Type II エンドリーク症例の検討
大腿深動脈瘤破裂の 1 手術例
市立長浜病院 心臓血管外科
○洞井 和彦,曽我 欣治,鄒 貴光,村中 弘之
【症例】81歳,男性.【既往歴】心房細動のためワーファリ ンを内服していた.また入院の1ヵ月前に尿閉のため一時 自己導尿を行っていた.【現病歴】右大腿部の腫脹,疼痛を 主訴に近医を受診し,大腿動脈瘤を疑われて当科紹介とな った.来院時,37.5度の発熱あり,大腿中間部に腫脹,発 赤,圧痛を認めた.血液検査で白血球およびCRPの上昇 を認め,造影CTで右大腿中間部に45mm大の浅大腿動脈 瘤を認めたため,感染性浅大腿動脈瘤と診断し緊急手術を 施行した.瘤を開くと1.5cmの破裂孔を認め,仮性瘤の所 見であった.動脈瘤および周囲の壊死組織を可及的に切除 した.左大伏在静脈を用いて解剖学的血行再建をおこなっ た.術前の血液培養および動脈瘤組織の培養からは Staph-ylococcus aureus (MSSA)が検出され,抗生物質治療を継続 した.右大腿創部の治癒遅延あり,洗浄および不良組織の デブリードマンを続けていたが,術後31日目に露出した 右大腿グラフト部より出血を認めた.直接縫合による止血 を行い,縫工筋皮弁および植皮により創閉鎖を行った.術 後41日目に抗生物質は終了し,術後57日目に独歩退院と なった.術後1年となるが感染の再燃なく経過している.
浅大腿動脈に発生した感染性仮性動脈瘤に対して,静脈グ ラフトによる解剖学的血行再建により治癒しえた1例を経 験した.若干の文献的考察を加えて報告する.
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大伏在静脈による解剖学的血行再建を施行した感染性 浅大腿動脈瘤の
1例
岡崎市民病院 心臓血管外科
○中田 俊介,長谷川雅彦,堀内 和隆,薦田さつき 湯浅 毅
【はじめに】末梢血管に発生する動脈瘤の中でも,大腿深動 脈瘤は比較的稀である.今回我々は入院中に偶発的に発症 した大腿深動脈破裂の一例を経験したので報告する.【症 例】86歳男性.生来健康.数日前からの胸部不快感,下肢 脱力にて近医受診し,心電図より下壁梗塞疑われ当院紹 介.亜急性心筋梗塞疑いにて入院とし,待機的に冠動脈カ テーテル検査を予定した.入院翌日の夕食時に突然の左大 腿部痛出現し,直後に心肺停止した.直ちに心肺蘇生が開 始され,心拍再開,意識回復を得た.緊急冠動脈カテーテ ル検査の方針としたが,左鼠径部に超音波で4cm大の拍 動性腫瘤を認めたためCTを施行した.52mmの左大腿深 動脈瘤破裂を認め,緊急手術の方針となった.【手術】仰臥 位,全身麻酔下で施行.左鼠径部に10cmの縦切開を加え,
総大腿動脈,浅大腿動脈,大腿深動脈,大腿静脈をテーピ ングした.浅大腿動脈および大腿静脈を牽引すると大腿深 動脈瘤へ到達した.瘤末梢側は先行してフェルト閉鎖し,
大腿深動脈瘤中枢側を遮断.瘤切開し壁在血栓を除去する と瘤内の背側に1.5cmの破裂部位を認めた.瘤の中枢側で 大腿深動脈を結紮し,閉創して手術終了した.足背動脈お よび後脛骨動脈の拍動はドップラーにて聴取可能であっ た.【術後経過】術後は下肢の虚血症状を認めることなく経 過した.術後6日目に心不全症状を呈し,処置を要した.
