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博士(医学)山本 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)山本 学位論文題名

ヒト染色体に おけるステ口ールキャリアプ口テイン 2 遺 伝 子 の 位 置 と COS − 7 細 胞 で の 発 現 につ い て

学位論文内容の要旨

I研究目的

  ステロー ルキャ リアプ口 テイン2 (SCP2)は,分 離された ミトコ ンドリア などの細胞器官に 対する影響やシトソール抽出物におけるその活性分析ナょどの結果から,ステロイドホルモン産生 細胞において,コレステロールのミトコンドリアヘの移動を促進すると考えられている。そして こ の 蛋白 質 の 欠損 あ る いは 機 能 不全 が ,Zellweger SyndromeやNiemann亠Pick Syndrome などの重篤な障害を引き起こすことも知られており,この蛋白質の働きを明らかにすることは生 殖内分泌学上,また臨床的にも重要であると考えられる。

  本 研 究 は , ラ ッ 卜SCP2 cDNAを プ 口 ー ブ と し て , ヒ トSCP2 cDNAを ク ロ ー ニン グ し , その塩基配列とアミノ酸組成の検討,それを用いたノーザンおよびサザンブロット分析,またそ の遺伝子 の染色 体上の位 置解析 ,そして アフリカ 緑ザル腎細胞(COS・7)を用いた発現実験か ら,SCP2の機能的活性をみることを目的とした。

n 研究材料および方法

  1 .ヒトSCP2 cDNA のクローニング

     ヒトSCP2 cDNA は,ヒト肝由来ス gtllcDNA ライブラリー(Clontech) から,ラット    肝SCP2 cDNA の一部をプローブとしク口ーニングした。得られたcDNA の塩基配列を   dideoxy chain termination 法により決定した。

  2 .ノーザンブ口ット分析

     正常ヒト肝由来ポリ(A )゛ RNA と,標識ヒトSCP2 cDNA を用いてノーザンブ口ット 分析を施行した。

  3 .サザンブロット分析

     ヒトおよびラット染色体DNA を,EcoRl ,BamHl ,Hindm ,Pstl ,Bgiu で消化した    後,標識ヒトあるいはラットSCP2 cDNA を用いてサザンブロット分析を施行した。

     ―88 ー

(2)

  4.ヒト染色体にお けるSCP2遺伝子の位置解析

    57種 の ヒ トxハ ムス ター 体 細胞 ハイ ブリ ッド パネ ルよ り得 られ た染 色体Dl¥Aを, ひ と SCP2 cDNA3 非 翻 訳 領 域 由 来 の272bpDNA断 片 を 増 幅 す べ く プ ラ イ マ ー を合 成し ,P01Y‑

merase Chain Reaction (PCR)を用いて分析した。

  5.ヒトSCP2の発現

    ヒ トSCP2 cDNAを 組 み 込 ん だ 発 現 ペ ク タ ーpCMV・5を , 単 独 あ る い は ウ シ コ レ ス テ   口 ー ル 側 鎖 切 断 酵 素 系cDNAを 含 むpCDベ ク タ ー と と も に ,DNAリ ン 酸 カ ル シ ウ ム 共 沈   澱法によりCOS・7細胞にトランスフェクション した。トランスフェクションした細胞の培養   液を回収するとともに,これらの細胞を集めて溶解し,ウエスタンブ口ット分析を施行した。

  6.プレグネノロン とプロゲステロンの測定

    回 収 し た 培 養 液 中 の プ レ グ ネ ノ ロ ン お よ び プ 口 ゲ ス テ 口 ン をRIAに て 定 量 し た 。

皿研究結果

  1.ヒトSCP2 cDNAのクロ―二ングの結果にっいて

    1229塩 基 対 よ り な るcDNAは ラ ッ トSCP2 cDNAと89%の ホモ ロジ ーを 持ち ,143アミ ノ   酸よりなるポりペプチドをコードしていた。そのポりペプチドのアミノ酸組成は,ヒト,ウシ,

  ラ ッ ト 肝 よ り 精 製 さ れ た SCP2の ア ミ ノ 酸 組 成 と 非 常 に よ く 似 て い た 。   2.ノーザンブ口ット分析の結果にっいて

