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博 士 ( 医 学 ) 櫻 谷 文 香 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 医 学 ) 櫻 谷 文 香

学 位 論 文 題 名

静 脈麻酔 薬プロポ フオー ルのモ ルモッ ト心筋細胞における 陰 性変力作 用の検討

学 位 論 文 内 容 の 要旨

  静脈麻酔薬として,1990年代後半から国内で広く使用されるようになったプロポフオーリレ(2,6 chisopropylphenoDは ,臨未 使用時,特に麻酔導入時など急速静脈内投与をした際に,著明な循環 抑制を 来すこ とが知ら れてい る.主 な原因 は酎制 巾制および血管拡張とされているが,そのうち

´凵務抑制については,様々な動物種の´凶務細胞を用いた基礎顛に韜いて,そのメカニズムの解 明が進められてきた.本研究ではモルモットの´醐麟i鉢:を用い,プロポフオーッレの心筋陰陸変力 作用の機序について,系統的な検討を行なった.

  初めに,1Hヒで電気的に駆動したモルモット右室乳頭筋楞鉢:を用い,プロポフオーッレを投与し て等尺 性張カ を測定し た.プ ロポフオーリレを低濃度より累積讎に(1ザ‐6x104M)投与すると,

濃度依 存性に 陰性変力 作用が 惹起さ れた. その有 意な収縮力抑嗣作用は10心甌1.8嵋ABり以上の 濃度 で 得 ら れ,ICあ 値は124脚 であっ た,臨床 上箆用 される プロポ フオー ルの血 中濃度 は,通 常19123州の 範囲と されて おり,この結果は,プロポフオーッWま臨床用量で´C゛収縮力抑制を起 こし得ることを示唆する.しかし,実際プロポフオーツWまその950/ム以上が血漿アルブミンと結合 してい るため ,今回の ように 薬物活 性を示 す遊嚮 型が1鵬 伍止未 満とな る場合には,直接的な心 筋抑 制 作 用 は, あ ま り 影響 し ない と思わ れる. 比較対 照として 用いたCヂチャ ネルブ ロッカ ー である ニフェ ジピンも ,1ゲ‐1ずMの 累積的投 与で濃 度放存 陛の陰 性変力 作用を示した,ニフェ ジピン のIC5D値は221心江で あり, プロポ フオー ルの効 カは, ニフェ ジピンよりはるかに低かっ たが,両者の陰性変力作用の特性は非常に類似していた.

  同様に 摘出羽 頭筋曝 本を用 い,プロ ポフオ ーリレ のIC釦値 に近似 した100uMを前投与して,陽 性変力 作用薬 に対する 影響を 調べた.B受容体アゴニストのイソプロテレノーッレによる,低濃度 でのみ 惹起さ れた陽性 変力作 用は,プロポフオーリレ存在下で有意に減弱した,一方Ca2+感受性 増 強 薬 のD江D57033の 陽 性 変 力 作 用 は , 有 意 な鰡 を 受 け なか っ た . またCPチャ ネ ノ レ アゴ ニストのBヴK8644の陽性変力作用を示した濃度反応曲線は,有意に右下方に移動し(Pく0.01),

プロポフオールヰこよりその作用が減弱した,それ′ぞれの陽性変力作用薬に対して,ニフェジピン のI〔為値に近似した30nMを投,与した甥合も,プロポフオー′レと同様の縦課カミ得られ´ナこ.

  第2の実 験とし て,モ ル^モ ット左 室肉柱線 維をB℃sc血で化学的に処理したスキンドファイバ ーを 用 い , 各Cヂ濃 度 に お ける 張 カ と の関 係 に つ いて 調 べ た .pQ一 張 力曲 線 は ,コン トロー ノレとプロポフオーゾレl00トlM存在下で殆ど差はなく,び〓鏑値は,Hmの式からそれ′ぞ加ー5.56, 5.57と求められ´た,また同様に得られァたpQ獅値は,プロポフオーッレ200uM存在下では5.50,

