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観光協会によるソーシャルメディア利用実態

ドキュメント内 Twitter データを用いた観光対象に対する (ページ 68-73)

第 3 章 観光協会におけるソーシャルメディア活用実態の把握

3.3. 観光協会によるソーシャルメディア利用実態

各観光協会のソーシャルメディアの利用有無の調査結果を図 3-5に示す.図 3-5見ると,

Facebookは81.8%,Twitterは46.7%とFacebookの方がTwitterよりも利用率が高いことが

わかる(母比率の検定,z = 17.00p < 0.01).次にソーシャルメディアの重要認識について 調査した.この項目では,「観光客誘致や観光地域づくりにおいてFacebook/Twitterの利用 はどの程度重要であるか」という質問に対して重要,どちらかと言えば重要,どちらでも ない,どちらかと言えば重要ではない,重要ではないの5段階で調査した.図 3-6は「重 要」を5,「重要ではない」を1とした場合の,全回答の平均値と標準誤差である.等分散 性の検定により両者の回答のばらつきには有意差が確認された(F = 2.60, df1 = 350, df2 =

350, p < 0.01).また,重要性認識の平均値はFacebookの方がTwitterよりも高く,t検定の

結果,両者の間には有意差が確認された(Welch法, t = 10.00, df = 584.49, p < 0.01).

以上のように,Facebook は Twitter よりも利用率が高く重要性認識が高いという結果が 示された.続いて各メディアを利用している観光協会のソーシャルメディアの運営体制を

図 3-7 に示す.FacebookとTwitterともに2名上の担当者で運営している場合が最も多い

のは同じだが,Facebook に比べてTwitterは 1 名の担当者で運営している場合も多い(母 比率の差の検定, z =- 3.97, p < 0.01).

図 3-5 ソーシャルメディア利用率 81.8%

46.7%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

Facebook (n=351)

Twitter (n=351)

図 3-6 ソーシャルメディアの重要性認識

図 3-7 ソーシャルメディアの運営体制

ソーシャルメディアの利用目的は複数回答形式で調査した.その結果,ほぼ全ての回答 者が「PR、プロモーションの手段のため」にFacebookやTwitterを利用していた(図 3-8). また,約半数の観光協会が「観光客に関する情報収集の手段として」ソーシャルメディア を利用していることが明らかになった.このことから,ソーシャルメディアは既に観光協 会によって情報収集の手段としてある程度利用されているが,その割合はプロモーション

4.50

3.82

3.40 3.60 3.80 4.00

4.20

4.40

4.60

Facebook (n=351)

Twitter (n=351)

26%

40%

69%

50%

1%

4%

10%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

Facebook (n=287)

Twitter (n=164)

1名の担当者で運営 2名以上の担当者で運営

NPO 、財団等に運営を委託 特定の企業に運営を委託

その他

目的と比べると大幅に低い.これらの結果について,メディアごとの利用目的の違いを明 らかにするために,利用目的ごとに母比率の差の検定を行った.図 3-8中で数値が赤文字

の項目はFacebookとTwitterとの間に統計的有意差(有意水準5%)が確認できたものであ

る.有意差が確認できたのは「地域外に住む人とのコミュニケーション手段として」「地域 住民とのコミュニケーション手段として」「観光客に関する情報収集の手段として」の3項 目であり,全てFacebookがTwitterを上回っていた.また,「他の組織(観光協会を除く)

との連携のため」にはあまり活用されていない傾向にあった.しかし,観光地を一つの製 品として捉え,その価値を高めるには,地域の組織とのコミュニケーションは必要不可欠 であり(鈴木ら 2017),他の組織との連携はデスティネーション・マーケティングにおけ るソーシャルメディアの活用法の一つでもある(Uşaklı et al. 2017).これらのことから,イ ベント情報の共有など,地域内部のステークホルダとの連携に向けたさらなるソーシャル メディアの活用が望まれる.

また,本研究の議論の本質からは少し外れるが,緊急時の情報発信の手段としての利用 率が低いことにも着目したい.Schroeder & Pennington-Gray(2015)は,旅行に慣れたイン ターナショナルな観光者ほど危機が起きた際にソーシャルメディアによって情報検索を行 う傾向にあるとしている.今後訪日外国人旅行者が急増することが確実視される日本にお いては,緊急時の外国言語での情報発信は重要な課題の一つであると考えられる.

