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中学生の漢字習得に関する研究

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(1)

国立国語研究所学術情報リポジトリ

中学生の漢字習得に関する研究

著者 国立国語研究所

発行年月日 1971‑03‑30

シリーズ 国立国語研究所報告 ; 36

URL http://doi.org/10.15084/00001292

(2)

国立国語研究所報告36

中学生の

  国立国語研究所

秀英出版

(3)

The National Language Research lnstitute

         Research Report XXXVI

RESEARCH ON THE ACQUIREMENT OF CHINESE

 CHARACTERS B Y MiDDLE SCHOOL STUDENTS

A report of three consecutive years number of characters, and the way during three years of rniddle school.

research on the kinds of characters, the of learning them by the same students

 III

III

IV

v

      Contents

Outline of the Research.

Research on the Realities of Learning Chinese Characters.

Research on the Basic Factors of Learning Chinese Characters.

A Case Study−Acquirement of Chinese Characters by One Girl Student during Her Three Years  Course.

Invest.igation into the Realities o/f Guidance in Learning Chinese Characters in Middle School.

Materials

  I 一 Research on the Appearance of Chinese Characters in the Text−

    books for Middle School.

II A Table of the Appearance of Chinese Characters in Textbooks     (T6y6 Chinese Characters excepting Educational Chinese

    Characters).

lll A List of Words Presented as a Test for the lnvestigation of     Ability in AII T6y6 Chinese Characters.

IV Bibliography of Research on the Realities of Learning Chinese     Characters.

       Syfiei Syuppan Co.

2−30, ltigayakagaty6, Sinzyuku−ku, TOKYO, JAPAN

      1971

(4)

刊行のことば

 匡i立国語研究所は,昭和28隼から38年にかけて小学生の言語能力の発達に関 する研究,および中学生の言語能力の概観調査を行ない,漢字の読み書き能力 の発達についても概観することができたが,さらに,昭和39年から中学生が義 務教育を終えるまでに,どれくらいの漢字を,どのように習得するかを詳しく 調べるため,申学生の漢字習得に関する研究に着手した。その結果をまとめた のが,この報告である。

 この調査研究は,第2研究部(当時部長輿水実 現芦沢節)国語教育研究室が担 当した。

 企藤・実施・まとめなど,全期閥を通して調査研究にあたった毒は,芦沢節

(当時室長)・根本今朝男であり,後期に中村明(世話しことば研究霊)が参加し た。州又瑠璃子(全期間を通して)・小林信子(後期)が作業を助けた。村石昭 三・福田昭子も前期の調査実施に加わった。

 本書の執筆分担は次の遜りである。

  第1編・第2編・第4編・資料簸1 芦沢  節   第3編。第5編・資料IV      根本今朝男

  資料1・H      中村   明

 なお,この研究を進めるために,協力学校を委嘱して各学校のご協力をいた だいた。特に長期にわたってこ協力くださった承平中学校長伊東甚吾氏・長谷 重幸氏および吉村安夫氏をはじめ,父母・生徒のかたがたに厚くお礼を申しあ

げる。

日習落046年3月 1 日

国立国語研究所長

    岩淵悦太郎

(5)

H  次

刊行のことば……一一…・……一……一・一…………一・……1

  第1編研究のあらまし…一一一一・…_一_21

    1 なぜこの研究をとりあげたか………22     ff この研究の組織一………・………一・…23

    1.調査の目的………・…・………・………23     2.調査項目………・・…・…・・……・…………・・……・…24     3。調査の規模・内容・方法………・…・…・………24     4.調査の実施………・…・…・…………・…・…・…………27     5,調査の対象………・…・・………・・…・………27     6. 調査の協力者……・・…………・…・…・…………・………29     皿:結:果のあらまし………・……・・………・・…・…30

   第2編漢字習得の実態に関する研究・・……・…35

    第1章 当用漢字習得調査の方法と

       結果の概観…………一…・…一……一…・・…36     1 当用漢字金数読み書き調査の方法………36

    1,調査方法と問題作成………・……一一一・…………・………36      (1}漢字習得と調査方法

     ② 調査の方法と問懸

(6)

      霞   次 3   (3)結果の整理

2. 調査の時期および実施………・…・・………41   (1)調査の時期と実施

  ②調査の場所

∬結果の概要………一……・一………一…・一…43

1.量的観点からみた習得状況………・・……・……43   {1)文字中心,累積方法からみた揚舎

  1)全体的習得状況   2)個人別習得状況

  (2> 音郡1および習孝辱完了という観、転力〉ら整理した揚合

  1)敦育漢字の読み書き

  2)教育漢字外当絹漢字の読み書き   3) 個入門習得完了の文字数   4)調査蒔ごとの習得文字数   5) 漢字習得にみられる段階性   (3}表外字の習得

第2章 当用漢宇の習得状況一読み………61        質的観点からみた習得状況

 1 教育漢字 1年入学時の読みの成績………61

  1.整理の観点と成績………・…・…・………・・………・6!

   (1}音訓を湾慮した揚油の成績

  2.読みの成績と字種………・………・………・64    {1}音訓の観点から全員が完金に読めた字

   ② どちらかの音訓では全:員が読めた字    (3}7人以下が読めた字

  3.音訓の習得のアンバランス……・…………・…・………67    (1}音訓の優位:と親近牲

    1)音優位の漢字     2) 翻優i位の漢字

    3) 2音以上のうち,1音が優位のもの

(7)

4 目

  4) 2音1訓(以上)のうち,1音が優位のもの   5) 1音2訓以上のうち,ある訓(1訓)が優位のもの   6)丁番多訓(1音2訓,2音1訓以上)のうち,ある音    と訓は優位のもの

4.学年配当漢宇との関係………・・………・7玉ll  (1}音訓をつくして完全に読めた字の学年配当

 (2)1音又は1訓の字で100%読めた寧の学年配当  (3) どちらかの読みでは100%読めた字の学年配当 5. 漢字習得と使用教科書

  (その1) 1年入学時に読めなかったの音訓と小学校国語       教科書の未挺出音訓

 (!}出身小学校と使用教科書

 (2)ユ年入学時調査結果と国語教科書の漢字提出状況  (3)読みの成績とi致科書の撮出音訓

  1)抵抗のある音訓の多くは教科書未提出・未学習   2)抗抵のある音翻の多くは教科書の提餓度・使用度少   3)挺出二形による習得の差

  4)教科書提出で成績の悪いもの

  5)未提出音訓,提出素面で成績のよいもの

∬ 教育漢字 3年卒業時の読みの成績……一一83

1. 3年問で読めるようになった字…………・……・…一83  {エ)文字としてts 881字読める

 ② 3年卒業の調査時に読み残った音訓

2. きびしい観点(習得完了)で整理した場合の  3年問の成績…………・……・……一………・・……・……84  {ユ}習得完了という観点で閥題を残した文字

  1) 三年入学際こ,8人は読めなかった86宇のその後の

   鹸

  2) エ年入学蒔に,どちらかの音訓では全員読めた 326字    のその後の成績

3.卒業時の読字成績の実態………・・…・…………86 4. 問題のある音訓の学年配当………・・…・…………87

(8)

