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博士(医学)渡部直巳 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)渡部直巳 学位論文題名

Staining pattern of type IV collagen and prognosis     1n early stage adenocarclnoma of the lung

(早期肺腺癌における|V型コラーゲンの染色性と予後との関連に関する研究)

学位論文内容の要旨

I研 究 目 的

  肺腺癌はノ,,I三々増加しているが、その病理学的、生物学的特性は十 分 に 明 ら か に さ れ て は い な い 。 現 時 点 に お い て もTNM分 類 が 最 良 の 予後推定因子である。

  し か し な が ら 、 肺 腺 癌 が 術 後 病 理 病j瑚 でI期 と 診 断 さ れ た り 、末 梢 に 限 局 性 に 存 在 し て い て も 、 術 後 に 再 発 や 転 移 を 来 す こ と を しば しば 経 験 す る 。 こ の 事 実 は 、 手術 ‖ キ す で に 微 小 転 移 が 存在 し て い た ためと考えられる。

  基底膜は臓器実質%川胞と|川質ネ刪包とを分ける,I‖胞外マトリックス のー つで あり 、癌 ネ01胞 が浸fl瑚 転移 をする にあ たっ ては基 底膜 の破 壊 が そ の 第1段 階 と な る 。 っ ま り 、 基 底 膜 が 保 た れ て い る か 、 破 壊 さ れてい るか をみ るこ とによ って 手術tl寄の 微小転移の有.』lが推定でき ると考えられる。

    そ こ で 筆 者 ら は 、 基 底 膜 の 主 要 構 成 成 分 の ひ と っ で あ るIV型コ ラー ゲ ン の 免 疫 糸u織 染 色 を 用い て 、 早j剄 肺 腺 癌 に お け る基 底 膜 の 状 態 ( 連 続 性 に 保 存 さ れ て い る か 、 破 壊 さ れ て い る か ) を 観 察 し 患者 の予後との関連を検討した。

II対 象 と 方 法

  1970年 か ら 1986年 ま で に 北 海 道 大 学 医 学 部 第1内 科 に 入 院 し 、 外 科 的 に 切 除 さ れ た 術 後 病 理 病j蜘I、nlgjの 早 ! 蜘 肺 腺 癌30症 例 ( 男 性l 3例 、 女 性 17例 平 均 年 齢 54.9歳 ) を 対 象 と し た 。 そ の 30例 の 内 訳 は

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術 後 病 理 病 刈I刈 の 肺 腺 癌 が24例 、n期 が6例 で あ っ た 。IV型 コ ラ ー ゲ ン の 免 疫染 色 は 以 下 の 様 にお こ な っ た 。10% ホル マ リ ンで固 定し 、/ヾ ラ フ イ ン で包 埋 し た 糾織 より4〃mの 切片 を作製 した 。先ず 最初 にへマ トキ シ リ ン , エオ ジ ン 染 色に て病 理組織 学的 に検討 した 後、同 部位 の組織 標本 を 使 用 し た 。 対 象 切 片 を キ シ レ ン ( 各10分 間 、2回 ) で 脱 バ ラ フ イ ン後 、 段 階 的 アル コ ー ル 、PBSで 加 水 処 理 し、O.OIN HCI加0.4%ベ プシン で37℃ 120分 剛 で 抗 原 性 の 賦 活 化 を お こ な い 、3%H202(10分 間 ) に て 内 凶 性ベ ルオ キシダ ーゼ を抑制 した 。

  1次 抗 体 と し て 、 ウサ ギ 抗 ヒ トIV型 コラ ー ゲ ン 抗 体(Adovance社 )を 用 い て4℃ 、1昼 夜 反 応 さ せ た 。2次 抗 体 と し て ビ オ チ ン 化 抗 ウ サ ギ 免疫 グ ロ ブ リ ンと30分 問 反 応 さ せPBSで 洗 浄し 、 酵 素 結 合 スト レブ トアビ ジン で 30分 聞 反 応 後 、H202添 加 ジ アミ ノ ベ ン チ ジ ン ー4HC1で 発 色 さ せ 、 ヘマ ト キ シ リ ンで 核 染 色 した 。陰 性コン ト口 ールと して1次抗 体の代 わり にPBS、 ウサ ギ血 清を使 用し た。

  生 存 曲線 はKaplan‑Meier法によ って 表わし 、生 存曲線 の有 意差検 定に は generalized Wilcoxon testによった。5%以下の危険率を持って統計学的有 意差 あり と判定 した 。

