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博士(医学)于 浜生 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)于   浜生 学位論文題名

不安定性腰椎に対する椎弓根スクリュー使用の

後側方固定および後方進入椎体間固定の生体力学的検討 学位論文内容の要旨

    I.緒言

  腰椎 後方再建法 は椎弓根 スクリュ ー(pedicle screw:以 下PS)使用 の後側方固定

(posterolateral fusion:以下PLF)が一般的である.良好な骨癒合率の一方で,スクリ ユーの早期折損,矯正損失jおよぴ偽関節発生の報告も少なくない.近年,前方支持性の 再建とより高い脊柱剛性を目的とし,椎体間cage使用の後方進入椎体間固定(posterior lumbarinterbodyfusion:以下PLIF)が普及している.しかし,高い剛性の脊柱再建は,

隣接椎間により大きい応カをおよぽし,早期変性を起こす可能性がある.したがって,腰 椎不安定性が再建脊柱の剛性と固定インプラントへの応カに与える影響,PLFおよぴPLIF による隣接椎間への影響の解明は,異なる不安定腰椎に対する再建法選択の上で重要な意 味 を持 っ て いる . し かし , 現在 ま で これ に 関す る 生 体力 学 的研 究 の 報告 は な い・

  本研究の目的は,異なる不安定性腰椎に対するPLFおよびPLIFによる再建脊柱の剛性,

固定インプラントの応力,およぴ隣接椎間へのカ学的影響を比較し,PLIFを必要とする腰 椎の不安定性を検討することである.

    H.材料と方法

  新鮮仔牛屍体腰椎(週齢8−10週,L3−L6)10個を使用した.椎間板,靭帯を温存し,傍 脊柱筋群を除去した.検体を負荷装置に固定した際,L4−L5椎間板が水平となるようにL3 とL6椎体を自動車修理用バテでマウントした.L4−L5が固定椎間,L3−L4とL5―L6が上下 隣接椎間である3椎間モデルとした・

  健常脊柱の試験後,L4−L5椎間の後方・前方要素に段階的に損傷を加えて不安定モデル を作 製し,TSRHspinalsyste皿とBrantigancarboncageを用い,五種類の脊柱再建を行 った:◎健常脊柱十PS固定群,◎両側内側椎間関節切除(棘上・棘間靭帯,椎弓の一部 , およぴ椎間関節内側1/2の切除)十PS固定群,◎両側全椎間関節切除十PS固定群,@椎間 板部分切除(L4−L5椎間の後縦靭帯と後方線維輪の切離,および髄核の全摘出)十PS固定 群,◎椎間板部分切除十PS固定/cage併用群.@〜@は異なる不安定性腰椎に対するPLF を,◎はPLIFを想定した再建である.

  刺入されたスクリュー基部の上下面とロッド中央部の前後面に一対の単軸ひずみゲー ジ(AとB)を貼付した.L3ーL4およびL4−L5前方にextens0皿eterを設置し,椎間変位を 測 定し た . ひず み ゲ ージおよぴextens0恥terの出カ をコンピ ューター で記録し た.

  モー メント負荷 装置を用 いて,各 群に前後 屈試験(荷重量土6Nm)を行った.土6Nm 負荷時の椎間変位(mm),スクリユーおよぴロッドのひずみ量(ルと)により,固定椎間

(L4−L5)の剛性値〔〓6(Nm)/椎間変位(mm)〕,スクリューおよぴロッドの曲げひずみ 量〔=1ひずみ量(A)―ひずみ量(B)1/2〕,上位隣接椎間(L3−L4)の変位(前後屈運動

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の中間位から荷重時の椎間変位)を算出し比較した.統計処理には反復測定分散分析と Fisher sPLSDを用い,危険率5%未満を有意と判定した.

    III.結果

1.固定椎間(L4−L5)の剛性値:前・後屈試験とも,椎間板部分切除十PS固定群を除く 他の再建群の剛性値は,健常脊柱群に比し有意に高かった.健常脊柱十PS固定,両側内側 椎間関節切除十PS固定,および両側全椎間関節切除十PS固定の3群間に有意差はなかった・

しかし,この3群に比し,椎間板部分切除十PS固定群の剛性値は有意に低かった.椎間板 部 分 切 除 十PS固 定7cage併用 群の 剛性 値は 他の すべ ての群 に比 し有 意に 高か った . 2.スクリューおよびロッドの曲げひずみ量:スクリューおよぴロッドの曲げひずみ量を 左右2本のスクリューおよぴロヅドの曲げひずみ量の平均値で表した.前・後屈試験時の スクリューおよびロッドの曲げひずみ量において,健常脊柱十PS固定,両側内側椎間関節 切除十PS固定,およぴ両側全椎間関節切除十PS固定の3群間に有意差はなかうた.しかし,

この3群に比し,椎間板部分切除十PS固定群のスクリューおよぴロッドの曲げひずみ量は 有意に大きかった.椎間板部分切除十PS固定/c age併用群のスクリューおよびロッドの曲 げひずみ量は,他のすぺての群に比し有意に小さかった.

