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○矢鋪 憲功

【背景】Visceral artery aneurysmの治療は外科的切除に加え,

近年経カテーテル治療が行われる頻度が増加しているが,

瘤の発生部位や形態は様々で画一的な治療は存在しない.

今回我々は下膵十二指腸動脈に発生した動脈瘤に対し,経 カテーテル治療にて良好な結果を得た症例を経験したため 報告する.【症例】63歳女性.症状はなし.検診で受けた 腹部超音波検査にて膵に腫瘤陰影を指摘されCTにて精査,

下膵十二指腸動脈瘤と診断され治療目的に当科紹介となっ た.造影CTにおいて,膵頭部周囲の膵アーケードを形成 する血管に多発性に瘤状拡張所見あり,最大のものは下膵 十二指腸動脈に存在し,20×13mmの大きさで紡錘状を呈 していた.また腹腔動脈の根部は閉塞しており,上腸間膜 動脈から膵アーケードを介した豊富な側副血流の存在が示 唆された.【手術】局所麻酔下に右総大腿動脈にシースを挿 入し,カテーテルを上腸間膜動脈経由で下膵十二指腸動脈 まで進めた.造影にて動脈瘤の位置を確認し,流出動脈,

瘤内,流入動脈と順次コイルにて塞栓した.術後造影にて 瘤内の血流の途絶と瘤の中枢側の分枝から総肝動脈を介し 腹腔動脈が造影され,側副血行が維持されていることを確 認した.【結果】術後臓器虚血の所見はなく,1年後のCT で瘤の縮小を認めている.【結語】Visceral artery aneurysm の治療では,臓器血流の維持が重要であり,瘤の発生部位 や形態,側副路の状態に応じた術式の選択が必要である.

P13-6

下膵十二指腸動脈瘤の治療経験

伊勢赤十字病院 胸部外科1 三重大学 放射線診断科2

○平野 弘嗣1,金田 真吏1,稲垣 順大1,藤井 太郎1 馬瀬 泰美1,徳井 俊也1,加藤 憲幸2

腹部Anginaは比較的稀な疾患であり,その治療法として

は腹部内臓血管の経皮的血管形成や外科的血行再建がある が,未だその標準術式は確立されておらず,長期成績も明 らかではない.今回我々は腹部Angina,左腎動脈狭窄に 対し,外科的血行再建により症状改善を認めた1例を経験 したので報告する.症例は78歳,女性.食後数十分に出 現する腹痛を主訴に来院.消化管疾患は否定的であり,腹 部CT検査で上腸間膜動脈の閉塞を認め,腹部Anginaと 診断されたが腹部大動脈,両側腸骨動脈の高度石灰化を認 め,外科的治療介入が困難と考慮され抗血小板薬内服で保 存的に加療されていた.経過中腹部症状は改善せず,左腎 動脈の高度狭窄に起因する高血圧が原因と考慮される心不 全も合併したため,血行再建が必要であると判断した.ま ず経皮的血管形成術が試みられたが,腹腔動脈造影では胃 十二指腸動脈,膵アーケード,下膵十二指腸動脈までは描 出されるものの,上腸間膜動脈は造影されず,腹腔動脈経 由による逆行性貫通は不可能,また,下腸間膜経由の逆行 性貫通も経路が長く,塊状石灰化を貫通しなければならず 不可能であったため,外科的血行再建の方針とした.手術 は腹部大動脈,腸骨動脈の高度石灰化のため,他と比し比 較的石灰化病変の少ない左外腸骨動脈をinfl owとし,大伏 在静脈グラフトを用いて上腸間膜動脈,左腎動脈(sequen-tial)へのバイパス手術を施行した.腹部正中切開で開腹し,

左外腸骨動脈はS状結腸外側よりアプローチした.左外腸 骨動脈の石灰化も高度であったが吻合可能部位を同定し,

大伏在静脈と端側吻合.次に左腎動脈の吻合へと移ったが 左腎動脈の石灰化も非常に高度であった.左腎動脈と大伏 在静脈をsequential diamond吻合し,最後に上腸間膜動脈 を端々吻合した.術中のグラフト血流は左外腸骨動脈−左 腎動脈120ml/min,左腎動脈ー上腸間膜動脈102ml/minと 良好であった.術後CT検査ではバイパスは良好に描出さ れており,食事摂取量も増加,食後腹痛も改善した.高血 圧についても術後降圧剤内服でコントロール良好となっ た.高度石灰化腹部大動脈を伴う腹部Angina,左腎動脈 狭窄に対する上腸間膜動脈─左腎動脈─左外腸骨動脈バイ パスによる血行再建は症状緩和に有効であった.

