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先行研究

ドキュメント内 Twitter データを用いた観光対象に対する (ページ 103-106)

第 5 章 フォロワのユーザプロフィールを用いた地域の特徴分析

5.2. 先行研究

本節ではまず,本章に関連する先行研究として,既存の統計データを利用して地域の特 徴分析を行った研究と,ソーシャルメディアデータを用いて地域の特徴を分析した研究に ついて述べる.

まず,地域の特徴を表す代表的な指標として,総務省による都市の区分(1)にも用いられ ている「人口」が挙げられる.人口以外では,所得などの経済的な指標や,教育や居住に 関わる社会的な指標が基礎的なデータとして公表されており(総務省統計局 2016),これ らを用いた分析が行われている(佐藤 1999;森川 1976).その他,人口に対する商業従業 者比を用いたもの(後藤 1997)や,店舗数に基づく消費生活環境を用いたもの(浅川ら 1994),農産物の生産額や構成比を用いたもの(吉野 1982)など,研究分野や目的に応じ て分析方法は多岐にわたる.

観光関連の分析を行っている研究に絞ると,野本(1962)は,観光者の流動範囲の広狭 をもとに観光地を四つに類型化している.杉本・菊地(2014)は,観光資源台帳をもとに,

各都道府県の持つ観光資源の数を 26 種類のタイプにわけて集計し,保有している観光資 源の種類の偏りによって都道府県の特徴を分析している.外村・宮下(2012)は,都市の 特徴を表す指標として観光入込客数,宿泊客数,観光施設数,政令指定都市との距離を利 用し,都市を六つのタイプに分類している.

一方,ソーシャルメディアデータを用いて地域の特徴を分析しようとする研究も既に行 われている.奥村ら(2010)は,対象地域に関するブログ中の各文について情緒推定を行 うことで,ブログから各観光地の長所情報の抽出を試みている.中岡(2014)は飲食店の 評価サイトの口コミを分析することで,食事に関する地域ごとの特徴を分析している.ま た,李ら(2012)は地域ごとの位置情報付きツイート数の変化を分析することで,地域の 特徴を明らかにしている.これらの例のように,ソーシャルメディアデータを活用しよう とする研究は,投稿されたテキスト・データ,あるいは付加されている情報(位置情報や 写真など)を用いた分析を行うものが多い.しかし,前述のように,Twitterには多くのROM が存在し,Twitterへの投稿経験があるユーザは半数程度であるとされている(総務省情報 通信政策研究所 2016).また,叶らの研究(2016)では,月あたりのTwitterの平均使用頻 度は,閲覧の場合は 20 日以上であるのに対し,投稿は 1 日以下であるとしている.さら に,ツイートは投稿日時やキーワードによって収集されるため,分析のためのデータは分 析者側が指定した期間内のツイートに限られるうえに,特定のキーワードが含まれている 必要がある.このような障壁により,分析に必要な量のデータを集められる限られた対象

のみである(鶴見ら 2015).限られた対象とは,新発売された商品のように,ある一定の 時期にその対象に関するツイートが集中的に行われるものである.したがって,観光にお いては観光イベントのように局所的に人々の関心が集まるものであれば,対象ユーザがツ イートをするユーザに限定されてもツイートを用いた分析が可能であるが,ツイートが集 中しない日常的なイメージ等の抽出することは難しいと考えられる.

ツイートをしない ROM の多くは特定のアカウントをお気に入り登録し,そのアカウン トが発信する情報をフォロワとして閲覧するためにTwitterを利用している.このような,

ROMも含めた幅広いTwitterユーザの情報を地域の特徴分析に反映させるには,ツイート ではなく,より多くのフォロワが登録している情報を収集し,分析することが有効である と考えられる.

フォロワの分析に関する先行研究としては池田らの研究(Ikeda et al. 2013;池田ら 2012)

が挙げられる.池田らは詳細な個人情報が登録されないメディアであるTwitterのユーザの 年齢や性別,居住地を推定する技術を提案し,マーケティングに必要な情報を収集可能に した.また,Social Insight(2)やクチコミ@係長(3)などのソーシャルメディア解析ツールでは,

フォロワの年齢や性別,居住地を推測するサービスが提供されている.しかし,属性の推 定が各ユーザの過去の投稿に基づいて行われる場合,ツイートを行わないユーザやツイー トを非公開にしているユーザに関する属性推定は不可能である.さらに,年齢や性別とい った人口属性を把握できたとしても,ユーザの興味や関心の傾向までは把握できない.

以上の課題を踏まえ,本研究では,Twitterユーザが公開している「ユーザプロフィール データ」を分析する.このデータは全てのユーザから取得可能であり,さらにユーザ自身 の興味・関心の対象が記載されていることが多いため,フォロワのユーザプロフィールを 用いることで,幅広いユーザの視点を用いたアカウントの特徴把握が可能であると考えら れる.西村ら(2015)は,Twitterデータから有名人の特徴把握を試みており,その際の情 報源として,有名人に関して言及しているツイート,有名人に関して言及したユーザのプ ロフィール,有名人本人のツイート,有名人をフォローしているユーザのユーザ ID を用 いている.そして,この中でも,有名人について言及したユーザのユーザプロフィールを 分析することで,特定の人物に関心を示すTwitterユーザの趣味・興味が把握可能であり,

その傾向から,関心を示される有名人が政治・経済に関わる人物である,あるいはテレビ に出演する芸能人であるなどの特徴を導出できるとしている.したがって,ユーザプロフ ィールを用いることで,盛んに発言しないユーザの趣味・興味が把握可能であり,フォロ ワ全体の趣味・興味の傾向を明らかにすることで,観光地に対する潜在的関心を導出する ことができると考えられる.

鈴木ら(2016)は,観光協会のTwitterアカウントのフォロワのユーザプロフィールを分 析することで観光地の類型化を試みている.しかしこの研究では,提案された手順の中で 主観的な意味の解釈が必要な分析が繰り返されることや,変数間の規模の違いが考慮され ていないなどの改善点が存在した.本章ではこれらを踏まえ,新たな分析手法を提案する.

ドキュメント内 Twitter データを用いた観光対象に対する (ページ 103-106)