       B   次 5  5.闇題のある読みの音訓別数………・…・・………88  ・6, 読みにくい音訓の特徴………・………・・…90   (1}抵学年用のやさしい漢字が含まれている

  ② 三音多訓のもの

  (3)特殊音をもつ読み方が多い   (4)親近性に乏しい語

  ⑤ 貝常性のない訓が多く含まれている   ㈲別訓として読まれる

  (7)語彙力の不足によるもの

 7.読めない音訓とその文字の使用度………93   (1}現代雑誌九十種の調査結果との関係

  ② 小・中学校の使用国語教科書での擾出状況との関係 τIH 教育漢字外当用漢字

     1年入学時の読みの成績…一…一一・…100

 1. 読みの成績と字種………・………・・100   (1)音訓の観点から全員が完全に読めた字

  ② どちらかの音訓では金員が完金に読めた字   ③ 7人以下が読めた字

 2.読みの成績から推定される小学校段階における   教育漢字外当用漢字の習得…………・・…・………105   {1) 「小学校改訂学習指導要領」の備考漢字115掌

   と入学時調査結果との比較   {2)入学時の読みの成績と文字学習

=IV 教育漢字外当用漢字

     3年卒業時の読みの成績……一………・…111

 エ. 3年間で読めるようになった字…………・……・・…111   (1}3年間で金員が読めるようになった字

   1)音訓の観点から全員が完全に読めた字    2) 7人以下が読めた字

 .2.読めない字………116

(9)

6 爵

   (1)読めない文字の特徴     1) 1二又は1訓の掌    2)数科書に未鍵出の字

  3.音訓習得のアンバランス………・・…・…………117    (1}読めない音訓にみられる現象

    1)音不振のもの     2)訓不振のもの

  4.読めない文字(音素と社会での使用度…………122:

   Q}文  字

    1)現代雑誌九十種の調査結果との關係    (2}音  謂

    1)読みにくい音訓とその音訓の使用状況    (参考)成績不振の音訓とその使用度

  5. キ二字習得・と使用教科書………・・…D・……・・…… 128.

   (その2)教育漢字外当用漢宇の習得と教科書の        文字使用

   (1)文字提出と読みの成績     1)文  字

   (2)音  訓     1)音     2)欝il

第3章 当用漢字の習得状況  書き…一・145・

1 教育漢字 エ年入学時の書きの成績…………145

1.書きの成績と字種………_____...146  {1}全員が書けた字

 ② 7人以下が書けた字

2.書けた掌の基本性・………・・…………・……・…・149.

3.書字成績と学年配当漢字との関係………・………・・15G 4. 1年入学時に読み書きできた漢字………153 5.書けない漢字………・・it… …………・…・・……156・

(10)

艮   次 7

(1}書けない漢字の共通性

∬ 教育漢字 3年卒業時の書きの成績………156

 1. 全員が書けるようになった字………157

2.書けない教育漢字・・………・・…………・……・159   (i}書きにくい漢字と学年配当漢字との関係

 3. :書けない理由………161   {1)書けない文字と使用度

   1)書けない字と教科書使用度    2)字形の再生力

   3) 社会の使用・関心度

 4の 学:習指導との関係…………・……・・……… 164

皿 教育漢字外当用漢字

     1年入学時の書きの成績………一・・…164 1.書きの成績と字種………・・…・………164  2.書けた漢掌と文字学習………169   {1}入学時調査で書けt geと学習文字

3.書けた漢字と読めた漢字………・…・・…………170   (1)入学蒔調査における書字対読字成績表

  教育漢字外当用漢字

    3年卒業時の書きの成績一……一……・…172

 1. 3年間で書けるようになった字………・………・…・172

2.書きの成績と字種………・一………172   (1}全員が書けた寧

  (2)7入以下が書けた字

 3.教育漢字外当用漢字の書ける字…………・……・・…176   {1)書ける字の性格の検討

   1)使用教科書の漢字嵐現状況から   2)多用きれる語の構成要素として

  {2)新しい学習指導要領における備肴漢字との比較

(11)

8 目

第4章 当用漢字の習得について………一・…・185

王 教育漢字の読み書き ………・…………一185 1. 3年卒業隣の教育漢字の読み書きの習得…………185  (1)文字中心・累積の結果という観点から

  1) 具体的な字種

 ② 音訓および習得完了という観点から   1)三体的な字種

豆 教育漢字外当用漢字の読み書き…・……・………・188 エ. 3年卒業時の教育漢字外当用漢字の

    読み書きの習得………・・……・…………・…・…・188  (1}文字中心・累積の結果という観点から

  1) 具体的な字種

    (参考)読めるが書けない字

② 音訓および習得完了という観点から   1)具体的な字種

皿習得のゆれ………・…・・…………・……・…・…195 i, 習得のゆれ現象………195 2. ゆれ現象の実際………・・…・196  (1)読みにおける習得のゆれ

 ② 書きにおける習得のゆれ

3. ゆれのある二二………・・…・………・……・・…198 4.習得のゆれと乱入差………・・…・………200  (1)読字における習得のゆれ

  1)読みの成績とゆれの関係  ② 書字における習得のゆれ   1)書きの成績とゆれの関係

IV 漢字習得の螺旋的構造………一・…一……204

(12)

      目   次 9   1.卒業時における正答文字数の多様性…・…………・・204

   (1}教育漢字

  2.各種正答文字数と習得過程における漸進性………205   3. 漢字;習得の螺旋的構造………2G6    (参考)教育漢字タト当用漢字

第5章 表外字の読みの力と習得経路一一208

 1 表外字の読みの調査………・………・・………208   1.調査の方法………一・…・………・・……・208    {1}第1園めの調査

    1)調査の問題     2)調査文字

   (2)表外字:の:予備調i査     1) 調査i方法と結果    (3}調査用表外字の選定

   {4)調査文字

   (5}調査の規模と実施

   ㈲調査の問題

   (7)正餐:・誤答の判定

 亘 表外字を読むカ ………一・・………一・218   1.調査の成績………・…・・………・…… 218    (1) 1年入学時の成績

   ② 1年終末時の成績    (3} 3年卒業時の戒績

  2. 読める表外字………・・…・……224

   {1}固有名詞

   ② 教科書闘係の文字    {3)興味・関心領域からの文字     1)生活面から

    2)読書語彙としての文宇

(13)