    ヒ ト肝 には1. 8Kbと3.2Kbの ,2つ の異 なる サイ ズのSCP2 mRNAの存在が示唆された。

  3.サザンブロット分析の結果にっいて

    ヒ ト 染 色 体DNAとSCP2 cDNAに よ る サ ザ ン ブ 口 ッ ト で は ,5種 類 の 制 限 酵 素 に よる 消   化後 のそ れぞ れ に数 個のDNA断片 を認 め, そ のパ ター ンはラット のものと非常によく似て   いた。

  4.ヒト染色体におけるSCP2遺伝子の位置にっいて

    5了 種の ヒトxハム スタ ー体 細胞 ハイ ブリ ッド 染色 体DNAのPCRに よる 分 析に より .ヒト   SCP2 cDNA由 来 の272bpDNA断 片 が 細 胞 遺 伝 学 的 に ヒ トNo.1染色 体 を含 むと され るハ イ   ブリ ッド にお い て増 幅さ れ, ヒトSCP2遺伝子がヒトN011染色体上 に位置することが強く示   唆された。

  5.ヒトSCP2のCOS・7細胞における発現にっいて

    ウ エス タン ブ ロッ ト解 析に おい て, ヒトSCP2 cDNAをト ラン スフ ェク ショ ンし たCOS・   7細胞では,コントロールに比べ13. 2KDaのポりペプチドの増加と,他では認められナょい15.3,     ―89―

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,KDaポりペプチドの出現を認めた。

6. ヒ トSCP2 cDNAを ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン さ れ たCOS‑7細 胞の プ ロゲ スチ ン産 生能 につ いて

    SCP2 cDNA単 独の トラ ンスフェク ションによって得られた培養液中には,測定できうる 程(冫O. Ing/dish)のプロゲスチン 産生を認めなかった。しかしこれをコレステロール側鎖   切断酵素系cDNAとコトランスフェク ションすると,コント口ールに比ベプ口ゲスチンとし て約2.5倍の著名な増加が認められた。

IV考  察

  ク ロ ー ニ ン グ した ヒトSCP2 cDNAのア ミノ 末端20残 基リ ーダ ーシ ーク エン スの 存 在は , COS・7細 胞に おけ るト ラン スフェクションで,SCP2成熟蛋白質である13. 2KDa分子の増加だ けで はな く,15. 3KDa分子 の存 在を 認 めた こと と合 わせ ,ヒ トSCP2成 熟蛋 白質 が15. 3KDa の前 駆体 蛋白 質か ら合 成さ れることを示唆している。またこのアミノ酸配 列より成熟SCP2分 子は ,そ のカ ルボ キシ ル末 端にAla−LysーLeuのperoxisome targeting sequenceを持ってい るこ とが 確認 され ,こ れはSCP2がペルオキシソームに存在するとするこれ までの報告と矛盾 しない。

  ノ ー ザ ン ブ ロ ッ ト 解 析 に て ヒ トSCP2に は1.8Kbと3.2KbのmRNAの 存 在 が 認 め ら れ た が, ウエ スタ ンブ ロッ ト分 析に おい て 抗ラ ットSCP2血清に反応する58KDa蛋白質は3.2Kbの mRNAに コ ー ド さ れ る 蛋 白 質 と し て 適 切 な 大 き さ を 持 っ て お り , こ の3.2Kb mRNAが SCPxと呼ばれるSCP2関連蛋白質のmRNAであるこ とが推測された。

  ヒトNo.1染色体 は大きな染色体であるが,SCP2と構造的もしくは機能的な関係を持つ遺伝子 の存在はこれまでにほとんど報告されていない。しかし今回の研究成績には示されていないが,

lpの 転 座 [46,XX,t(1;2) (p21;q37)] を 用 い た 分 析 で も , ヒ トSCP2遺 伝 子 は No.1染色体p21→pterに位置することが確認さ れた。

  SCP2はコレステロールのミトコンドリアへの 移動を促進するか,あるいはミトコンドリア内 でコレステ口―ル側鎖切断酵素系ヘアクセスする過程を促進し,ステ口イドホルモン合成を増加 さ せ る 可 能 性 が 考 え ら れ て い る が ,SCP2 cDNAをCOS細胞 にト ラン スフ ェク ショ ン する こ とで ,細 胞内 にお けるSCP2レペルの上昇がステロイドホルモン産生を促進 させることが本研 究においてはじめて証明された。

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(4)

