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博士(獣医学)大杉剛生 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(獣医学)大杉剛生 学位論文題名

I 型 糖 尿 病 自 然 発 症 モ デ ル (NOD) マ ウ ス の      糖尿病発症に関する研究

―糖尿病低発症NOD マウスのSPF 化による発症の増加一

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  NO D(non −obese diabetic マウスはI 型糖尿病および自己免疫病のモデル動物とし て広く研究に使用されている。このマウスはまず膵島内へのりンパ球浸潤、いわゆる 膵島炎が出現し、ついで、膵島馴細胞が破壊され、インスリン絶対不足の糖尿病を発 症す る。その糖 尿病発症率は雌雄差が認められ、最初の報告では 210 日齢のメスで 80 %、オスで20 %である。

   しかし、その糖尿病発症率は各研究機関で差が認められ、飼育環境の違いであろう ことは示唆されてきたが、その原因については現在まで、一定の結諭が得られていな い。 著者らの飼 育している NOD マウスは糖尿病発症率が低く、さらに、その発症日 齢が 通常のNOD マウスより大幅に遅延していた。当初、遺伝的背景の一致した糖尿 病を 発症しない 対照系のNOD マウスが存在レないことから、著者らの飼育している NOD マ ウ スが 対 照系 と して 使 用でき るので1 まないか と考え、そ の導入時期 によ り NOD / Ju お よ び NOD / shi 両 亜 系 と し て 分 離 、 飼 育 し た 。 NOD / Ju お よ び NOD / shi マ ウ ス と も に 分 離 後 の 糖 尿 病 発 症 率 は 低 く 、 各 々 メ ス で 7 お よ び 16 % であ り 、オ ス では O %で あ っ た。 ま た、 発 症日 齢 も延 長傾向が 認めら れ 、 NOD / Ju マ ウ ス で 263 日 、 NOD / shi マ ウ ス で 227 日 で あ っ た 。 し か し、 膵島炎は両 亜系マウス とも全てに 認められた 。また、 300 日齢以上 で糖尿病 を発症しないマウスは、さらに膵島炎が進行し、激しい膵島炎が観察されるものの、

糖 負 荷 試 験 成 績 か ら イ ン ス リ ン 分 泌 は 正 常 で あ る こ と が 示 さ れ た 。

(2)

   同じ飼育室で他系統マウスを維持しているため、これらマウスとの混交を考慮し、

遺伝モ ニタリング を実施した ところ両亜 系マウスと もに従来報告されている NOD マウスの遺伝子プ口ファイルと一致し、他系統との混交は否定された。ついで、微生 物モニタリングを実施したところ、特定の病原微生物に汚染していることが明らかに なった。しかレ、糖尿病発症、非発症にかかわらず、盲腸内Enterobacteriaceae 数

;ま他系統マウスと同様であり、腸管固有細菌が体内各臓器へ移行する現象であるバク テリアトランス口ケーションも差はみられず、糖尿病発症に腸内フローラが関与して いる可能性は低いものと考えられた。

   次に、特定病原微生物の排除のため、受精卵移植によるSPF 化を実施した。移植 後は両亜系ともにメスの糖尿病発症率は 100 %となった。オスでは糖尿病の発症は 認められなかった。糖尿病を発症したマウスの平均日数は両亜系ともに移植前に比べ 大 幅 に 短 縮 し た 。 受 精 卵 移 植 に よ っ て 得 ら れ た NOD / Ju マ ウ ス を 2 群 に 分 け 、 SPF あ る い は コ ン ベ ン シ ョ ナ ル 環 境 で 飼 育 し た 。 SPF 環 境 で 維 持 し た マウスは高い発症率を維持していたが、コンベンショナル環境で維持したマウスは 急 激 に そ の 糖 尿 病 発 症 率 は 低 下 レ た 。 MHV 、 HVJ お よ び Mycop な 舳 a p 出伽 お に対す る血清抗体 の検査で、 SPF 環境で 維持した群 はすべて陰 性であっ た が 、 コ ン ベ ン シ ョ ナ ル 環 境 に 移動 さ せた 群 では MHV に 対す る 抗 体の み 全例 保有しており、 MHV に感染したことが示唆された。

