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博士(医学)岡田 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)岡田 学位論文題名

心筋症モデルハムスターにおける心筋組織コラーゲンの検討

学位論文内容の要旨

I研究目的

  心筋症では心筋組織の線維化が顕著に認められる。本研究では心筋症の進行の過程に伴う心筋 細胞外マトリックスの変化を,その主要な成分であるコラーゲンに注目し心筋症の発症・進展に どのようにコラーゲンが関与するかを検討した。

n方  法

1)実験動物:BI053.58系ハムスター(5,11,22週齢)を拡張型心筋症のモデルとして,ま た肥大型心筋 症のモデルとしてBI014.6系ハムス夕一(20,30週齢)を用いた。対照動物には Flbを用いた。

2)コラーゲンの抽出:ハムスターの体重・左右両心室重量を測定後,.心室筋に0. 45M,NaCl を加え心筋をホモジェナイズした。その一部を総コラーゲン量の定量に用いた。残りの試料を2 日間塩抽出を行なった。沈渣に0. 5M酢酸抽出を行ない上清の一部を酸可溶性コラーゲンの定量 に用いた。沈渣にぺプシン消化を3日間行い消化されたコラーゲン相を沈渣として回収した。コ ラーゲン量・型分析には,各群の5匹の心室筋をそれぞれ分析した。還元性架橋分析にはB105 3. 58,FIB5匹分の心室筋の塩不溶性コラーゲン相を用いた。

3)コラーゲンの定量: Woessnerの方法に従い,各試料中のハイドロキシプロリン量を比色定 量しコラーゲン量を求めた。

4)コラーゲ ンの型分析: Sykesらの方法により,SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を 行 なった。泳動後染 色しデンシトメー夕―を用い てI.m・V型コラーゲン量を 比較した。

5)コラーゲンの還元性架橋分析:塩不溶性コラ―ゲン相を[3H]‑ NaBH。試薬で還元した。

試料を6N塩酸で水解した後,高速液体ク口マトグラフィーを用いて各還元性架橋を分離し分析 した。

6)組織学的検討:各心筋組織を10%ホルマリン水溶液にて約1週間浸漬固定した。そして脱水

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しパ ラフィン包埋した後,心筋組 織の割面が心臓の短軸面となるように200〃mごとに8Umの 厚さに薄切し心臓全体の準連続切片を作成した。得られた切片は脱パラフアン後,アルデヒド・

フクシン,マッソン・トリク口ーム重染色を施し,各組織の膠原線維・弾性線維,筋線維等を区 別し比較検討した。

7)統 計 処 理 : そ れ ぞ れ の 実 験 結 果 の 有 意 検 定 に はt―testを 用 い た 。

m結   果

1)体重・心室筋重量の変化 :心室筋湿性重量の体重に対する割合はBI053. 58は22週齢のみ Flbに比し有意に大きかっ た。BI014.6は20週,30週ともFlbに比し大きく有意差を認めた。

2)コラーゲン量の変化:BI053. 58では,心筋湿性重量に対するコラーゲン量は,11週ですで にFlbより有意に高値を呈 し,22週ではさらに著しく増加していた。BI014.6は20週ではFlb と差を認めなかったが30週で増カロしていた。コラーゲンの増加の程度はBI053. 58がBI014.6よ り大であった。総コラーゲン量に対する酸可溶性コラーゲンの割合はBI053. 58は心筋症が進行 するにっれ顕著に減少していたが,BI014.6は20週ではFlbと差がないが30週では有意に低下 した。

3)コラ―ゲンの型変化:BI053. 58は11週でI型とm型コ ラ―ゲンの合計に対するm型コラー ゲンの比率(m/I十m)が増加していた。しかし22週ではm/I十皿は差がな かった。また BI053. 58のV型コラ ーゲンのI型コラーゲンに対 する比率(V/I)はFlbに比 し大きい傾向 はあったが有意差はなかった。BI014.6は20週の肥大期でm/I十mが有意に大きかったが30週 齢では差がなかった。V/Iは20週では差がなかったが30週齢でFlbに比し有意に減少してい た。

4)コラーゲンの還元性架橋変化:BI053. 58において行った還元性架橋分析では,dihydrox‑

ylysinonorleucine.hydroxylysinonorleucine.histidinohydroxymerodesmoslneのいず れも心筋症の進行にっれ減少傾向が認められた。

