透析による石灰化で大動脈に高度狭窄をきたした 2 症 例
F- P バイパス術後 14 年目に非吻合部仮性動脈瘤を生 じた EXS 人工血管破綻の 1 例
藤枝市立総合病院 外科
○西山 元啓,白川 元昭
発症後45日目の晩期に直視下血栓内膜摘除,ステント内 バルーン形成術を行い再灌流が得られた浅大腿動脈(SFA)
急性ステント血栓症の1例を経験したので報告する.症例 は76歳男性,左SFAへの血管内治療既往あり.外来通院 中,右間欠性跛行悪化し,ABI0.39と低下.右SFA起始部 から28cmの長区間閉塞に対し血管内治療(IVR)施行した.
対側山越え順行性アプローチでのガイドワイヤー(GW)通 過困難なため,腹臥位で膝窩動脈穿刺逆行性アプローチに てGW通 過 に 成 功 し た. 順 行 性 に ス テ ン ト3本 留 置 し
(SMART 6mm×150mm 2本, 6mm×40mm 1本 ), 術 後 膝 窩動脈触知良好となったが,翌日触知不良,急性ステント 血栓症と診断した.エコー所見からSFA起始部から15mm にかけ,ステントカバーできてないことが原因と考えた.
同日IVRも考慮したが,末梢塞栓リスク高いこと,腸骨 動脈の高度屈曲蛇行で前回クロスオーバーに非常に難渋し たこと,閉塞部より末梢の動脈肢が開存していることか ら,1か月後に再治療を行う方針とした.全身麻酔下鼠径 部縦切開.総大腿動脈〜SFAステント近位端まで動脈切 開,SFA近位部血栓内膜摘除し,ステント内にシース挿入.
ステント血栓内を膝窩動脈までGW通過させた後,フォ ガティバルーンカテーテルで血栓除去試みたが,十分な血 栓摘出できず,バルーン拡張にて器質化したステント内血 栓圧着を行い,良好な開大を得た.動脈切開部はPTFEに よるパッチ形成術行い,術後ABI0.75と改善した.抗凝固 はワーファリンとバイアスピリン2剤併用とし,術後4か 月目であるが,再狭窄は認めていない.急性ステント血栓 症に対する治療は発症後できるだけ早期に血管内治療で再 灌流を図ることが重要であることに異論はないと思われる
が,末梢run off不良例では末梢塞栓によりさらなる症状
悪化につながることもあり議論のあるところである.バル ーンカテーテルによる血栓除去可能な日数や,急性ステン ト血栓症に対する晩期手術について若干の文献的考察を加 え,報告する.
P15-4
晩期に直視下手術を行い,再灌流が得られた浅大腿動 脈急性ステント血栓症の1例
KKR東海病院 下肢静脈瘤・リンパ浮腫・血管センター
○新美 清章
62歳,男性.慢性腎不全のため維持透析中.他院で冠動 脈三枝病変に対して左大腿動脈穿刺によるPCIを施行され た.止血にアンギオシールが用いられた.翌日に退院した が,PCI施行の2日後に発熱,3日後に左鼠径部の腫脹と 疼痛を自覚したため,4日後に同院を受診した.身体所見 上,左鼠径部に拍動を伴った腫脹を認め,発赤と熱感が著 明であった.エコーで左鼠径部に15mm台の仮性瘤を認 め,また血液検査でWBC107×102/ul,CRP24×102/ul と高値を認めた.血液培養検査ではMSSAが検出された.
上記から感染が合併した仮性大腿動脈瘤と考えられた.感 染を合併していた事から抗生剤治療で感染をコントロール した後に,待機的に手術を行う方針とした.経過で圧迫し ていた左鼠径部の皮膚潰瘍から排膿が見られ,また抗生剤 治療開始後は解熱し,WBC,CRPはともに低下し改善傾 向にあった.しかし,仮性動脈瘤に対しては圧迫していた にも関わらず,増大傾向にあったため,感染コントロール は不十分であった可能性はあったが,手術を予定した.そ の前日に左鼠径部の皮膚潰瘍から大量の出血と左鼠径部の 腫脹増大を認めた.仮性動脈瘤の破裂が考えられたため,
緊急手術を行った.左鼠径部を縦切開し,仮性動脈瘤の中 枢と末梢の左総大腿動脈を遮断した後に仮性動脈瘤を切開 した.動脈壁の欠損範囲は広く,また動脈瘤の周囲に膿貯 留などの感染徴候は見られなかったことから,十分にデブ リートメントし人工血管置換術を行った.感染の原因とし て考えられたアンギオシールは術中に確認できなかった.
術中に採取した仮性動脈瘤の培養は陰性であった.術後に 人工血管感染は合併しなかった.感染性仮性大腿動脈瘤に ついて文献的考察を加えて報告する.