P13-5

腹部

Angina,左腎動脈狭窄に対し外科的血行再建を

施行した

1

兵庫県立姫路循環器病センター

○酒井 麻里,村上 博久,大村 篤史,石垣 隆弘 幸田陽次郎,上木原健太,立石 直毅,谷  一宏 邊見宗一郎,南  一司,本多  祐,松田  均 吉田 正人,向原 伸彦

症例は85歳女性.腹部CTにて偶然23mm大の総肝動脈 瘤を指摘された.動脈瘤は総肝動脈末梢に存在し,固有肝 動脈および胃十二指腸動脈は動脈瘤から起始していた.そ の後約5年の経過観察において,緩徐に拡大傾向を認め,

最終の腹部CT上,半年の経過で約3mmとやや急速な拡 大があり,31mm大となったため手術治療の適応とした.

このCTにおいて,腹腔動脈および上腸管膜動脈の中枢側 にそれぞれ狭窄病変を認め,超音波検査においてPSVの 上昇を認めた.超高齢者に対する本病態の治療戦略とし て,可能な低侵襲化を得るため,経皮的血管形成術と手術 治療を組み合わせる方針とした.まず,腹腔動脈及び上腸 管膜動脈に対し経皮的動脈拡張術及びステント留置術を行 ない,それぞれ血流の改善を確認した.約1ヶ月後二期的 に手術治療を施行.手術は,上腹部正中切開による開腹に て行なった.瘤中枢の総肝動脈及び瘤末梢の固有肝動脈,

胃十二指腸動脈を各々確保した後遮断し,瘤を切除した.

再建は,総肝動脈,固有肝動脈を正常部位にて端々吻合し た.胃十二指腸動脈は,腹腔動脈及び上腸管膜動脈の血行 再建後であるため,主要な交通が無くなっても問題ないと 判断し,結紮切離した.術後経過は良好で,第16病日独 歩退院.現在,術後約1年半経過したが,特に問題なく通 院中である.

P13-8

腹腔動脈狭窄,上腸管膜動脈狭窄を伴った総肝動脈 瘤,超高齢者の

1

相澤病院 心臓血管外科

○山浦 一宏,谷島 義章,恒元 秀夫

【症例】51歳,男性.主訴は背部痛であった.既往歴には 気胸の手術があった.薬剤歴に特記すべき事項はなく,20 本/日×20年間の喫煙歴があった.上記主訴にて近医受 診,急性大動脈解離(Stanford B,De BakeyIIIb)を指摘され,

当院に搬送された.造影CTにて急性大動脈解離と共に最

大短径2.5cm大の右胃大網動脈瘤を認めた.また腹腔動脈

近位部にも解離が及んでおり,脾動脈の血流は不明瞭とな っていた.右胃大網動脈からの側副血行により,脾の末梢 血流は保たれており,脾梗塞には至っていなかった.急性 大動脈解離に対し,保存的治療後に退院,右胃大網動脈瘤 に対する手術目的にて当科を受診した.【手術】全身麻酔下 に上腹部正中切開にて開腹.大網右側に約2.5cm大の右胃 大網動脈瘤を認めた.瘤切除を行い,断端を端端吻合し,

閉腹した.術後5日目に合併症なく退院した.【考察】大網 動脈瘤は内臓動脈瘤の中でも約0.4%とされており,破裂 による腹痛などの症状を契機に発見されることが多く,未 破裂である自験例はまれであると考えられた.未破裂胃大 網動脈瘤に対する治療に関しては,特に無症状の場合に は,明確なガイドラインはないが,瘤径が1cm以下のも のも破裂することがあるとの報告もあり,自験例は治療対 象と考えた.また治療方法としては瘤切除術や血管内治療 による塞栓術が報告されている.しかしながら自験例では 急性大動脈解離により脾動脈の血流は乏しく,脾の血流は 右胃大網動脈に依存をしていると考えた.脾梗塞を予防す るために右胃大網動脈の血流を温存することが必要と考え られた.【結語】急性大動脈解離を契機に発見された未破裂 右胃大網動脈瘤の1治療例を経験した.