5)心筋症ハムスターの形態学的所見: BI053. 58の10週齢ではおもに心室壁に出血を伴った心 筋細胞の壊死巣を彌慢性に認めた。壊死巣には組織球やりンパ球などの円形細胞が多数浸潤して いる領域と円形細胞をほとんど伴わずに膠原線維が区域を作るようになっている領域と区別でき た。BI053. 58の20週齢で憾円形細胞の浸潤は消失していき,線維芽細胞とその間を埋める膠原 線維で構成される領域を認めた。膠原線維で区域された領域では各区域をっくる膠原線維の壁が さらに厚くなっていた。この区域内にはカルシウム様沈着物が認められた。BI014.6の20週齢で

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は円形細胞の浸潤とそれにひき続く線維化によってできたと思われる膠原線維の増殖が心室壁に 彌慢性に認められた。しかし膠原線維が壊死巣を囲み区域を作るような変化はわずかしか見られ なかった。BI014.6の30週齢では円形細胞の浸潤とそれにひき続く線維化によってできたと思わ れる膠原線維の増殖が心室壁に彌慢性に認める一方,膠原線維が壊死巣を囲み区域を作るような 変化を左心室壁に巣状に認めた。Flbでは膠原線維は心内膜・心外膜と血管周囲にわずかに存 在するのみであった。

IV考  察

  BI053. 58の方がBI014.6よルコラーゲンの増加の程度が大きかったことより拡張型心筋症ハ ムスターの方が肥大型心筋症ハムスターより線維化の進行が顕著であり,BI014.6に認められる ようナょ心肥大にはコラーゲンの増加の関与は少ないがBI053. 58に認められるような心拡大には コラーゲンの増加が大きく関与していると考えられる。

  コラーゲンの型分析からBI014.6の20週齢・BI053. 58の11週齢に皿型コラーゲンが増加して いた。心筋組織が線維化する場合の主要ナょコラーゲンはI型コラーゲンであり,その過程でm型 コラーゲンは一時的に増加すると考えられた。組織学的に太いコラ―ゲン線維が増えていたこと と生化学的にI型コラーゲンが増加していたことは一致した変化と考えられる。V型コラーゲン は 線 維 化 の 進 行 の 際 に 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る と 考 え ら れ る 。   ゛   コラーゲンの可溶性には架橋形成が大きく関与している。酸可溶性コラーゲンがBI014.6, BI053. 58ともに病期の進行に従い減少し,その滅少の程度がBI053. 58において大きいのは,

心 拡 大 お よ び 心 不 全 期 に 架 橋 の 形 成 が い っ そ う 活 発 に な る こ と を 意 味 し て い る 。   BI053. 58で線維化が進行するにっれ還元性架橋が滅少していたことは,架橋が非還元性の成 熟架橋に変化すると考えられる。こうした架橋の変化はコラーゲン分子内・分子間の結合を密に し , コ ラ ー ゲ ン 細 線 維 を い っ そ う 強 固 な も の に 変 化 さ せ て い る と 考 え ら れ る 。

V結   語

  心筋症の進行の初期においてはm型コラーゲンの多い幼弱な組織であるが,進行した時期にお いては硬組織に近い組織(I型コラーゲンが多く,可溶性が滅少し,非還元性の成熟架橋が多い 組織)へと変わることが考えられる。強固な結合をした太いコラーゲン線維が心筋組織内に彌慢 性に増えることは心筋細胞が変性・壊死することと共に心臓の収縮能・拡張能を障害していると 考えられる。

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学位論文審査の要旨 主 査    教 授    北 畠    顕 副 査    教 授    長 嶋 和 郎 副査   教授   近藤喜与太郎

  心筋症では心筋組織の線維化が顕著に認められる。本研究では心筋症の進行の過程に伴う心筋 細 胞外 マト リ ック スの 変化 を,その主 要な成分である.コラーゲン に注目し検討した。

  実験動物として,BI053.58系ハムス夕―を拡張型心筋症のモデルとして,BI014.6系ハムス ターを肥大型心筋症のモデルとして,またFlbを対照動物として用いた。ハムスターの体重・

心室筋重量 を測定後,O. 45M,NaClによる塩抽出を2日間行なった後,O.5M酢酸抽出を1日 行 ない,さ らにベプシン消化を3日間行 ないコラーゲンを抽出した。 コラーゲンの定量は Woessnerの 方法に従い行なった。コラ ―ゲンの型分析はSykesらの 方法によるSDS―ポリア クリルアミドゲル電気泳動より求めた。高速液体ク口マトグラフィーを用いて還元性架橋を分析 した。また各心筋組織切片にアルデヒド・フクシン,マッソン・トリクローム重染色を施し形態 学的に比較検討した。

