Type II エンドリーク症例の検討
当院における末梢動脈瘤 12 例の検討 嬉野医療センター 心臓血管外科
○吉田 望,力武 一久,古舘 晃,陣内 宏紀
【はじめに】膝窩動脈瘤は末梢動脈瘤の中では比較的頻度の 高い疾患である.瘤径や進展部位によって術式が選択され る.今回,我々は腹臥位後方アプローチにより瘤切除・自 家静脈による置換術を施行した膝窩動脈瘤の1例を経験し たので報告する.【症例】74歳 男性.6年前に左膝窩動脈 瘤に対して自家静脈使用による右膝上膝下バイパス術を施 行.右下肢急性動脈閉塞により他院にて血栓除去術施行さ れた.精査により35mm×37mmの右膝窩動脈瘤を認め,
当科外来紹介受診となり手術目的で当科入院となった.入 院時のABIは右側が1.20,左側が0.76,右大腿動脈以下 の脈拍は触知良好,腫脹部にも拍動を触知できた.【血管 造影検査】血管造影検査では膝窩動脈瘤の中枢側・末梢側 ともに血流は良好,瘤内に流入する血管の存在も認めた.
【手術】血管造影検査2日後に手術を施行.全身麻酔,腹臥 位にて手術開始.右膝裏にS字に皮膚切開を加え,瘤の中 枢側および末梢側を確保し瘤周囲を剥離・露出した.次に S字切開の大腿内側を頭側方向に皮膚切開を追加し,右大 伏在静脈を採取した.瘤の中枢側と末梢側を遮断した後に 瘤を切除し,自家静脈により置換術を施行した.グラフト の拍動良好,右足背動脈・後脛骨動脈の脈拍触知良好であ ることを確認し手術終了とした.【病理】摘出した瘤の病理 結果は,壁には動脈の3層構造が確認され,真性瘤との診 断.感染性を疑わせる所見なし.【経過】術後のABIはほ ぼ変化なし,術後CTでグラフトは開存しており,特に大 きな合併症なく経過は順調に進み,術後12日目に退院と なった.【結語】腹臥位後方アプローチにより瘤切除・自家 静脈による置換術を施行した膝窩動脈瘤の1例を経験し,
手術加療で良好な結果を得ることができた.
P36-4
腹臥位後方アプローチにより瘤切除・自家静脈置換術 を施行した膝窩動脈瘤の
1例
神戸労災病院 心臓血管外科
○佐藤 雅信,井上 享三,尾崎 喜就,脇田 昇
症例は72歳男性,突発する安静時左下肢痛にて救急搬送.
下肢造影CT検査,血管造影検査にて径61mm×49mmの 左膝窩動脈瘤を認めた.左膝窩動脈は膝下膝窩動脈までほ ぼ全長に渡り瘤化しており,全長180mmに渡る瘤であっ た.膝窩動脈瘤から左後脛骨動脈,左腓骨動脈に渡る閉塞 を認め,左前脛骨動脈のみ遅延造影される状況であった.
左下肢は急性下肢虚血の症状をきたしており,救肢の為,
直ちに緊急手術を施行した.膝下膝窩動脈は全長に渡り瘤 化,閉塞していた為,通常の内側アプローチ・後方アプロ ーチでの膝下膝窩動脈へのバイパス及び血栓摘除は困難と 判断し,自家静脈を用いて膝上内側・下腿外側アプローチ による左膝上膝窩動脈−前脛骨動脈バイパス術を施行し た.術後に造影CT検査にて前脛骨動脈への良好な血流に 加え,後脛骨動脈・腓骨動脈の下腿中腹までの血流再開通 を認めた.右下肢にも全長150mm,径49mm×40mmの右 膝窩動脈瘤を認め,右膝窩動脈瘤での膝窩動脈閉塞,及び 右前脛骨動脈の閉塞を認めた.右下肢に対しては症状が間 欠性跛行のみで慢性経過であった為,待機的に自家静脈を 用いて内側アプローチによる右膝上膝窩動脈−膝下膝窩動 脈バイパス術を施行した.術後に造影CT検査にて良好な 血流を確認し,両下肢共に間欠性跛行もなく独歩退院とな った.更に待機的に後方アプローチによる両側の膝窩動瘤 切除も予定していたが,同年他院で手術されていた咽頭癌 再発の為,手術適応外となった.膝窩動脈瘤に伴う急性動 脈閉塞に対する治療に関し,若干の文献的考察を加えて報 告する.