術後11日目に冠動脈カテーテル検査施行,左前下行枝に
90%狭窄,右冠動脈に100%の閉塞病変を認め,経皮的カ
テーテルインターベンションを施行した.また,経過中創 部脂肪壊死にてデブリトメントを行い術後35日目に退院 した.【考察】大腿深動脈瘤は末梢動脈瘤の中でも比較的稀 である.無症状で経過することが多く,浅大腿動脈の狭窄・
閉塞がなければ下肢虚血症状を伴うことはあまりない.手 術適応については一定の見解はないが,大腿動脈の手術適 応に則って治療を行う施設が多いようである.術式に関し ては,浅大腿動脈以下末梢動脈に病変がない限りは大腿深 動脈の結紮のみでよいとされている.一方で,動脈硬化性
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孤立性大腿深動脈瘤破裂の
1例
津山中央病院 心臓血管外科
○剱持 礼子,松本 三明,久保 陽司,衛藤 弘城
【はじめに】大腿動脈感染に対する外科治療の際,動脈切除 と血行再建を要するが,感染創であるが故にその再建方法 やグラフトの材料選択に苦慮する.今回,大腿動脈感染に 対して外科的治療により治癒し得た2症例を経験したため 報告する.【症例】症例1:68才,男性.平成22年11月,
右総大腿動脈よりCASを施行したが,その際使用した止 血デバイスにMRSA感染を合併し仮性動脈瘤を形成した.
穿孔部位の自家静脈パッチ形成と術後創部持続洗浄を行う も術後に再出血を合併した為再手術となった.その際は総 大腿動脈から浅大腿動脈と深大腿動脈にかけデブリートマ ンを施行,外腸骨動脈から浅大腿動脈にePTFEグラフト 8mmを使用し閉鎖孔バイパスを行い,汚染創部持続洗浄 を行った.その後は右鼠径部の感染は制御され,グラフト も現在まで開存が得られでいる.症例2:37才,女性.平 成24年7月,左被殻出血にて当院脳神経外科に入院.透 析用カテーテルを右大腿から挿入の際,動脈留置となり抜 去後に仮性動脈瘤および動静脈瘻を形成した.平成24年 9月8日動静脈瘻閉鎖および左浅大腿動脈工血管置換術を 行なった.術後緑膿菌感染を合併し吻合部破綻をきたし,
平成24年9月30日総大腿動脈から浅大腿動脈,深大腿動 脈にデブリートマンを行い大伏在静脈にて総大腿動脈−浅 大腿動脈をグラフト置換術とした.感染制御のために右腹 直筋皮弁術も同時に行った.術後右下肢血流は維持され,
感染も制御された.【考察】大腿動脈感染に対する外科的治 療方法は汚染された大腿動脈と周囲組織の確実なデブリー トマンが大切であるが,しばしばCFAからSFA,DFAま での切除を行なう必要がある.下肢血流はグラフトに完全 依存されることとなる為,血行再建はとりわけ重要であり その方法が議論となる.長期開存の観点からは解剖学的再 建が望まれるが,汚染創であるため非解剖学的再建も考慮 される.また汚染創部の感染制御法として筋皮弁法や持続 洗浄法などがある.今回の経験では,いずれの方法でも感 染は制御された.【結語】大腿感染症例に対する異なる手術
P35-7
大腿動脈感染に対する外科治療経験
獨協医科大学越谷病院 心臓血管外科・呼吸器外科
○齊藤 政仁,朝野 直城,太田 和文,新美 一帆 井上 尚,田中 恒有,権 重好,井上 有方 松村 輔二,高野 弘志
【はじめに】下肢における人工血管感染に対する治療とし て,感染グラフトを摘出し,非解剖学的バイパスや,大伏 在静脈を用いた再血行再建術などが行われている.人工血 管を使用しての非解剖学的バイパスは人工血管への再感染 リスクがあり,自家静脈を使用する場合では,冠動脈バイ パスなどで既に良好な表在静脈が使用されており,良好な 静脈グラフトを採取できないこともある.今回我々は,浅 大腿動脈瘤切除人工血管置換術後に発症した人工血管感染 に対し,浅大腿静脈を用いてin situ血行再建を施行した症 例を経験したので報告する.【症例】86歳男性,既往歴に 脳梗塞,冠動脈バイパス術,腹部大動脈瘤切除人工血管置 換術などがある.当科にて左内腸骨動脈瘤に対しコイル塞 栓・ステントグラフト挿入,左浅大腿動脈瘤に対し動脈瘤 切除人工血管置換術の同時手術を施行し,術後経過良好で 退院し外来通院していた.水害に被災し,その後発熱を認 めるようになり受診.発赤や安静時痛は認めなかったが左 大腿部手術創に圧痛を認め,左大腿部人工血管感染を疑い 入院.エコーでは皮下組織と筋膜間に硬結を認め,CTで は筋層浮腫と周囲脂肪織濃度上昇を認めた.術後変化また は局所感染が疑われた.抗生剤投与により解熱し,血液検 査結果は著名に改善を認めたが,皮下の硬結は徐々に拡 大,治療開始5日目に膿汁を認めた.準緊急にて手術施行.