学 位 論 文 審 査 の要 旨

主査   教授   藤本教授 副査   教授   石橋教授 副査   教授   西   教授

  ステ ロー ル キャ リア プロ テイ ン2 (SCP2)は,ステ口イドホルモン 産生細胞において,コレ ステ口 ールのミトコンドリアヘの移動を促進すると考えられている。この蛋白質の欠損あるいは 機 能 不 全 が ,Zellweger SyndromeやNiemann―Pick Syndromeなど の 重篤 な障 害を 引き 起 こすこ とも知られており,この蛋白質の働きを明らかにすることは生殖内分泌学上,きわめて重 要であると考えられる。

  本 研 究 は , ラ ッ トSCP2 cDNAを プ ロ ー ブ と し て ヒ トSCP2 cDNAを ク ロ ー ニ ン グ し , そ の塩基 配列とアミノ酸組成の検討,それを用いたノーザンおよびサザンブロット分析,またその 遺伝子 の染色体上の位置解析,そしてアフリカ緑ザル腎細胞(COS、7)を用いた発現実験から,

SCP2の 機 能 的 活 性 を み る こ と を目 的と し た。 ヒトSCP2 cDNAの ク口 ー ニン グの 結果 ,ヒ ト 肝 由 来 スgtllcDNAラ イ ブ ラ リ ー よ り 得 ら れ た1.2Kbpお よ び1.3KbpのSCP2 cDNAは5 末 端の 長さ を 異に する のみ で全 く同 一の塩基配列を持っていた。従 ってこれらは同一のcDNA に由来 するク口―ンと考えられた。電気浮動上1. 3Kbpと推定されたク口ーンは,1,229塩基対 よりな り,その84番目塩基対より開始し515番目塩基対で終了する1っのオープンリーディング フ レー ムを 含んでいた。コードされるポ りペプチドは,143アミノ酸 よりなり,ラットSCP2と の ホモ 口ジ ー は89%で あっ た。 また ,こ のcDNA塩 基配 列よ り推 定さ れ る成 熟SCP2分 子の ア ミ ノ酸 組成 は ,ヒ ト・ ウシ ・ラ ット 肝より精製されたSCP2のアミノ 酸組成と非常によく似て おり.,アルギニン・ヒスチジン・チ口シン残基を含まない点でも一致していた。ヒト肝ポリ(A)゛

RNAの ,SCP2 cDNAに よ る ノ ー ザン ブ口 ッ ト分 析法 によ り,1.8Kbと3.2Kbの .2っ の異 な る サ イ ズ のmRNAの 存 在 す る こ と が 判 明 し た 。 ヒ ト 染 色 体DNAとSCP2 cDNAを 用 い た サ ザ ンブ ロッ ト 分析 では ,5種類 の制 限酵 素 によ る消 化後 のそ れぞ れに 数個 のDNA断片 が認 め られ,そのパターンはラットにおけるサザンブロット分析の結果とよく類似していた。ヒトxゲッ 歯動物 の体細胞ハイブリッドパネルを用いた分析では,53ハイブリッドのうち細胞遺伝学的にヒ トNo.1染色 体を含むとされているすべて(10種)のハイブリッドに おいて,電気泳動された PCR合 成 産 物 中 に ヒ トSCP2 cDNA3 非 翻 訳 領 域 の 塩 基 配 列 と 一 致 し た272bpDNA断 片 を 認 め た 。 し か し 逆 に ヒ トNo.1染色 体を 含 まな いと され る42種の ハイ ブリ ット では この272     l

    ―・91―

(5)