III結果

  同 一 標本 内の 正常肺 組織 におい て、 肺胞基 底膜 、血管 基底 膜、気 管支 腺 の基 底 膜な どの すべて の正 常基底 膜はIV型コ ラー ゲンに よる 免疫染 色に よ って 、 強く かつ 断裂な く連 続性に 染色 された 。肺 腺癒組 織内 の基底 膜の 染 色性 は 連続 性に 極めて よく 保存さ れて いるも の、 ごく一 部断 裂して いる も の、 高 度に 断裂 してい るも の、IV型コ ラーゲ ンが 消失し てい るもの に別 れ た。 そ こ で 筆 者 ら は、1V型 コ ラ ー ゲ ンの 染 色性を 以下 の2群 に分類 した 。 IV型 コ ラー ゲン が極め てよ く保存 され ている か、 所々断 裂し ていて もそ の 断 裂 が 標 本 癌 病 巣 中 の10% 以 内 ま で の 群 をContinuous pattern( 以 下C 群 と す る )、1V型 コ ラ ー ゲ ンが 消 失 し て い る か、 標 本 癌 病 巣 中 の10% 以 上 ( 多 く は80% 以 上 の 範 囲 で断 裂 し て い る ) の範 囲 でIV型 コ ラ ー ゲン が 大きく断裂している群をDiscontinuous patte'rn(以下D群とする)とした。

  臨 床 病 期 エ 期24例 中 、C群 、D群 は 共 に12例 (50%)で あ っ た 。 臨 床 病期u期6例中、C群は1例(16.7%)のみであった。

  I期24例 とH期6例 の 比 較 で は 、 統 計 学 的 有 意 差 は な い も の のI期 の

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方 が 五 年 生 存 率 で み て 予 後 良 好 で あ っ た ( 65% vs17% ) 。   臨 床 病 期 I期 24例 に 限 っ て み た 場 合 、C群 12例 は D群 12例 に 比 べ て 有 意 に 予 後 良 好 で あ っ た ( 88% vs 20.5%: P<0.05) 。   興 味 あ る こ と に 、 臨 床 病 期 エ 期 で か つD群 で あ る12例 の 生 存 曲 線 は 臨 床 病 期 H期 6例 の 生 存 曲 線 と 極 め て よ く 類 似 し て い た 。

IV考 案

  肺 腺 癌 に お い て 、TNM分 類 が 最 良 の 予 後 推 定 | 因 予 で あ る こ と は 今 日 に お いても 変わらない が、残念な がらl:rX,床 病j叨Ij蜘 と診断された肺腺癇でさ,え、

そ の54t. 三 生 存 半 は60ー70% に 過 ぎ な い 。 っ ま り 、TNM分 類 で は 推 定 で き な い 予 後 因 予 が あ る と 考 え ら れ る 。 こ れ ま で に も 、TNM分 類 以 外 の 予 後 推 定 因 子 が い く っ か 報 告 さ れ て い る が 泱 め 手 と な る 因 子 は な い 。   痂の浸ilvJ iILi,移はその予後を規定する最火の因子であり、基底膜が癌糸III)Ydに よ っ て 破 壊 さ れ 、 問 質 に 痂糸I‖ 胞が 侵 入し 、 転移 を 来す が 、そ の 第1段 階 が基 底 膜の 破 壊で あ る。 近 イ1こ 、 人腸 癇 や勝 胱 痂に お いて 、 基底 膜 の状 態が述続 性 に よ く 保 た れ て い る も の は 予 後 が 良 い と 報 告 さ れ お り 、 肺 癌 に お い て も い く っ か の 報 告 が あ る が 、 早 lUi)JiliJJ泉 癌 に し ぼ っ た 報 告 は な い 。   筆者ら の今lI ilの 研究で、最も重要で興味深いことiよ、同じ|臨床病J川IJ蜘で あ り な が ら 、 基 底 膜 が 迎 続 性 に 強 く 発 現 し た12例 は 、 基 底 膜 が 破 壊 さ れ 、 消 失 な い し 非 辿 続 性 に 発 現 し た12例 に 比 べ て 有 意 に 予 後 が 良 か っ た こ と で あ り、 さらにこ の非迎続群 の生存‖‖ 線が臨床病j剄IIj明の6例の生存lJLI線 と極 め て よ く 類 似 し て い た こ と で あ る 。 っ ま り 、 臨 床 病j蜘I期 の 基 底 膜 非 迎 続 性 群 は 手 術 時 す で に 、 病 塑u学 的 に 袵 認 で き な か っ た 微 小転 移 を来 し てい た もの とj他 定 され た 。こ の 基 底膜 の 染色 性 は腫 瘍 糾織 内 にお け る癌xllI胞の 基底膜の 竹 成成 分 の産 生 と、 癌 ネlll胞山 来 の幾 っ かの 蛋 白分 解 酵素 に よ る基 底膜の破壊 と ぃう2つの 剃.|反す る作′‖の 結果であり 、基底膜が 非迚続性に 染色される こ と は、 基 底膜 を 破壊 す る蛋 白 分 解酵 素 の発 現 が強 い 、高 転 移能 の 癌ネlII胞であ ることを示していると考えられた。

V結 語

  I)め 肺 腺 癇 に お い て 、IV型 コ ラ ー ゲ ン の 染 色 状 態 に よ り 、 微 小 転 移 を 推 測 する ことが 川.能であ り、これは 新たな予後 推定区I子に成りう ると考えら れた。

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Staining pattern of type nr collagen and prognosis     1n early stage adenocarclnoma of the lung

( 早 期肺 腺 癌 におけるIV型コラー ゲンの染 色性と予 後との関 連に関す る研究)