3.上位隣接椎間(L3−L4)の変位:前・後屈試験とも,すべての再建群は健常脊柱群に比 し有意に大きな変位を上位隣接椎間にもたらした.椎間板部分切除十PS固定/c age併用群 の上位隣接椎間の変位は,健常脊柱十PS固定群を除く他の再建群に比し有意に大きかった.

    IV.考察

  PSを使用した脊柱再建にはインプラント折損,矯正損失,偽関節,およぴ隣接椎間の変 性脊柱管狭窄症の発生などの問題が伴い,いずれも治療成績の悪化を招く.これらの問題 の解決には,充分な初期剛性の獲得とともにインプラントや隣接椎間ヘ過大な応カの回避 が必要である;・

  本実験では,再建脊柱の剛性とスクリューおよびロヅドの曲げひずみ量において,健常 脊柱十PS固定,両側内側椎間関節切除十PS固定,および両側全椎間関節切除十PS固定の3 群間に有意差はなかった.健常脊柱に対するPS使用のPLFは,脊柱配列を保持,骨癒合を 獲得,インブラント折損を回避する充分なカ学的特性を有するといえる.したがって,脊 柱前方の支持性が保たれていれぱ,手術操作による両側内側または全椎間関節切除を行っ た不 安定 脊柱 に対 し,PS使 用のPLFは カ学 的に 充分であり,PLIFの必要性は少ない.

  一方,椎間板部分切除十PS固定群では,健常脊柱十PS固定,両側内側椎間関節切除十 PS固定,および両側全椎間関節切除十PS固定の3群に比し,再建脊柱の剛性が低く,スク リューおよびロッドの曲げひずみ量が著しく増大した.この結果は脊柱前方の支持性が損 なわれた場合,PS使用のPLFでは充分な脊椎安定性が得られず,かつ後方インプラントに 過大な負荷が加わることを示唆する.さらに,この結果は前方支持性が破綻した例に,PS 固定によるPLFではインプラント折損,前弯損失およぴ偽関節の発生率が高い臨床報告を 裏付ける.

  本研究では,PS固定と椎体間cageの併用は,すべての再建法のうち,再建脊柱の剛性 が最も高く,スクリューおよぴロヅドのひずみ量が最も低いことを示した.前方支持性が 損なわれた例に対し,PLFはカ学的に限界があり,前方支柱再建としてのPLIFを選択すべ きであると考える・

  脊椎固定術が隣接椎間における可動域の増大,椎間板や椎間関節の応力増大をもたらす ことは,過去の生体力学実験により証明されている.また,このようなカ学的変化が隣接 椎間の早期変性をもたらすとin vivoの実験で示されている.本実験では,PLIFはPLFと 比較し,隣接椎間に大きい変位をもたらし,早期変性の危険性を高めることを示唆する.

PLFで対処できる症例にはPLIFを用いるぺきではないであろう.

  本実験の結果をふまえ,さまざまな不安定性腰椎に対する適切な再建法の決定の鍵は,

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その前方支持性の評価にある.そのため,腰椎変性疾患における前方支持性の評価法の早 期確立が重要であると考える.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

