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Facebook と Twitter の特性

ドキュメント内 Twitter データを用いた観光対象に対する (ページ 58-61)

第 2 章 先行研究

2.3. 観光情報としてのソーシャルメディアデータ

2.3.4. Facebook と Twitter の特性

前述のように,ソーシャルメディアの種類は多岐にわたるが,本研究では主にFacebook

と Twitter を中心に議論を進めていく.複数のソーシャルメディアの選択肢がある中で

Facebook と Twitter に対象を絞った理由は主に二つある.一つ目は,ユーザ数の多さであ

る.これら二つのメディアは日本国内においては他のメディアに比べて明らかに利用率が 高く(総務省情報通信政策研究所 2015),日本の観光市場を探索的にリサーチすることに 適していると考えられる.また,国外のユーザ数も多く(6),国外市場の分析にも応用可能 である.二つ目は,この二つのメディアは世界の DMOにおいて最も利用されているメデ ィアであり(Uşaklı et al. 2017),デスティネーション・マーケティングに活用すべき代表的 なソーシャルメディアであると考えられるためである.以下ではFacebookとTwitterの特 性について説明する.

まず,FacebookとTwitterから取得可能なデータについて表 2-8に示す.Facebookでは,

自身のフォロワに関する情報と一部の一般ユーザに関する情報の取得が可能である.

Facebookの投稿は基本的にクローズドなものであり,そのデータは一般的には公開されて

いない(鳥海 2015).したがって,取得できるのは例外的に情報を公開しているユーザに ついてのみであり,その多くは企業等のプロモーション用のアカウントである.また,他 のアカウントのフォロワに関する情報は手に入らない.なお,Facebookと共同研究を行う ことで一定量のデータを利用可能になるが,一般の企業や研究者がそれらのデータを扱う ことが難しい(鳥海 2015).これに対してTwitterは自身のフォロワ,一般ユーザ,他者の フォロワの情報を全て入手可能であり,多方面からの分析が可能となる.

次に,取得されるユーザデータの内容は,Facebookは年齢,居住地等の個人情報が登録 されている場合が多く,データが入手できた場合は個人属性に基づく分析を行うことがで きる.一方でTwitterは個人情報がほとんど登録されていない.伊藤ら(2013)によると,

Twitterで性別を登録しているユーザは7.6%,年齢は3.3%,職業は13.6%,居住地域は25.0%

である.しかし一方で,Twitterユーザの個人属性を推定する手法(池田ら 2012;Ikeda et

al. 2013;榊・松尾 2014)なども開発されている.

最後に,リアクションの種類は,Facebookはコメント,共有(シェア)にくわえて6種 類の感情に分けられた拡散機能(いいね!,超いいね!,うけるね,すごいね,悲しいね,

ひどいね)がある.この機能により,投稿に対する閲覧者の感情をより詳細に把握するこ とが可能になり,投稿内で紹介された情報の評価や,プロモーションの改善に繋げること ができる.Twitterも同様に,コメント(リプライ),共有(フェイバリット),拡散(リツ イート)といった機能は備えているが,Facebookほど詳細な情報は取得できない.ただし,

これらの機能は 2017 年時点のものであり,収集可能なデータ等は変更される可能性があ る.実際にFacebookの6種類の拡散機能は2017年1月に実装されたものであり,データ 取得のためのAPIが公開されたのは 2017年 4月であるため,それ以前は収集できなかっ たデータである.

表 2-8 FacebookとTwitterの特性の比較(2017年時点)

Facebook Twitter

データの取得可能 範囲

自身のフォロワ,

一般ユーザ(一部)

自身のフォロワ,

一般ユーザ,

他者のフォロワ

ユーザデータの 精度

年齢,居住地等の個人情報が 登録されていることが多い

個人情報はほとんど 登録されていない

リアクションの 種類

コメント,共有,

拡散(感情別6種類)

コメント,共有,

拡散

以上の特性をもとに各メディアのマーケティングツールとしての役割について考察す

る.Ohmae(1982)は,経営戦略の立案に当たっては,三者の主たるプレイヤーを考慮に

入れなければならないと指摘している.三者の主たるプレイヤーとは,自社(Corporation),

市場・顧客(Customer),競合相手(Competitor)の三者である.これら三者の頭文字をと り 3C 分析とも呼ばれるこのフレームワークは,現在ではマーケティングの基礎として広 く普及している.この三者をデスティネーション・マーケティングに置き換えれば,自社 は自地域,市場・顧客は観光者,競合相手は他地域となる.前述の通り,Facebookではこ れら三者全ての情報を取得することは難しく,これに対してTwitterでは三者全ての情報が 取得可能である(1).したがって,取得可能な情報の種類では劣るものの,マーケティング の基礎となる3C分析のための情報を取得できるのはTwitterのみである.一方でソーシャ ルメディアの主な用途であるプロモーションやコミュニケーションに関する示唆を得るた めのリサーチツールとしては,閲覧者の個人属性等が把握できることに加え,投稿に対す る閲覧者の感情が把握しやすいという利点からも Facebook の方が適していると考えられ る.また,いくつかの先行研究(Bygstad & Presthus 2012;Choudhury & Simkim 2014)では,

FacebookはソーシャルCRM(顧客関係管理; Customer Relationship Management)のツール

としても期待できると考えられている.

次に各メディアのユーザの年代について述べる.各メディアの年代別利用率は図 2-9の 通りである.Facebookは20代と30代が中心であり,Twitterは10代と20代が中心の若年 層の利用率が高いメディアであると言える.若年層の中でも 10 代については Twitter が Facebookを上回っており(母比率の検定, z = 13.04, p < 0.01),30代はFacebookがTwitter を上回っていた(母比率の検定, z = 7.10, p < 0.01).なお20代については両メディアの利 用率に有意差はなかった(母比率の検定, z = 1.50, p > 0.05).

観光分野において若年層は市場拡大に向けた潜在顧客として期待され,若年層による旅 行を増加させるための取り組みが観光庁(2017d)などによって行われている.地域別の成 功例として,熱海では新規顧客獲得に向けて若年層をターゲットに選定した取り組みを行 うことで,2011年以降は宿泊者数が年々増加している(観光庁 2017b).FacebookやTwitter を利用することで,このような市場をターゲットとした情報発信や情報収集が可能になる と考えられる.

図 2-9 年代別Facebook・Twitter利用率

(総務省情報通信政策研究所 2016をもとに筆者作成)

18.6%

54.8%

51.7%

34.5%

23.5%

10.6%

61.4% 59.9%

30.0%

20.8%

14.2%

4.6%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

10代 (n=140)

20代 (n=217)

30代 (n=267)

40代 (n=313)

50代 (n=260)

60代 (n=303) Facebook Twitter

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