 清が活動 性の改 善した時 期 の 血 清よ り 貪食 能を障害 し、治 療による 活動性 の改善に 従って 、血清が 貪食能に与える影響も改善することを示した。

80

一 則

昌 和

川 江

   

   

中 小

授 授

教 教

査 査

主 副

(6)

(5)貪食能は血清量依存を示さなかったが、血清をまったく除いた場合や 56℃30分 の 熱 非 働 化 処 理 に よ り 貪 食 能 が 著 明 に 障 害 さ れ た 。

(6)好中球内活性酸素と刺激PMA量との関係では、ある濃度以上のPMA量で急 激にDCF螢光強度が増加したが、それ以上のPMA濃度では螢光強度はほとん ど 変 化 せ ず 、 一 好 中 球 単 位 でall−or―none responseを 示し た 。

(7)このDCF螢光強度による検討では、PMA刺激好中球は健常人とSLE例は差 を示さナょかったが、SLE例の非刺激好中球は二峰性のhistogramを呈し、活 性 酸 素 陽 性 好 中 球 の subpopulationの 存 在 が 示 さ れ た 。

(8)この活性酸素陽性好中球はSLE群、RA群において健常人群より有意に高 率に認められ、疾患活動性を示す血清補体価や炎症反応などの臨床検査と の相関を認めた。

(9)室温放置や37℃恒温槽でのpreincubation処理では、4℃保存検体に比 べSLEの活性酸素陽性好中球は増加した。

  以上の結果、

  SLEにおける貪食能の低下は、活動期SLE血清中にその要因があり、健常 人の熱非働化処理血清による貪食能の障害から、SLEで認められる血清補体 の活性低下や、流血中の血中免疫複合体の標的粒子との競合が要因として 考えられた。

  SLEの活性酸素陽性好中球の増加は、好中球機能異常や血清中の刺激因子 の存在を示唆し、さらに臨床的な疾患活動性の指標と相関を認め、血管炎 や組織障害など病態との密接な関係が考えられた。

  またflow cytometryによるこれらの好中球機能の測定は、全血を用い分 離精製処理を簡略化し、多数細胞を迅速に正確に解析できるため、SLEの好 中球機能の解析にも有用な手段となるものと考えた。

  試問に際し、

  小野江教授より一好中球あたりの貪食粒子数の意義やレセプターと貪食 能の関係、血中免疫複合体と貧食能の関係にっいての質問、松本教授より 好中球の活性酸素陽性好中球のsubpopulationにっいての質問、膠原病の非 刺激好中球での活性酸素陽性好中球と細菌感染時の活性酸素陽性好中球と の比較、好中球数と貪食能の関係にっいての質問、阿部教授より単球と好 中球の比率と貪食能の関係にっいて質問・意見があったが、申請者は概ね 適切な答弁をした。

  以 上 に よ り 、 本 論 文 は 学 位 授 与 に 値 す る も の と 判 定 し た 。

参照

関連したドキュメント

これに根からのクエン酸放出が関わっていることが示された。 Ac ロc 血m ロngmm の根では、高 濃度の培地AI により何らかのAl キレート物質の放出が誘導され、

   石川教授から,ベプチドの放射標識に1231 及び 1251 を用いた理由を問われ,1231 及び1251 の半減 期 はそ れぞれ約 13 時間及

   精製MBP をFreund complete adjuvant と共にウサギの膝蓋窩リンパ節に直接免疫し、polyclonal 抗体を作製し

  2 . ぐ刺 激によ るACh 遊 離反 応に 対するオピオイド受容体作動薬ならびに拮抗薬の影 響(1 )K 十刺激による´丶Ch 遊離反応は、morphinelpM 投与群ならびに10 いM 投与群におい て

BI014.6 は 20 週,30 週ともFlb に比し大きく有意差を認めた。心筋湿性重量に対するコラ―ゲ ン量は, BI053 .58 では 11

   以上の発表に際し斎藤秀哉教授より 4 点質問を受け回答した。(1 )少量PCP によるDA 放出抑 制が精神症状に っながるのか,

   本研究ではこのGST 分子種(GST ―P) に着目し, 大腸菌への遺伝子導入により 本酵素を発 現さ せた recomblnant GST −P を精製の試料とし た。精製GST

   第3 章では,珪質泥岩層に地すべりが多発する原因を解明するために,珪質泥岩層の堆積構造の成因を分