第2章 当矯漢字の響得状況一読み U9 <注>1. 寧印の文字は,重出する音訓であることを示す。重出した場合は(* ) で示す。
2.文字の下に一のあるものは,当用漢字音訓病中「限られたことばiこRjい る音訓」特矧音訓であることを示す。
なお,いずれの音謂でも8入(100%)は読めなかった文字についても.面談 のアンバランス現象がみられる。
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ユ 2 3 4 5 6乱入入入墨入 鯉狸鰐醗贈 イ∵帥 喪詳朽
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これら,読みに抵抗のある音訓をみると,教育漢字の場合もそうであった が,やはり共通の現象のあることがわかる。
(1}読めない音訓にみられる現象 1) 音不振のもの
①特殊音のもの
当用漢字音調表で,線引きの音調(音が多い)は「音または謂に傍線をつけ たものは限られた語に用いられるもの」として特殊音舌であることを示してい
る。音の場合,呉音などにそれが多く,使用語例も乏しいから,当然読みの成 績にも影響して読めないものが多い。教育漢字には,この系統の難字文字が多
くあった(低学年用にある)が,教育漢宇外当用漢字でも,この種の系統のも の一虚コ依 紅ク懸ケ盛蜜(他の読みではlooo/,)一は,虚空i1クウ,帰依 キ三,真紅(又は紅蓮)シン2,懸念・懸想吃ネン・玄ソウ,繁盛ハンジョウな
ど,仏語をはじめ特殊な用語に限られているためか,やはり読みに抵抗がある。
120 第2編漢字習得の実態に関する研究
しかし,特殊音訓でありながら,井デ昔鍵仰コウのように,特豫音訓以外の音 井セイ昔セキ{購ヨの方が読みにくいという現象もあった。これなどは,天井,今昔
(物語),信仰という語の方が,市井・油井,昔日・昔年・昔物,賛仰・仰天な どの語より親近性があるからであろう。特殊音訓の拠コ献罪歳セイ豆ズ拍デ封ホウ などが,音不振の中にはいらなかったのは,証拠,献立,歳暮,大豆,拍子,
封建的(社会・時代)などの用語が目にも罫にも親しいからと思われる。
②特殊な用語に用いられるもの
前例の井セイ仰炉などのように,特殊音訓でなくとも,その音による語が,特 殊な語に用いられるもの,使用語彙の範囲の狭いものは,音不振となる。
風袋フウタイ 種苗・育苗シュビョウ・イタビョウ 水稲スイトウ 繭糸ケンシ 曲浦キョクホ 布施・施主・施療フセ・セシュ・セリョウ 白刃・自刃。凶刃バクジン・ジジン・キョウジン など
学業用語など専門的なものをはじめとして,特殊な使われ方をしている語は,
鐸にする機会が少ないから読みにくいということになる。生徒たちの居住地域 名・校名が「野付(いなつけ)」でありながら,その音読み「稲トウ」は不振なの である。
③しだいに用いられなくなっていく字音語に用いられるもの
婿むこは8入(1Goo/,〕読めても,セイは1人も読めないというのは, r女婿ジ ョセイ」より「むすめむご」のほうが一般で,親しく使われることばであるか らであろう。
近ごろは,話しことばでわかりやすいように,漢語使用,漢語表現をさけて 称語で書いあらわそうとする傾向があり,また,当用漢字使用のための言いか えの影響からか生硬な漢語をさけて表現しようとする傾向もあって,しだいに 使われなくなってきつつある一連の漢語がある。これらの字音語に使われるこ
とが多い音は親しさを欠くゆえか音不振となりやすい。
感泣ケンギュウ→うれしなき 祈念・祈薦・祈願キネン・キトウ・キガン→
いのり。ねがい 渋滞・渋面・難渋ジュウタイ・ジュウメン。ナンジュウ→
とどこおり・しぶいかお・むずかしさ 尼僧ニソウ→あまさん 昔日・平入
第2輩 当用漢字の摺得状況一読み 221 セキジツ・セキジンー・むかし・むかしのひと 腰部ヨウブ→こし
「哀惜の情を禁じ得ません」「今払瞬の火事は…」など,往蒔盛んに使われ た表現も,現在ではまれにしか使用されていない。
揚シも音不振であったが,これなど,昔はr休暇願い」といわずに「賜暇 願」という使い方をした場合があった。現在では,中学生などスポーツの賜杯 などで多少の認識がある程度ではなかろうか。
④語彙力の未熟からくるもの
