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EMAS規則(Eco-Management and Audit Scheme Regulation/環境管理・監査スキー

ム規則)27

1993

年に欧州理事会で採択された。1995年

4

月に製造業の企業から登録・

取得が始まったが、1998 年に改定案が提出され、2001 年

4

月に発効した新EMAS規則

((EC)

No 761/2001)

28では、対象が産業分野だけではなく地方公共団体を含むすべての 組織に拡大され、企業や地方公共団体が株主や一般社会に提供する環境実績についての情 報の透明性向上が図られている。EMASは、法規制に基づいて規制当局が管理するという 従来の対策だけでは環境保護に限界があり、費用対効果の観点からも適切ではないという 課題に取り組んだことから生まれたもので、各企業や組織が自発的に環境ポリシーを推進 することを狙いとしている。

企業や組織の

EMAS

制度への参加は任意であるが、EMASに登録するためには、環境 プログラムと環境管理システムを確立しなければならない。その場合に達成すべきことは 環境法規の遵守、汚染防止対策、環境実績の継続的向上となっている。また重要な点とし て、定期的に環境報告書(声明書)を公表することが義務付けられており、報告書の公表 前に、加盟国内で組織されている環境監査機関からの検証を受ける必要がある。このほか、

監査は最低でも

3

年に

1

回行う必要があり、積極的な企業は毎年行っている。また、環境 報告書は最低でも

1

年に

1

回公表しなければならない。環境報告書の公表時期が遅れて

3

年を超えた場合、環境法規制を遵守していないことが明確になった場合などは、登録が取 り消される場合もある。環境報告書で公表すべき基本的な内容は以下の通りである。

施設の活動についての詳細

環境対策と施設の環境プログラム・環境管理システム

環境問題に関する査定

排気、排出、廃棄物、原材料の消費、エネルギーと水資源の利用、騒音の各事項に関 する説明

27

Council Regulation (EEC) No 1836/93 of 29 June 1993 allowing voluntary participation by companies in the industrial sector in a Community eco-management and audit scheme (1993

年7月

10

日付Official Journal L 168)

28

Regulation (EC) No 761/2001 of the European parliament and of the council of 19 March 2001

allowing voluntary participation by organisations in a Community eco-management and audit

scheme (EMAS)(2001

年4月

24

日付Official Journal L 114)

次回の環境報告書の公表時期

依頼している環境監査機関の名称

図 10: EMAS登録の段階

環境レビューの実施 環境声明書提出

環境上の目標、今後継 続的に組織の環境パフ ォーマンスを向上して いくために取るべき手 段などを定めた環境声 明書を作成、提出 環境管理システム確立

レビューの結果をもと に、経営陣によって定 義された組織の環境ポ リシーを達成すること を目的とした環境管理 システムを確立する。

システムでは責任、目 標、手段、運営手続き、

ト レ ー ニ ン グ の 必 要 性、監視、伝達制度を 設定する必要がある

環境監査の実施 導入されている環境管 理システム、環境ポリ シー・環境プログラム への適合性、環境規制 に対する準拠などを評

あら 面か

ゆる環境に関わる ら、組織の活動・

・サービス・これ ア セ ス メ ン ト 手 法的枠組み、規制 み、その他の既存 境管理手法や手続 考慮する 製品

ら の 法、

枠組 の環 きを

出所:  欧州委員会環境総局の情報より作成

EMAS

規則では、認定ロゴが導入され、同制度に参加し環境 声明書の検証を受けた事業者は、左のような

EMAS

のロゴを使用 することが認められている。これは、検証済みの環境声明書や企業 のレターヘッド、当該企業が

EMAS

に参加している旨を広告する 情報、企業の製品・サービス・活動などに対する広告に掲載するこ とができる。ただし、製品や製品パッケージに直接ロゴを使用したり、他社製品との比較 を行うために使用することはできない。

また、

ISO

(International Standards Organisation/国際標準化機構)は、環境分野に おける一連の標準規格およびガイドラインを規定しており、これらの規格は総称して

ISO14000

シリーズとして知られている。1996年には、環境管理規格であるISO14001が

発表された。もともとISO14001 とEMAS規制は重複するものではなく、異なった目的を 持つものである。EMAS規則は環境実績の向上、法律の遵守のほか、環境実績報告におい てはISO14001 を超えるものを目指しており、要件もISO14001 よりも厳しい内容となっ ている。欧州委員会は、1997 年

4

月に、両者の手続きの重複を避けるためISO14001 を

EMAS参加への足がかりとして認めるなどISO14001

を考慮した決定を行っていたが、新

EMAS規則では、ISO14001

をEMAS制度への登録要件である環境管理システムとして統

合することを正式に認めている。ISO14001 の認定を受けた企業・組織がEMASに参加す

るには、環境レビューの実施や環境声明書の提出、環境声明書や環境パフォーマンスの検 証を受けるなどの手続きがさらに必要となる。なお、1996 年に発表されたISO14001 は

2004

年に改正され、ISO14001:2004が発表された。これを受け、欧州委員会は

2006

2

月に規則(EC)

