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博士(医学)竹田 剛 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(医学)竹田   剛 学位論文題名

慢性関節リウマチ患者滑膜組織における EB ウイ ルスの存在に関する検討

学位論文内容の要旨

    I.背景

  慢性関節リウマチ(以下RA)は、関節を病変の主座とする原因不明の慢性炎症性疾患であ り、 遺伝 的素因のあるものに微生物感染や内分泌異常などの様々な要因が加わって発症す ると 考え られ てい る。 中で も微 生物 とRAの関 連は 以前 より指 摘さ れており、微生物がRA の病態に関与する機序として@.微生物抗原と滑膜成分との交差抗原性、◎.関節内での微 生物 抗原 に対 する 免疫 反応 の惹 起、 ◎.微生物由来のスーパー抗原によるT細胞の活性化

、@,微生物感染細胞によるサイ卜カイン産生、◎,微生物感染細胞による自己抗体産生、◎,

免疫 複合 体の 産生 、◎ ,微 生物 感染 によ る滑 膜細 胞の 増殖誘 導な どがあげられている。

  微 生 物 感 染 の 中 で もEBウ イル ス ( 以 下EBV)は 以前 からRAと の関 連が 強く 疑われ てい る ウ イ ル ス で あ る 。EBVとRAの 関 連 につ い て は こ れ ま で 、EBV抗 原に 対 す る 免 疫 反 応 が自 己滑 膜成分に交差反応することで組織障害を惹起することや、伝染性単核症で血中に 様 々 な 自 己 抗 体 が 出 現 す る こと か らEBVがBリン バ球 の活 性化 を通 して 自己 免疫疾 患の 発 症 に 関 与 す る と す る 可 能 性が 疑 わ れ て い た 。 ま た 、RA患 者 に お いてEBVの活性 化や EBV特 異 的T細 胞 の 機 能 低 下 も 報 告 さ れ て い る が 、EBVのRA患 者 滑膜 組 織 に お け る 存 在については明らかな見解が得られていなかった。

  最 近 に な っ てRA患 者 滑 膜 組 織 か ら100%EBV陽 性 の 滑 膜 細 胞 (DSEK細 胞 ) が 樹 立 さ れ こ れ ら が 溶 解 感 染 を 生 じ て い る こ と 、RA患 者 滑 膜 浸 潤T細 胞 がEBV溶 解 感 染 時 に 発 現 さ れ る 特 異 的 抗 原 で あ るBZLF‑1やBMLF‑1を 認 識 し て い る こ とも 示 さ れ る な ど 、 RA患 者 滑膜 組織 にお けるEBVの 存在 を強 く示 唆す る所 見が 次々 と報 告さ れて いる。 そこ で、 今回RA患 者滑 膜組 織に おけ るウ イル ス量 やウ イル スの局 在お よび感染様式について 検討した。

    1I. 対 象 と 方 法

  滑 膜 切 除 術 又 は 、 人 工 関 節 置 換 術 時 に 得 ら れ た1987年 のAmerican College of Rheumatologyの 分 類 基 準 を 満 た すRA患 者32例32関 節 お よ び 変 形 性 関 節 症 ( 以 下OA

) 患 者30例30関 節の 滑膜 組織 の一 部を バラ フィン 包埋 する のと 同時 に‑80℃で 凍結 保存 し 以 下 の 検 討 を 行 っ た 。

◎ . 冷 凍 組 織 か らDNAを 抽 出 し 、 そ の う ち1ルgのDNAを 用 い て 、EBV BamHI‑W領 域

(2)

を増幅するブライマーを用いた

PCR

法を施行した。ウイルス量の多い検体については、

20

ルg の

DNA

を用いて 同部位をprobe としたサザンプロット法を行い滑膜組織内のウイ ルス量を決定した。

◎. ◎ でウ イ ルス 量が多かっ た検体につ いてはバラ フィン包埋 組織を用い

EBV RNA EBER

に 対 す る血

situ hybridization

( 以下

ISH

) を施 行 、さ ら にEBV のBamHI‑W 領 域 に 対 す る

RNA probe

を セ ン ス プ ロ ー プ と し て 用 い た

DNAISH

も 施 行 し た 。

◎.同様に @でウイル ス量が多か った検体について、冷凍組織を用いて

EBV

関連蛋白

BZLF1

およびgp350/220 に対する免疫染色を行った。

@.滑膜組織採取時に同時に得た患者血清および年齢・性を一致させた30 例の健常人血清 を用 い て、 抗

VCA

抗体、抗

EA

抗 体、抗EBNA 抗体の 検出を行っ た。それぞ れの抗体価 については幾何平均値(

Geometric mean titer

GMT

)を用いてstudent s ・t‑test で

、 ま た 陽 性 率 に つ い て は 笂

2̲test

を 用 い て 有 意 差 検 定 を 行 っ た 。

    

