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博士(医学)山元 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)山元 学位論文題名

全腰 椎,腰仙 椎及び仙 腸関節の三次元動態解析に関する      基礎的研 究

学位論文内容の要旨

  腰椎及び腰仙椎は、神経組織を保護し可動性を有する体幹支持機構である。

外傷や変性疾患など各種疾患の罹患頻度が高く不安定となり腰痛や神経障害を 発症することが多い。このような病的状態を評価するためには、正常な状態で の生理的動態や生体力学的特性を知ることが基礎となる。しかし自然な腰椎前 弯を保ち各種靭帯を持つ新鮮屍体全腰椎・腰仙椎・仙腸関節の三次元的動態解 析の報告は渉猟し得た限りでなぃ。

  本研究の目的は、適正な荷重条件のもと全腰椎・腰仙椎及び仙腸関節の三次 元的な生理的動態と生体力学的特性を解明し、臨床的に重要な各構成体損傷時 の不安定性評価の・ための基礎的動態値を提示することである。腸腰靭帯の生体 力学的機能にっいても解析した。その切除前後の腰仙椎動態値の報告は渉猟し 得た限りでなぃ。

  実験材料は、全腰椎・腰仙椎・仙腸関節を持っヒト新鮮屍体10体である。

4体は腸腰靭帯を有した。椎間板変性は変性程度の軽い成人の椎間板に相当し た。検体下部を実験台に固定し、検体の動きと共に自由に移動可能な荷重装置 を検体上部に装着し、屈曲、伸展、回旋、側屈の純粋なモーメント荷重(最大 10 newtonーmeter)を5段階に分けて加えた。検体の粘弾性効果を最小限に するため荷重、非荷重のサイクルを3回繰り返した。3回目の荷重時に、椎体 に設置した測定点を2方向から写真に撮るstereophotogrammetry法で各椎体 の動 きを記 録し た。 これ らの測定点をdigitizeしcomputer演算処理により 各椎体の三次元動態を求めた。腸腰靭帯について、靭帯を温存した状態と右側 靭帯切除後及び両側靭帯切除後に実験を繰り返しその生体力学的機能を解析し た。本実験法の特徴は、検体の自由で自然な動態を測定可能なことである。本 法の測定誤差は0.2゜であった。

  結果及び考察。1。全腰椎・腰仙椎動態。@main motion(荷重と同方向の 変位)。屈曲:各椎間可動域の平均値は、Ll/2で5.8゜,L2/3で6.5゜,L3/ 4で7.5°,L4/5で8.9゜.L5/Slで10.O゜であり、下位椎間の可動域が大き かっ た。伸 展: 椎間 可動 域は、Ll/2で4.4゜ ,L2/3で4.3゜.L3/4で3.7゜

,L4/5で5.6°,L5/Slで7.8゜であり、上位三椎間の動態は近似し、下位椎 間の可動域が大きかった。回旋:各椎間とも左右ほば同程度なので平均値を述 べ る 。Ll/2で2.1゜ ,L2/3で2.6°,L3/4で2.6゜,L4/5で2.2° .L5/S

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lで最小で1.3°であった。側屈:各椎闇とも左右ほぼ同程度なので平均値を 述ぺる 。Ll/2で4.9°,L2/3で7.O゜と最大の動きがみられ,L3/4で5.7°

,L4/5で5.7° ,L5/Slで5.5゜ と 下 位 三 椎 間 の 動 態 は ほ ぽ 近 似 し た 。

◎coupling .otion(荷重と異なる方向の変位)。屈曲・伸展時には有意な随伴 する動きはみられなかった。回旋時には、各椎闇に屈曲の勘きが随伴し、さら にL4/5を境と して上位椎間と下位椎間で方向の異なる側屈が随伴した。側屈 時には 、屈曲と回旋が随伴し、回旋の動きはL4/5で最大であった。L4/5が他 椎間`とカ学的に異なる状態であることが示された。2。仙腸関節。各方向の main motionは2゜以 内、coupling motionは1°以内と 微小であっ た。仙腸 関節の関節面は三次元的な凹凸を示し、さらに強靭な骨間仙腸靭帯及び周囲の 諸靭帯による強固な結合を持っている。このような構造により、仙腸関節は三 次元的に微小な動き゛しかしないことが考えられた。3。腸腰靭帯機能。@屈曲。

右側靭 帯切除後腰 仙椎で12覧、両 側靭帯切除 後23Xの可動域が増加した。切 除前の可動域に比し、片側切除後で有意差はなかったが、両側切除後に有意差 が あっ た 。@ 伸 展。 右 側靭 帯 切除 後11X、両側靱帯 切除後20%の可 動域が 増加した。切除前と両側切除後の可動域値に有意差があった。◎回旋。左回旋。

