1994
年12
月発効の包装廃棄物指令(94/62/EC)79は、包装廃棄物による環境汚染の防 止と抑制を目指し、加盟国に使用済み包装物の返却や回収制度の導入を求め、リカバリー、リサイクルについての目標レベルを設定したものである。EU域内で市場に出されるすべ ての包装物と、使用される場所や放出される場所(産業、商業、事務所、店舗、サービス、
一般世帯など)やその素材にかかわらず、すべての包装廃棄物に対して適用される。同指 令により加盟国は、国内でのプログラムや包装の再利用を通じ、包装廃棄物の削減のため の措置を
79
Council Directive 94/62/EC of 15 December 1994 on packaging and packaging waste(Official
Journal L 365, 31.12.1994)
可能な包装物に関する必須要件が示されており、これらを満たした上で、包装材原料の削 減
が重量にして最低
60%、
サイクル率で同
55%〜80%を達成するというより高い目標値が設定され、さらに素材別
の年
6
月末までに、新指令施行の進 状況や環境への影響などに関する報告書を提出するものとされていた。欧州議会と欧州4
年までの目標値を新たに設定し、その後は5
ごとに新しい目標値を設定する指令の目標と達成期限
4
年指令(94/62/EC) 正指令2/EC、2005/20/EC)
、再利用、リサイクル材料の使用などを規定する欧州規格の作成が促進されることとな った。
同指令は、さらに高い目標設定など強化が必要とされ、2004 年
2
月発効のEU指令2004/12/EC
80により改正が行われた。改正指令では、リカバリー率リ
リサイクル率の最低目標が定められた(表 24参照)。また、加盟国は
2005
年8
月18
日までに同指令を国内法に移管しなければならないとされた。この改正指令で設定された達成目標の期限は、2008年
12
月末までとされたが、ギリシ ャ、アイルランド、ポルトガルについては地理的条件などを考慮し、2011
年末までとされ た。新規加盟国については、国により2012
年〜2015年までの期間が示されていたが、指 令発効後もこれについては検討されており、2005年の改正指令2005/20/EC
81で延長達成 期限が設定された(表 24)。また、欧州委員会は2005
行
閣僚理事会は
2007
年末までに、2009〜201
年 こととなっている。
表 24: 包装廃棄物
199
改(2004/1 リカバリー率、エネルギーの回収
を伴う廃棄物焼却所での焼却率
50〜65%
最低60%
リサイクル率 25〜45% 55〜80%
素材別のリサイクル率
22.5%
15%
ガラス:60%紙:60%
金属:50%
プラスチック:
木材:15%
80
DIRECTIVE 2004/12/EC OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 11 February 2004 amending Directive 94/62/EC on packaging and packaging waste(2004
年2月18
日 付けOfficial Journal of European Communities L 47
)81
DIRECTIVE 2005/20/EC OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 9
March 2005 amending Directive 94/62/EC on packaging and packaging waste
ギリシャ、アイルランド、ポルト ガル:2011年
EU15
ヵ国中上記以外の加盟国12
ヵ国:2008年目標達成期限 ギリシャ、
トガル:20
EU15
ヵ国中上記以外の加盟 国:2001年2015
年新規加 年
アイルランド、ポル
05
年マルタ:2013年 ポーランド:2014年 ラトビア:
EU
新規加盟10
ヵ国中上記以外の 盟国7
ヵ国:2012出所:
EU
プレスリリースIP/05/10
月18
日付同指令に関する改正等の動きとしては、 年、上述の改正指令
2005/20/ECにより新
規加盟国の目標達成期限の延長が決まったほか、2005 年3
月22
日付欧州委員会決定2005/270/EC
により報告の提出様式が定められた。2004/12/EC改正指令によ標設定など フォーマットが必要となったためである。2005/270/EC
では、加盟国は、包装廃棄物のリカバリー等に関するデータを毎年、該当年度終了後
18
内に提供しなければならない(例:2003年1
年間のデータであれば同年末から18
ヵ月の2005
年6
月末まで)とされている。よって2003
年分以降のデータは、同決定で定 められたフォーマットに従って提出されなければならない。ただし新規加盟10
ヵ国につ いては、2004
年分以降のデータについて提出が求められている。この他、欧州規格の策定 についても進展があり、指令の必須要件を満たす包装材の欧州規格について2005
年2
月19
日付EU官報に通達が掲載された83。これまでのところ、EU15 カ国の多くですでに改正指令で設定された目標レベルが達成 されている。しかし、2005年
8
月18
日という国内法移行の期限については、これを遵守のわずか
5
ヵ国であった。(ⅰ)
指令の概要欧州では、ノルウェーのオスロ港での汚染や、スペイン北西部ガリシア地方の海岸沿い
57(2005
年8
)2005
82 る新たな目
を反映した 委員会決定
ヵ月以
し国内法制化を完了させたのは、オーストリア、ドイツ、ルクセンブルク、英国、チェコ
⑪ 環境責任指令
82
