○中尾 佳永,入江 寛
【目的】破裂性腹部大動脈瘤に対する開腹手術の成績は好ま しいものではなく,EVAR手技の向上,デバイス供給の安 定化等によりEVARを第一選択とする施設が増加し,良 好な成績が報告されてきている.今回,当院における破裂 性腹部大動脈瘤に対する治療成績を評価した.【対象・方 法】2008年1月から2014年10月までの間で腹部大動脈瘤 に対して手術加療を行った224例の内,狭義の破裂症例 23例を対象とした.破裂症例の内,感染性動脈瘤は2例 認めた.当院においてはEVARを2010年より導入し,解 剖学的に施行可能であれば破裂症例においてもEVARを fi rst strategyとしている.2010年以降の開腹手術の選択理 由は,感染性動脈瘤およびアクセスルートに狭窄病変を認 める,中枢ネック長が短い,EVAR後の破裂等の理由であ った.開腹手術(O群)16例,EVAR(E群)7例認め,治療 成績等を2群間において比較検討した.【結果】術前ショッ ク合併・Rutherford分類3以上の症例は17例(73.9%)(O群:
E群=10例:7例)認め,両群間に有意差はなかった.E 群の内,IFU外使用は1例であり,術後に追加EVARを要 した症例を1例認めた(type Ib endoleak).術後成績では,
病院死亡は7例(30.4%)認め,O群6例(37.5%),E群1 例(14.3%)と両群間に有意差はなかった(p=0.366).死因 は腹膜炎1例,腸管壊死2例,敗血症2例,出血死1例,
虚血性心疾患1例であった.O群死亡例は術中腸管損傷1 例,術中・術後腸管虚血2例,閉腹困難症例3例認めた.
1例はEVAR中に血行動態悪化しopen conversionした症例 であった.E群死亡例は術後腹部コンパートメント症候群 を発症し,laparotomyを要した.在院日数(O群:E群=
14.3±8.2日:12.4±9.1日),合併症発症率(62.5%[10例]:
71.4%[5例])において両群間に有意差を認めなかったが,
手術時間(320±176分:126±31分),輸血量(RCC;24.3
±18.4単 位:12.6±10.2単 位,FFP;19.5±15.0単 位:5.7
±4.5単位,血小板;27.2±28.0単位:5.7±9.8単位)にお いてE群が有意に少なかった(<0.05).【結語】破裂性腹部
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当院における破裂性腹部大動脈瘤に対する治療成績の 検討
大阪市立総合医療センター 心臓血管外科
○森崎 晃正,加藤 泰之,尾藤 康行,高橋 洋介 宮部 誠,因野 剛紀,佐々木康之
腹部大動脈瘤破裂はいまなおきわめて手術治療成績が不良 な疾患の一つである.2011年5月から2014年11月まで に当科でAAAに対してEVARを行った128例中術前ショ ック状態を認めた腹部大動脈瘤破裂症例は4例であった.
症例1:高度の肺気腫を有する74歳男性.右下腹部痛,
ショックにて発症,CTにてAAA破裂と診断.麻酔導入後,
血行動態の破綻は認めずデバイス準備を行いEVAR施行.
呼吸管理に難渋したが軽快退院.症例2:59歳男性.精神 病院入院中意識消失,ショックにて発症.CTにてAAA 破裂と診断.肝機能障害,腎不全,高度炎症反応認め若年 であるが救命のためEVAR施行.術後臓器障害は改善し2 週目に転院.症例3:81歳男性.ショック状態で搬送.
CTにてAAA破裂と診断され大腿動脈より大動脈遮断バ ルーンを挿入し下行大動脈遮断下に手術室へ搬送しEVAR を施行.手技中破裂部位から後腹膜腔への出血の持続を認 めたため瘤内にカテーテルを留置した状態でステントグラ フト留置を行い,留置後破裂部位をNBCAによる塞栓を 行った.術後膀胱内圧のモニタリングを行い腹部コンパー ト症候群(ACS)の発症なく経過し軽快退院となった.症例 4:73歳男性.ショック状態で搬送.エコーにてAAA破 裂が疑われ大腿動脈より大動脈遮断バルーンを挿入し下行 大動脈遮断,血行動態回復後にCT施行.AAA破裂と診 断しEVAR施行.デバイス留置後破裂部位をNBCAで塞 栓.造影にてリークがないことを確認.ACSを発症して おり呼吸状態の悪化を認め開腹減圧施行.呼吸状態は回復 も再度ショック状態となり,大動脈造影を施行.Type1の リークを認めておりNBCAにて再塞栓施行.リークは消 失し血行動態も回復した.術後出血傾向は持続し翌日死亡 した.術前ショック状態を呈している症例であっても手術 時には血行動態が安定している症例では通常と同様の EVARが可能であるが,ショック状態が持続している症例 では大動脈遮断バルーンの使用が有用であったが,大腿動 脈からの挿入では血行動態回復時に末梢へ移動し遮断が不 十分になるため上腕動脈からの留置が有用である可能性が
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術前ショック状態を認めた破裂性腹部大動脈瘤に対す るステントグラフト治療
高知医療センター 心臓血管外科
○大上 賢祐,岡部 学,三宅陽一郎,籏 厚 田中 哲文,谷 孝文
【目的】腹部大動脈瘤に対するEVARは広く普及している が,破裂性腹部大動脈瘤(RAAA)に対するEVARは,治療 成績が不明な点が多く広く普及しているとは言えない.当 院では2011年よりRAAAに対して解剖学的適応が合えば EVARを第1選択としているが,その治療成績を検討した.
