広島市立安佐市民病院 心臓血管外科
○片山 暁,川本 純,荒川 三和,橘 仁志 北浦 順也
全身麻酔困難と診断されたGOLD3COPDを合併した両側 外腸骨動脈慢性閉塞症例に対しTEVARを施行した症例を 経験したので報告する.症例は78歳・男性.2012年左足 趾潰瘍主訴に来院.両側外腸骨動脈から浅大腿動脈全域の 広範囲閉塞を認めたが,GOLDIII相当のCOPDを指摘さ れており,呼吸器内科にて全身麻酔困難と診断されたた め,局所麻酔下に左腋窩動脈−大腿動脈バイパス術を施行 し重症虚血肢から離脱しえた.この時,胸部下行大動脈瘤 60mmを指摘されTEVARを行う方針としたが,その後肺 炎による入退院を繰り返し,経過観察となっていた.その 間,経時的に瘤径拡大をきたし2014年には70mmまで増 大したため,脊髄麻酔下に腹腔動脈デブランチTEVARを 行う方針とした.【手術】右傍腹直筋切開・後腹膜アプロー チにて右腸骨動脈を確保.内外腸骨動脈分岐部より約
1.5cm末梢の外腸骨動脈を半周横切開し,その中枢側を血
栓内膜摘除し同部より20Frシースを挿入しアクセスルー トを形成した.腹腔動脈デブランチが必要であったが術前 CTにて上腸間膜動脈との側副血行が乏しく腹腔動脈領域 の虚血の可能性を認めたため,左上腕動脈より腹腔動脈を 選択的にバルーン遮断し,上腸間膜動脈の選択的造影を行 い,腹腔動脈領域が側副血行により造影されることを
TEVARに先行し確認した.デバイスはTX2を選択し下行
大動脈〜上腸間膜動脈直上に留置した.確認造影にてエン ドリークを認めなかった.右下肢はCLIに至っておらず,
アクセスルートとした右外腸骨動脈断端は結紮し手術終了 とした.術後経過は良好で下半身麻痺や肺炎の発症はなく 第11病日独歩退院した.胸部大動脈瘤における治療困難 と考えられる様々な状況に対し,TEVARの手技を工夫し 治療適応範囲の拡大を図ることにより,従来治療困難とさ れる症例においても治療可能となる場合も少なくない.若 干の文献的考察を加え報告する.
P07-6
両側外腸骨動脈閉塞および重度
COPDを合併した胸 部大動脈瘤に対し脊髄麻酔下
TEVARを施行した
1例
信州大学医学部附属病院 心臓血管外科
○御子柴 透,福井 大祐,駒津 和宣,大津 義徳 寺崎 貴光,和田 有子,瀬戸達一郎,高野 環 岡田 健次
大動脈気管支瘻(aortobronchial fi stula: ABF)に対し胸部大 動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を施行した5例に ついて検討した.【症例1】75歳,男性.11年前に下行大 動脈瘤に対して下行置換を施行した.2年前から喀血を繰 り返すようになり,CTにて人工血管末梢側吻合部の仮性 瘤を認め,ABFと診断した.TEVAR(自作デバイス)を施 行し,以後喀血は消失,良好に経過した.【症例2】73歳,
女性.7年前に急性大動脈解離に対して上行置換を施行し た.残存する下行大動脈の解離性大動脈瘤破裂に対し下行 置換を施行したが,術後2か月目から血痰が出現した.
CTにて下行置換末梢側吻合部肺瘻と診断され,TEVAR(自 作デバイス)を施行した.以後血痰は消失し,良好に経過 した.【症例3】67歳,男性.解離性大動脈瘤に対する下行 置換術後8年目に,大量の喀血にて救急搬送された.CT にて人工血管中枢吻合部仮性瘤の肺穿破と診断され,緊急
TEVAR(自作ステント)を施行した.術後喀血は消失した
が,退院2週間後より再度血痰が出現した.CT及び気管 支鏡検査よりステントグラフト末梢側からのtype1bエン ドリークと診断し,準緊急的に再TEVARを施行した.そ の後も断続的に血痰を認めたが,少量であるため経過観察 とした.【症例4】73歳,男性.大量の喀血にて救急搬送さ れた.CTにて下行大動脈瘤からのABFと診断し,TEVAR
(Gore TAG)を施行した.喀血は消失したが,退院後も発 熱とCRPの軽度上昇を繰り返していた.術後3年目に炎 症反応の著明な上昇を認め,CTにてステントグラフト感 染と診断しステントグラフト除去,下行置換および肋間筋 充填を行った.【症例5】83歳,女性.12年前に下行大動 脈瘤に対して下行置換を,5年前に上行大動脈瘤および下 行置換中枢側吻合部仮性瘤に対してオープンステントグラ フト併用上行弓部置換3分枝再建術を施行した.4年前に 下行置換部末梢側吻合部仮性瘤に対してTEVAR(自作デバ イス)および腹部分枝再建術を施行した.その2年後より 血痰が出現し,CTにて下行置換部中枢側仮性瘤による ABFと診断し,再度TEVAR(Gore TAG)を施行した.その 後仮性瘤は縮小し血痰も消失していたが,約2年後に再び 血痰を認めるようになり,さらにTEVAR(Gore TAG)を追 加施行した.【結語】TEVARはABFに対する緊急避難的手 段として有用な1選択肢であると考えられた.