   免疫抑 制剤サイク ロフォスフ ァミドは NOD マウスの 糖尿病発症を促進すること

が知られているが、コンベンショナル環境で飼育していた NOD マウスでは全く反応

しなかった。しかし、膵島炎は 100 %観察され、糖尿病発症にはさらに膵島別細胞

を破壊する細胞障害性リンパ球の誘導が必要であることが示唆された。N 〇D マウス

は MHV のような病原体に感染すると、膵島ロ細胞を破壊する細胞障害性リンパ球の

誘導がないか、遅延し、その糖尿病発症が低下および遅延するであろうことが示唆さ

れた。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査

副 査 副 査 副 査

教 授 教 授 教 授 教 授

前出吉光 金川弘司 喜田   宏 渡辺智正

学 位 論 文 題 名

I 型 糖 尿 病 自 然 発 症 モ デ ル (NOD) マ ウ ス の      糖尿病発症に関する研究

―糖尿病低発症NOD マウスのSPF 化による発症の増加一

  NOD(non‑obese diabetic)マウ ス は 自然 発 症 のI型 糖 尿 病( イ ン スリ ン 依 存性 糖 尿 病) の モ デ ル 動 物 と し て 広 く 研 究 に 使 用 さ れ て い る 。 NODマ ウ ス の 糖 尿 病 発 症 率 は 飼 育 環 境 に よ り 異 な る こ と が 知 ら れ て い る が 、 そ の 原 因 は 解 明 さ れ て い な い 。 申 請 者 は 、 糖 尿 病 非 発 症NOD(non‑NOD)マ ウ ス に つ い て 糖 負 荷 試 験 を 行 っ た と こ ろ 、non‑NODマ ウ ス の イ ン ス リ ン 分 泌 は 正 常 で あ っ た が 、 膵 臓 で は 膵 島 炎 が 観 察 さ れ た 。 ゛ 遺 伝子 モ ニ タ リン グ の 結果 か ら 、non‑NODマ ウ ス と 他 系 統 マ ウ ス と の 混 交 の 可 能 性 は 否 定 さ れ た 。 し か し 、 微 生 物 モ 二 夕 リ ン グ の 結 果 、non‑NODマ ウ ス は 特 定 の 病 原 微 生 物 に 感 染 し て い る こ と が 判 明 し た 。 そ こ で 、 病 原 微 生 物 を 排 除 す る た め に 、non‑NODマ ウ ス に つ い て 受 精 卵 移 植 に よ り 、 特 定病 原 体 除 去(Specific pathogen free,SPF化)を 実施した 。SPF化後、メ スのマ ウスの糖 尿病 発 症 率 は100% と な っ た 。 オ ス で は 発 症 は 認 め ら れ な か っ た 。 次 に 、SPF化 し た マ ウ ス を2群 に 分 け 、SPF環 境 お よ ぴ 通 常 の 環 境 で そ れ ぞ れ 飼 育 し た と こ ろ 、SPF飼 育 群 は 高 い 糖 尿 病 発 症 率 を 維 持 し た が 、 通 常 飼 育 群 で は そ の 発 症 率 は 急 激 に 低 下 し た 。Sendai virus (HVJ),mouse hepatitis virus (MHV)お よびr'Vycopbsmapu畑0nお に対する 血清抗 体は、

SPF飼 育 群 で は す ぺ て 陰 性 で あ っ た が 、 通 常 飼 育 群 はMHVに 対 す る 抗 体 を 保 有 し て い た 。 ま た 、 通 常 飼 育 のnon‐NODマ ウ ス に 免 疫 抑 制 剤 の サ イ ク 口 ホ ス フ ん ミ ド を 投 与 し た が 、 糖 尿 病 の 発 症 は み ら れ な か っ た 。 し か し 、 こ れ ら の マ ウ ス の す べ て に お い て 膵 島 炎 が 観 察 さ れ た 。 以 上 の 成 績 か ら 、NODマ ウ ス で はMHVの よ う な 病 原 体 に 感 染 す る と 、 膵 島p 細 胞 を 破 壊 す る 細 胞 障 害 性Tリ ン パ 球 の 膵 島 へ の 浸 潤 が 減 少 す る た め に 膵 島 細 胞 の 破 壊 が

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抑 制 さ れ 、 そ の 結 果 、 糖 尿 病 の 発 症 が 低 下 す る も の と 考 え ら れ た 。    以上のように申請者はNOD マウスの糖尿病発症機構に関して重要な知見を提供した。

よって審査員一同は、大杉剛生氏が博士(獣医学)の学位を受ける資格を有するものと

認めた。

参照

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