10 B

 〔4)動植物名の文字

3.表外字を読むカの進歩………・・………・227  (1)音調反応の深化

 (2) 2年前期と3年後期の比較  {3)文字による音訓の優位反応   1)音優位の字

  2)訓優位の字   3) 音訓回数の字

4, 表タト宇と習そ尋………・…・………・………230  (lj正答反応が高く,しかも圓定的な文字群

 ② 正答反応はやや低いが,反応が固定的な文字群  (3}ある調査時では高い反応が持続,固定しない文字群  鰯 正答反応が低く,しかも固定的な文字群

 {5)正答反応も概して不振,正答反応に浮動性のあるもの

斑 表外字の習得経路………・一………一…237  1. 1年入学時の調査から一習得経路の手がかり…237

 2.表外字の習得経路………・・……・………239   (1}入名から

  (2)地名力〉ら   ③ 教科の学習を遇して

  四 一般読書

  ㈲ テレビ・映画・音楽   ㈲ 看板・広省・宣伝等   (7}既知の文字から類推して   ⑧ そ の 他

  (9) 表タト字習そ尋とことば

IV 教科書に使用された表外字……・………・…・……253  1. 教科書の表外字………・……・…・………253  2.調査の成績と教科書との関係…………・……・・……254  3.読める表外字の二つの型………・……・……255

(14)

次  il

第6章習得における誤答………一・一……258

1誤答傾向…一……一………一…・…・…258

1り読  み………・・…・………258  {1)読みの成績と各々塔

  1)文掌の側からみた癒合   2) 音訓の側からみた揚含  ② 読みにおける誤答   1)字形に関する誤り   2) 意味に関する誤り   3)経輪語形による誤り   4) 音溺に関する誤り  (3>誤答反応に見られる習得過程   1)嗣じ誤りがくり返し続けられている   2) テストの度に反応が異なる

2. 書   き……・・…。………283  (1}書きの成績と各反応

 ② 書きにおける誤答

  1) 字形が正しくとりにくい文字群

  2)嗣音(訓)の他の文字,同義・類義の他の文字をあてて    書くもの

  3)字形と音・義の両朝の誤りが混然としてあるもの   4)字体に関するもの

 (3)誤答反応に見られる習得過程   1) 岡じ誤りがくり返し続けられている   2) テストの度に反応が異なる

  3) 低度の誤答からより筒度の誤答:へ   4) 無答1こ潜在している:正答意識  (4)誤答の個人的特徴

  1)正しい字形がとれない   2) いろいろに誤って書く

(15)

3) 意味に毬解した他の箏をあてる 4)誤答も多く無答も多い

豆 漢窯の読み書き調査の反応からみた     

    習得(:書字)の類型…………一・…・………304

1.  具  {本  {頚ij・… 。・・・… 。。・… 。… 。・・… 。・・。・・。・・・・・・・・… 。。… 。 305

 例1親 2流 3政 4図 5授説

   6講 7程 8貸・借 9拾・捨   10旗 11燃 12増 13編

  (参考) 書字誤答例一覧

    教育漢字

    教育漢臣下当用漢字

第7章習得上の問題点解明のための

    調査と結果一一一一….……… …. 一一333

1 集団調査実施のねらいと方法一…一…一・…333

1. この調査のねらい………・…・・………■■・333 2.閥題の構成………一・…・………・・一…334

 (1)2年生  (2>3年目

3.調査の実施………一…・・一……一一・一…336

∬ 調査の結果一2年生………一・…一・…337

1.教育漢字………・……・・………・………・・………337   (1)教育漢字の読み一一調査の文字と結果

 ② 教育漢宇の書き一調査の文字と結果

2.教育漢字外当用漢字……・…………・…・………347  (1)教育漢字外当用漢字の読み一一調査の文字と結果  ② 教育漢字外当用漢字の書き一調査の文字と結果

3.表外字の読み……・…・…・………356

(16)

       昌   次  1議 4.漢宇の知識…………・・……・………362  (1)漢字の構造の知識

 ② 忘れた字を思い出す手がかり  (3)持と待増と贈議と儀

 (4)元気と元木一漢字の表意性の認識

5. 読みにくい訓………・9・………・…・・………368 6.読みにくい音…………一…・………・…一…・一…373 7.漢語とその構成文字の読みと語義の関係…………383 8.謂の読みと意昧の関係………・・………・………390

皿 調査の結果一3年生……一………・…………399

1.  教 育 ミ募迄 字・・・… 。・・・… 。・・・・・… 。・。… 。。。。。・… 。・tg■・・… 書 399

 {1)教育漢字の読み一調査の文字と結果  ② 教育漢字の書き一調査の文字と結果

2. 教育1小字タト≡当用漢孚:………・・……・…… ……… 403  に}教育漢字外当用漢字の読み一調査の文宇と結果  ② 教育漢字外当用漢字の書き一調査の文字と結果

3. 表  タト 字………・・………・…・・…・……… 4G7  (1}読みの成績

 (2)表外字の習得経路

4.  読み1こくk、音・一・・。・・… 舎一。・・。・。・・。。。。。。・一… 。… 鱒・・・… け 412

5.訓の読みと意味杷握…・・………・………414  (1}意味把握の増大。深化

  i)型押として   2) 謳として  ② 意味把握の誤り   1)意味記述の誤答例  (3)読みと意味掘掻の関係

6. 生徒の漢字学習に関する内省・実態・感想・

    意見など………・・……一……・…・…・…423  (1}漢字をおぼえる手がかり

 ② 二戸漢字の学習法  (3)漢字使梢の態度化

(17)

   (4}臼常の読書生活と読めない漢字    ㈲ 辞書の利用状況

   く6}漢掌学習への興殊・関心    (7}漢字学習への感想。意見など   (参考)

    2年生 集団調査閥題     3年生 集団調査問題⑧

第5編 漢字の習得要因に関する研究………459

第1章 被調査生徒の側面

       一要因資料からみた8人嫁・・…・…461

 1.  知    霧邑・・。・・・… 。・・。・・。・… 。・・・・・・・… 鱒一・・・・・・・・・… 鱒。・・。。 461

  {1)研究所で実施した知能検査   {2}学校で実施した知能検査   (3}上記4園の検査結果の平均値

 2.学力・……・一…一・・……・…・・………462   (1}学校における国語の学力(1奪:〜3年)

  ② 実施した国語の標準学力検査などとその結果

 3.身体・性格・行動など………・一・………466   (1}概  観

  (2} P・C・T(Pupil Counseling Test)による診断   (3}行  動

 4.家庭環境・学習状況など………9・…・…………472

  (1)家庭環境

  (2}学習状況など一担任教員から見7: 8人の生徒一  5.読書状況および読書カ………・…・………・479   {1) 「読書調査」について

  ②  r読書調査」結果の概要   ③ 読書力について

第2章国語科学習指導の実際…・・一………5G3

(18)

       臼   次  15 1.学校における国語科学習指導とわれわれとの関係503

2.国語科担当教員(吉村安夫氏)の漢宇指導一

 「中学校の漢字学習指導の実態に関する質問紙

 調査」から………・・・………503

3.被調査生徒の国語科学習指導の歩み…■一…・………505

 (エ} 学習手旨導計画  (2)1週の国語科配当蒔闘数  (3}被調査生1徒の使用教科書  {4)指導の実際 4.学校における国語科教育研究活動など………508

 (1} 「漢字能力調査とその二二法の研究」(昭和39年度)  ② 「読解摺導における辞書禾ll用による語句指尊はいかに    すべきか」(昭和40・41年度)