皿.結果

  PCR

法では

Rai

細胞を 用いた検出 感度は1 コピー/

5000

細 胞であった が、

EBVDNA

RA32

例 中

15

例 (

47

% ) で 検 出 さ れ た 。 一 方

OA30

例 で は

1

例 も 検出 さ れず 、

RA

患 者滑膜組織には有意に高率に¢くO .01 )EBVDNA が存在することが確認された。さらに、

PCR

法 で

1000

細 胞 あ た り

1

コ ピ ー 以 上 の

EBV

を 有 し た 検 体

9

例 の

DNA

を用 い たサ ザ ン ブ 口ッ ト 法で は

3

例 が 陽 性で あ り、 う ち

2

例 は

1

コ ピー /

10

細 胞 以上 の

EBVDNA

を 有していた。

  

次に

PCR

法 で

1000

細胞 あ たり

1

コピ ー以上 の

EBV

を有 した

9

例のうち、 検体の得ら れ た

8

例に っき組織学 的検討を行 ったところ 、

EBER

に対する

ISH

では

5

例に、また

DNA ISH

では

3

例に陽性シ グナルが検 出された。

DNAISH

では陽性コント口ールとして用い た抗ヒト

IgG

処理Akata 細胞で陽性シグナルが検出されたが、

Raji

細胞では検出されず

、 溶解感染時 にのみ陽性 となると判 断した。従 って

RA

患者で検出された

DNAISH

の陽 性シグナルは溶解感染を示唆するものと思われた。さらに免疫組織染色でBZLF ・1 は全例 に、gp350 /220 は7 例に検出された。いずれの検討でも陽性シグナルはりンバ球のみなら ず滑膜組織の一部にもみとめられた。同時に施行した血清学的検討では、RA 患者では0A 患者と比較して抗VCA 抗体が高値¢く0 .01 )であり、抗EA 抗体も高頻度¢く0 .01 )かつ高 力価田く0 .05 )で検出された。

    1V

.考案

  

以上の結果 は

RA

患者滑膜組織内で高率に

EBV

感染が生じており、しかも溶解感染が 存在することを示す所見である。RA 患者滑膜組織で

EBV

の溶解感染が存在することは、

Koide

らが樹立したDSEK 細胞で持続的に溶解感染が生じているのと同一の現象が血vivo でも生じ ている可能 性を強く示 唆する。DSEK 細胞では

B

リンバ球でのEBV 受容体であ るCD21 が陰性であることから、滑膜細胞への感染様式としてはcell to cell contact など

CD21

以外のレセプターを介した機序が考えられる。

  

今回対象とした症例が平均罹病期間14 年という比較的慢性期の症例であることから、

これらの現象がRA の病因に関わる初期からみられる現象なのか、病期が進んで慢性期に

(3)

入り病気そのものないしは治療によって免疫異常が生じた結果二次的に生じた現象なのか については明らかではない。

  EBV

溶解感染がRA 患者滑膜組織内で生じていることから、EBV 感染により滑膜増殖 が直接的に誘導される可能性や、EBV 感染細胞から産生されるサイトカインを通じて

EBV

がRA の病態に関与している可能性が考えられる。その一方で溶解感染に際して発現 さ れる

BZLF1

BMLF‑1

など のEBV 関 連蛋 白が 滑膜 内で持 続的 に抗 原として提示され

、それを認識するT 細胞が滑膜内に浸潤している可能性がある。このようにEBV は関節

腔内で炎症反応を惹起することでRA の病態に関与しているものと思われる。いずれにし

ても本検討で得られた結果は、EBV のRA の病態形成への関与を強く示唆する所見と考え

られた。

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

慢性関節リウマチ患者滑膜組織における EB ウイ ルスの存在に関する検討

  慢 性 関 節 リ ウ マ チ(RA)EBウ イ ル ス(EBV)の 関 連 は 以 前 か ら 疑 わ れ て い た が 、EBVRA患 者 滑 膜 組 織 に お け る 存 在 に つ い て は 明 ら か な 見 解 が 得 ら れ て い な か っ た 。 最 近 に な っ て RA患 者 滑 膜 組 織 か ら100EBV陽 性 の 滑 膜 線 維 芽 細 胞 株(DSEK株 ) が 樹 立 さ れ 、RA患 者 滑 膜 浸 潤T細 胞 がEBV関 連 抗 原 を 認 識 し て い る と の 報 告 も な さ れ て い る 。 こ れ ら の 事 実 はRA患 者 滑 膜 組 織 に お け る EBVの 存 在 を 強 く 示 唆 す る も の で あ り 、 本 研 究 で はRA患 者 滑 膜 組 織 に お け る EBVの ウ イ ル ス 量 や ウ イ ル ス の 局 在 お よ び 感 染 様 式 に つ い て 検 討 し た 。   検 討 に 際 し て は 、RAお よ び 対 照 と し て 変 形 性 関 節 症(OA)の 患 者 滑 膜 組 織 を 採 取 .2分 割 し 、 一 方 を 凍 結 保 存 、 他 方 を パ ラ フ ィ ン 包 埋 し た 。 凍 結 保 存 組 織 か ら 抽 出 し たDNAIUgを 用 い てDNA PCR法 でEBVの 有 無 を 半 定 量 的 に ス ク ル ー ニ ン グ し 、EBウ イ ル ス が1コ ピ ー ノ1000細 胞 以 上 認 め ら れ た 症 例 に つ い て は サ ザ ン ブ 口 ッ ト 法 、 パ ラ フ ィ ン 包 埋 組 織 を 用 い た RNA加 餌 ぬ hybridization(ISH)お よ びDNA ISH、 さ ら に 凍 結 保 存 組 織 の 一 部 を 用 い て 免 疫 組 織 染 色 も 施 行 し た 。 滑 膜 組 織 を 採 取 し た 際 同 時 に 血 清 も 採 取 し 、EBV関 連 抗 体 価 の 測 定 に 用 い た 。