Commission Decision of 22 March 2005 establishing the formats relating to the database system pursuant to Directive 94/62/EC of the European Parliament and of the Council on packaging and packaging waste (2005/270/EC)
83
Commission communication in the framework of the implementation of the European Parliament
and Council Directive 94/62/EC of 20 December 1994 on packaging and packaging waste (2005/C
44/13)
で起きたプレステージ号沈没による海洋汚染など、環境に長期的にダメージを与え、従来 の 被 害 対 策 で は 対 応 で き な い 事 故 が 相 次 い だ 。「 環 境 責 任 指 令 (
Directive on
nvironmental Liability)
84」は、これらの予期せぬ環境汚染への対応策として、環境責任
者86は、損 を修復する責任を負い、「汚染者負担」の原則に則り修復にかかった費用を負担しなけれ よって保護種や自然の生息環境に損壊をもたらしたまた ての事業者87も同様の義務を負う。ただし、以下のような場
されることもない。
防衛活動、自然災害からの保護活動よる環境損壊
・
る責任を負う者の特定や損壊の程度の評価、損壊の修復のための措置の決定などの任務 を
E
の枠組みを規定したもので、2004 年
4
月に採択された。環境責任指令の目的は、さま ざまな産業活動が原因で引き起こされる環境破壊について、EUの「汚染者負担」の原則 に則り、企業や事業者にその賠償責任を負わせることである。同指令は、保護種や自然の生息環境85、水、土地の損壊をすべてを適用対象としている。
環境損壊をもたらすまたはもたらす可能性のある特定の危険な活動を行う事業 壊
ばならない。また、過失や怠慢に はもたらす可能性のあるすべ
合は例外として適用されない。また、過去に遡って適用
・ 武力紛争や敵対行為、内戦
・ 不可避な特性の自然現象
・
核による事故
・ 海での原油流出事故など(賠償責任が他の国際条約の適用範囲にあるもの)
・ 拡散する性質のある汚染(空気汚染や硝酸汚染など)
同指令では、環境損壊の予防および修復のための行動についても規定している。事業者 は、当該の事業活動が環境損壊をもたらす可能性がある場合や実際に損壊してしまった場 合には、直ちに予防・修復措置をとることが義務付けられている。所轄当局は、損壊に対 す
担っている。所轄当局は、事業者に対して、損壊に関する情報提供の要請のほか、必要 な予防・修復措置の実施要請、事業者がとるべき予防・修復措置に関する指示などを行う。
予防・修復のためにかかった費用は「汚染者負担」の原則に基づき、事業者が負担する。
84
DIRECTIVE 2004/35/CE OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 21 April 2004 on environmental liability with regard to the prevention and remedying of environmental damage(2004
年4
月30
日付Official Journal L143)85
指令
92/43/EECおよび指令 79/409/EECで規定した種および生息環境を指す。
86
同指令付則IIIに記載された事業者。
87
同指令付則IIIに記載された事業者以外も含む。
同指令では、個人や
NGO
などの公益法人が、所轄当局に対して、環境損壊への適切な 対品や市場の開発を奨励する措置を講じるよう命じている。これは、EU には純粋に環境 損
利用可能ではないため、保険会社がこのような製品を開発 ることは依然として難しい状況にあることなどが背景となっている。欧州委員会は、
20
でにこのような金融保証製品の利用可能性や費用、条件などについて 報ては、同指令が採択されるまでの段階においても大きな問題 なっていたが、同指令施行後も、産業界をはじめ加盟国では環境損壊に対する保険の扱 い
うかも疑問視されている。
処を実施するよう要請する権利を与えている。ある事象に対して所轄当局の対処を要請 するには、当該の事象に関する関連情報やデータを提出しなければならない。所轄当局は、
このような要請に対し、対処の必要性を検討し、かつ対処についての決定を直ちに要請者 に伝えることが義務付けられている。また、個人や法人は、所轄当局の決定や対処の履行・
不履行などの手続きや合法性について、司法に訴えることができる。
また、環境損壊の予防・修復費用の回収は「汚染者負担」の原則に基づくものであるが、
事業者の支払い能力の欠如は、大きな阻害要因となる。一方、企業としては、損害賠償保 険への加入義務が生じるかどうかは非常に重要な問題である。同指令では、事業者に金融 保証をかけることを要求しておらず、加盟国に対して、当該の事業者が支払い不能な場合 に賠償責任への対処のために金融保証を利用できるような金融メカニズムを含む金融保証 製
壊に関係した金融保証製品がまだ存在していないことや、現段階では、環境の損壊や修 復コストについての情報が広く
す
10
年4
月30
日ま告する義務を負っており、状況次第では同指令の改正の必要性が検討されることになる。
なお、加盟国は、同指令の要件に従った国内法規制や管理規定を
2007
年4
月30
日まで に施行しなければならない。(ⅱ)
最近の動向企業の保険加入義務に関し と
についての議論が続いている。同指令では、加盟国は