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ニ フ ェ ジ ピ ン30 nM存 在 下 で も5.61で あ り , い ず れ も 非 薬 物 存 荏 下 で の ヰ ユ め 値 と 変 わ ら ず , Cオ 感 受 は こ 影 響 を 与 え な か っ た , 今 回 モル モ ッ ト の 標本 に お い て ,プ ロ ポ フ オ ーリ レ の 筋 フ ィ ラ メ ン ト のCヂ 磁 緩 性 に 対 す る 効 果 が な か っ た こ と は , 前 述 のCヂ 感 受 性 増 強 薬EMD57033の 陽 性 変 力 作 用 に , プ ロ ポ フ オ ー ッ レ が 有 意 な 影 響 を 与 え な い こ と か ら も 支 持 さ れ る .   第3の 実 験 は ,モ ノ レ モ ッ トの 摘 出 ´ 己臓 をラン ゲンド ンレフ 装置で 潅流 し,コ ラゲナ ーゼ処 理に よ り 単 離 し た , 左 室 心 筋 細 胞 を 用 い て 行 な っ た , ´ 凵 潟 細 胞 をMか1AMでloadし ,O.5Hヒ で 電 気 的 に 駆 動 し て 測 光 し た 細 胞 内Cオ 濃 度 の1邑 性 ヒ 昇 儲H胞 内aト ラ ン ジ ェ ン ト ) と 細 胞 長 の 短 縮 に 対 す る , プ ロ ポ フ オ ー ル の 影 響 を 記 録 し た . プ ロ ポ フ オ ツ レloo心 鼾 薙 下 で , 細 胞 内C2+ ト ラ ン ジ ェ ン ト と 細 胞 長 の 短 縮 率 は , そ 加 ぞ れ 並 行 に 減 少 し た . ま た ニ フ ェ ジ ピ ン30nM存 庄 下 で も 同 様 の 減 少 が 見 ら れ , プ ロ ポ フ オ ー ッ レ , ニ フ ェ ジ ピ ン と も細 胞 内C2十減 少 と 同 調 して , 単離 嶐蟄臨 細胞の 収縮 カを減 弱させ た.

  第4の 実 験 と して , 同 じ く 単離 し た 左 室 心鬱 鋳 田 胞 を 用 い, ノ く ッ チ クラ ン プ 法 の電 圧固定 モー ド で 膜 電 位 を ィOか ら 十10n1Vに200mscc脱 彡 遡 さ せ , プ ロ ポ フ オ ー ル に よ るL型 カ ル シ ウ ム 電 流Ocめ の 変 化 を 測 定 し た ,I血 は , プ ロ ポ フ オ ー ル1ず ‐104Mで 濃 度 依 存 出 洲 さ れ , Hmの 式 よ り 計 算 さ れ た 嚇 値 は9.8叫 で あ っ た .kは 高 濃 度 ニ フ ェ ジ ピ ン (4mで 完 全 に 消 失 し た . プ ロ ポ フ オ ツ レ の ,k虹 を 減少 さ せ るIC50値9.8HMは ,´ 醐 荊 又 縮 カ を抑 制 す るIC釦 値 で あ る124叫 の1/13と い う 低 い 濃 度 で あ っ た , こ の こ と か ら ,k減 少 に よ る 陰 性 変 力 作 用 に対 し,拮 抗的に 作用 するメ カニズ ムの存 庄が 推察さ れた.

