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博士(医学)松浦 徹 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)松浦   徹 学位論文題名

伴性 劣性球脊 髄性筋萎縮症におけるアンドロゲン      受 容 体 発 現 と 神 経 病 変 選 択 性 の 研 究

学位論文内容の要旨

伴性劣性球脊髄性筋萎縮症(X. linked spinal and bulbar muscular atrophy; SBMA)は伴性劣 性遺 伝形 式を 呈し,成人期に発症する運動ニューロン疾患である.臨床的には四肢の筋 萎縮 ,筋 力低 下,球症状などで発症し緩徐進行性を示し,手指振戦,有痛性筋痙攣,感 覚冲経障害などの神経症状や性腺機能障害など多彩な随伴徴候を伴う.病理的には脊髄・

脳幹 部の 脊髄 前角 細胞や 舌下 神経 核, 疑核 ,顔 面神 経核 など が選 択的 に障害される・

本症 の遺 伝形 式と 性腺機 能障 害や 女性 化乳 房な どを 高率 に合 併す るこ と,アンドロゲ ン受容体(androgen receptor;」へR)がX染色体にコードされている事から,その原因はARの 異常 では ない かと想定されていた.アンド口ゲンは,運動ニュー口ンの生長,発達や再 生に 関与 して いる と考え られ てお り,AR異 常が 内分 泌症 状だ けで なく ,運動ニューロ ンの 変性 を生 じる可能性がある.1991年,FischbcCkらは,AR遺伝子の第1エクソン内の CAGリ ピー ト数 が本 症で 特異 的に 延長 して いることを明らかにした.この遺伝子異常が どの よう な機 序で本症の病態を発現してくるのかは,現在のところ未だ明らかになって いな い. 本研 究に おいて はS恥仏 の発 症機 構・病変選択性を考えるため,中枢神経組織 にお ける (特 に病 変の主 座と なる 脊髄 ,脳 幹)ARの 存在 ・分 布を 明ら かにし,SBMA患 者のAR発現を観察検討した・

  ま ず第1に心 嶼常 と下 位運 動ニ ュ― ロン 変性の関連を明らかにするために,脊髄にお け るARの 局在 を 検 討し ,AR蛋白 の同定 を試 みた .生 後3力月 のラッ トを 還流 固定 後,

同 脊 髄 の 凍結 切 片 を作 成し た. 抗ARモ ノク ロー ナル 抗体 を用 いたABC法 によ る免 疫組 織染 色を 行な った.また,ラット脊髄を細切懸濁後,超遠心分離し上清を得て,ウエス タンブロットを施行した.代表的なアンドロゲン依存組織である前立腺を比較対照とレ,

組織特異性を検討した.

脊 髄 神 経 細胞 の 多 く は 心 蝪 性 を 示 し , 特 に 大 型の 前角 細胞 で強い 心発 現を 認め た.

ARの 局在 は核 優位 にARが 発現 され る細 胞, 細胞 質優 位に 発現 され る細 胞,核・細胞質 共に 陽性 の細 胞が 存在し た. ウエ スタ ンプ ロッ トで は対 照と した 前立 腺組織が95kD, 41kDの2本のバ.ンドを示したのに対レ,脊髄では41kDのみしか認めなかった.これらの 所見 に関 レて 性差 はみら れな かっ た, っま り, 脊髄 神経 細胞 の心 め存 在が免疫組織学 的に 初め て同 定さ れ,特 に運 動神 経細 胞に 豊富 に発 現す ると 考え られ た.SBMAにおけ るAR遺伝 子異 常と 下位運 動ニ ュ― ロン 変性 の密 接な 関連 が明 かさ れ, 神経組織の触彊

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白は組織特異的に発現している可能性も示唆された.

  次にラッ トの各組織(前立腺,脊髄,大脳,小脳)からmRNAを抽出し,ARcDNAの NruI‐Hindm血留鵬ntをプ口一プとしてノーザンブロット分析した.10kbのAR‐mRNAが 前立腺,脊髄のみでなくS恥仏では侵されない大脳,小脳にも存在することが明らかに なった.

そこで中枢神経組織の各神経細胞のAR発現を詳細に検討するため,ヒト正常対照剖検 4例のパラフアン標本を用い,脱パラ後,抗ARモノクローナル抗体を用いたABC法によ る免疫組織染色を施行した,また臨床病理学的にS恥dAと診断された2例の剖検例を同 様に比較 解析し,SBMAのAR遺伝子変異 がAR蛋白の発 現に与える 影響を検討した.

ARは正常中枢神経細胞に広く分布し,脊髄前角細胞に最も強い発現を認めた.脳幹の 疑核,舌下神経核も含め,SBMAに強い病変が存在する部位は心暁現が強かった.外眼 筋を支配 するm,IVIVI核, 小脳歯状核 ,脊髄の後角,Clm核,中間質外側核,仙髄 のOnu舶而c2核等のSBMAで侵されにくい細胞にも十分にARは存在した.一方S恥兀A例 では,正常組織と心暁現分布は変わらず,変性が著しい萎縮性の残存運動神経細胞も AR陽性であり,むしろ正常より強く染色される傾向にあった.これらの事から1)S恥圧A における神経病変局在分布はAR発現パ夕一ンで説明できない,2幣恥圧A遺伝子変異であ る」`RのCAGmpcatの増大は神経組織におけるAR蛋白の発現に大きな影響を及ぼさない ことが証明された.