P15-3
左大腿動脈穿刺による
PCI施行後に感染性仮性大腿 動脈瘤を合併した
1手術症例
海老名総合病院 心臓血管外科1 北里大学 心臓血管外科学2
○笹原 聡豊1,贄 正基1,山本 信行1,小原 邦義1 宮地 鑑2
症例は75歳男性.右下肢痛を主訴に右下肢急性動脈閉塞 症が疑われ,当院へ紹介された.下肢動脈エコーにて右膝 窩動脈は約15cmの範囲で血栓閉塞しており,エコーレベ ルは低エコーで一部等エコーであり,比較的新鮮な血栓が 疑われた.末梢側は微弱ながら血流を認め内腔は開存して いた.右下肢急性動脈閉塞の診断で,緊急にて血栓除去術 を行う方針とした.しかし,造影剤アレルギーがあったた め,術前評価を施行できず,術中炭酸ガス造影にて評価す る方針とした.術中炭酸ガス造影にて膝部での閉塞を認め たため血栓除去を行い動脈を閉鎖した.再度炭酸ガス造影 を行ったところ膝部での再閉塞を認めたため,再度血栓除 去を行った.また,その後炭酸ガス造影を行った際,狭窄 病変を認めたため,経皮的血管形成術を行った.その後,
後脛骨動脈まで造影可能となったため手術終了とした.術 後はアレルギーや腎機能の増悪も認めず,右後脛骨動脈は 触知可能となり,下肢痛なく歩行も良好で退院となった.
造影剤アレルギーを有する患者に対しては,炭酸ガス造影 を用いた評価は有用である.
P15-6
造影剤アレルギーのため炭酸ガス血管造影下に血栓除 去,PTA を行った急性右下肢動脈閉塞症の
1例
新古賀病院 心臓血管外科
○三保 貴裕,吉戒 勝,古賀 清和,天本宗次郎
【症例】69歳男性.弓部大動脈瘤に対してステントグラフ ト内挿術(TEVAR)を左総大腿動脈横切開によるアプロー チで行った.術前より無症候性冠動脈病変を指摘されてお
り,術後4ヶ月で経皮的血管形成術(PCI)を施行した.PCI
は2回にわけて行い,初回治療は右総大腿動脈穿刺とし,
終了後は止血用デバイス(Angioseal®)を用いて止血した.2 回目はその1ヶ月後に左総大腿動脈穿刺で行い,同様に止 血用デバイスを用いたが止血が得られず,用手圧迫で止血 を得た.直後より左足背動脈の触知が不良となり,500m 程 度 の 間 欠 性 跛 行 が 出 現 し,ABIも 術 前1.12か ら 術 後 0.61まで低下した.造影CTで左総大腿動脈は閉塞してお り,側副路から末梢への血流が保たれていた.止血用デバ イスが血管内に脱落したことによる閉塞と考え,左大腿動 脈血栓内膜摘除術を施行した.総大腿動脈前面には非常に 強固な癒着を認め,総大腿動脈を切開すると塞栓物が血管 壁に付着し,表面は血管内膜で覆われていた.塞栓物の中 にアンカーを認め,周囲には炎症細胞浸潤もみられた.閉
塞部位はTEVAR施行時の血管縫合部とほぼ一致していた.
塞栓物を血管内膜とともに摘除し,内膜を固定した.術後 ABIは1.25まで回復し,間欠性跛行も消失した.【考察】
近年,PCI後の穿刺部の止血には用手圧迫以外に止血用デ バイスも広く用いられている.止血用デバイスの使用は止 血・安静時間を短縮し,ひいては入院期間の短縮と医療費 の抑制が可能とされている.一方で止血不全,血腫,仮性 瘤などの合併症があり,血管狭窄・閉塞の発生率は約
0.016%と報告されている.本症例では初回PCI時にも止
血用デバイスを使用しており,2回目は反対側を穿刺する 必要があった.TEVARの創部から十分な距離をあけて穿 刺したが,結果的には動脈縫合部近傍を穿刺する格好とな っていた.動脈硬化や石灰化の強い部分では止血用デバイ スが正しく留置されない可能性が高く,使用を避けるべき とされている.今回は石灰化は認めていないが,TEVAR 術後に内膜肥厚・狭窄を生じており,その部分を穿刺した
P15-5
TEVAR
の既往のある症例に止血用デバイスを使用し,
大腿動脈閉塞を来した
1例
筑波大学附属病院 心臓血管外科1 筑波大学附属病院 循環器内科2
○中嶋 智美1,徳永 千穂1,丸田 俊介2,秋山 大樹2 佐藤 藤夫1,米山 文弥1,三富 樹郷1,松原 宗明1 相川 志都1,坂本 裕昭1,榎本 佳治1,青沼 和隆2 平松 祐司1
【はじめに】重症下枝虚血(CLI)対しては,外科的血栓除去 術や血管内治療(EVT)があるが,単独の治療のみでは血行 再建を達成できない場合がある.閉塞性動脈硬化症(ASO)
の急性増悪に関しては,このような外科的血栓除去術と EVTを同時に行うHybrid手術を行っている.今回我々は 当院におけるHybrid手術症例について検討した.【対象】
2011年1月から2014年9月までにEVTと血栓除去を同 時に行ったHybrid手術は18例(平均年齢74歳,男性16名,
女性2名,緊急が3名,準緊急が10名)であった.心房細 動は5名,糖尿病は8名,高血圧は13名で,透析導入中 の患者はいなかった.【方法】手術は局所麻酔下に患側の総 大腿動脈を露出し,同部位からのFogarty catheterによる血 栓除去と,患部以外のアクセスルートまたは切開した大動 脈に直接シース・カテーテルを挿入してEVTを行った.