  心室筋湿 性重量の体重に対する割合はBI053.58は22週のみFlbに比し有意に大きかった。

BI014.6は20週,30週ともFlbに比し大きく有意差を認めた。心筋湿性重量に対するコラ―ゲ ン量は,BI053.58では11週ですでにFlbより有意に高値を呈し,22週ではさらに著しく増加し ていた。BI014.6は20週にはFlbと差を認めなかったが30週で増加していた。総コラーゲン量 に対する酸可溶性コラーゲンの割合はBI053. 58は心筋症が進行するにっれ顕著に減少してい た。BI014.6は20週ではFlbと差がないが30週では有意に低下した。BI053. 58は11週でI型と m型コラー ゲンの合計に対するn型コラーゲンの比率(m)が増加していた。しかし22週ではm は 差がなか った。BI053.58のV型コラー ゲンのI型コラーゲンに対す る比率(V)はFlbに比 し大きい傾向はあったが有意差はなかった。BI014.6は20週でmが有意に大きかったが,30週で は差がなか った。Vは20週では差がなか ったが30週齢でFlbに比し有意に減少していた。BIO 53. 58において行なった還元性架橋分析では還元性架橋は心筋症の進行にっれ減少傾向が認めら れた。形態学的にBI053. 58の10週はおもに心室壁に出血を伴った心筋細胞の壊死巣を彌慢性に 認めた。壊死巣には組織球やりンパ球などの円形細胞が多数浸潤している領域と円形細胞をほと んど伴わずに膠原線維が区域を作るようになっている領域と区別できた。20週では円形細胞の浸

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潤は 消失し ていき ,線 維芽細 胞とそ の間を 埋め る膠原 線維で 構成さ れる領 域を認めた。膠原線維 で区 域され た領域 では 各区域 をっく る膠原 線維 の壁が さらに 厚くな ってい た。この区域内にはカ ル シウ ム様沈 着物 が認め られた 。BI014.6は20週 では 円形細 胞の浸 潤とそ れに ひき続 く線維 化に よっ てでき たと思 われ る膠原 線維の 増殖が 心室 壁に彌 慢性に 認めら れた。30週では20週の所見に 加 え , 膠 原 線 維 が 壊 死 巣 を 囲 み 区 域 を 作 る よ う な 変 化 を 左 心 室 壁 に 巣 状 に 認 め た 。   心筋 症の進 行の初 期にお いてはm型 コラー ゲン の多い 幼弱な 組織で ある が,進 行した 時期に お い ては 硬組織 に近 い組織 (I型コラ ーゲン が多く ,可 溶性が 減少し ,非還 元性の 成熟 架橋が 多い 組織 )へと 変わる こと が考え られる 。強固 な結 合をし た太い コラー ゲン線 維が心筋組織内に彌慢 性に 増える ことは 心筋 細胞が 変性・ 壊死す るこ とと共 に心臓 の収縮 能・拡 張能を障害していると 考え られた 。

  口頭 発表 の審査 会にお いて, 長嶋教 授よ り心筋 症モデ ルハム スタ ーと心 筋梗塞の線維化との違 いに っいて ,また 心筋 症モデ ルハム スター に心 筋炎の 所見は 認めら れない か,さらにコラーゲン の 増 加は 心 機 能 を 保 った め ではな いかと いう質 問が なされ た。近 藤教授 より心 機能 に対す るコ ラ ーゲ ンの関 わり は2次 的な もので はない か,ま た今 回心筋 症モデ ルハム スター に認 められ たコ ラー ゲンの 変化は 心筋 に線維 化を起 こす病 態に おいて 一般的 な変化 なのか にっいて質問がなされ た。 阿部教 授より 形態 学的学 的変化 の過程 で心 筋細胞 の壊死 巣に出 血・細 胞浸潤・線維化を認め るが これら の変化 が心 筋症の 本態に迫るものではナょいか,また細胞浸潤を伴い線維化する領域と カル シウム 沈着を 伴い 線維化 する領 域の出 来方 の違い ,さら に線維 化して いる領域の分布にっい て質 問がな された 。牧 田教授 より, 非還元 性架 橋にっ いて検 討した かにっ いて質問がなされた。

古舘 教授よ り肥大 型心 筋症モ デルハ ムスタ ーの 肥大の 部位に 偏りが あるか ,コラーゲンの分布に 偏り がある か,さ らに 心筋症 の左心 機能の 低下 をコラ ーゲン 量で説 明がで きるかにっいて質問が なさ れた。 これら の質 問に対 し申請 者は概 ね妥 当な回 答を行 なった 。その 後行なわれた長嶋,近 藤審 査教授 との試 問に おいて も,概 ね妥当 な回 答がな された 。

  本研 究は 心筋症 の発症 ・進展 にどの 様に コラー ゲンが 関与す るか を明ら かにしたものであり,

有意 義な研 究と考 えら れ学位 授与に 値する 。

参照

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