96.5%

49.5%

41.8%

5.2%

56.1%

9.8% 13.9%

24.0%

97.0%

39.0%

31.7%

6.1%

45.7%

6.7% 7.9%

17.1%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

PRのため 地域外に住む人とのコミュ 手段と 地域住民とのコミュ 手段と 組織内のコ 促進のた 観光客に関す情報収集の 手段と 他の観光協会との連携のた 他の組織(観光協会を除く)と の連携のため 緊急時の情報発信の手段と して

Facebook (n=287)

Twitter (n=164)

図 3-8 ソーシャルメディアの利用目的

それぞれのソーシャルメディアの利用において組織が抱えている課題は図 3-9の通りで あった.利用上の課題として最も多く挙げられたのはFacebookとTwitterともに「人材・

運営体制」であり,次いで「運営に関するノウハウの蓄積」であった.これらの結果から,

ソーシャルメディアを十分に活用できる人材が不足していることや,現在は人材がいてソ ーシャルメディアを活用できていたとしても,担当者の変更等によって活用できなくなる 可能性が高い組織が約半数存在するという現状が明らかになった.また,これらの課題は 上野・飯島(2014)の行政機関に関する調査結果でも上位二つの課題であり,法人化が進 む一方で観光協会が行政機関の類似組織であり続けていることが示唆された.ただし,「組 織内の理解、合意形成」については,行政機関と観光協会で異なる傾向が示された.行政 機関への調査(上野・飯島 2014)では「組織内の理解、合意形成」をTwitterの利用上の 課題に挙げたのは 34.1%である.これに対し,筆者が行った観光協会への調査では「組織 内の理解、合意形成」をTwitterの利用上の課題に挙げたのは16.5%(Facebookは13.9%) であり,行政機関より低い傾向にあった.これは前述のように,観光協会が小規模な組織 であるため,行政機関よりも組織内での合意形成が容易であることに起因していると考え られる.また,「運営予算」を課題として挙げている組織は10%以下と低く,これらのメデ ィアは安価での運営が可能であると考えられる.なお,利用課題では全ての項目で

FacebookとTwitterの間に有意差はなく,利用上の課題についてはFacebookとTwitterで同

じ傾向にある.

9.4%

51.9%

13.9%

38.7%

26.8%

7.0% 6.3%

24.7%

7.3%

50.0%

16.5%

36.6%

22.6%

3.7% 4.9%

29.3%

0%

20%

40%

60%

運営予算 人材・運営体制 組織内の理解合意形成 運営に関すハウの蓄積 他メの連 サー提供会社に 等の変更へ の対応 荒ら迷惑行為への対応 特に課題は抱え

Facebook (n=287)

Twitter (n=164)

図 3-9 ソーシャルメディアの利用上の課題

最後に,ソーシャルメディアを利用していないと回答した組織に対して利用できない理 由を調査した.FacebookやTwitterを利用できない理由として最も多かったのが「その他の 業務で忙しい」,次いで「利用するための人材がいない(少ない)」であった(図 3-10).

どちらの回答からも人材の不足がうかがえる結果となった.また,利用障壁として「観光 協会に運営予算がない(少ない)」「Facebook/Twitterに割り当てる運営予算がない(少ない)」

を挙げた組織は前述の二つの障壁と比べると大幅に少なかった.特にTwitterに関しては該 当組織が少なく,「観光協会に運営予算がない(少ない)」に関してはFacebookよりも有意 に少なかった.以上から,多くの観光協会にとっての課題である予算不足はTwitterを利用 する大きな障壁にはなっていないことが示唆された.この要因として,Facebookにはいく つかの課金サービス(1)が存在するものの,両メディアは基本的に無料サービスであること が考えられる.また,「特に理由はない」と答える組織がFacebookよりもTwitterの方が多 かった.これらの組織に加え,「利用するメリットがわからない」と回答した組織に対して

はTwitterの重要性を明示する必要があるだろう.

図 3-10 ソーシャルメディアの導入障壁

12.5% 14.1%

48.4%

56.3%

12.5%

4.7% 7.8%

4.8% 8.6%

38.5%

45.5%

8.0% 11.2%

19.8%

0%

20%

40%

60%

観光協会運営予算がな (少 割り当て運営予算がな (少な 利用すの人材がい (少な の他の業務で忙し ル(荒ら迷惑行為な 回避す 利用すがわから 特に理由はな

Facebook (n=64)

Twitter (n=187)

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