bpDNA断 片 は 陰 性 で あ っ た 。 ま た ヒ トNo.1お よ びX染 色 体 を 含 む 細 胞 系 (MR8.2) のPCR に よ る 分 析 で は272bpDNA断 片 陽 性 を 示 し , ヒ トX染 色 体 断 片の みを 含む 細胞 系(Y751B・ micr021D・X3000・11) で は272bpDNA断 片は 陰性 であ っ た。 これ らの こと によ ルヒ トSCP2 遺 伝 子は ヒトNO.1染 色体 上 に位 置す るこ とが 強く 示唆 され た。pCMV5SCP2 correct oriー entation (pCMVSCP2)をCOS―7細 胞 に ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し , そ の 細 胞 を 溶 解 し て 得 ら れ た 蛋 白 質 に よ る ウ エ ス タ ン ブ 口 ッ 卜 分 析 で は ,pCMV―5の み あ る い はpCMVー5SCP2 reverse orientation (pCMVSCP2R)の場 合に 比べ て13. 2KDaのポ りペ プチ ドの 増加 と15.3 KDaポ り ペ プ チ ド の 出 現 が 認 め られ た。 また すべ てのlaneに おい て抗 ラッ トSCP2血 清と 反 応 す る同 レペ ルの30Kおよ び58KDaの 蛋白 質を 認め た。 次 に,COS―7細 胞形 質転 換に よる ス テ ロ イド 合成 能の 変化 をみ るた めに ,SCP2 cDNAを 単独 ,あ るい はチ トク 口ー ムp450scc. ADX cDNAsと と も に コ ・ ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し たCOS―7細 胞 の , 培 養 液 中 の プ レ グ ネ ノロ ンお よび プロ ゲス テ ロン を測 定し た。トランスフェクシ ョンを受けていないCOS―7細胞 の培 養液 ,お よびSCP2 cDNA単独 トラ ンス フェ クシ ョ ンに よっ て得 られた培養液中には,測 定できうる程(ニ冫0. Ing/dish)のプロゲスチン産生を認めなかった。しかし,チトク口ームp 450sccとADX cDNAを 含 むpCDペ ク タ ー の 卜 ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン で は , 測 定 し 得 る 十 分 な 量 の プ 口 ゲ ス チ ン 産 生 が 認 め ら れ た 。 こ れ ら のcDNAと と も にpCMVSCP2を コ ・ 卜 ラ ン ス フェ クシ ョン する と, プ 口ゲ スチ ンと して2.5倍の 著名 な増 加が 認められたが,pCMVSCP2R と の コ ・ ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン で は 有 意 な 増 加 は 認 め ら れ な か っ た 。   以上の結果をまとめると,@ステロー ルキャリアプ口テイン2は動物種を越えた高い保存性を 持っことがはじめて示された。@ヒト肝 はステロールキャリアプロテイン2に対し2種の異なる

′ サ イ ズ のmRNAを 持 ち ,1.8KbのmRNAは13. 2KDaの 成 熟 ポ リ ペ プ チ ド と そ の り ー ダ ー シ ー クエ ンス を,3. 2KbのmRNAは58KDaのポ りペ プチ ド をコ ード する こと が推 測さ れた 。

◎ヒトステロ―ルキャリアプ口テイン2遺伝子はヒトNo.1染色体に位置することがはじめて示唆 され た。 @ス テ口 ール キ ャリ アプ 口テ イン2はCOS―7細胞 にお いて 単独ではステ口イド合成 に変化を与えなかったが,コレステ口ール側鎖切断酵素およびァドレノドキシンの存在下ではそ の合 成を 著名 に増加させた。◎ヒ トステロールキャリアプロテイン2は15. 3KDaの前駆体蛋白 質として合成された後,13. 2KDaの成熟 蛋白質となること,またそのターゲットがペルオキシ ソームであることが推測された。

  口 頭発 表に 際し ,石 橋 教授 からpregnenoloneたけではなくprogesteroneも増加したことの 理 由 ,COS―7細 胞 の3ロ  hydroxysteroid dehydrogenase活 性 の 有 無 ,pregnenoloneを 増加させる為のフラビン蛋白の必要性などにっいて,また,葛巻教授からは,プ口ゲスチン以外     一92―

(6)

のステロイ ド産生に対する検討にっいての質問があった。

  さらに, 西教授からは,ウエスタンブ口ットの抗体の種類とク口スリアクションにっいて,

PCRに用 いた プ口 ーブ をノ ーザ ンブ ロッ トに用 いても,3.2KbmRNAが出現するかにっいて,

それに関連 しては58KDaSCPxがヒトNo.1染色体上に位置することを見ている可能性にっいて,

ウエスタン ブロットにて前駆体蛋白質と成熟蛋白質の両方が出現しているが,SCP2蛋白質のプ 口セッシン グにっいて,などの質問があった。

  申請者はこれらの質問に対して概ね適切に解答しえたと判断された。またその後,副査の石橋 教授,西教 授から個別に審査をうけ合格の判定を下された。

  以上,本 研究はヒトステロールキャリアプロテイン2遺伝子の染色体上の位置とプ口ゲスチン 産生における関与の過程をはじめて明確にしえた分子内分泌学的研究であり,博士(医学)の授 与に値する ものと判断された。

93―

参照

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