【対象と方法】2011年1月から2013年12月にRAAA(総腸 骨大動脈瘤破裂3例を含む)に対しEVARを施行した12 例(男6女6 ,平均年齢80±6.2歳)を対象とした.診断は CTで行い,術前血行動態の安定した(Rutherford1,2)症例 は待機手術と同様の方法で行い,血行動態不安定な(Ruth-erford3,4)症例は大動脈遮断バルーンを併用した.【結果】
術前状態はRutherford1:2:3:4が3:4:5:0例であった.
使用ディバイスはEndurant 1例,Excluder 11例で,術中追 加処置として内腸骨動脈コイリング3例,アオルティック カフ使用2例,腎動脈chimney1例を行った.腎動脈 chim-neyの症例は術中にType1エンドリークを認め,開腹手術 へ移行した.平均手術時間は183±147分,平均術中輸血 量1333±728mlであった.手術死亡は1例(8.3%)で,外 腸骨動脈高度屈曲によりアクセス血管を損傷し人工血管で 修復したが長時間下肢血流遮断により術後MNMSとなり 失った.平均ICU滞在期間は3.6±3.4日,平均入院期間 は28.8±16.9日,術後合併症は術後心筋梗塞発症1例で,
透析を要する腎不全や腹部コンパートメント症候群は認め なかった.開腹手術移行例と死亡例を除く10例での術後 1年目のCT検査では,動脈瘤径5mm以上縮小4例,不 変もしくは5mm未満縮小4例で,Type2エンドリーク・
Type4エンドリークで瘤径拡大を認めた2例に対し待機的
に開腹手術施行を施行した.【結語】RAAAに対するEVAR の治療成績は,救命率91.6%とほぼ満足できる結果であっ た.解剖学的適応を適切に判断し,術後フォローも厳重に 行うことで破裂性腹部大動脈瘤に対するEVARは有用な 方法になり得ると考えられた.
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破裂性腹部大動脈瘤に対する緊急ステントグラフト内 挿術症例の検討
獨協医科大学越谷病院 心臓血管外科・呼吸器外科1 獨協医科大学 心臓・血管外科2
○井上 有方1,高野 弘志1,権 重好1,斎藤 征仁1 田中 恒有1,新美 一帆1,朝野 直城1,太田 和文1 井上 尚1,松村 輔二1,福田 宏嗣2
【目的】腹部大動脈瘤破裂(以下,rAAA)は未だ死亡率の高 い疾患であるが,近年rAAAに対して積極的にステントグ ラフト内挿術(EVAR)が行われつつある.当院においては,
2008年よりEVARを導入,複数のEVAR実施指導医の確 保や夜間休日の緊急EVAR対応などの態勢を確立した 2013年よりrAAAに対してもEVARを第一選択とする方 針とした.今回,EVAR施行したrAAA 症例について検討 し,その妥当性について検証した.【対象】当院でrAAAに 対して緊急EVARを施行した2012年からの6症例を対象 とした.【手術方法】救急外来でのCTでEVAR可能かを判 断し,直ちに麻酔科とデバイス搬入業者に連絡,手術室入 室可能になったら直ちに移動し,全身麻酔下に大腿動脈を 露出し,4−0モノフィラメント糸でタバコ縫合をおき穿 刺アプローチで,まず血管閉塞用バルーン(Gekira Xb)を 用いて腎動脈下で大動脈遮断,EVARを開始する.【結果】
6例の平均年齢72.5歳(63〜80歳),全て男性,Fitzgerald 分類では3型3例,2型2例,1型1例で,5例(86%)に
術前shockを認めた.平均手術時間159分,平均出血量
218mlであったが,術前ショック例では全例で術前および
術中に輸血を要した.使用デバイスはExcluder4 例,Pow-erlink1例,Endurant1例であり,エンドリークなく手術を 完遂した.また,腸骨動脈 瘤合併のため3例(50%)に内 腸骨動脈コイル塞栓を併用し,うち1例は両側に行った.
手術関連合併症は,両側内腸骨動脈コイル塞栓を必要とし た1例で軽度の臀筋性跛行を認めたのみで,平均ICU滞 在期間は6.5日,平均在院日数は22.5日であった.4例は 独歩退院し,1例は術前蘇生に時間を要したための低酸素 脳症後遺症から療養型病院へ転院となった.広範囲脳梗 塞,脳浮腫での入院中に院内発症した症例を,術後3日目 に脳浮腫からの脳ヘルニアで失い,救命率84%であった.
【結語】rAAAに対するEVARでは,容易に腎動脈下大動脈 遮断が可能であり,短い手術時間,少ない出血量,少ない 手術関連合併症など,低浸襲ゆえに結果として救命率も高 く,極めて有用な治療戦略と言える.また,来院時のCT 読影やEVAR適応の可否を判定できるEVAR実施医の育 成が今後のさらなるrAAA治療成績向上には肝要と考え る.
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腹部大動脈瘤に対する緊急
EVAR治療
国立国際医療研究センター 心臓血管外科
○村上 友梨,藤岡俊一郎,陳 軒,森村 隼人 王 志超,橋本 昌典,戸口 幸治,福田 尚司 保坂 茂