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博士(医学)白土 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)白土 学位論文題名

Influence of disc degeneration on mechanism        of thoracolumbar burst fractures

(椎間板の変性が胸腰椎部破裂骨折の発生機序に与える影響)

学位論文内容の要旨

【緒 言】 破裂骨 折は, 胸腰椎 部損傷 の中 でも最 も頻度 の高い 骨折 のーっ であり,椎体の破裂と脊 柱管 内に 突出す る椎体 後壁の 骨片を 特徴 とする 。突出 骨片に よっ て脊髄 や馬尾が圧迫され神経症 状を 呈す ること が多く ,臨床 上,特 に注 目され ている 脊椎外 傷で ある。 この骨折は若年者から成 壮年 者に 多く見 られ, 高度の 変性椎 間板 や骨粗 鬆症を 有する 高齢 者に発 生することは,比較的少 ない と言 われて いる。 現在ま で,本 骨折の治療に関しては,多くの報告がなされてきた。しかし,

その 発生 機序に 関する 報告は 極めて 少な い。本 研究の 目的は,1)胸腰椎部破裂骨折の発生機序,

特 に 脊柱管 内に 突出す る骨片 の発生 機序 につい て明確 にする こと,2) 高齢者 にお ける本 骨折の 発生 が比 較的少 ない理 由を究 明する こと ,すな わち椎 間板の 変性 や骨密 度が本骨折の発生機序に 与え る影 響にっ いて検 討する こと, の2点であ る。

【 材料お よび 方法】1. 人屍体 脊柱を 用いた 破壊 実験; 実験に は,新 鮮人屍 体( 年齢30←75歳:

平 均52歳 )から 採取し た胸腰 椎部 の運動 機能単 位11個 を使用 した。 部位別 には ,T10/11が2個 , T12/Llが3個 ,L2/3が3個 , お よ びL4/5が3個 で あ っ た 。 標 本 は , 採 取 後 直 ち に ー 20℃に 冷凍保 存され 実験直 前に室 温ま で解凍 し,解 凍後, 骨靱 帯成分 を温存 して周囲の軟部・筋 組 織を 除 去 し 実 験に 使 用 した 。実験 に先立 ち, 各標本 の正側2方 向X線撮影 を行い ,さら にLu・ nar杜 製Lunar3Dual Photon Absorptiometry(DPA) に よ り 標 本 の 骨 塩 量 (g/arf)を 測定し た。胸 腰椎 部破裂 骨折は 臨床上 ,垂 直負荷 により 発生す ると言 われ ている。このため,標 本 には 骨 折 が 発 生す る ま で 垂 直圧 縮 荷 重 を 加え る 破 壊 実 験 を行 っ た 。荷 重に は,MTS社製858 Bionix材 料試 験 器 を 使 用し , 荷 重 条 件と し て8000Nのload control( 荷 重 制 御 )で50秒 間 の ramp loadingを 用 い た (荷 重 速 度 ;160N/sec.)。 骨折 の発生 は,実 験中に 得ら れる荷 重―変 位曲線 から判 定し ,この 曲線の 頂点を 破断 時の荷 重とし た。骨 折発生 後, 標本を取り出し,直ち

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に 正側X線 撮影を 行った 。さら に標本 を矢 状面で 切断し ,その 断面 におけ る骨折 の形態 を観察 し た 。椎 間板の 変性程 度は, その 肉眼的 所見か ら正常 群, 軽度変 性群, 高度変 性群の3群 に分類 し た。

  2. 有限要 素法に よる応 力解 析;内 部応カ が材料 の破断 強度 を越え た場合 ,骨折 が発 生する 。 それ 故に, 骨折 の発生 機序を 評価す るた めには ,ある 荷重条 件下で の応 力状態を検討することが 重要 である 。こ の目的 で,上 下の椎 体と 介在す る健常 椎間板 からな る一 運動機能単位の二次元有 限要 素モデ ル( モデルI) を作成 し,パ ーソナ ルコ ンピューターによる平面ひずみ応力解析も行つ た。 また, 髄核 を完全 に除去 し,この部分を空洞化したモデルも作成し,高度変性椎間板のシミュ レ ーシ ョンモ デルと した( モデ ル矼) 。椎間 板の内 圧と して26Nを付 加した 状態で ,モ デルの 上 位 椎体 の終板 の各節 点に対 し,30Nの 均等圧 縮荷重 を加え た。 内部応 カを計 算後, 各要 素の応 力 状態 をMisesの有 効応カ で評価 した 。