第3章漢宇習得と諸要因との関係…………511

  1.知能と漢字習得…………・・…・………・…・……・511

  2.園語学力と漢宇習得・………・・………・…・・513

  3. 読書・読書力と漢字習得………・・………・……514

  4.漢字学習上のくふうと漢字習得………・……・・515

  5.漢字学習の亥子ききらいと漢字習得……・………・・…517

  6. イ乍文と漢宇習孝尋……・・…・…・・…・………・・……・519

   (1)被調査者から得た作文資料    ② 作文の文字最    (3)漢字の使用:量    (4}個入別に見た使用異なり漢宇数と漢字習得    {5}作文における漢字の誤字・誤用と漢字習得    ㈲ SS子 2,女子ヱの作文資料   7.各漢字力相互の関係と漢字習得の類型………526

   (1)各漢字力間の相関    ② 漢字習得の類型について   8. 8人の生徒の,この調査および中学校3年間の    学習生活などについての感想・意見   ・・………530

(19)

16 日

(1}対話による質闇調査のあらまし

② 漢字習得調査icついての感想・意見をめぐって  1)調査のために研究所へ来ることについて

 2) この調査をとおして漢字に対する意識が変わっナこか

(参考) この調査および申学校年間の学習生活等についての    対話(録音資料)

 (1)男子4の録音資料  (2>男子1の録音資料  ③ 女子3の録音資料

第4編事例研究

       一1生徒の3年聞の漢字習得………δ47

1.習得の漢字…・………・………・…・・…・…548  {1) 1年入学時の漢字

 ② 3年聞の習得文字最

 (3}習得の型

 {4)習得の具体的状溌   1) 教育漢字の読み書き

  2)教育漢字外当用漢字の読み書き   3) 表外字の読み

  4)集団調査での結果   5) 作:文での使用例

2.学習者としての女子2 ・一………・…・…・………574

 {1)家族構成

 ② 知  能  (3}学  力

 (4}身体・性格・行動など

 ⑤ 言語生活

3。 自身の経験・一…一…・・一一…・一…………58G  (1}漢字学習に対する将悪

 {2>漢字に対する関心・態度  (3}漢字の使用

(20)

次 17

㈲辞書の利用

⑤ 漢字学:習のくふう

第5編漢字学習指導の実態に

     関する調査………一……・………一……585

1◎調査の頃的…・・…………・・………・………・………586 2.調査の方法………一・・………・・…・…586 3.調査の内容……一………・・………・・一…586 4.調査地域,実施の時期,回収率など………588  口}調査地域

 (2}実施の時;期  (3)回 収 率

5.調査事項と結果の概要………一・…・…………591  質問1 学校の環境と国語科学習ime ………・…・…・591

abC・def

質問2

 a  b

質問3 abCdef9

あなたの現在の学校の地域環境 あなたの現在の学校の全学級数 あなたの現在の学校の国語科教員数 あなたの現在の毛筆習字担当者 あなた自身の現在の国語科のうけもち あなた自身の,その他(e以外)の校務分掌

 漢字学習指導の方法………593 教科書による,ふつうの国語の授業における漢字 学習指導:の過程

教科書以外の漢字の取り立て摺導

 漢字学習指導の内容………599 漢字一字一字の意昧の摺餌

当用漢字の音訓表外の読みの指導 取り出して扱う,教科書提出の漢字

。の揚合の音訓の摺導 筆順の指導

作文の中での漢字搬滋 漢字使用の態度化の指導

(21)

h・1︒3︑ki

質問4

  a   b   c   d

質問5

  b   c

(参考)

1 漢字学習指導の実態に開する質問紙調査(調査票)

豆 当用漢字の音訓表以外の読みについての指導   く表1>1字1字の読み

  くi表2>i熱字訓とし ての読み 部首の知識を利用した指奪 部首についての指導 熟語の語構成についての指導 他教科へのサービスを意識しナこ指導 他教科における漢字の学習指導

 その他の指導………・………・・618

辞書指導(漢和辞典について) 副教科書,ワーーク・ブック

家庭学習

特別に行なっている漢字の学蕾弾車  漢字学習指導に対するあなたのご意見……625

中学校卒業までに身につけさせたい漢字力は? 漢字学習指醇のあるべき姿について 漢字学習指導の観点からの,小学校への要望

資 料

編.●.6蔭●●○●●..畢.●●99●●・・・… 鱒・・。・。・・・・・・・・…  665

資料1 中学校の教科書における漢字の

       出現状況に関する研究………・………・・665

1.調査の目的………・…・…・………666

2.調査結果の意義と限界………667

3。調査の資料………・…・・………668

4.調査の範囲………・…・・………・…・・…670

 {1)調査の対象とした漢字の範囲  (2}漠字の調査範囲  (3)教科書の調査範囲

5.調査の細則………675

(22)

       目   次 19   {1)読みを決定するさいの方針

  (2)誤用例の処置

  {3)用例の所属する音訓の決定   (4)用例の単位:       

  ㈲ 固有名詞の判定

・6,漢字出現状況一覧表の見かた…………・……・…・…68◎

  (1}字種。音訓の配列順   ② 各欄記載要領の解説

7.実例処理に関する注認………・・………・695   (1)読みの決定に開して

  ② 用例の衡属する音訓の決定に関して   ③ 用例の提示のしかたに関して   (4)固有名詞あつかいに関して

8.漢字出現状況一覧蓑の使いかた………705

   0      準餐{言膚勺資琴斗

   1 i教育漢字の揚合

   2 教育漢字外当用漢字の押合    3 表外字の野合

資料豆 教科書漢字出現状況一覧表・・………・743

       (教育漢字タト当用漢字)

資料皿 当用漢字全数調査問題提出語形一一一一ee……831

 1.  教 育  漢 字。・… 。・・■■・・■■… 一・・・・… 。。。・・。。・・。・。。・・・・・・…  832

 2。 教育漢字外当用漢字……・一・………・・…・……856

資料IV 漢字習得に関する実態調査の文献………877

   はじめに

  {1)小学校尋常4年生のその学年までに出た漢字の    書きの調査

  ②聯鐙セ膜字二関スル知識ノ縫

  (3}読方教育測定

  観 東京布内小学校児童に対する漢字の書きの調査

(23)

20 昌

(5}教育漢字881字の書きの調査(小・中学校)

㈲ 漢字を書く能力の基準を設ける調査

{7)義務教育における漢字:習得に関する調査

(8)激育漢字881字の読み・書き調査

(9億縫あ灘嫌むカの謹

働教育漢字の学年配当と読み書き調査

㈱ 教育漢字881についての小学校卒業直前におけ  る読み書き調査

働 中学校における漢字書写能力調査

⑱ 漢字習得の実態に開する研究

㈹昭和43年度漢字の習得状況に関する調査

㈱ 中学生・高校生の漢字を書くカの調査

(24)