不安定性腰椎に対する椎弓根スクリュー使用の

後側方固定および後方進入椎体間固定の生体力学的検討

  椎 弓 根 ス ク リ ュ ー ( 以 下PS)使 用の 後側 方固 定( 以下PLF)お よぴ 後方 進入 椎体 間固 定( 以下 PLIF)が腰 椎後 方経由の再建法としてよ く用いられている。しかし、様々な腰椎不安定性に対す る 両固定術の使い分け、および両固定術による 隣接椎間へのカ学的影響にっいてはまだ明らかではな い 。 本 研 究 の 目 的 は 、 異 な る不 安 定性 腰椎 に対 するPS使 用のPLFお よびPLIFによ る再 建脊 柱の 剛性、固定インブラントの応力、および隣接 椎間へのカ学的影響を比較し、PLIFを必要とする腰椎 の不安定性を検討することである。新鮮仔牛屍体腰椎(週齢8‑10週,L3‑L6) 10個を使用した。LA‑L5 が固 定椎 間、L3‑IAとL5‑L6が上 下 隣接 椎間 である3椎間モデルとし た。健常脊柱の試験後、LA‑L5 椎間 の 後方 ・前 方要 素に 段階 的に 損傷 を加 えて 不安 定モ デル を 作製 し、TSRH spinal systemと Brantigan carbon cageを用い、五種類の脊柱再建を行った:@健常脊柱十PS固定群、@両側内側椎 間関 節切 除十PS固 定群 、◎ 両側 全 椎間 関節 切除十PS固定群、@椎間板部分切除十PS固定群、◎ 椎 間 板 部 分 切 除 十PS固 定/cage併 用 群 。 @ 〜 @ は 異 な る 不 安定 性腰 椎に 対す るPLFを、 ◎はPLIF を想定した再建である。スクリュー基部の上 下面とロッド中央部の前後面に一対の単軸ひずみゲー ジを 貼付 し、 イン プラ ント のひ ず み量 を測 定した。L3‑LAおよぴIA‑L5前方にextensometerを設 置 し、 椎間 変位 を測 定した。純粋モーメント負荷装置を用いて、各群 に前後屈試験(荷重量土6 Nm) を行い、固定椎間(LA‑L5)の剛性値、スクリューおよびロッドの曲げひずみ量、上位隣接椎間(L3−IA) の変 位を 算出 し比 較し た。 統計 処 理に は反 復測定分散分析とFisher,sPLSDを用い、危険率5% 未 満を有意と判定した。再建脊柱の剛性とスク リューおよぴロヅドの曲げひずみ量において、健常脊 柱十PS固 定、 両側 内側 椎間 関節 切 除十PS固 定、 およ び両 側全 椎間 関節 切除十PS固定の3群間に 有 意差はなかった。この結果より、脊柱前方の 支持性が保たれていれば、手術操作による両側内側ま たは 全椎 間関 節切 除を 行っ た不 安 定脊 柱に 対し 、PS使用 のPLFはカ 学的に充分であり、PLIFの 必 要性 は少 ない と考 えら れた 。一 方 、椎 間板 部分切除十PS固定群では、健常脊柱十PS固定、両側 内 側椎 間関 節切 除十PS固 定、 およ び 両側 全椎 間関 節切 除十PS固 定の3群に比し、再建脊柱の剛性 が 低く、スクリューおよびロヅドの曲げひずみ 量が著しく増大した。この結果は脊柱前方の支持性が 損な われ た場 合、PS使 用のPLFで は充 分な 脊椎 安定 性が 得ら れ ず、 かつ後方インプラントに過 大     ー549―

男 則

明 和

浪 田

三 安

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

な 負荷が 加わる ことを示 唆する 。さらに 、この 結果は前 方支持性 が破綻 した例に 、PS固定 による PLFで はイン プラント 折損、 前弯損失 および 偽関節の 発生率が 高い臨 床報告を裏付ける。本研究で は 、PS固 定と椎体 間cageの併 用は、す べての 再建法の うち、再 建脊柱 の剛性が 最も高 く、スク リ ユーお よびロ ッドのひ ずみ量 が最も低 いこと を示した 。前方支 持性が 損なわれた例に対し、PLFは カ 学的に 限界が あり、前 方支柱 再建とし てのPLIFを 選択すべ きであ ると考え られた 。脊椎固 定術 が隣接 椎間に おける可 動域の 増大、椎 間板や 椎間関節の応力増大をもたらすことは、過去の生体力 学実験 により 証明され ている 。また、 このよ うなカ学的変化が隣接椎間の早期変性をもたらすとin vivoの 実験 で 示 さ れて い る 。本 実験で は、PLIFはPLFと比 較し、 隣接椎間 に大き い変位を もたら し 、早 期 変 性の 危 険 性 を高 め るこ とを示唆 する。PLFで対 処でき る症例に はPLIFを用 いるべき で はナょいと考えられた。゛本実験の結果をふまえ、様々な不安定性腰椎に対する適切な再建法の決定の 鍵は、 その前 方支持性 の評価 にある。 そのた め、腰椎変性疾患における前方支持性の評価法の早期 確立が重要であると考えられた。

  審査 にあたり 、副査渡 邉教授 から腰椎 を用い た本研究の結果を他の脊椎部位、小児や老人などの 違う年齢層、およぴ変性疾患の以外の脊椎外傷や腫瘍ナょどに適用することができるかについて、副 査 安田教 授から 実験後期 に椎弓 根スクリ ューの 固定性が 悪くなる 可能性 と荷重量6 Nmの選択 の理 由につ いて、 また、主 査三浪 教授から 本実験 に用いたケージと現在臨床に使用されている他のケー ジの差 につい ての質問 があっ た。申請 者はこ れらの質問に対して自己の研究結果と文献的知識に基 づいて適切に回答した。

  以 上 、 本研 究 は 腰 椎不 安 定 性に対 するPLFおよびPLIFによる 再建脊柱 の剛性や 隣接椎 間へのカ 学的影 響に関 する独創 的な研 究であり 、今後 この研究成果が様々な不安定性腰椎に対する適切な再 建法の選択に応用されると期待される。

審査員 一同は これらの 成果を 高く評価 し、大 学院課程における研鑚や取得単位なども併せ申請者が 博士(医学)の学位を受ける資格を有するものと判定した。

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参照

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