皮下は肥厚した瘢痕組織であり,瘢痕組織内に径2センチ メートル程の膿貯留腔を認めた.剥離を進め,前回人工血 管をラッピングした瘤前壁を切開,瘤内腔から瘤後壁を切 開し浅大腿静脈を採取.人工血管を摘出し,浅大腿静脈を グラフトとして使用しin situ血行再建を施行した.不良肉 芽は鋭匙にて可及的に除去し十分な量の生理食塩水で洗 浄.創は開創のままとし,自然閉創を待つ方針とした.術 後47日目に自宅退院となった.前回の手術後から患肢浮 腫は認めていたが,大腿深静脈を温存するように浅大腿静 脈を採取することで,浮腫が悪化することなく経過した.
浅大腿静脈を用いてのin situ血行再建は有用な術式の一つ と考えられた.若干の文献的考察を加え報告する.
P35-10
浅大腿動脈瘤術後人工血管感染に対し浅大腿静脈を 用いて
in situ血行再建を施行した
1例
大阪府立成人病センター 心臓血管外科
○黒瀬 公啓,三浦 拓也
症例は80歳女性.既往歴として糖尿病,慢性腎臓病,高 血圧症あり.左下肢の閉塞性動脈硬化症に対して2004年 に左FPAK Bypassも行われている.今回,2014年9月 末に転倒した際に右大腿部内側を打撲.同部位に疼痛を伴 う巨大血腫を合併したため10月初旬に前医入院となった.
前医では右浅大腿動脈仮性動脈瘤破裂による血腫形成疑い と診断されるも,eGFRが15ml/min/1.73m2の重度の慢性 腎臓病のため造影CTは施行されず,血腫の増大や疼痛増 悪がなかったため保存的に経過観察となっていた.一時改 善傾向となるもその後腫脹と疼痛の増悪あり,前医入院約 2週間後の10月某日に精査加療目的に当院転院となる.
転院時のCRP:10.01mg/dl,WBC:17300/μlと炎症反応
の上昇とHb:7.6g/dlと貧血も認め,転院当日に施行した
造影CT,下肢動脈エコーなどで86×24×20mm大の右浅
大腿動脈瘤の破裂の診断にて同日緊急手術の方針となっ た.右浅大腿動脈中枢側に狭窄を認めた事もあり,右 FPAK Bypass(ePTFE DYNAFLO 8mm)を施行.術中所見か らは動脈壁に2ヶ所の破裂孔あり,血管周囲には大量の血 腫を認めたため可及的に除去,感染合併も否定できなかっ たため徹底的なデブリードメントと洗浄も施行した.術後 病理組検査では動脈壁に好中球やマクロファージの浸潤が 著明で高度の炎症と動脈壁の壊死を認め,感染性壊疽性動 脈炎と診断された.また,血腫の培養からはLISTERIA
MONOCYTOGENESを検出したため,感染性浅大腿動脈
瘤の外傷性破裂と診断した.術後14日目に右下腿腓腹筋 全面に血腫形成と著明な腫脹を合併し,エコーで右腓腹動 脈の仮性瘤破裂と診断され,同日左大腿動脈アプローチで 仮性瘤に対するコイル塞栓術を施行した.その後は抗生剤 投与を継続し炎症反応は順調に低下し,現在も感染の再燃 なく経過観察中である.浅大腿動脈瘤は無症状で経過し破 裂を契機に発見されることが多いため,文献的にも発見時 の瘤径が大きい事が多い.本症例は最大径が24×20mm程 度であったが,外傷を機に破裂したため発見され,結果的 に感染性動脈瘤と診断された.このような症例報告は極め て稀であると考えられたため若干の文献的考察を加え報告 する.
P35-9
外傷が原因の破裂より診断された右浅大腿動脈感染性 動脈瘤の
1手術例
医療法人明芳会 板橋中央総合病院 心臓血管外科
○浦田 雅弘,村田聖一郎,佐藤 博重,数野 圭