  そ こ で 今 度 は 単 離 ´ い 筋 糸 田 胞 の 遅 延 整 統 カ リ ウ ム 電 流 ( 恥 を , 膜 電 位 を ―30か ら 十30mVに 30001nsoc脱 分 極 き せ た 条f牛 下 で 測 定 し た . プ ロ ポ フ オ ー ル100uM存 荏 下 で , 匂d電 流 の ピ ー ク に 対 す る 効 果 は 約50% 抑 制 さ れ た ,k拮 抗 薬 で あ るB4031存 荏 下 に お い て も , プ ロ ポ フ オ ー ル100HMはt砠 電 流 を 約50% 減 少 さ せ た . プ ロ ポ フ オ ー ッ レ で 抑 制 き れ な か っ たIKは , k拮 お ! 渫 で あ る293Bの 投 与 に よ り , ほ ば 消 失 し た . 以 上 よ り , プ ロ ポ フ オ ー リ レ はk抑 制 と と も にIKを 有 意 に 抑 制 し , そ れ はIKの う ちkを 選 択 的 | 昂 綿0す る こ と が 示 唆 さ れ た .   ま た パ ッ チ ク ラ ン プ 法 の 電 流 固 定 モー ド を 用 い ,0.1Hヒ で電 気 的 に 駆 動し て , プ ロ ポ フォ ー ル に よ る活 動 電 位 の 波 形変 化 を 記 録 した , 活 動 電 位の 持 締 博 聞G゜ め ) は , プロ ポ フ オ ール1ザ−3x104 Mの 投 与 に よ り , 濃 度 依 存 陸 に 短 縮 さ れ た. し か し 静 止膜 電 巌 や 活 動電 位 高 に は ,有 意 な 変 化 は 見 ら れ な か っ た , こ の 心 め の 短 縮 は , プ ロ ポ フ オ ー ル のIb乢 抑 制 作用 に よ る も ので あ る と 推 察さ れ る , 先 の 結 果 と 合 わ せ る と , 」 伽 を 延 長 さ せ る 方 向 に 働 くk抑 制 作 用 は ,Iむ 抑 制 作 用 に 拮 抗 す る も の の , 高 濃 度 の プ ロ ポ フ オ ー ル で は ,k圸 抑 制 作 用 の 方 が 有 効 で あ る と 考 え ら れ た .   以上 の結 果から ,.;Eッ レモッ トのJい筋標本において,静朋垪活≠薬プロポフオーゾレは主に1&Lを抑 制 す る こ と で , ´ 闘 潟 幽 生 変 力 作 用 を 示 す こ と が 明 ら か と な っ た .し か し プ ロ ポフ オ ー リWi自 身 が も っ そ の 作 澗 に 拮 抗 し た ,APDを 延 長 さ せ るk抑 制 作 澗 も 有 す る た め , 陰 性 変 力 作 澗 発 規 に は 高 い 濃 度 が 必 要 で あ っ た 。 実 際 の 臨 床 投 与 量 か ら み る と , 薬 物 活性 の あ る 遊 離型 プ ロ ポ フ オ ー ル の 濃度 は は る か に 低い こ と か ら ,プ ロ ポ フ オ ーッ レ に よ る 直接的 な´醐 荊珂 刷作用 は,臨 床出骸JJ な影 響は与 えない と結 諭され る,

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学位論文 審査の要旨

学 位 論 文 題 名

静脈麻酔薬プロポフオールのモルモット心筋細胞における 陰性変力作用の検討

  臨床 蜘時に著明な循環抑制を来 すこともある静脈麻酔薬プロ ポフオー‑JrArこついて、本研究で は モル モ ット のJ醐鮴を用い、プロポフ オールの´醐鎌帥生変力作 用の機序にっいて、系統的な 検討を 行なった。

  右室 孚嗄酳鮴を用いた等尺性張 カの測定では、プロポフオー ッレにより濃度依存陸に陰 陸変力 作 用が 惹 起さ れ、 そのIC50値 は124 pMであ っ た。 比較 対照 とし て 用い たC2十チ ャネ ル 結抗薬 で ある ニ フェ ジピ ンも 、濃 度 依存 陸の 陰性 変 力作 用を 示し 伍ふ 値 は22nM) 、そ の効 カ はプロ ポ フオ ー ノレ より はる かに 高 かっ たが 、両 者 の陰 性変 力作 用の 特 性は 非常 に類 似し て いた。

  プロ ポフオーリレを前投与して 、陽性変力作用薬に対する影 響を調べると、B受容体アゴニスト のイソ プロテレノーリレによる、 低濃度でのみ惹起された陽性変力作用は、有意に減弱した。一方 Ca2+ 感 受 性 噌 強 薬 のEMD57033の 陽 性 変 力 作 用 は、 有 意な 影響 を受 けな か った 。ま たCヂチ ヤ ネル ア ゴニ スト のBぢK8644の陽 性変 力作 用 を示 した 濃度 反応 曲 線は 、有 意に 右下 方 に移動 した。そ加′ぞれァの陽性変力作用薬に対して、ニフェジピンを投与した場合も、同様の結果が得ら れ 、 プ ロ ポ フ オ ー リ Wま ( ニFチ ャ ネ ル の 抑 制 作 用 が あ る と 考 え ら れ た 。   左室 肉柱スキンドファイノくーにおいて、pCa一張力曲線は、コントロー・ルとプロポフオール存 在下で 殆と差はたく、ヰ江50値は それぞれ5.56、5.57と求め られた。また、同様に得られたpC5 値 はニ フ ェジ ピン 存在下でも5.61であ った。また左室´贓胞にお いて、プロポフオーリレ諮よ び ニ フ ェ ジ ピ ン 存 在 下 で、 細胞 内aトラ ンジ ェ ント と細 胞長 の 短縮 率は 、そ れぞ . れ齢 に減 少し、 単離醒勤赫田胞の収縮カを 減弱させた。これらを合わせると、プロポフオッレは、(:オ感 受性に 影響を与えないことが示唆 された。