  【 研究 目 的】 肺 腺 癌は 年 々 増加 し ているが 、その病 理学的、 生物学的 特 性 は 十 分に 明 らか に さ れて は ぃな い 。 現時 点 に おい て もTNM分 類 が最良 の 予 後 推 定因 子 では あ る が、 肺 腺癌 が 術 後病 理 病 期でI期 と 診断 さ れた り、

末 梢 に 限局 性 に存 在 し てい て も、 術 後に再 発や転移 を来すこ とをしば しば 経 験 す る。 こ の事 実 は 、手 術 時す で に微小 転移が存 在してい たためと 考え られる。

  基 底膜 は 臓器 実 質 細胞 と 問 質細 胞 とを分け る細胞外 マトリッ クスのー つ で あ り 、癌 細 胞が 浸 潤 転移 を する に あ たっ て は 基底 膜 の破 壊 が その 第1 階 と な る。 っ まり 、 基 底膜 が 保た れ ている か、破壊 されてい るかをみ るこ と に よ っ て 手 術 時 の 微 小 転 移 の 有 無 が 推 定 で き る と 考 え ら れ る 。   本 論文 は 、基 底 膜 の主 要 構 成成 分 のひとつ であるIV型 コラーゲ ンの免疫 組 織 染 色を 用 いて 、 早 期肺 腺 癌に お ける基 底膜の状 態(連続 性に保存 され て い る か、 破 壊さ れ て いる か )を 観 察し患 者の予後 との関連 を検討し た。

  【 対 象 と 方 法 】1970年 か ら 1986年 ま で に 北 海 道 大 学 医 学 部 第1 内 科 に 入 院 し 、 外 科 的 に 切 除 さ れ た 術 後 病 理 病 期Iu期の 早 期 肺腺 癌3 O症 例 を 対 象 と し た ( 病 理 病 期I 24例 、H6例 ) 。I型 コ ラ ー ゲ ン の 染 色 は、 通 常の ホ ル マ1Jン 固定 バ ラフイン 包埋切片 を用い、 ビオチン ・ ス ト レ ブ ト ア ビ ジ ン 法 に よ る 免疫 組 織染 色 で おこ な った 。 生 存曲 線 は 、 KaDlan‑Meier法 に よっ て 表 わし 、 生存 曲 線 の有 意 差 検定 に はgeneralized

¥Arrilcoxori testによった。5%以下の危険率を持って統計学的有意差ありと 判定した。

    【 結果】同 一標本内 の正常肺 組織におい て、肺胞 基底膜、血管基底膜、

気 管支腺の 基底膜な どのすべ ての正常基 底膜はIV型 コラーゲンによる免疫染

和康 顕 義富 上山 畠 川小 北 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(5)

色によって、強くかつ断裂なく連続性に染色された。肺腺癌内におけるW型 コラーゲンの染色性は不均一であり、ごく一部断裂しているもの、高度に断 裂しているもの、n 型コラーゲンが全く消失しているものに別れた。以上か らN型コラーゲンの染色性を以下の2群に分類した。n゛型コラーゲンが極め てよく保存されているか、所々断裂していてもその断裂が標本癌病巣中のl O%以内までの群をContinuousDattern(以下C群)、n′型コラーゲンが消失 している か、標本癌 病巣中の10%以上(多くは80%以上の範囲で断裂し ている)の範囲でn゛型コラーゲンが大きく断裂している群をDiscontinuous Dattern(以下D群)とした。

  病 理 病 期I期24例 中 、C群 、D群 は共 に12例 で あっ た 。病 理 病期u期 6例中、C群は1例のみであったっ

  I期24例 とu期6例の比 較でiま、統計学的有意差はないもののエ期の方 が 五 年 生 存 率 で み て 予 後 良 好 で あ っ た ( 65% vs17% ) 。   病 理 病 期I期24例 に 限 っ て み た 場 合 、C群12例 はD群12例 に比 べ て 有意に予後良好であった(88%vs 20.5%:P<O.05)。興味あることに、病理 病 期I期 でか つD群 である12例の 生存曲線は 病理病期n期6例の生存曲 線 と極めてよく類似していた。

    【結論ならぴに結語】本研究によって、病理病期I期肺腺癌を、IV型コ ラーゲンの染色性から基底膜の状態(保存されているか、破壊されているか)

を観察することにより2群に分けることができ、手術時にすでに存在してい たと考えられる微小転移を推測することが可能となった。病理病期I期肺腺 癌の術後の経過観察をするうえで、極めて有用な臨床情報をもとらすものと 考えた。

  口答発表にあたり、小山(富)教授よめ、I〜m型コラーゲンの染色状態 や血管新生と基底膜の関連について、北畠教授より、他の基底膜構成成分(ラ ミニン等)の染色状態についてそれぞれ質問があった;申請者は概ね妥当に 答えたと思う。

  また、小山(富〕教授、北畠教授より個別に審査を受け、含洛との御返事 をいただいている。

  基底膜の状態を観察することで、病理病期I期肺腺癌の微小転移を推測可 能であるニとを示したことは意義あるものと考えられ、よって本論文は博士

(医学)に相当すろものと認めたっ

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