①一③のように,音不振のものは,それが熟語として構成された場合,使用 範囲の限定された特殊な用語,あるいは,現在の臼常語,話しことばとして親 近性を欠くものであることが多いが,必ずしも特殊用語でなく,日常祉会での 使矯性もある語に用いられている音で,不振の場合もある。
砕サイ (砕石,破砕,粉砕,玉砕,砕:身など)
尽ジン (尽力,無尽〈会社〉,無尽蔵,倒尽など)
皆カイ (皆勤,皆無,皆済,皆既食など)
詳デ (詳細,詳解,詳述,不詳など)
これなどは,この段階での中学生としては,親近性を欠く爾語であるからか,
語彙力の未熟に起因すると思われるものもあって,語彙力との対応が考えられ るものもある。
2)訓不振のもの
訓不振のものにも,次のような現象・傾向がみられる。
①文章語的な訓
詞は意昧の定着したもので,時に(は)音に先行して学習され,識字・理解に 供される。しかし,文章語的なもの,現在の話しことばではあまり使用されな い罰は,親近性に乏しいために読みにくい傾向がある,
例一充てる 被る 募る 悔いる 堪える
これらの訓は,漢語の話しことば的表現,和語化による音不振現象と反対 に,和語としての読み(訓)よりも,その文字を含む岡意の漢語(熟語)とし ての形の方が一般に使常されているためか,漢語のほうに親しさが持てるとみ
えて謂不振現象が起る。
調「募る」では読めないが,音「募集する,応募する」ではよく読めるとい う反応があり,文字の意味を知る手がかりとなった訓が,時にその機能を失っ ている場合も少なくない。
契ち幽→契約する 請こう→請求する 召めす→召集する 悔1聰→後悔する 旨肋→・主冒 被eb むる→被害 憤贈ど摘→憤概する
これらは訓読みでよりも,むしろ同意の漢語としての定着度の方がはるかに強1 い。一般の使用率も高く,普及しているからである。
②回訓や俗調のあるもの
前掲の憤賭ど泌は憤瞬の音読みの方に優位であったが,ほかに,「おこる,
いかる」という訓読みの反応があって,「いきどおる」が少なかったことがあ げられる。これと同じ傾向を示す一群の文字渉ある。
二一怒いかる→おこる 充あてas→みちる・みつる・みちてる 辛からい→つらい 巡めぐる→まわる 高め樋→かぶる・きる 臭くさい→におい
これらは,当用漢字音二三制定以前に,別訓や俗訓として使われたもので,
現在でも,時に二二で使われることがあるからか,これらの音誇臆,表内訓よ りも,むしろ表二二(別記・俗訓)のほうに多く反応する傾向がある。(怒乎 は名詞形「怒り」にこの訓の名残りをとどめ,動詞形で読ませると「おこる」
と読むものが多い。巡も「まわる」が優位なのは,「お巡りさん」の呼称もあ・
って,一般的には親しい)
なお,漢文訓読や漢文脈の文章,あるいは書簡文などではよく用いられ,か
つては,親しい藷であった,旨むね匿すでlt被こう摘講こう伺うカbがう召めすなども,現在で は読みにくい訓になっていることがわかる。
4読めない文字(音読)と社会での使用度
〈1)文 字
3年卒業蒔にも読みに抵抗を示した文字は,未学習文字(未学習音訓)であ
第2章 当用漢宇の習得状況一読み 123 ると岡時に,社会生濡でも,使用度の低い文字(音訓)であるとみられるが,.
実際の祉会での使用藤に徴して調べてみよう。
1) 現代雑読九十種の調査結果との関係
卒業聴に8入は読めなかった文字のうち,その多くは未学習文字(116ペー・
ジ)であったが,これらの文字の多くは,枇会一般でも使用度の低いものが多
い。
教育漢字外当用漢字のうち,「現代雑誌九十種の用語用字 漢字表」で使用1 度数の少ない(使用度数8以下)教育漢字外当用漢字は(同報告書13ページ参・
照)次のように174宇ある。(他に教育漢字を加えると177字)
* * * ,,kA :lt *, * * 度数0(13字)
度数1(21字)
度数2(19字)
度数3(21字)
度数4 (23字)
文字の上△の印は当用漢字補正案で酬除する候補になっている字。
語の教科書に提出されなかった字。
の。
上の諸印の字でもわかるように,これらの文字には,前掲の読みの成績の不 振なもの,教科書でも提出されなかったものと重なる文字が多い。
また,使用度9度以上のものでも,戒績の悪かった文字は,次のように一般 度数5(20字)
度数6(21字)
度数7(19字)
度数8(17字)
〈潅〉
丙嗣墳弧紫野紫野疫痘諮雪笹
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