社会の一員として、政治討論に参加することは民主主義の要であるとして、BASFグル ープは積極的に新たな規制や政策論議に参加している。特に化学業界の発展に大きな影響 を与える可能性のある政策、規制、法規については、同社の見解をひろく公開している。
(ⅰ) CO2
排出権取引制度(EU-ETS)同社は京都議定書のもと実施されている、排出量削減目標達成のためのクリーン開発メ カ ニ ズ ム (
CDM
:Clean Development Mechanisms
) や 共 同 実 施 (JI
:Joint Implementation)といったプロジェクトベースの「柔軟なメカニズム」に賛同しており、
また国家レベルでの排出権取引を支持している。2003 年
7
月、同社は世界銀行のコミュ ニティー開発炭素基金に参加し、250 万ドルを提供し、ホンジュランスでの水力発電プロ ジェクトに貢献している。しかし、2002年にはEUが提案した企業レベルでの、地域的に限定された排出権取引に ついては、企業の負担が大きすぎるとして、否定的な見解を示した。2005 年のEU-ETS 実施に際しては、これに対応するため、同社は温室効果ガス取引部門(Greenhouse Gas
Trading)を設立し、グループにおける排出権取引活動の調整を行なっている。この部門
が、全世界の事業部門、サイト、子会社のために、また彼らと協力して、戦略的勧告を策 定している。これには、京都議定書、EU-ET
(温室効果ガス許容権取引に関するEU指令)、これら規制の国内法導入関連の活動、およびカーボンファイナンスが含まれる。同部門は、
同社のCO2排出を監視・報告し、排出報告書を作成し、外部機関による認証を受ける義務 を負う。また、国の監督官庁への認可プロセス促進をも行なう。
(ⅱ)
統合製品政策(IPP)製品のライフサイクルを通じて、環境に対する影響の改善を目的とする統合製品政策に
ついては、同社は基本的に支持を表明している。しかし、市場メカニズムにおいては、規 制の介入によるこの政策の実現は不可能と危惧を示している。政策実施には、産業界に対 するより多くの柔軟性が必要であるとの認識であった。同社は、この実現の鍵は、環境的 および経済的側面における利点を統合した製品そのものにあると考えている。同社は製品 開発とその最適化の過程において、経済性と環境の両側面を考察し、最もエコ効率の高い 解決法を選択するための戦略的ツールを開発した(エコ効率分析法)。エコ効率分析では、
原料の抽出からリサイクルあるいは廃棄まで、製品の全ライフサイクルを検討する。
•
新設の欧州化学庁(European Chemical Agency)のみが、全プロセスおよび評価につ いても責任を負うべきである。(ⅲ)
化学規制(REACH)EU
の化学規制の目的は、欧州における産業を促進しつつ、人々および環境への保護を 強化することであり、同社はその目的自体には全面的な支持を示している。しかし、産業 界に与える影響を考慮しておらず、規制が施行された場合、産業界の競争力を著しく削ぐ と懸念している。具体的には、化学物質価格の高騰、特定化学物質の製造中止、競争激化 をあげている。実際、同規制の導入については、同社が加盟している欧州化学工業連盟(Cefic:
European Chemical Industry Council)を始め欧州産業界はその経済的負担を理由に反対を表明した。
その経済的影響についても、様々な試算がなされたが、産業界の試算は常に
EU
の試算を 上回り、大幅な規制緩和に向けたロビー活動が大々的に行なわれた。この活動は功を奏し、英独仏の首相が合同書簡にて、同規制の官僚主義、複雑性、実行不可能性を指摘し、変更 を要求し、結果として同規制は著しく緩和され、2003年に修正案が可決された。
同社はこの動きを評価しつつも、依然として官僚主義的であり、実行不可能であるとし、
更なる変更を要求している。同社が指摘した問題点は、次の
6
点である。•
実行可能性を保証するために、システム全体を簡素にすべきである。これは、同様に 法律の条文(100ページ、付則1,100
ページ)にも該当する。•
調査研究は、使用上の安全の顕著な向上に関わるテーマのみ行なうべきである。した がって、テスト要件は量ではなく、実際の害悪の度合いと関連すべきである。•
法案要件の簡素化、製造・輸入までの待機期間の短縮により、プロセスの短縮を図る べきである。•
承認対象となる化学物質を追加する場合には、科学的な基準を使用すべきである。•
実際の影響を評価するために、詳細な影響評価システムを導入すべきである。さらに、同社は欧州委員会、加盟国および欧州化学業界が開始した化学規制の実地試験
(SPORT:Strategic Partnership on REACH Testing)に参加した。化学規制の実行可 能性、および同規制のもと、いかに効率的に業務を遂行すべきかについて検討するのが目 的であった。参加企業および関連組織の尽力にも関わらず、SPORT の結果、調査対象物 質はすべて規制準拠とはならなかった。同社は、これが同規制の実行可能性に対する警鐘 と受け止め、現状での施行は不可能であると考えている。特に、中小企業は製品安全に特 化した部門を持たない場合が多く、規制導入を成功に導くには、プロセスの更なる簡素化 が必要であると同社は述べている。
同社は、現在も公開対象となる物質を特定し、情報データが埋まっていない物質があれ ばその分析を行なっている。そのための調査、研究、評価に関する情報は、安全データシ ートの更新という形式で、顧客、所轄官庁、および同社従業員に対し公開される。社内伝 達を目的として、オンラインで全世界からアクセスできる製品安全情報システムを構築し た。また、
2004
年に製品安全の義務を負う部門間の協力、タスク、および義務を規定した グローバル製品安全指令を導入した。これより、同社は顧客に安全データシートを提供し、顧客は製品知識の深化、リスクの回避に役立てている。現在、安全データシートは
31
カ このように一貫して、規制の簡素化を要求する同社は、欧州化学工業連盟が2005
年2
月に発表した「化学規制の実行可能性向上のための新提案(New Proposal to ImproveWorkability of REACH)」を全面的に支持している。
また、この規制に関連する動向として、
1997
年のドイツ化学産業連盟(VCI)による自 主協定があげられる。この協定は、年間の取扱あるいは製造量が1
メートルトン以上の物 質について、規定のデータ情報の公開を保証するものである。2002
年までに、同社は対象物質の
96%についてのデータ情報公開を達成した。ポートフォリオの変更および買収のた
め、残りの物質については、現在も作業が続けられている。
2008
年までに、アジア太平洋 地域およびアメリカ大陸において取扱あるいは製造している物質についても、このプログ ラムを適用させる予定である。この予定が実行されれば、同社が製品への責務(Product
Stewardship)として掲げた目標の達成となる。
国語に翻訳され、さらなる翻訳も予定されている。
ルノーでは、企業活動のあらゆる側面で持続可能開発を採用しなければ、真の持続可能 開発は得られないという企業ポリシーを元に、環境対策への取り組みを積極的に行ってい る。同社の環境対策への取り組みは、大別すると以下のようになる。
•
エネルギー消費量とCO2排出量削減•
大気質保全•
車体および部品などのリサイクルや再生利用環境保護
•
製造過程における危険物質取り扱い・パッケージ等廃棄物管理の向上•
自然・水資源保護既存のガソリン燃料に取って代わる、バイオマスや燃料電池を使用する代替エネルギー 開発も進めている。2006年
2
月に開催されたパリ農業ショー(Paris Agricultural Show)(3) 自動車業界 ルノーの環境対策
① 環境対策の概要
排ガス対策
再生利用