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博士(獣医学)森 康行 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(獣医学)森   康行 学位論文題名

Mycoplasrna hyopneurnonLae の種特異抗原に関する研究

学位論文内容の要旨

  豚マイコプラズマ肺炎はMycoplasma hyo・pne LLmomaeによって惹起される代表的な豚の慢 性呼吸器病である。本病は世界中に蔓延しており致死率は高くないものの,飼料効率の低下など により甚大な経済的損 失を養豚産業に与えている。従って,M.hyopneumoniaeか本病の病原 体として分離同定されて以来,診断法および予防法に関して世界中で研究されてきたが,未だ有 効な方法が確立されていないのが現状である。この原因として,1)本菌の培養がきわめて難し く,分離同定に長期間を要する,2)in vitroで培養するためには20%の血清の添加が必要で,

集菌された菌体成分には培地成分の汚染が著しく,抗原分析が容易でない,3)豚由来マイコプ ラズマ間の共通抗原性に起因する非特異反応の為に特異的な血清学的診断法を確立するのが難し い,などの点があげられる。

  本研究ではM. hyopneumomaeの特異的な抗原成分の特定と診断法および予防法への応用を 目的として,本菌の抗 原分析,M. hyopneu.momae実験染豚の抗体応答の解析および本菌に対 するモノク口ーナル抗体作出とその応用法にっいて検討した。

  Tween 20で可溶化されたM. hyopneumomae成分の抗原性をウェ スタンブ口ット法により 解析 した 結 果, 分子 量約96キ口ダル トン(Kd),76Kd,74Kd,70Kd,53Kd,46Kd,38Kd および34Kdの菌体成分が主要な抗原として豚に認識されることを明らかにした。また,これら のM. hyopneumomae抗原 の中 で74Kdと53Kdの2種 類の 抗原 が他 の豚 由 来マ イコプラズマ と交差反応性を有する ことも明らかにした。さらに,M. hyopneumomae実験感染豚における 抗体 応答 の 経時 的分 析に おい て ,感 染豚 はM. hyopneumomaeの76Kdと46Kd抗原に対して 強い抗体 応答を示し,特に46Kd抗原 はM. hyopneumomaeの菌体表 面に存在する抗原成分の 中で最も強い免疫原性を有する特異抗原であることを明らかにした。次に,M. hyopneumomae の種々の抗原に対する モノク口ーナル抗体の作製を試み,M. hyopneLLmoniae 46Kd抗原に対 するモノク口ーナル抗 体の他に,M. hyopneumomaeを特異的に凝集するばかりでなく,その

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発育 を阻止 する モノク 口ーナ ル抗体 の作出 に成 功した 。この 発育阻 止抗 体が認識する抗原は,免 疫電 顕法に よる 解析, 蛋白分 角罕酵素処理および過ヨウ素酸処理,あるいはレクチンとの反応など か ら ,M.hyopneumomaeの 菌 体 表面 の 糖 蛋 白 様物 質 で あ る こ とが 示 唆 さ れ た。 さ ら に ,M. hyopneumoniae 46Kd抗 原 に 対 す る モ ノ ク 口 ー ナ ル 抗 体を 用 い た ダ ブル サ ン ド イ ッチELISA によ り本抗 原に 対する 抗体の みを検 出する 特異 性の高 い血清 学的診 断法 を開発 した。 一方,M. hyopneumomae凝 集 モ ノ ク 口 ー ナ ル 抗 体 を 用 い た 分 離 菌 株 の 簡 易 迅 速 同 定 法も 確 立 し た 。

学位論文審査の要旨

  豚 マ イ コ プ ラ ズ マ 肺 炎 は ,Mycoplasma hyopneumomaeに よ る 豚 の 慢 性呼 吸 器 病 で ,世 界 各国 の豚の 間に 最も広 く分布 してい る感染 病で ある。 本病の 致死率 は高くないが,飼料効率の低 下や 二次感 染の 誘発等 で養豚 産業に 甚大な 被害 を与え ている 。本病 の診断及び予防法の開発に関 して は世界 中で 精力的 な研究 が行わ れてい るに もかか わらず ,未だ 信頼できる方法が確立されて い な い 。申 請 者 は本 病の 診断法 と予防 法を開 発す るため の基礎 研究と して,M.hyopneumoniae の抗 原分析 ,実 験感染 豚の抗体応答,モノケ口ーナル抗体の作出とその応用等にっいて検討した。

本論 文は和 文57頁 から成 り,参 考論 文5編 を付 してい る。

  申 請 者 は ま ずM. hyopneumomae菌 体 をTween 20で 可 溶化 し , 菌 体 成 分の 抗 原 性 を ウェ ス タン ブ口ッ ト法 によっ て調べ た。そ の結果 ,分 子量約96キ口ダ ルト ン(Kd)のほか,76,74,70, 53,46,38,34Kdの 分子量 の菌体 成分 が主要 抗原と して存 在し, 感染 豚はそ れらの 抗原を 認識 し 免 疫 応答 を 起 こ し てい る こ と を 明ら か にし た。ま たこれ らの抗 原の 中で74お よび53Kdの2種 類の 抗原は 他の 豚由来 のマイ コプラ ズマと 交差 反応性 を有し 非特異 反応の原因となっていること も明 らかに した 。

  次に 申 請 者 はM. hyopneumomaeを実 験 感 染 さ せ た豚 の 抗 体 応 答を 経 時 的 に 観察 し た 結果,

76Kdと46Kd抗 原 に 対 し て 強い 免 疫 応 答 を 認め , な か で も菌 体 表 面 に 存在 す る46Kd抗 原 に 対 して は特に 強い 免疫応 答を認 めたこ とから ,こ れは主 要な免 疫原性 を有する特異抗原であると考

臣 郎

夫 操

悠 茂

水 岡

本 沼

清 波

橋 小

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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えた。

  一方,申請者 はM.hyopneumoniaeの種々の抗原に対するモノク口一ナル抗体を作出し,そ のなかの46Kd抗 原に対するモノク口一ナル抗体を用いてダブルサンドイッチELISA法による 特異抗体の検出 にっいて検討し,M. hyopneu.momae感染豚摘出のための特異性の高い血清診 断法を開発した。またこれとtま別のM. hyopneumomaeを特異的に凝集するばかりでなく,発 育阻止効果を示すモノク口ーナル抗体は免疫電顕法,蛋白分解酵素および過ヨウ素酸処理,レク チンとの反応性等の結果からM.hyopneurnoniaeの菌体表面に存在する糖蛋白様物質を認識す ることを明らか にした。この抗体の反応によって分離菌株の簡易迅速同定が可能となった。

  以上の実験成績によって,申請者はM.hyop凡eumon辺eの抗原の種類とそのなかで非特異反 応の原因となる抗原を明らかにし,感染豚に対して最も強い免疫を誘導する特異抗原は46Kd抗 原であると决定した。これらM.緲0・pneMmonfoeの抗原に関する基礎的知見を基に,モノク口―

ナル抗体の作出を試み,従来,非特異反応が原因となって開発が困難とされてきた,感染豚摘発 のための血清診断法と分離菌株の簡易迅速同定法の確立に成功した。これらの研究によって養豚 産業の最大の障害である豚マイコプラズマ肺炎の特異的血清診断が可能となり,本病の制圧と予 防法開発への道が大きく拓かれた。よって審査員一同は森康行氏が博士(獣医学)の学位を受け るに十分ナょ資格を有すると認めた。

参照

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