【結 果 】1. 脊椎 の 肉 眼 的 ・X線 学 的 変 化 :椎 間 板 の 変性 は,全 標本11個中, 正常群 が2個,軽 度変性 群が3個, 高度変 性群 が6個 であ った。 骨塩量 は,O. 618から1.034g/甜(平均O.820g/ 甜) で あ り , 骨 折発 生 時 荷 重 は,1938から6390N( 平均4155N) であっ た。骨 塩量が 低値な もの ほど , 骨 折発 生時の 荷重 は低値 を示す 傾向に あった 。11個 中7個(64% )お いて典 型的な 破裂骨 折の発 生が確 認さ れた。 すなわ ち,椎 体の破 裂と 脊柱管 内に突 出する 骨片 が観察 された。これら の標本 では, 髄核 直下の 終板が 破断し ,椎間 板組 織が椎 体内に 陥入し てい た。ま た,骨折線が,

終板の 破断点 と椎 体後壁 中央部 の間に 存在し た。 骨折線 が及ん だ椎体 後壁 中央部 は,椎体静脈が 椎体 内 に 侵 入 す る小 孔 の 存 在 する 部位に 一致し ていた 。後縦 靱帯 が断裂 してい た標本 はな かっ た。 破 裂 骨 折 を 認め た7個 中4個 で は , 椎 間関 節 や 椎 弓 骨折 な ど の 後 方要 素 の損 傷も 観察さ れ た。 一 方 , 破 裂 骨折 を 認 め な かっ た標本 は,11個 中4個(36%)で あっ た。こ れらの 標本で は,

椎体が ,その 中央 部で全 体に圧 壊され ており ,脊 柱管内 への骨 片の突 出も みられ なかった。破裂 骨折 が 発 生 し た7個 に お け る 椎間 板の変 性程 度は, 正常ま たは軽 度変性 群が5個で あっ たのに 対 し, 高 度 変 性 群 は2個 と 少 数 であ った。 これ に対し ,非破 裂骨折5個 では全 例が高 度変 性椎間 板 を有す る検体 であ った。 各検体 にっい て骨塩量を検討すると,破裂骨折例の平均値が0. 873土0.1 llg/ 甜(n‑7)で あっ たのに 対し, 非破裂 骨折例 の平 均値はO.727土0.106g /cnf(n二二ニ4) と低 値 を 示 し た 。2. 圧 縮 荷 重に おける 椎体 内の応 力分布 :モデ ルIの下位 椎体海 綿骨 での高 応 力領域 は,髄 核直 下と椎 体の後 上方の 領域に 限局 してい た。皮 質骨内 の高 応力領 域は,髄核直下 と椎体 後壁の ほぼ 中央部 位にみ られた 。これ に対 し,モ デル且 におい ては ,椎体 後壁の応カは増

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加 するも のの, 髄核直下の応カはほとんどみられなかった。