 第1編

研究のあらまし

(25)

22 第1編研究のあらまし

1 なぜこの研究をとりあげたか

 国語教育研究室では,昭和28年来小学生の言藷能力の発達に関する調査研究 を実施してきたが,それが終了したので,続いて申学生の言語能力の概観調査 を行ない,昭和39年度から,中学生の漢字習得に関する研究に着手することに なった。それはここ数年来,学生・生徒・児童の漢字力の低下ということが,

教育上の問題の一つとしてとりあげられており,小・申・高生の漢宇の読み誤 り,書き誤りを始め,大学生の漢宇の誤用が関係者によって報告。紹介される たびに,その実態と原鶴をたしかめておく必要渉痛感されたからである。

 現在は,漢字の学習負担の軽減という立場をも考慮した当用漢字表の制定

(昭和21年11月)からすでに20年も経ており,当用漢字による漢字教育,文字 生活も一応の普及徹底をみているはずである。このあたりで義務教育期聞中に

当用漢字を読み書きするカがどのくらい身についたかを,調査しておくべきで はないであろうか。

 昨今,漢字力の低下を,当用漢字表制定などの一連の国語施策と関係づけて.

論じられることがある。漢字の学習負担への配慮は,i凋治40年(義務教育が6 年になる)から昭和20年まで,義務教育6年問で学ぶ漢字数を約1300字にとど めていた。戦後,義務教育の年限が9か年に延長し,期聞中に学習する漢宇の 数も当用漢字を対象とするということでふえているが,読み書きともに習得す

ることを要請されている字数は,教育漢宇(正しくは当用漢字別表の漢字。い わゆる義務教育用漢宇である教育漢宇のことで,便宜上,以下,この呼び方を 駕いる。なお,別表外当用漢掌も,教育漢字外当用漢字と呼ぶことにした)881 宇である。書くことを要求されている教育漢字が881宇に減少したために,書 けない字がふえ,誤字誤規が多いとなげかれている反面,戦前の漢字を書く調 査(昭秘0年,東京市の小学校6年生〈高等1年生を含む〉を対象に,小学校 の学習漢掌1356字についての岡崎常太郎氏の調査。資料編参照)と,小学校6 年卒業生対象の教育漢字を書く調査(昭和34年,国立国語研究所調査。)と比、

(26)

      1 なぜこの研究をとりあげたか 23 べて,学習した文宇数に対する成績(平均書字数)は,むしろよいという現象

もある。

 いっぽう,小学6年生に実施した教育漢字全数の読みの成績は平均正答率が        うつわ 相当高いのに,大学卒業生の就職試験でも誤読が多い(例一人材の意味の器を       みウゼイ

「キ」,選挙の遊説を「ユウセツ」など),意昧用法に即した正しい読みかたがで きない,昔はもっと読むカが高かったなどと,なげく関係者もいるのである。

 昔はルビの使用が影響してか,現在よりも初見の文宇を読むことができ,ま た,誤読が修正されやすい利点があるという入がある。戦前の高山調査のほと んどが書くことを中心に行なわれたのも,それとの関連があるものと思われる。

 元来,定着しにくい書くことに,ルビなしによって生ずる読みの問題が加わ ったので,漢字力低下の印象が強くなったのではなかろうか。

 このように考えると,当用漢字の全数,それも音訓をつくしての読みの調査 を実施して,その実態を把握しておく必要が感じられるのである。

 中学生の漢宇の力を見る揚合,いろいろな見かたができるが,ここでは,卒 業時に到達した習得状況とともに,その習得過程をも見ようとした。

 義務教育段階を二二としたのは,国民の文字力ということを考えるとき,義 務教育終了段階が一応の目安となること,また,現在多くの人々が読む一般代 蓑的なものとして新聞が考えられるが,その新聞が,「義務教育を終えて2−

3年二会生活を送った入に理解してもらえる」ことを呂安としていることなど から,中学生を対象としてとりあげ,義務教育段曙における漢字習得について 詳しく調べておこうとしたのである。

豆 この研究の組織

1.調査の眠的

中学生が義務教育課程を終了するまでに,どれくらいの漢宇をどのようにし

(27)

24 第1編研究のあらまし

て習得するか,漢字の習得状況を,中学3年間にわたって,量的,質的に追跡 調査し,中学生の漢字習得の可能な量,習得漢字の宇種,習得上の問題点,習 得過程,習得要因などを追究して国語教育および国語問題に晒そうとするもの である。

 上の貝的のもとに,調査項目として次のことを考えた。

2。調査項目

(1)義務教育終了までに読み書きできる漢字の習得量。

② 読み書きできる漢宇,読み書きに抵抗のある漢宇はどのような漢宇か,習  得漢字・未習得漢字の字種および質。

③ 漢字習得上の問題点は何か,およびその解明。

(4)漢字習得の諸要因についての調査。

⑤ 中学生の漢掌学習指導の実態の把握。

 上の目的,調査項員のために,調査の規模・内容などを次のように企画し

た。

3,調査の規模・内容・方法

(1)当用漢宇の全数にわたって,その習得状況を詳しく調べる。1850宇の読み  書きの力を調べ,なお,漢字習得量の可能な量,習得経路等を推測するため  に,表外掌についても調べてみる。

(2)音謁こわたって,読みの習得状況を調べる。当用漢字音訓表による全音訓  (3122音訓)について,その読みの力を調べる。

(3)漢字の習得状況,習得の過程・要因・問題点を追究するために,申学3年  問にわたり,継続して調査する。

 ある一定時の調査では,その時点での漢字力・;習得状況を知ることはできる  が,習得の過程についてはわからない。同一の被調査者について,くり返し

(28)

       頁 この研究の組織 25  調査する継続調査の方法をとる。

(4)継続調査・全数調査をたてまえとしたので,その量的負担を考え,調査方  法として消却方式をとる。入学時に全数調査を行ない,正しく読み書きでき  た漢字がその後の調査でも回しく読み書きでき,習得が安定したと認められ  た場合は,調査の対象文宇からはずして,新しく表外宇をさし加え,調査の  1負担量の過:重をふせぐ。

㈲ 油点の漢字を,時間的にも継続して,詳しく調査を進めるため,被調査者  の数のほうを限定する。

 当用漢字全数(表外字を含む)を,音訓にわたり,継続調査をするために,

 被調査者を少数の特定生徒(8名)にしぼり,事例調査の形式をかりて,研  究をすすめる。

(6)特定事例生徒の当用影面の全数調査の補いとして,当該学年の中学生集団  に,:事例調査による結果から得た問題を中心とした漢訳テストー漢字習得  上の問題点解明のためのテストを実施する。

  少数特定質入の調査結果のかたよりを排除し,結果の普遍性・信頼性,問  題点の所在のたしかめ,問題解決の手がかりを得るために,全数調査結果か  ら得た問題を中心に構成した漢字テストを,同学年の中学生の集団(約500  名)に対して実施し,全数調査結果の検証,次の調査のための修正資料を得