P07-5
大動脈気管支瘻に対する
TEVAR施行症例の検討
大阪市立大学大学院医学研究科 心臓血管外科学1 大阪市立総合医療センター 心臓血管外科2 大阪市立大学大学院医学研究科 放射線医学3
○窪田 優子1,尾藤 康行2,堺 幸正3,柴田 利彦1 平居 秀和1,細野 光治1,村上 貴志1,中平 敦士1 小谷 真介1,末廣 泰男1,賀来 大輔1,西村 慎亮1 末廣 茂文1
【症例】69歳,女性.【既往歴】狭心症,高血圧,肺気腫現【病 歴】高血圧にて近医通院中で,以前より嚥下障害,つかえ 感があり上部消化管内視鏡検査を行ったところ食道内壁の 外部からの圧迫像が確認された.同時に数か月前より嗄声 と喘息様発作が出現していた.胸部CT検査で胸部大動脈 瘤の診断で近医クリニックから紹介となる.【CT検査】胸 部下行大動脈の最大径70mmの嚢状大動脈瘤で,大動脈自 体の屈曲と相まって縦隔前方に突出し,食道,左肺下葉気 管支を圧迫していた.【治療】上記合併症併存のハイリスク 症例であり,準緊急にステントグラフト治療(TEVAR)を 行った.全身麻酔下に右下腹部からの後腹膜アプローチで 右外腸骨動脈に到達し,ステントグラフト2本(Cook社製,
TX2)を下降大動脈に挿入した.【経過】術後4病日のCT
検査ではエンドリークはなく,腹部実質臓器や末梢動脈の 血流も良好であった.術後経過良好で第6病日に退院した.
術後1か月外来時で,嗄声と喘息様発作の著明な改善が得 られた.さらに術後3か月6か月のフォローアップ外来に て喘息症状は完全に消失した.【結語】縦隔内臓器圧迫症状 にて判明した胸部下行大動脈瘤をTEVARにて治療し良好 な結果を得た.胸部大動脈瘤で喘息様症状を呈するものは 比較的にまれであり報告する.
P07-8
嚥下障害と嗄声・喘息様発作で発症した胸部大動脈瘤 の
1例
東京都立墨東病院 胸部心臓血管外科
○三島 秀樹,松永 裕樹,片山 康,石川 進 大島 哲
【背景】右側大動脈弓に伴うKommerell憩室に対する治療戦 略にはOpen Surgeryを施行するにしても,TEVARを施行 するにしても個々の症例に応じて臨機応変に対応する必要 がある.右側大動脈弓に伴うKommerell憩室の症例は大動 脈の屈曲が強くTEVARが困難な症例が文献的にも散見さ れる.本症例の場合においても横隔膜レベルでの大動脈の 屈曲が非常に強かったためにTEVARが困難であると術前 から予想されたが,低肺機能によりOpen Surgeryのハイリ スク症例と考えたためにTEVARで治療することとなった 症例を経験したので此処に報告する.【症例】78歳女性.
(現病歴)近医にて右肺尖部にStage 1肺癌疑いの病変を指 摘されていたが,低肺機能のために手術を施行せず,経過 観察の方針となっていた.2014年2月 胸痛発作あり,心
電図上でV2〜V4のST上昇を認め.トロポニンTも陽性
であったために当院に緊急搬送され,急性心筋梗塞の診断 で当院循環器内科入院となる.同月 PCI(#7 99%→0%
DES留置)施行された.入院時の胸腹部造影CTにて右側 大動脈弓およびKommerell憩室瘤を認め(Edwards3B),食 道圧排による嚥下困難感を認めていた為に手術加療の方針 となった.低肺機能であり,Open Surgeryはハイリスクで あると考えたために2014年5月 2 debranching TEVAR(Rt SCA-Rt CCA Lt SCA-Lt CCA bypass)を施行することとなっ た.(手術)7mm J-Graftを用いて左総頚動脈−左腋窩動脈,
右総頚動脈−右腋窩動脈バイパス施行.右総大腿動脈から 24Fr sheathを用いてGore TAG (TGU343420J)およびGore TAG (TGU404020J)を右鎖骨下動脈分岐直下から横隔膜直 上の部分まで挿入.横隔膜レベルでの大動脈の屈曲が強い 為にステントグラフトの挙上には困難を極めた.左腋窩動 脈から挿入した5Fr sheathよりKommerell憩室瘤内および 左鎖骨下動脈の起始部〜正常径の部分までcoilingを施行 した.造影にてendleak無きことを確認し,手術手技を終 了している.(術後経過)術後経過は良好で,術翌日に抜管,
術2日目に内服・食事再開,術5日目に胸腹部造影CTに
P07-7
右側大動脈弓に伴う
Kommerell憩室に対して
debranch TEVARを施行した
1例
東宝塚さとう病院
○谷岡 秀樹,山本 淳平,田内 裕也,近藤 晴彦 佐藤 尚司,松田 暉