【考察 】垂直 圧縮荷 重に よって ,典型 的な破 裂骨折 が発 生した 。これ らの例では,髄核直下の椎 体終板 が破断 し,骨 折線 がこの 位置か ら椎体 後壁の 中央 部に存 在して いた。この椎体後壁中央部 tま, 椎体 静脈が 入る小 孔の存 在す る部位 に一致 してお り,構造上脊椎の支持能カを弱くさせる一 因とな ってい ること が示 唆され た。そ して, この骨 折線 により 生じた 椎体後上縁の骨片が脊柱管 内に突 出し, さらに 椎間 板組織 は椎体 内部に 陥入し てい た。椎 間板の 変性度と破裂骨折の発生を 比較検 討する と,高 度ナ ょ椎間 板変性を有する標本では破裂骨折の発生が低率であった。すなわち 椎間 板 の 変 性 は破 裂 骨 折の 発生に 影響を 与え るーっ の要因 である と考 えられ た。標 本数が 少な く,こ の結果 を統計 学的 に検討 するこ とは出 来ない 。し かし, 臨床上 高齢者(例えば70―80歳以 上)に 破裂骨 折をみ るこ とが比 較的少 ない事 実は, 本実 験結果 によく 一致するものであった。一 方骨塩 量と破 裂骨折 の発 生を検 討する と骨塩 量が低 値な 標本ほ どその 発生は低率であった。骨塩 量と椎 間板変 性度に はあ る程度 の相関 があり ,骨粗 鬆症 も胸腰 椎部破 裂骨折の発生に影響を与え る要因 のーっ である と考 えられ た。有 限要素 法によ る解 析の結 果は, 前述の実験結果によく一致 した。 健常な 椎間板 を有 するモ デルに おいて は,圧 縮荷 重によ り高応 力領域が髄核直下の椎体終 板と海 綿骨, さらに は椎 体後壁 中央部 に認め られた 。材 料ある い撒破 断力学上,これらの部位が 最初に 破断し やすい こと を意味 する。 高度椎 間板変 性を 模擬し た,髄 核を含まないモデルにおい ては, 髄核直 下の椎 体終 板や皮 質骨に ほとん ど応カ を認 めなか った。 すなわち,この部位は破断 しに く い こ と を意 味 す る も ので あ り , こ の 結果 も ま た 上 記の 実 験 結 果によ く一致 してい た。

【結語 】1.本研 究か ら垂直 圧縮荷 重は, 典型 的な胸 腰椎部 破裂骨 折を引 き起 こすこ とが再 確認 された 。本 骨折の 発生機 序とし て髄 核直下 の終板 と海綿 骨の破 断, 椎間板の椎体内への陥入,そ して椎 体後 壁にお よぶ骨 折線が 重要 である 事が判 明した 。2.圧縮 荷重下 での 高応力 領域は 髄核 直下の 椎体 終板, 海綿骨 ,そし て椎 体後壁 中央部 に認め られた 。3.椎間 板の 変性, 骨塩量 は本 骨折の 発生 に影響 を与え る因子 のー っと考 えられ た。

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学位論文審査の要旨

目的:胸腰椎部破裂骨折は,椎体の破裂と脊柱管内に突出する椎体後壁の骨片を特徴とする。突 出骨片によって脊髄や馬尾が圧迫され神経症状を呈することが多く,臨床上特に注目されている 脊椎外傷である。本骨折は若年者から成壮年者に多く見られ,高度の変性椎間板や骨粗鬆症を有 する高齢者に発生することは,比較的少ないと言われている。本研究の目的は,1)胸腰椎部破 裂骨折の発生機序にっいて明確にすること,2)椎間板の変性や骨密度が本骨折の発生機序に与 える影響にっいて検討すること,の2点である。

実験方法:1人屍体脊柱を用いた破壊実験;新鮮人屍体(平均52歳)から採取した胸腰椎部の運 動 機 能 単 位11個 (Tl0/11:2個 ,T12/Ll:3個 ,L2/3:3個 ,L4/5:3個 ) を 使 用し た。実験に先立ち,各標本の 正側2方向X線撮影を行い,Dual Photon Absorptiometry により骨塩量(g/甜)を測定した。胸腰椎部破裂骨折は臨床上,垂直負荷により発生すると言 われており,材料試験器を用いた垂直圧縮荷重(荷重速度;160N/sec.)による破壊実験を行つ た。骨折の発生は,実験中の荷重ー変位曲線から判定し,骨折発生後,X線写真と矢状断面にお ける骨折の形態を観察した。椎間板の変性程度は,肉眼的所見から正常群,軽度変性群,高度変 性群の3群に分類した。

  2.有限要素法による応力解析;骨折の発生機序を評価するためには,ある荷重条件下での応 力状態を検討することが重要である。この目的で,一運動機能単位の二次元有限要素モデル(モ デルI)を作成し,パーソナルコンピュ―夕一による平面ひずみ応力解析を行った。また,髄核 を完全に除去し,この部分を空洞化したモデルも作成し,高度変性椎間板のシミュレーションモ デルとした(モデルII)。内部応カを計算後,各要素の応力状態はMisesの有効応カで評価した。

