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博士(医学)藤森 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(医学)藤森 学位論文題名

大腸癌における血清al acid glycoproteln ,prealbumln 比の 意義に関する臨床的研究

学 位論文内容の 要旨

    I研究目的

  血 清dI acid glycoprotein( 以 下diAG) とprealbumin( 以 下PA)と の 比 ,cancer serum index( 以 下CSI) はHollinsheadら の 報 告 以来 , 悪性 腫瘍 に おい て上 昇 する とさ れ てい る。

悪 性 腫 瘍 で はd cAGの 増 加 とPAの 低 下 が み ら れ , 従 っ てCSItまhost―tumor relationship を表現す る指標と考えられ ている。これまで泌尿器科領域ナょどを除いて,消化器領域の悪性腫瘍,

特 に大 腸癌 に 関す る詳 細 な報 告は い まだ され て いな い。 本 研究 は大 腸 癌に おけ るCSIの 臨床 的 意 義を 明ら か にす るこ と を目 的と し ,特 に進 行 度の 評価 , 治癒 手術 可能 性の判定などの点 から carcinoembryonic antigen(以下CEA)と対比し つつ検討した。

    u対象と方 法

  1986年8月 よ り2年3か 月 間 に 経 験 し た 大 腸 癌手 術 症例120例(stage1 15例,1132例 ,III29 例 ,IV23例 ,V21例 ) を 研究 対象 と して ,一 元 放射 状免 疫 拡散 法(Mancini法) によ り 血清al AGお よ びPAを 測 定 し ,diAG/PAと し てCSIを 算 出 し た 。 同 時 に ビ ー ズ 固 相 法 に よ り 血 中 CEAを測 定し た 。対 象と し て健 康成 人68例 ,胆 石 症, 消化 性 漬瘍 ,大 腸 ポリ ープ な ど良 性消 化 器疾 患64例,急性虫垂炎 ,急性胆嚢炎,漬 瘍性大腸炎,ク口 ーン病など炎症性消 化器疾患36例,計 168例 に っ い て 同 様 の 方 法に てCSIを測 定 した 。大 腸 癌患 者に っ いて は術 後 経時 的にCSI,CEA を 測定 し ,病 理学 的 諸因 子な らびに術後追跡経 過との関連にっい て検討した。有意差 検定はMann Whitneyの 検 定 ま た はJonckheere―Terpstraの検 定 を用 い, 病 理学 的諸 因 子と の関 連 にっ い てtま数量化I類による多 変量解析を行った 。

(2)

(1) 健康 成人お よび各 疾患のCSI

ni結   果

  CSIは 健 康 成 人 では1.59土0.03 (mean土SE),大腸 癌では5.39土O.50,良 性消 化器疾 患で は2. 07土O.06,炎症 性消化 器疾患では5.51土0.54であり,大腸癌のCSIは健康成人,良性消化 器 疾患に 比べて 有意 に高値 (pく0. 01)であ ったが ,炎症性消化器疾患に対しては有意差を認め な か っ た 。 健康 成 人 例 のmean土2SD値 か ら2.20を カッ ト オ フ 値 とす る と ,CSI陽 性 率 は 健康 成 人 ではO%, 大腸癌 では77.5%,良 性消化 器疾患 では23.4%,炎 症性 消化器 疾患で は86.1% で あった。

(2)大腸癌各stageのCSI

  大 腸癌 各stage毎のCSIと陽 性率 はstageI:2.21土0.20  (20.O%) ,H:2.97土O.14  (78.1

%),m:3. 53土O.34  (72.4%),IV:5.17土0.48 (100%),V:13. 54土1.90 (100%)であり,

stagPIのCSIは 健 康 成 人 に 対 し て ,H〜VのCSIは 健 康 成 人 , 良 性 消 化 器 疾 患 に 対 し て有 意 に 高 値 (pくO.01)で あ っ た 。 またstageの 進 行 と 共にCSIも 高値 と な る 傾 向が 示 さ れ た (p くO. 01) 。 ま たstageII〜1I[間 を 除 く 各stage相 互 間 に 有 意差 (pくO.01) を 認 めた 。   大 腸 癌各stage毎 のCEAと 陽 性 率 はstageI:1.3土0.2ng/mE(6.7% ),1I:2.9土0.6ng7 樹(31.3%),m:2.8土O.snglmE  (27.6%),IV:3.O土0.7ng/mE  (30.4%),V:106.6土40.l ngZmE(81.O% ) で あ り ,全 体 で は20.9土7.8ng/ 樹 (35.8%) で あ った。 またstageの 進行 と 共 にCEAも 高 値 と なる 傾 向 が 示 され た (pくO.01)。 なお,stageIに対 して 皿〜Vに,stage Vに 対 し てI〜Wに 有 意差 (pくO. 05)を認 め た が ,stagelI〜IV相 互間 に有意 差を 認めな かっ た。