AR遺伝子変異がSBMAに特異的であり,その原因である事は間違いなし、事実であるが,

その発症機構,病変選択性は依然明確でない.今後は変異ARの標的遺伝子転写活性に 及ぼす影響,並びに脊髄前角細胞を代表とする標的細胞のアンド口ゲンを介した生物学 的特異性を明らかにしていく事がSB^兀Aの発症機構,病変選択性の理解に重要であると 思われる.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

伴性 劣性球脊髄性筋萎縮症におけるアンドロゲン      受 容 体 発 現 と 神 経 病 変 選 択 性 の 研 究

  伴性劣性球脊髄性筋萎縮症(X‑Iinked spinal and bulbar muscular atrophy; SBMA)は男性 成人発症の運動ニューロン疾患である,臨床的に四肢の筋萎縮,筋力低下,球症状などで緩 徐進行性に発症し,特徴的な性腺機能障害を伴う.病理的には脊髄・脳幹の脊髄前角細胞や 舌下神経核,疑核,顔面神経核などが選択的に障害される.本症のアンドロゲン受容体(

androgen receptor; AR)遺伝子第1エクソン内のCAGリビート数が特異的に延長しているこ とが明らかになったが,この遺伝子異常がどのような機序で本症の病態を発現してくるのか 不明である,本研究はSBMAの発症機構・病変選択性を考えるため,中枢神経組織における ARの存在・分布を明らかにし,SBMA患者のAR発現を観察検討した.なお,申請者は既に,

SBMAの男性性腺機能障害に着目し,AR発現をその陰嚢皮膚で検討し報告している.まず,

ラット脊髄におけるARの局在を検討し,AR蛋白の同定を試みた,ラットを還流固定後,同脊 髄の凍結切片を作成し,抗ARモノクローナル抗体を用いたABC法による免疫組織染色を行なっ た.脊髄を細切懸濁後,超遠心分離レ上清を得て,ウエスタンブロットを施行した.代表的 なアンドロゲン依存組織である前立腺を比較対照とした.脊髄神経細胞の多くはAR陽性を示 し,特に大型の前角細胞で強いAR発現を認めた.ARの局在は核優位にARを発現する細胞・

細胞質優位に発現する細胞,核・細胞質共に陽性の細胞が存在した.ウエスタン法では対照 とした前立腺組織が95kD,41kDの2本のバンドを示したのに対し,脊髄では41kDのみしか 認めなかった.これらの所見に性差はみられなかった.本研究により,脊髄神経細胞のARの 存在が初めて同定され,特に運動神経細胞に豊富に発現すると考えられた.SBMAにおける AR遺伝予異常と運動ニューロン変性の密接な関連が示され,神経組織がAR蛋白を組織特異的 に発現している可能性も示唆された,次にラットの前立腺,脊髄,大脳,小脳からmRNAを 抽出し,AR cDNAのNru l‑Hind lIl fragmentをプローブとしてノーザンブロット分析した.

10kbのAR‑mRNAが前立腺,脊髄のみでなくSBMAでは侵されない大脳,小脳にも存在した.

そこで,中枢神経組織の各神経細胞のAR発現を検討するため,ヒト正常対照剖検4例のバラ フィン標本を脱バラ後,抗ARモノクローナル抗体を用いたABC法による免疫組織染色を施行 した.また臨床病理学的にSBMAと診断された2例の剖検例を比較解析し.AR遺伝子変異が AR蛋白発現に与える影響を検討した.ARは正常中枢神経細胞に広く分布し,脊髄前角細胞に 最も強い発現を認めた.脳幹の疑核,舌下神経核等のSBMAに強い病変が存在する部位はAR

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雄 郎彦 邦 和知 代嶋 柳 田長 小 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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発現 が強 かっ たが ,外 眼筋 支配 核, 仙 髄のOnuf核等 のSBMAで 侵さ れに くい 細胞 にも 十分 に ARは 存在 した ,一 方SBMA例 では ,正 常 組織 とAR発現 分布 は変 わら ず, 萎縮 性の 残存 運動 神 経 細 胞 もAR陽 性 で あ っ た ,こ れら の 事か ら1)SBMAに おけ る神 経 病変 局在 分布 はAR発現 パ タ ー ン で 説 明 で き な い ,2)SBMA遺 伝 子 変 異 で あ るARのCAGリ ピ ート の増 大は 神経 組織AR 蛋白 の発 現に 大き な影 響を 及ぼ さな い こと が証 明さ れた .

  口 頭発 表に あた り, リハ ビリ テー ション医学の霞野教授より,SBMAの治療として男性ホル モン 投与 の可 能性 ,血 清CK値上 昇の 機 序,CAGリピ ート の増 大の 程度と神経徴侯の関係,組 織間 のCAGリピ ート の差 につ いて ,次 に, 泌尿 器科 の小 柳教 授よ りは,本疾患での性腺機能 障害 に着 目し ,本 研究 の基 礎と なっ た陰嚢皮膚を用いたAR発現の 検討は,初めての試みであ ると 高い 評価 を受 ける と共 に, 神経 系のARとアンドロゲン結合能 ,女性化徴候出現のメカニ ズム につ いて の質 問が あっ た. 最後 に ,第2病 理の 長嶋 教授 から は,ラットとヒトのARの相 同性 ,抗ARモ ノク ロー ナル 抗体 の特 異性や認繊部位について質間 があった..また,AR発現 量の 検討 にお ける 免疫 組織 染色 法の 限界についてのコメントと論 文記載上の指示を頂いた.

申請 者fま ,これらの質疑に対して,自験データや過去の研究等を 引用し,おおむね妥当な回 答を 行っ た.

  審査員一同は,これらの成果を高く評価し,

者と して 誠実かつ熱心で あり,申請者が博士 るものと判定した.

大 学に おける医学の研鑚や研究歴,ま た研究

(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有す

参照

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