  左室 心筋細胞のL型カルシウム電 流00めは、プロポフオーッ レぐ濃度依存陸に抑制され、I〔為 値 は918uMであ っ た。 遅延 整流 カリ ウ ム電 流( 噛で は、 プ ロポ フオ ーッレ存庄下で、td電流の ピ ー ク に 対 す る 効 果 が 約50% 抑 制 さ れ た 。k拮 抗薬 で あるE4031存 庄下 にお いて も 、. プロ ポ フ オ ー ル はtd電 流 を 約50% 減 少 さ せ た 。 プ ロ ポ フオ `ッ レ で抑 制さ れな かっ たkは、k拮 抗 薬で あ る293Bの 投与 によ り ほぼ 消失 した ため 、IKの うちIKsを選 択的に抑制す ることが示唆 さ れた 。

    ―4411

二 哲

裕  

  裕

本 藤

森 丸

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

  活動電位の波形言已録では、活動電位の持続時間(APD)は、プロポフオッレにより濃度依存陸に短 縮された。このAPDの短陪は、プロポフォーッレのICt¥L抑制作用によるものであると推察される。

先の結 果と合 わせると 、APDを 延長さ せる方向 に働くIKs抑制 作用は,ICa,L抑制作用に拮抗する も の の 、 高 濃 度 の プ ロ ポ フ オ ツ レ で は 、IC4L抑 制 作 用 の 方 が 有 効 で あ る と 考 え ら れ た   以印り結果から、モルモットの´b筋標本において、プロポフオーッWま主にIC4Lを抑制し、´い筋 陰性変 力作用 を示す ことが 明らか となっ たしか しその 作用に拮 抗した 、´6め を延長 させるk抑 制作用 もまた 有するた め、陰 性変力 作用発 現には高い濃度が必要であった。実際の臨床投与量か らみる と、薬 物活性の ある遊 離型プ ロポフ オールの濃度ははるかに低いことから、プロポフオー ル ヰ こ よ る 直 接 的 な 心 筋 抑 制 作 用 は 、 臨 床 剛 な 影 響 は 与 え な い と 結 諭 さ れ 也   学 位 論 文 内 容 の 公 開 賊 は 、 平 成19年2月5日 午 前lO時10分 よ り 医学 郁 臨 床 大講 堂 に お い て行われた。発表後、聶崎の筒井裕之教授から、プロポフオーリ1/の循環抑制のうち由.管拡張作用 を示す 血中濃 度につい て、I叫抑制と´凵務抑制作用の有効濃度差の説明について質問があった。

次いで 副査の 丸藤哲教 授めゝ ら、低 濃度で のイソプロテレノーッレとB価57033におけるプロポフ オー/Mこ よる陽 性懲£ り作澗 の減弱の 性繊、 筋り滑餅ヰのCF放出^の作澗、虚血心´、の作用に ついて 等の質 問があっ た。最 後に主 査の森 本硲二教授から、臨床飽用時における、特に老人で見 られる徐朋覡象との関連、プロポフオーゾレの直接と間接の作澗にっいて等の質問があった。いず れの質 問に対 しても、 申講者 は過去 の報告 や参考論文等を引用し、臨床的経験などから推測され る結果をもって匝I答した。

  審 査 員 一同 は こ れ らの 成 果 を 評価 し 、 大 学院 課 程に おける 研鑚や 鬩繖など も併せ 、申請 者 カ粃(医学うの学位を受けるのに資格を有するものと判定した。

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参照