右側靭 帯切除後左 回旋すると 有意に12Xの可動域が増加した。右回旋。右側 靭帯 切除後右回 旋すると6X、 両側靭帯切 除後1l%の可動 域が増加し た。@

側屈。 左側屈。右側靭帯切除後左側屈すると17%の有意な可動域の増加があ った 。右側屈。 右側靭帯切 除後右側屈 すると3X、両 側靭帯切除 後33覧の可 動域の増加があった。回旋、側屈では、靭帯切除側と同側に荷重しても有意な 可動域の増加はないが、切除と反対側に荷重すると有意な可動域の増加があっ た。腸腰靭帯を温存した腰仙椎部では、靭帯により総ての動態が制限された。

両側靭帯により屈曲、伸展が制限され、回旋、側屈動態は片側の靭帯のみでも 制限された。以上、本研究により腰椎・腰仙椎・仙腸関節損傷時の不安定性評 価 の た め の 基 礎 と な る 生 理 的 な 基 準 値 を 提 示 し 得 た と 考 え る 。

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

全腰椎,腰仙椎及び仙腸関節の三次元動態解析に関する      基礎的研究

  目 的

  本 研 究の 目 的は 、 腰 椎不安 定性評価の 基礎とな る全腰椎 ・腰仙椎 及び仙腸 関節 の三 次 元的 な 生 理的 動 態を 解析し、そ の生体力 学的特性 を解明す ることで ある。

  方 法

  材 料 は 、 靭 帯 を 温 存 し 腰 仙 椎 を 含 む ヒ ト新 鮮 屍体 全 腰 椎10体で あ る 。4体は 腸腰 靭 帯を 持 ち 、そ の 腰仙 椎動態に及 ぼす影響 も解析し た。検体 下部を実 験台に 固定 し た。 検 体 の動 き と共 に自由に移 動可能な 荷重装置 を検体上 部に装着 し、屈 曲 、 伸 展 、 回 旋 、 側 屈 の 純 粋 な モ ーメ ン 卜荷 重 ( 最大10 newtonmeter) を5 段階 に 分け て 加 えた 。 検体 の粘弾性効 果を最小 限にする ため荷重 、非荷重 のサイ ク ル を3回 繰 り 返 し た 。3回 目 の 荷 重 時 に 、椎 体 に設 置 し た測 定 点を2方 向 か ら 写 真 に撮 るstereophotogrammetry法で 各 椎 体の 動 きを 記 録 した 。 こ れら の 測定 点 をdigitizedirect linear transformation法 に よ るcomputer演 算 処 理 によ り 各椎 体 の 三次 元 動態 を求めた。 本実験法 の特徴は 、検体の 自由で自 然な動 態 を 損 IJ定 可 能 な こ と で あ る 。 本 法 の 測 定 誤 差 は 0.2゜ で あ っ た 。   結 果

  1。 全腰 椎 及 び腰 仙 椎 動態 。 @Main Motion( 荷重 と 同 一方 向 の 変位 ) 。屈 曲 は下 位 椎間 程 増 加し た 。伸 展は上位三 椎間で近 似し、下 位椎間で 増加した 。回旋 は 各 椎 間 で2゜ 前 後 と 小 さ く ,L5/Slで 最 小 で あ っ た 。 側 屈 はLl/2で 最 小 、 L2/3で 最 大、 下 位 三椎 間 で近 似 し た。 @Coupling Motions(荷 重 と 異な る 方向 の変 位 )。 屈 曲 、伸 展 時随 伴する動き はなかっ た。回旋 時、各椎 間に屈曲 が随伴 し、L4/5を 境に し て 上位 椎間で は回旋と反 対方向の 側屈、下 位椎間で は同方向 の 側屈 が 随伴 し た 。側 屈 時、 屈曲が随伴 し、さら に側屈と 反対方向 の回旋が 随伴し

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志 男

清 和

田 坂

金 宮

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

L4/5で最大であった。L4/5が他椎間とカ学的に異なる状態であることが示された。

  2。腸腰靭帯は腰仙椎の全ての動態を有意に制限した。屈曲、伸展は両側の靭 帯で制限された。回旋及び側屈は片側の靭帯のみで制限された。側屈が最も大き く制限された。3。仙腸関節はいずれの動態値も2°以下と微小であり、非常に 動きの少なぃ関節であった。

  考察及び結諭

  より自然な腰椎の動態を研究するためには、腰椎前弯や各種の靭帯を含めた全 腰椎を使用し、適正な荷重条件のもとに三次元的解析が必要である。しかしこの 条件を満たす研究報告はなぃ。全腰椎のcoupling motionsや腸腰靭帯機能の定 量的解析の報告もなぃ。本研究における実験方法の特徴は、検体の動きを制限す ることなく、その自由で自然な動態を測定可能なことである。本研究では、全腰 椎、腰仙椎、仙腸関節の三次元動態を初めて総括的に計測し、腸腰靭帯の生体力 学的機能を初めて定量的に解析した。本研究により臨床的に重要な腰椎・腰仙椎 部損傷時の不安定性評価のための基準値を提示レ得たと考える。これを基礎とし て、腸腰靭帯のように各構成体の生体力学的機能を評価することが可能である。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し、研究者として誠実かつ熱心であり、

申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

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参照

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