EVTを先行して治療を行う場合や,血栓除去後にEVTを 行う場合があり,順序は症例により異なる.腸骨動脈領域 のEVTと血栓除去が12例,大腿動脈領域が2例,膝窩動 脈以下が2例であった.【結果】狭窄部位より末梢に血栓を 認めた症例が6例,狭窄より中枢に血栓を認めた症例が2 例,狭窄部位に血栓を認めた症例が10例であった.治療 後早期(術後1か月以内)に再閉塞した症例は,8日後に EVTを行った症例と翌日に血栓除去術をなった症例の2 例(11.1%)である.また,1年以内に追加EVTを行った症 例が3例(33.3%),3年以内にEVTを行った症例が1例(5.6
%)であった.切断に至った症例は2例(11.1%)のみであ り,趾切断であった.【考察】CLIにおいて早期に血流再開 を行うことにより下肢切断を回避,または切断範囲を縮小 することができると考えられる.狭窄病変による血液うっ 滞の為に血栓除去後早期に血栓形成が起こる可能性も高 く,今回検討した症例の中にも前日・当日に血栓除去のみ を行うも,再閉塞のために緊急でHybrid手術を行った症 例が2例含まれている.高齢患者も多くADLが悪い場合 も珍しくないため,侵襲を考慮して可能な限り一期的に治 療を行い早期の再手術を回避し,切断を回避することが重 要である.【結語】ASOの急性増悪に対するHybrid手術の 成績は概ね良好であった.EVTと血栓除去術を併用した
Hybrid手術を行うことにより,全身麻酔の困難な患者に
対しても加療でき,下肢切断の回避または切断範囲の縮小 が期待される.
P15-8
当院における
CLIに対する
Hybrid治療
福山循環器病院 心臓血管外科
○大窪 修平,向井 省吾,森元 博信,腰山 宏 山根 吉貴
日本脈管学会の発表した閉塞性動脈硬化症(ASO)の診断・
治療指針II(TASCII)によると,間欠性跛行に対して推奨さ れている薬剤の中で,現在本邦で承認されている薬剤はシ ロスタゾールのみである.しかもASO患者で合併してい ることが多いうっ血性心不全合併症例にはシロスタゾール は使用できない上,使用できても頭痛・下痢・動悸などの 副作用のため継続できない患者も少なくない.そこで日本 で古来より使用されてきた漢方薬のうち,ASOによる間 欠性跛行に対して効果が見込まれている八味地黄丸の臨床 効果を統計学的に検討することにした.【対象と方法】ABI 検査で0.9以下で跛行症状を自覚している患者のうち,八 味地黄丸の適応(高血圧,糖尿病,腰痛など)がある患者に 対してTJ-7(ツムラ八味地黄丸エキス顆粒(医療用))を6ヶ 月間投与し,投与前と投与後で日本語版歩行障害質問票
(WIQ)を測定する前後比較研究.【結果】H26年11月時点 で5名9肢が臨床研究を終了した.平均年齢76.2±3.42歳.
男女比は4:1.6ヶ月の内服前後でのWIQ平均値変化は,
痛みスコアは15.0から80.0に(p<0.05),距離スコアは 22.2から69.0に(p<0.05),速度スコアは31.6から54.0に
(p=0.11),階段スコアは38.6から81.0に(p=0.09)いずれ のスコアも改善傾向を認め,特に痛みと距離のスコアは有 意差を持って改善していた.なお,投与前後のABI値は 0.594と 0.653(p=0.0472),SPP値 は45.50 と43.97(p=
0.746)であった.【結論】ABI検査で0.9以下で跛行症状を 自覚している患者に八味地黄丸を投与するとWIQの痛み スコアと距離スコアを改善させる可能性がある.なお,研 究終了した5名を含め現在19名が本臨床研究にエントリ ー(内3名は既に脱落)されており,現在も本研究は進行中 である.
P15-7
閉塞性動脈硬化症による間欠性跛行に対する八味地黄 丸の有用性
東京医科大学八王子医療センター 心臓血管外科
○河合 幸史,内山 裕智,浦部 豪,本橋 慎也 井上 秀範,赤坂 純逸,進藤 俊哉