P36-3
両側膝窩動脈瘤に伴う急性下肢虚血に対し,両側遠位 バイパス施行し救肢した
1例
埼玉石心会病院 心臓血管外科1 さやま総合クリニック2
○山田 宗明1,木山 宏1,塩見 大輔1,高橋 亜弥1 清水 将継1,今関 隆雄2
外傷性膝窩動脈閉塞は臨床上まれに経験し,ほとんどが急 性動脈閉塞による下肢虚血のため,緊急手術の対象とな る.我々は2例の外傷性膝窩動脈閉塞を経験し,外科的血 行再建にて救肢に成功したためこれを報告する.症例:80 歳男性.耕運機に左下肢を挟まれ他院整形外科受診.CT で左大腿挫傷・膝開放性前方脱臼・膝窩動脈損傷の診断で 当院紹介.現症:左大腿挫滅創,膝窩開放創,左足冷感,
足背・後脛骨動脈触知不能であった.整形外科合同手術で,
体位は当初腰椎麻酔より開始したため上半身を右側臥位,
下半身を腹臥位とした.手術:血行再建が先立ち行われた.
開放創より膝窩S時切開まで延長し,損傷した膝窩動脈同 定した.外見上内膜により完全に内腔が圧排され,閉塞し ていた.全層の損傷はないように思われた.右大腿より大 伏在静脈採取し,正常な部位での吻合で約6cm置換した.
受傷後10時間であったが,虚血症状なく経過した.他の 創部感染,皮膚移植等で長期間入院となり,リハビリ目的 で転院した.症例:77歳男性.台所で転倒し椅子に両下 腿を打撲.受傷時,右下肢しびれ,チアノーゼであった.
受傷2日目に近医受診,経過観察入院となったが,徐々に 蒼白,下腿以下運動障害出現したため,受傷3日目に当院 紹介.当院受診時,腓腹把握痛あり,足部感覚はなかった.
ドップラーも聴取せず.急性下肢虚血と診断し,血管造影 した.血管造影では左膝窩動脈以下途絶,側副路で腓骨動 脈,後脛骨動脈はdelayで造影されるが足関節以下は造影 されなかった.外傷性右膝窩動脈閉塞と診断し,膝窩−前 脛骨動脈バイパスおよび前脛骨筋・腓腹筋 減張切開施行 した.術後2日目発熱,血圧低下,意識障害みとめたが,
内科治療に反応した.血培は陰性ではあったが,一部の前 脛骨筋感染,壊死を認めた.これによる敗血性ショックの 疑いも否定できず,デブリードメント施行した.グラフト は開存を認めたが,左前脛骨筋壊死処置およびリハビリ目 的で紹介元へ転院となった.現在通院中でありグラフト開 存を認め,経過良好である.若干の文献を提示し考察する.
P36-6
外傷性膝窩動脈閉塞の
2例
市立四日市病院 外科
○服部 圭祐
膝窩動脈損傷は早期の血行再建術が行われない場合には高 率に下肢切断に至る病態である.膝窩動脈損傷は他の四肢 動脈損傷と比較して肢切断率が高いため,迅速な診断,治 療が必要である.今回我々は,右大腿骨外果骨折に対し骨 接合術を施行した後に発症した膝窩動脈損傷の1例を経験 したので報告する.症例は50歳男性.転落外傷にて右膝 外側部を強打し,当院へ救急搬送となった.右大腿骨外果 骨折の診断にて骨接合術を施行(骨折部転位の修正のため にエレバを使用したとのこと).術後より右下腿の腫脹認 めており,2週間後も改善せず右下腿緊満感も増強してき たため造影CTを施行したところ,右膝窩部から下腿背側 にかけて血腫を認めた.血管造影にて右膝窩動脈本幹の損 傷,活動性の出血を認めたため,血行再建を行う方針とな った.右膝窩静脈血栓症を合併しており,まず術前に下大 静脈フィルターを挿入した.腹臥位にて手術を開始し,膝 窩をS状切開し,筋膜を切開.出血部位を確認したところ,
膝窩動脈に計2か所損傷部位を確認した.損傷部位は動脈 の長軸にほぼ同じ高さで平行に存在し,鋭的外傷の可能性 が示唆された(エレバ).損傷部の単純縫合閉鎖にて,手術 を終了した.術後経過は良好であり,下腿の緊満感は消失 していった.動脈損傷の状態より,原因は医原性である可 能性が考えられるが,転落受傷時より認められた可能性も 完全には否定できない.よって,鈍的外傷後や整形外科術 後の膝関節周囲腫脹に対しては,膝窩動脈損傷を念頭に置 いた早期診断,早期治療が必要と考えられる.