No 2003/105/EC

29を採択し、新EMAS規則の環境管理システムの要件を 定めた付則を改正している。

2006

2

16

日時点のデータによれば、

EMAS

を実施している

EU

内の事業所は合計

4,662

ヵ所(ノルウェーの

18

ヵ所を含む)である(表 9参照)。国別でみるとトップはド

イツで

1,967

ヵ所と全体の

42%を占め、次にスペイン(669

ヵ所)とイタリア(485ヵ所)

が続いている。国民

100

万人当たりの登録事業所数では、デンマーク(53.57ヵ所)が最 高で、これにオーストリア(42.92ヵ所)、ドイツ(23.89ヵ所)が続いており、国内規制 が厳しく環境対策に積極的な国に登録施設が集中する傾向がある。

1995

年からの推移を見 ると、2001年(3,912ヵ所)をピークに

2003

年まで減少が続き、その後、2004年

10

月 以降はまた増加に転じている。2004年

10

月から

2006

2

月の間に登録施設数は

612

ヵ 所増加したが、これは主に英国(272 ヵ所増)、イタリア(183 ヵ所増)、スペイン(136 ヵ所増)、ベルギー(69 ヵ所増)などいくつかの国での増加によるものである。一方、最 も多いドイツではここ数年、減少が続いており、この間さらに

113

ヵ所減少した。新規加 盟国に関しては、最も多いチェコで

20

ヵ所(2006年

2

月時点)にとどまり、その他の国 ではほとんど登録が進んでおらず、ISO14001 の取得件数で大きな増加が見られるのとは 対照的である。

新規加盟国で

EMAS

登録数が伸び悩む理由としては、ISO14001に比べて

EMAS

のメ リットが希薄であることが一因と考えられる。新規加盟国では、

EMAS

登録奨励につなが る措置として、環境管理システム導入のメリットに関するセミナーの開催やプロモーショ ンのためのキャンペーン実施などのほか、

EMAS

の無料登録制度や登録支援金制度の設置 などが行われている国もある。しかし、企業は目に見える利益を求めており、企業にとっ てより競争上の優位性をもたらすような奨励策が必要とされている。2005 年

8

月に発表 された欧州委員会による制度の見直し調査の結果からは、

EMAS

制度による企業の競争力

29

Commission Regulation (EC) No 196/2006 of 3 February 2006 amending Annex I to Regulation

(EC) No 761/2001 of the European Parliament and of the Council to take account of the European

Standard EN ISO 14001:2004, and repealing Decision 97/265/EC

(2006年2月4日付Official Journal

L 032

への影響はそれほど大きくないほか、環境に与えるインパクトについても登録企業と非登 録企業の間の差はほとんどないことなどが明らかにされた。また、一方で

2005

10

月に 発表された英国の調査会社による調査結果では、環境パフォーマンスが高い企業では環境 管理制度を取り入れていることが分かっている。これらから、企業の環境管理制度に対す る意識は高まっており、その結果パフォーマンスの向上が窺えるが、加盟国で

EMAS

登 録企業数を伸ばすためには企業が

EMAS

を選ぶメリットを前面に打ち出す必要がある。

2006

2

月に行われたトリノ冬季オリンピック大会は、2004年

9

月に

EMAS

登録を 行っており、トレーニング施設やオリンピック村などを含む

29

ヵ所が事業所登録された。

これは、トリノ地域での環境管理制度への取り組みに大きな影響を与えることになり、開 催地となった

8

市町村がそれぞれ

EMAS

登録を行っている。

9

:欧州における

EMAS

および

ISO14001

の取得件数

EMAS(2006216日時点)

登録事業所数 国民100万人当たりの 登録事業所数

ISO14001取得件数 (20041231日時点)

ドイツ 1,967 23.89 4,320

スペイン 669 16.27 6,473

イタリア 485 8.37 4,785

オーストリア 349 42.92 549

英国 338 5.75 6,253

デンマーク 289 53.57 711

ベルギー 229 22.26 642

スウェーデン 115 12.93 3,478

フィンランド 48 9.25 882

ポルトガル 48 4.79 404

ギリシャ 27 2.55 173

オランダ 26 1.62 1,150

チェコ 20 1.96 1,288

ノルウェー 18 3.99 441

フランス 17 0.29 2,955

アイルランド 8 2.08 294

スロバキア 2 0.37 184

ハンガリー 2 0.20 882

ルクセンブルク 1 2.27 39

スロベニア 1 0.50 338

マルタ 1 2.59 4

ポーランド 1 0.03 709

エストニア 1 0.74 86

リトアニア 0 0.00 155

ラトビア 0 0.00 78

キプロス 0 0.00 56

20062月 4,662 − 37,329

200410月 4,050 20032月 3,780

2002年 3,797

2001年 3,912

2000年 3,417

1999年 2,775

1998年 2,140

1997年 1,269

1996年 471

1995年 63

200410月以前のEMASデータは新規加盟国10カ国 の数を含まない(15カ国+ノルウェーのみ)。

出所:  欧州委員会環境総局(EMAS)および “ISO Survey2004”, ISO

EIA

指令、

EMAS

規則、IPPC指令およびセベソ

II

指令には、意図および目的、適用対 象分野、適用の決定、環境情報あるいは文書提供の要求、参加、決定、監視および管理手 段、情報提供の要求等多くの重複する部分がある。異なった手順を調整するあるいは統一 しようとする際には、これらすべての要素を考慮することが重要となっている。表 10は、

これら

4

規制の内容をまとめたものである。