 る。

(7>漢訳習得の諸要因を追究するために,習得の要因調査をし,資料の収集・

 整備をはかる。

  漢字習得要因として,いろいろの因乎カミあるが,習得者としての生徒,習  得の中心的媒体としての教科書,習得を可能にするために,学習を計画的,

 系統的に進める指導の三つの側面を考え,それぞれ調査の対象としてとりあ  げる。

(7−1)生徒の側の調査および,要因資料を収集・整備する。

  漢字習得とかかわりのある生徒の側の諸因子一知能・性格・国語学力・

 学カー般・読書力・作文・マスコミ・マスメディア接近状況等について,検

(29)

26 第1編研究のあらまし

査・調査(学校側のものも含む)し,資料をととのえる。

(7−2)教材の面からの資料を調査整理する。小学校の国語教科書,中学校の 各教科の各使用教科書の漢字出現状況を詳しく調べる。

(7−3)指導面についての情報の把握

  調査実施校に対する指導面の希望や指示は全く行なわず,学校の自主的な  指導方針によって,学習指導が進められたので,学校の国語主任で,8人の  生徒の担任の國語教師の指導詑録,指導についての情報を得て,学校におけ  る3年間の学習指導経過を明らかにする。

(8)中学生の漢掌習得に関するこの調査を機会に,中学校全般にわたる細細学  習指導の実態を調査する。

  小学校と比べると,従来あまり明らかにされていない申学生の漢字学習指  導についての質問紙調査を全国的規模で実施し,指導の実態を把握しておく。、

(9)なお,漢字習得に関する実態調査の文献についても,収集を心がけた。

  整理すると次のようになる。

(主調査)

(補充・撮 記調査)

      中学生の漢字習得に関する砺究

  く調査名〉     〈調査対象〉      〈調査事項〉

当用漢字全数読み書き 8人の事例生徒  1850字(3122音訓)の読み書 調査(蓑外字を含む)         き(表外字1018字の読み)

漢字習得1生徒調査    〃    知能・性格・学力・読書・作文 要照調査      雷語環境等

    2教科翻査高議用謙蒲隠語}織出瑳

    3 学習搬導の 生徒の中学校3年間における国語学習握導の実      実際    際

:事例調査の結果を検乱す るための漢字テスト 漢字習得上の問題解明の 7めのテスト

(特別調査)中学校の漢字学習指醇の      実態に関する調査

8人の事例生徒と 岡学年の申学生集

A青森・千葉。神  奈川3県の全公 立中学校教師

8入の調査結果,読み書き の上で問題となった漢字お よび習得上の問題点の解萌 を試みた漢字の諸テスト 漢字学習指導の方法    〃  の内容 漢字学習に關連するその催、

(30)

        互 この研究の組織 27 B全国40都道府県 の揚導,学習摺導に対する  の選出教師   意見等

4.調査の実施

昭和39年4月から昭諏43年にかけて,次の諸調査を実施した。

当用漢心全数読み書き調査 39年4月〜4241 3月く年間2回,通算6園)

漢字習得上の問題点解明のためのテスト 39年〜42年3月(年間1癬)

漢字習得要因調査

 生徒調査      期問中各項目について随時  学習指導についての情報・記録      情報 期間中随蒔

       記録 42年卒業後  教科書調査       42年〜43年

中学校の漢宇学習指導の実態に関する質問紙調査

       配布から回収まで4三年12月〜42年2月.

5.調査の対象

ω 当用漢宰幽幽読み書き調査

  事例調査校  東京都北区 区立稲付中学校

  生徒8人(男子4入,女子4入)

  平均的中学生の漢字力をみるということで,知能・国語学力・一般学力な  どに,上下のかたよりがないもの(中間クラス),3年間移動の予測されない  ものという条件のもとに学校側に人選を依頼。学校側では,さらに学区内の  出身小学校のバランス,本人や家庭での調査協力の承認を得るなどの配慮の  上,生徒を選嵐し,調査を順調に進めることができるように,学級編成その  他,3年間にわたる種々の協力を得た。

  男子 1  女子 3  同一小学校出身

(31)

28 第1編研究のあらまし

  男子 3  女子 1  re 一一小学校出身   男子 4  女子 4     〃

  男子2,女子2 各,異なる小学校出身

  (8人5小学校出身)

く2)漢字:習得上の問題解明のためのテスト      集団調査の実施協力校

1年 東京 2年  〃

ノノ

tt

3年 東京

稲付中学校 稲付中学校 四谷第二中学校 砂町中学校

1年生 2年生

 !ノ

tt

〃  教育大附属中学校 〃

〃  武蔵野第三中学校 〃

      3年生

tt  gl一 }III Fi rv; i= IQ[ tl

大阪       〃

it

tl

名古屋

ノノ

稲付中学校 文海中学校 箕面第一中学校 箕面第二中学校

と ど ろ み

止々呂美中学校 前津中学校 南陽中学校

fi

lt

tl

tt

7学級分348人

2学級分 85入

tl

 tl

 ノノ

5校 計365人

2学級分 83入

 lt

 ノノ

噌⊥99

 ノ!

7校

79入 76入 82人 43入

70人 91入 80人 15入 82入 76人

計497入

 2年生では事例調査の生徒の出身校稲付甲学校,および東京内で,教育的環境の整 っているところ,地域的に教育的環境の不備なところなど,生徒の漢字力が幅広くわ かるように学校を選び,各学校の2年生の2学級分の生徒を調査した。 (武蔵野第三 中学は,学校側の事情により1学級分)

 3年生では,調査が従来,東京甲心に行なわれたので,訓読み等における地域性と の闘係もみようとして,関醤・甲京方面にわ7って調査し7。3年でも,同じ地域で 教育的環境の整っているところ,環境不備なところなど,生徒の漢字力の実態が幅広

くわかるように学校を選んだ。

(32)

       且 この研究の四脚 29  なお,学校の選定にあたっては,調査のH的,調査校の条件などをあげて,各教育 委員会に依頼し,その推薦を得た。

       6.調査の協力者

調査の実施協力学校 東窟都富盛中学校 校長 伊東 甚吾(39年度)

      長谷 重幸(40年以降)

       国語主任 吉村 安夫

       (校 長) (国語主任)

 調査の実施校(2年)東京都四谷第二中学校  冨照 義雄 久保田吉彦       〃 砂町中学校    山本 寛太 新井  章       〃教育大学附属中学校 鈴木  清 長谷川敏正       〃 武蔵野第三中学校 中歯 幸三 久保濁勝蔵        (3年)東京 文海中学校    中沢 政雄

       大阪 箕面第一中学校  田中 静夫       〃  〃 第二中学校 下野 寅雄       〃 止々呂美中学校  川上 龍雄        名古麗 前津中学校   中村 義高       〃  南陽中学校   篠辺  広 実施各校の推薦および実施の推進にあたり,