(3) CSIと病理学的諸因子との関連   @腫瘍最大径との関連

  切除107例の腫瘍最大径を3. Ocm以下の群(22例),3.1〜6. Ocmの群(58例),6.lcm以上の群(2 7例)の3群に分けると,3. Ocm以下の群のCSIは2.21土O.12,3.1〜6. Ocmの群は4.01土O.37,6.l cm以 上の 群は5. 40土O.44で あり ,腫瘍 径の増 大と共 にCSIも高 値とな る傾向が示された(pく0. 01)。 またstageI, 肛 の 症例 に お い て 腫瘍 最 大 径とCSIに 正の相 関(r二ニO.554,pく0.01) が認められた。

  腫 瘍最 大径が3. Ocm以下の 群のCEAは1.5土O.Ing/mE,3.1〜6. Ocmの群は12.0土1.Ing7mE, 6. lcm以 上の 群は31.7土3.8ng/ 耐で あり, 腫瘍径 の増大 に伴 うCEAの上昇の傾向はみられず,

stageI,nの症例における腫瘍最大径とCEAの相関も認められなかった。

(3)

  ◎stage決 定因 子との 関連

  stageを 決定 す るs(a) ,n,P,Hの 各 因 子 との 関連 を明ら かに するた め,s(a)因 子をm, sm,pm群 (20例) ,ss,s(a12)群(78例) ,Sl(ai)群(22例)に ,n因子をno群(51例),

ni.2群(46例 ),n 4群(23例 )に,P因 子をP‥群 (111例) ,P,+) 群(9例) に,H因子 をHH 群 (108例 ) ,H…群 (12例) にそれ ぞれカ テゴ ル一化 し,CSIまた はCEAを従 属変数 ,各因 子を 独 立 変 数 とし て 多 変 量 解析 を 行 な っ た。CSIの 上昇 にtまs(a),n因子 の関与 が大き いのに 対 し ,CEAの 上 昇 に はH因 子 の 関 与 が 特 に 大 き く ,P因 子 は ほ と ん ど 関 与 し ナ ょ か っ た 。 (4) CSIと手 術根 治性の 関連

  大 腸癌手 術症例のうち治癒手術群(98例)のCSIは3.63土O.14,非治癒手術群(22例)は13. 20土 1. 84で両 群間に 有意差 (pくO.01)を認めた。またCSIが5.00以下で非治癒手術となった症例は な か っ た 。治 癒 手 術 群 のCEAは2.6土0.3ng/mE,非 治癒手 術群は102.O土38. sngl mEで両 群間 に 有 意 差 (pく0.05)を 認 め た が , 非 治 癒 手 術 群 の22.7% はCEA正 常 例 で あ っ た 。 (5)治癒 手術後 のCSIの推移

  術 後追跡 可能で 術後 合併症 をみな かった 症例 (50例) の術前CSIは3.89土O.34で,術後3か月 に は1. 66土O.11と有 意の下 降(pくO,01) を示し た。 術前のCEAは2.7土0.5ng/樹で術後3週 に は1.1土O.Ing/ 紺と有 意の 下降(pくO.01)を示 した。

  ま た 最 長2年6か 月 ま で の 追 跡 期 間 内 に7例 の 再 発 を 認 め , い ず れ の 症 例 でもCEAの上 昇

(5.8土l.On glmE)が 再 発 発見の 契機と なった が, この時 点でのCSIは すべて 正常 値(1.61土 0. 20)で あった 。

    V結  論

  大腸 癌にお けるCSIの 臨床的 意義を 検討し ,以 下の結 論を得 た。

(1)大 腸癌のCSIは5.39土O.50(mean土SE) で健康 成人, 良性消 化器疾 患に対して有意に高値 であ り,stageの進 行に 伴って 上昇し た。し かし 炎症性消化器疾患に対しては有意差を認めなかっ た。