  DNA PCR法 で は 、 RA患 者 で EBV DNAを 有 す る 例 が1547% に み ら れ た の に 対 し 、OA患 者 で は1例 も 検 出 さ れ ず 、RA患 者 に お い て 有 意 に 高 頻 度 に EBV DNAが 検 出 さ れ た 。RA患 者 で は EBVの ウ イ ル ス 量 が1コ ピ ー ノ1000細 胞 よ り 多 い 症 例 が9例 み と め ら れ 、 こ の う ち3例 で は DNA 20gを 用 い た サ ザ ン ブ 口 ッ ト 法 で もEBV DNAが 検 出 さ れ た 。 組 織 学 的 検 討 は9例 中8例 に 行 い 、RNA ISHで は 5例 で 、DNA ISHで は 4例 で 、 免 疫 組 織 染 色 で はBZLF18例 で 、gp350/2207例 で 陽 性 シ グ ナ ル が 検 出 さ れ 、 そ れ ぞ れ の 検 討 に お い て 滑 膜 組 織 に 浸 潤 す る り ン パ 球 の み な ら ず 滑 膜 細 胞 に も 陽 性 像 を み と め た 。 DNA ISHは 陽 性 コ ン ト 口 ー ル 切 片 の 検 討 に よ り 溶 解 感 染 の み を 検 出 し 得 る と 考 え ら れ 、 免 疫 組 織 染 色 でEBV溶 解 感 染 時 に 発 現 さ れ るBZLF1お よ びgp350/220 が 発 現 さ れ て い る こ と か ら 、RA患 者 滑 膜 組 織 内 で り ン パ 球 な ら び に 滑 膜 細 胞 で EBVの 溶 解 感 染 が 存 在 し て い る こ と が 示 さ れ た 。

隆 賢

小 高

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

  EBV

関連 抗 体価 の 検討 に は、

RA

およ びOA の他に年 齢・性を一 致させた健 常 人の 血 清も 用 い たが 、 抗VCA 抗 体 の抗体 価、抗

EA

抗体 の陽性率、 抗EA 抗 体 の抗 体価がRA 患者 でOA 患者およ び健常人と 比較して有 意に高値で あり

RA

患者におけるEB ウイルスの活性化が示唆された。

  EBV

陽性

RA

患 者 の 臨床 像 の特 徴 を検 討 する た めに

DNA PCR

法 で陽 性 であ った15 例 と、陰性で あった17 例に ついて性別 、年齢、罹病期間、CRP の値、

リウマ トイド因子 陽性率、お よび組織型 を比較したが、EBV 陽性RA 患者で年 齢 が 有 意 に 若 年 で あ っ た 以 外 は 、 両 者 に 臨 床 的 差 異 は 認 め な か っ た。

  

以上の 検討結果か ら、RA 患者滑 膜組織にお いてEBV の溶解感染が高率に生 じ、ウイルス産生が亢進していることが示された。またEBV の感染の標的はり ンパ球のみならず滑膜細胞であることも示された。

  

質疑応答においては三浪教授から半分の症例でEBV が検出されなかった理由、

EBV

の 陽性例と陰 性例で臨床 像に差がな い理由、滑 膜細胞への

EBV

の感 染機 序についての質問があった。高田教授からは、同一症例の複数関節の検討の有 無、細胞性免疫の検討の有無、ウイルス量が多い例のEBV 関連抗体価について、

EBV

が滑膜内で産生するサイトカインについての質問があった。小池教授から は、リウマトイド因子がB 細胞に作用し溶解感染が起きている可能性、滑膜細 胞にお けるCD21 やその ホモ口ーグ の発現の検 討の有無、組織所見でEBV 陽性 細胞が少ないことの意味合いにっいて質問があり、いずれの質問に対しても、

申請者は概ね適切に回答した。

  

本論文 における検 討から、EBV が様々な 形でRA における滑膜炎に関与して いる可 能性が考え られ、今後のRA の病態解明に寄与するところが大きいもの と考える。

  

審査委員一同は、これらの成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位

を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

参照

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討 した 。 ABPC を感 染1 日後 から 1 日1 回,連続3 日間皮下投与して