 協力学校推薦 当時 東京北区教育委員会指導主事 相川 正志          大阪府教育委員会指導部第二課長 中点  肇       〃  〃  指導主事     碑申 昭次       〃  〃   〃       松山三郎左衛門          愛知県教育委員会学校教育課長  永量 省三       〃  〃  指導主事     市州 光雄          名古屋市〃    〃      田中喜一郎

 以上のかたがたには,この調査をすすめる上で,種々ご高配・ご協力をい

(33)

30 第1編研究のあらまし ただいた。

 また,漢字学習指導の実態に関する調査では,各教育委員会・国語教育研究 会・中学校・先生がたのご協力を得た。別に記してあるが,あわせて謝意を表 したい。なお,詑名は省略したが,i目小学校国語教科書,表外字調査資料,そ の他文献資料などを借覧させていただいたかたがたにもお礼を申しあげる。

III結果のあらまし

調査対象文宇を当用漢字全数にわたり(表外字も含む),しかも読み書きと もに調べる,読みでは音訓をつくして調べる,同一一生徒を3年問継続して調べ る,習得要撃調査も併用する,主調査の補いとして集団による調査も実施する などに,本調査の新しい研究としての性格があるが,その結果,どのようなこ とが新しくわかったか,また,どのようなところに問題があったかなどについ て,概要を記しておこう。

詳綱は各章にゆずり,大要だけを列記すると,

(1)各回について当用漢字の全数調査を実施したので,義務教育終了時の1人  あたりの習得漢字数の大体の見当がついた。なお,閥時に実施した表外字の  読みの調査結果から,表外字の読める字種や字数の大体について推定するめ  どがついた。

(2)当用漢宇表内の全音訓について,その読みを調べたので,当用漢字を読む  能力ぶ,特定の音または訓の読みだけでなく,表内の全音詞にわたって,い  っそう詳しくとらえることができた。

(3)同一生徒について継続調査を実施したので,1度だけの調査結果からでは  知ることのできない,翌駆上の問題の所在を知ることができた。

(4)漢字の読み書きの実態調査だけでなく,:習得の要因調査も併用したので,

 読み書きの調査結果をより動的にみることができた。

㈲ 教育漢字の読み それが日常的,一・・一般的に多用される読みかたではよく読  めるようになり,中学校卒業までに文字としては881字全数が読めるが,現

(34)

      盈結果のあら恥し 31  行の当用漢字音翻表で認められている音調のすべてを尽くしては読めない。

 使用度の少ないほうの音訓をはじめ,低・中学年用の配当漢字にも読めない  音訓があって,最後まで読めないで終る。

  文字中心に,主要な読みかたでは読めることとみるか,その文宇の音謂を  つくして読めることとみるかによって,教育漢字の読みの到嘉事が異なり,

 中学生段階での読みの習得度の見かたも二様になるという問題が添された。

〈6)教育漢字の書きについては,要請どおり義務教育終了段階までに,そのす  べてを書けるまでには到達できない。臼常性の強い文字は書けるが,中学生  の生活にはあまり親近性のないものは書けない。しかも,書くべき文字を認  識しながら,正しい宇形をとり得ないために誤り,正答の数を減じていると  いう実態のあることがわかった。

〈7)教育漢字外位用事宇の読みについては,当時の学習指導要領のもと,ま  た,国語教科書で,全漢字(文字・音訓とも)を新出漢字としては提出し難  い状況(このため,巻末付録等を利需しての漢字表が配慮されている)であ  るため,文字としても読めないものを残している。各教科書で未提出,一般  に使用度の低い文宇は読めない。また,教育漢掌でさえそうであったよう  に,音訓という観点からでは,読めないものがいっそう多くあるという実態  が示された。

  なお,小学校で学習ずみとなる教育漢字についても,読みに抵抗のあった  ような音訓のすべてを,中学校の使用国語教科書で提出しきれない。また,

 教育漢字外当用漢字では,使用の全教科書にわたっても,未使用の文字(音  訓)があるという現実の問題が認められた。しかし,未提出でも読めている  ものもあり,中学生の漢意習得の経路について知ることができた。

(8)教育血膿外当網漢字の書きについては,当時の学習指導要領では書くこと  までは要求されていないにもかかわらず,中学生活に密着した,使用度の高  いものの中には,書ける漢字として定着性の高いものがあるということがわ  かった。

(9)当用漢字外のいわゆる表外字は,直援,学習指導の対象とはならないが,

(35)

32 第1編研究のあらまし

 固有名詞(地名・人名)や伝統的な文字表記として現存しているため,教科  の学習や生徒をとりまく種々のマスメディアを通して,正しく読めるものが  相当量あるという現象が示された。

  また,表外字の読みの調査を通して,漢字習得の経路についてその大体を  察知することができた。

㈹ 読みについて,音訓という観点からすると,それが学習上重要視されるも  の,一般に使用度の高いもの,関心興味の深いもの,印象の強いものなどは  よく読めるが,H常生活で使用されなくなってきつつある語など(反現代語  的な和語,文章語,漢語表現的なものなど)では読めない。義務教育終了段  階では,漢字の読みは,音訓という観点からすると,相当アンバランスなか  たちで習得されていることがわかった。

㈹ 読み書き両方について調べたために,読み書きできる文字にはどういうも  のがあるか,どれくらいあるかなど,爾者の関係,字種等について,その大  体を知ることができた。

㈱ 同じ漢字について,同一の生徒にくり返し調査した結果,文字習得の過程  で,学習指導,その他の刺激を受けて,一度正しく読み書きできても,時間  の経過その他によって,忘却,知覚あいまいなどにより,再び正答できな  い,しかも,習得が完了したと認めたあとでも,こうした習得上のゆれ現象  があること,中学生になってもそれがあることが確かめられた。

㈱ 上のことから,累積の成績と習得完了の成績に差があること,さらに習得  上のゆれ現象があること,読みにおける音訓の習得のアンバランス,提出語  による正答の違いなどから,羅宇習得の過程,習得の構造がわかった。

㈲ 3年聞にわたる誤答反応の分析から,;習得にいたる誤答の性格・特徴・種  類,あるいは,読み書き調査の反応結果からめ書字の習得の類型をさぐるな  ど,誤答現象の面から,習得との関係を知ることができた。

㈲ 広く生徒の使用教科書の漢字出現状況を調査したために,中学生の漢字の  読みの力は,国語教科書を中心とした漢字や語句の指導(読解指導)によっ  て培われることはもちろんであるカミ,国語科以外の他教科の学習を通して

(36)

      鑑 結果のあらまし 33  も,かなり得られるものであることが推察できた。

㈲ 生徒の直接指導担当教師による3年間の国語学習の大体が,教師の記録や  報告によってわかるので,どのような国語学習指導のもとに,調査の結果が  生じたかが逸せられる。また,調査校として,特に行きすぎた漢字学習は行  なわれず,一般に行なわれている,あるべき漢字学習指導の状況下であった  ことがわかる。