P13-7

急性大動脈解離を契機に発見された未破裂右胃大網 動脈瘤の

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治療例

安城更生病院 外科

○山本 規央,佐伯 悟三

【背景】腎動脈下部腹部大動脈腸骨動脈閉塞はTASC分類D 型病変であり手術療法が第一選択である.通常,腹部大動 脈−両側大腿動脈バイパス術が推奨されるが,人工血管の 進歩する以前には動脈内膜切除術が標準的治療であった.

近年でも動脈内膜切除術の良好な成績が報告されている.

Leriche症候群に対する動脈内膜切除術の1例を提示する.

【症例】57歳男性.6ヶ月前より間欠性跛行を自覚し前医受 診.CTで腹部大動脈の完全閉塞を指摘され当科を紹介さ れた.両側大腿動脈以下触知できず,ABIは右0.57,左 0.53であった.CTでは下腸間膜動脈(IMA)分岐直後から 腹部大動脈が完全閉塞しており,両側総腸骨動脈(CIA)で 再疎通し以下は末梢まで狭窄を認めなかった.腹部大動脈 終末部の径は最大で14mm,CIA径は7mmで,全体的に 狭小であった.腹部大動脈腸骨動脈閉塞に対する手術方針 として,(1)人工血管による置換術またはバイパス術,(2)

血管内治療(ステント留置),(3)動脈内膜切除+パッチ形 成,が考えられたが,閉塞範囲が比較的限局的であること と,将来的なあらゆるカテーテルインターベンションに備 え正常解剖の維持と十分な血管径確保をはかることとを考 慮し,(3)の方針を選択した.IMA分岐後の腹部大動脈か ら両側CIAにかけて切開すると,内膜は著しく肥厚し粥 種と血栓で内腔は完全に閉塞していた.内膜切除を行い,

切り開いた人工血管(Gelweave,径12mm)を用いてパッチ 形成を行った.術後ABIは右1.15,左1.04に改善した.

術 後1年 のCTで 狭 窄・ 拡 張 と も に 認 め ず,ABIは 右 1.12,左0.95と保たれていた.【結語】Leriche症候群に対 し動脈内膜切除術を施行した本症例の中期遠隔期成績は良 好であった.閉塞範囲が限局的な場合,動脈内膜切除術+

パッチ形成術は治療のオプションのひとつとなり得る.

P14-2

Leriche

症候群に対する動脈内膜切除術

新潟県立中央病院 心臓血管外科

○若林 貴志,曽川 正和,中村 制士

腹部大動脈閉塞はTASC Dとされており,Y型人工血管移 植術あるいは腋窩・大腿動脈バイパス術の適応とされてい るが,これらの手術では術後死亡率,合併症の発生率は比 較的高い.2004年から血管内治療を腹部大動脈閉塞症の ハイリスク症例を中心に応用してきた.現在までに本疾患 の21例に対して血管内治療を行い,良好な成績を得たの で報告する.症例は21例で,男性17例,女性4例で,平 均年齢は82歳であった.フォンテーン分類2度が7例,3 度が8例,4度が6例であった.傍腎動脈閉塞が4例,下 腸間膜動脈レベル閉塞13例,終末大動脈閉塞4例であっ た.21例中20例で少なくとも一側の腸骨動脈から腹部大 動脈の開通に成功した.広範な血栓症,破裂などの重篤な 合併症はなく,術後死亡もなかった.開通に成功した症例 では,いずれも虚血症状は劇的に改善した.術後閉塞は3 例に発生し,2例は再度の血管内治療で開存を保っている.

1例では閉塞を繰り返したため,大動脈大腿動脈バイパス を行った.高位腹部大動脈閉塞でも血管内治療が可能であ る.血管内治療は侵襲が少なく,解剖学的に正しい血行再 建をおこなうことができ,とくにハイリスク症例では有用 な治療である.

P14-1

腹部大動脈閉塞に対する血管内治療の経験

岡山市立市民病院 血管外科

○松前  大,寺本  淳