結果:1.脊椎の肉眼的.X線学的変化;骨塩量は,O. 618〜1. 034g /cnf(平均0.820g /cnf) であり,骨折発生時の荷重tま,1938‑ 6390N(平均4155 N)であった。11個中7個において,椎 体の破裂と脊柱管内に突出する骨片を有する典型的な破裂骨折が発生した。これらの標本では,

志 弘

清  

  浩

田 部

金 阿

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

髄 核直 下の 終 板が 破断 し ,椎 間板組織が 椎体内に陥入して いた。骨折線は, 終板の破断点と椎体 後 壁中 央部 の 間に 存在 し ,骨 折線が及ん だ椎体後壁中央部 は,椎体静脈が椎 体内に侵入する小孔 の 存在 する 部 位に 一致 し てい た。 後 縦靭 帯が 断 裂し てい た 標本 はな か った 。7個中4個では,椎 間 関節 や椎 弓 など 後方 要 素も 損傷 し てい た。 一 方, 破裂骨折を認め なかったものは,11個中4個 であり,こ れらの標本では椎 体中央部が全体に圧 壊され,脊柱管内 への骨片の突出も みられなかっ た 。椎 間板 の 変性 に関 し て, 破裂 骨 折群 では 正 常ま たは 軽 度変 性が5個, 高度変性は2個であっ た 。こ れに 対 し, 非破 裂 骨折 群では全例 が高度変性であっ た。骨塩量の検討 では,破裂骨折群の 平均値O. 873土O.1119 7cnf(n二二7)に対し,非破裂 骨折群の平均値はO.727士0.106g/甜(n

=4)と低値であった。

  2. 椎 体内 の応 力 分布 ;モ デ ルIの 下位 椎体 海 綿骨 での 高 応力 領域 は ,髄 核直下と椎体の後上 方 の領 域に 限 局し てい た 。皮 質骨内の高 応力領域は,髄核 直下と椎体後壁の ほぼ中央部分にみら れ た。 モデ ルIIに おい て は, 椎体後壁の 応カは増加するも のの,髄核直下の 応カはほとんどみら れナょかっ た。

考察:垂直圧縮荷 重によって,典型 的ナょ破裂骨折が発生した。骨折線が及んだ椎体後壁中央部は,

椎体 静脈 が 入る 小孔 の 存在 する 部位に一 致しており,構造上 脊椎の支持能カを 弱くさせる一因と なる こと が 示唆 され た 。こ の骨 折線によ り生じた椎体後上縁 の骨片が脊柱管内 に突出し,さらに 椎間 板組 織 は椎 体内 部 に陥 入し ていた。 高度な椎間板変性を 有する標本では破 裂骨折の発生が低 率で あり , 椎間 板変 性 は破 裂骨 折の発生 に影響を与えるーっ の要因であると考 えられた。標本数 が少 なく , この 結果 の 統計 学的 処理は不 可能であるが,臨床 上高齢者(例えば70―80歳以上)に 破裂骨折をみるこ とが比較的少ない 事実は,本実験結 果によく一致するも のであった。一方,−骨 塩量 が低 値 な標 本ほ ど 破裂 骨折 の発生は 低率であった。骨塩 量と椎間板変性度 にはある程度の相 関が あり , 骨粗 鬆症 も 破裂 骨折 の発生に 影響を与える要因の ーっであると考え られた。有限要素 法による解析の結 果は,前述の実験 結果によく一致す るものであった。す ナょわち,健常椎間板を 有す るモ デ ルで は, 髄 核直 下の 椎体終板 と海綿骨,椎体後壁 中央部に高応力領 域がみられ,易破 損性 を意 味 した 。高 度 椎間 板変 性を模擬 したモデルでは,髄 核直下の椎体終板 や皮質骨にほとん ど 応 カ を 認 め ず , こ の 部 位 が 破 損 し に く い こ と を 意 味 す る も の で あ っ た 。   本 研究 は ,胸 腰椎 部 破裂 骨折 の発生機 序,および椎間板の 変性度と骨塩量が 本骨折の発生に与 え る 影 響 に っ い て 明 ら か に し た も の で あ り , 博 士 の 学 位 に 値 す る も の と 認 定 さ れ た 。

参照

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