㈲ 8人の知能・学力・学習状況など,墨入的な要因資料を整えておいたの  で,同一の教材(教科書等)を,同一の教師によって学習指導されたという  共通の条件下でも,習得蚤,習得の型など,個人差を生じるという,文字習  得における静的要霞についても見ることができた。

㈹ 習得とかかわりがあると思われる,知能・学力・読書力等の諸要因と漢字  習得との関係がほぼ推察された。

㈲ 事例調査の生徒と同学年の中学生の集団に対しても,事例調査における習  得上の問題点についてのテストを行なってきたために,事例調査の結果や習  三界の問題点が,特定生徒にかたよってあるものでなく,総体的に共通性の  あるものであることが確められた。

鋤 習得上の問題点として考えられるいくつかの点について,集団による調査  で確かめたために,問題点の所在,解釈,今後考慮すべきことなどの見当が  ついた。

鋤 なお,この調査の一環として行なった中学校の漢字学習指導の実態に関す  る調査によって,当時の中学校における漢字学習指導が,実際にはどのよう  に行なわれているかがわかった。

㈲ 資料として,1 中学校の教科書における漢字の出現状況に関する研究,

 ff教科書の漢字出現状況一覧表(教育漢字外当用漢学),皿当用漢字全

 数調査問題提出語形一覧(教育漢字・教育漢字外当用漢宇),IV 漢字習得に  関する実態調査の文献を添えた。1・IIIは各教科書における漢字の出現状況  調査の方法や対成績との関係がわかり,また,各教科での使用状況が語句に  即して一覧できるように,HΣは,調査の結果が,どのような問題,引回語に

(37)

 34 第1編研究のあら.まし

 よって生じたかがわかり,利用できるように,IVは,諸文献の中から,本調  査に関係,参考になるものという立場からとりあげたものである。

 以上が結果のあらましである。

 なお,報告書の組み立て,編集にあたっては,習得の実態に関する研究と習 得要因に関する研究に大別し,さらに,資料性の豊かなものは資料編に納める などして,大きく連関をとりながらも,各自担当の部面の独立性はなるべく生 かすように位置づけた。したがって習得の実態と要因との関係についての考察 や記述も,担当部面でそれぞれに扱ったことを中心とし,薪たに章を設けて,

両者の関係について全体的に考察,論究することはさけた。また,沖学校の 激科書における漢字の韻現状況」の研究は,本来は習得要因に関する研究であ

るが,教科書漢字出現一覧表と躍層させたものでもあり,利用上の便をも考え て,まとめて,資料編に位置づけた。この調査結果にもとづいて,教科書の漢 字提出の習得要因としての考察は随所でとりあげられている。

 最後に,この調査結果は,当時の教育課程において学習指導が進められた時 点でのものであり,この調査が報告されるころには,早しい学習指導要領に準 じた,小学校の漢字学習指導が開始されるから,習得の実態も次第に向上する と思われる。その意味で,この調査の時期的な憲義について問われる点もあろ うが,数量上のことはともかく漢宇習得上の本質的な問題としてみられたこと については,今後も引き続き検討すべきものをもっていると澹えられる。

 また,将来,小。中学校の新学習指導要領による漢字の学習指導がじゅうぶ ん行なわれた段階での漢字習得状況の比較参考資料として利駕していただけた らと願っている。

 なお,この漢字習得に関する研究は,三州39年から始められており,国立国 語研=究所年報16・17・18・19・20(昭廊39年度〜43年度)に,年次ごとの調査 の中間報皆がされている。       (芦沢 節)

(38)

    第 2 編

漢字習得の実態に関する研究

(39)

第1章 当用漢字習得調査の方法と結果の概観

1 当用漢字全数読み書き調査の方法

 中学生の漢字習得の実態を調べるために,諸調査を企画実施したが,当用漢 字の習得状況は当用漢字罪数読み書き調査によってみることにした。

 A 心用漢字全数読み書き調査の方法

 当用漢字全数読み書き調査の具体的方法は次のようである。

 当用漢字全数読み書き調査(付表外字の読み) 年間 2回

 当用漢字1850字を当用漢字音調表で認められている音調すべてにわたって剛

胆する。

 従来の漢字調査方法では,当用漢字(教育漢字)を調査する場合,どちらか の音か訓で問題を作るが,この調査では,当用漢字音訓表で認められている音 講ますべて調査の対象とした。したがって1850字3122音訓について調べること になる。

 まず,入学の蒔,当用漢字の全数1850字(3122寄寄IDを調査し,それを年間 2回ずつ(各学年の1学期と3学期末)くり返し行なって,3年聞継続する。

岡一の生徒にくり返して調査するので,正しく読み書きすることが定着したか どうか,すなわち習得が完了したか否かを確かめることができる。定着が認め られた場合は,その文字を調査対象からはずして,薪たに,衰外宇を加えてい く方法をとった。

1.調査方法と問題作成

(1}漢宇習得と調査方法

 調査方法・調査の問題作成について述べる場合,この調査で,漢字習得とい

(40)

       第1章当用一宇習得調査の方法と結果の概観 37 うことをどのように考え,調査方法にとり入れたかを明らかにしておく必要が ある。

 「習得」についての考察はあとに譲るが,漢宇の習得といった場合,学習し たその文字や語形を忘れることなく覚え,必要に応じて読み書きできるという 段階から,さらに,その文話の性質・機能を知って,その文掌の一般化や応用 化ができる,その文宇を食む未習の語句も類推して読み書きできるなど,年齢 や能力や経験などによって,習得といわれるものの内容に段階や程度があるも のと思われる。したがって漢字習得のための調査をする場合,厳密には,問題 作成の上で,一つの:文字について,いろいろな形で調べなければならず,現に,

提出語形によって反応に異同が生ずる場合もある。しかし,血温の漢宇調査を 実施する際に,1文学について幾種類もの語形で調べる煩は全数調査そのもの

を困難にする危険性がある。そこで,新出漢字として学習途上にある中学生に 対しては,学習した文字が誤まられたり,忘れられたりすることなく,正しく 読み書きできた状態をもって習得とみなすこと,提出語形は,なるべく中学生 にとって無理のない,親近性のあるものを対象とすることに努めた(文字によ

っては,1語だけでなく,2〜3語にわたって調べる)。:習得の条件をこのよ うに限定したが,読みの場合は,一つの文字を音痴にわたって調べたこと,継 続調査によって,習得の時闘的確度を調べたことにより,習得調査として,よ

り実態に近いものが把握できたと思われる。ここでいう文字の習得とは,以上 のような条件下でのことである。

く2)調査方法と問題

〈読み) 当用漢字の全音訓にわたる。

カードによる1対1方式(個人調査)

問懸例

   i       教育漢字「通」(1音2訓の文字 ツウ/とおる か

   i 交通

 通 i       よう)音訓をつくして問題を出すので,左図のよう

   i通る 通う

   …      に見出しの漢字のほか,その文字の音と訓が出るよ

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