P36-5
外傷性膝窩動脈損傷の
1例
聖マリア病院 心臓血管外科
○中村 英司,今井 伸一,財満 康之,尾田 毅 安永 弘,青柳 成明
外膜嚢腫は動脈外膜の粘液変性により外膜と中膜間にコロ イド様物質が貯留して動脈内腔の狭窄もしくは閉塞をきた し,下肢の虚血症状を呈する比較的稀な疾患である.今回,
当院で経験した5例について文献的考察を加えて報告す る.【症例】平均年齢65.0歳(59〜78歳)で,男性4例,女 性1例.主訴は間欠性跛行が3例,下肢痛が1例,冷感・
しびれが1例であった.すべてに血管造影または造影CT を施行し,4例が狭窄病変,1例が閉塞病変であった.術 前診断は4例が膝窩動脈外膜嚢腫,1例が外傷性膝窩動脈 閉塞で,術前検査は全例で造影CT,2例で下肢動脈造影,
1例でMRI,1例で脈管超音波検査を施行した.治療は全
例で嚢腫摘出および自家静脈置換術を施行した.術後平均 6.9年の経過で再発や閉塞などは認めていない.【考案およ び結語】本疾患の診断には造影CTが有用であった.しか し嚢胞が小さく,術前の画像診断では診断がつかなかった 症例も認めた.膝窩動脈に限局性の狭窄・閉塞病変を認め た場合,閉塞性動脈硬化症(ASO),外膜嚢腫,膝窩動脈捕 捉症候群や塞栓症などと鑑別を行うことが重要で,カラー ドップラーやMRI造影や下肢動脈造影検査を追加する必 要があると考えられた.また膝窩動脈の限局性の狭窄病変 に対して安易に経皮的血管形成術(PTA)を行わず,上記疾 患を考慮に鑑別・治療を行っていくべきである.治療は,
狭窄例では嚢腫壁の切除や切開のみで可能な場合もある が,基本的には嚢腫を含め罹患動脈の切除および自家静脈 移植術,閉塞例では嚢腫を含め罹患動脈切除および自家静 脈移植術が望ましいと考えられた.
P36-8
当院における膝窩動脈外膜嚢腫の経験
川崎医科大学 心臓血管外科1 川崎医科大学 生理学2
○桑田 憲明1,正木 久男1,田淵 篤1,柚木 靖弘1 渡部 芳子2,田村 太志1,本田 威1,滝内 宏樹1 山澤 隆彦1,古川 博史1,杭ノ瀬昌彦1,種本 和雄1
【背景】膝窩動脈外膜嚢腫は動脈の外膜と中膜の間に発生し た嚢腫の圧排により血管内腔が狭窄を来し,虚血症状を呈 する稀な疾患である.膝窩動脈外膜嚢腫の成因には Repet-itive trauma theory, Ganglion theory, Systemic disorder theory,
Developmental theory等が言われているが定説はない.今 回我々は関節滑膜組織の動脈壁内迷入に起源することを強 く示唆する症例を経験したので報告する.【症例】71歳,
男性.【現病歴】1か月前より間欠性跛行(約200m程度)が 出現した.前医より動脈閉塞の疑いにて当院に紹介され た.右下肢のankle brachial pressure index(ABI)は0.80と低 下していた.【画像検査】膝窩部の超音波検査と造影CTで 膝窩動脈の狭窄を認めた.狭窄部周囲には嚢胞を形成して おり膝窩動脈外膜嚢腫と診断した.外膜嚢腫は膝関節部の 関節包との連続が疑われた.【手術】全身麻酔下,後方アプ ローチにて手術を施行した.術中に関節包から連続する外 膜嚢腫を認めたため,これを結紮切離,嚢腫とともに膝窩 動脈を切除し大伏在静脈による血行再建術を行った.【術 後経過】術後のABIは1.09へ改善し,間欠性跛行も消失し た. 経過良好であり,術後4カ月経過しているが再発は 認めていない.【病理組織学所見】膝窩動脈外膜嚢腫に合致 し,嚢腫は外膜下に存在していた.【考察】本症の成因につ いては様々な仮説があるが,本例では関節包との連続を認 めた.このことはGanglion theoryとDevelopmental theory の2つには矛盾しないが, Repetitive trauma theoryと Sys-temic disorder theoryとは一致しない所見である.本例では,
嚢腫の内容を検索し得なかったが,外膜嚢腫の内容は
Ganglionの内容とは異なるという報告が散見されるのを考
慮すると,外膜嚢腫の成因として関節滑膜細胞の動脈壁内 迷入を嚢腫の成因とするDevelopmental theoryを強く支持 するに足る所見が得られた.