(2)健 康 成 人 のmean土2SD値 か ら2.20を カッ ト オ フ 値 とす る と , 大腸癌 のCSI陽性率 は77.5

% と 高 値 で あ っ た 。 大 腸 癌 のCEA陽 性 率 は35.8% と 比 較 的 低 値 で あ っ た 。 (3) CSIは 腫 瘍 径 の 増 大に 伴 っ て 上 昇し ,stageI,Hの症 例 に お い てCSIと 腫瘍 径 に 正 の 相関 を 認 め た 。 こ れ に 対 し て CEAと 腫 瘍 径 に は 有 意 の 相 関 を 認 め な か っ た 。 (4) stageを 決 定 す るs(a) ,n,P,Hの 各因 子 の う ち ,CSIの 上 昇に 関 与 の 大 きい 因 子 はs

(4)

(a)因 子,n因 子で あるのに対して,CEAの 上昇にはH因子の関与が大き く,P因子の関与 は少なかった。

(5) CSI,CEA共に非治癒手術群が治癒手術群に対して有意に高値であった。また非治癒手術群 で はCSI正 常 例 を 全 く 認 め な か っ た の に 対 し てCEA正 常 例 を22.7% に 認 め た 。   以上の結 果からCSIは進行度の評価ならびに治癒手術可能性の判定に有用であり,さらに CEAと のcombination assayと する こ とで 臨床 的意 義 が大 きく なる こと が 示さ れた 。

学位論文審査の要旨

  血清dl acid  glycoprotein(以下diAG)とprealbumin(以下PA)との比,cancer serum index(以下CSI)はHollinsheadらの報告以来,悪性腫瘍において上昇するとされているが,

大 腸癌に関する詳細な報告はい まだ行われていない。本研 究はcarclnoembryonic antigen

( 以下CEA)と対比しっつ大腸癌 におけるCSIの臨床的意義を明らかにすることを目的とし、

一 元 放 射 状 免 疫 拡 散 法 に よ りdtAGお よびPAの 測定 を 行い ,diAG/PAと してCSIを算 出 した。同時にRIAビーズ固相法により血中CEAを測定した。

  研究対象は大腸癌手術症例120例のほか,健康成人68例,良性消化器疾患64例,炎症性消化器 疾患36例,計168例にっいてCSIを測定した。大腸癌のCSIは5.39土O.50で健康成人,良性消 化器疾患に対して有意に高値であり,病期の進行に伴って上昇した。しかし炎症性消化器疾患に 対 して有意差を認めなかった。健康成人のmean土2SD値から,2.20をカットオフ値とすると 大 腸 癌のCSI陽性 率は77.5%, 一 方CEA陽 性率 は35.8% であ り ,CSIはCEAより高い陽性 率 を示した。CSIは腫瘍径の増 大に伴って上昇し,病期I,uの症例においてCSIと腫瘍径に 正の相関が認められた。これに対してCEAと腫瘍径には有意の相関を認めなかった。病期を決 定 す るs(a),n,P,Hの各 因子 のう ち ,CSIの 上昇 に関 与の 大き い 因子 はs(a)因 子 ,n 因 子であるのに対してCEAの上 昇にはH因子の関与が大きく,P因子の関与は少なかった。非 治 癒手術群のCSIは治療手術群に比べて有意に高値であり,CSI正常例を認めなかった。非冶

邊  

  川

西

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

癒 手術 群 のCEAは 治 癒 手 術 群に 比 べ て 有 意に 高 値で あっ たが,CEA正 常例を22. 700に認め た。

  以 上 の 結 果 から ,CSIは 大 腸 癌 の 進行 度 の 評 価な らびに 治癒手 術可能 性の 判定に きわめ て有 用 で あ り , 更 にCEAと のcombination assayと す る こと で 臨 床 的 意義 が 大 き く な るこ と が 示 された 。

  口 頭 発 表 に あた っ て 西 教 授か らCSIの 比 とal AG,PA各 々 の 増 減 ,他 の血 清蛋白 との関 係,

CSI増減 の機序 ,皆川 教授か ら炎 症性因 子の関 与,古 館教 授から 再発時 のCSI変動,combination assayの 意義 , 牧 田 教 授か ら 肝 癌 とCSIの 関 係 など に っ い て 質問 が あ った が,申 請者は おお む ね妥当 な回 答を行った。また副査の西教授,皆川教授とは個別に審査を受け合格と半l亅定された。

  大 腸 癌 に お けるCSIにっ い て 特 に 進行 度 の 評 価, 治癒手 術可能 性の判 定な どの点 から, 広く 用 いら れ て い るCEAと の 関 係を 明 ら か に した 本 研究 の意 義は大 きく, 学位授 与に値 する と考え る。

参照

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