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    月(2000年7月〜2001年7月)

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      月(2000年フ月〜2001年7月)

      E≡蚕≡雨水+7葺訂麟水 図3−3−16b各イオン種の雨水と河川水の経月変化の比較(地点4−D)

・雨水の河川水への寄与率

 河川水の主要イオンの起源は、雨水と乾性油下物、岩石と土壌の風化 物、土壌の生物活動(有機物の生成、分解)、人為的汚染などである。こ の他、海水や火山活動による温泉水の影響もあるが、本調査地の安曇川 では無視できる。また、人為汚染については、本調査地域には水田等の 農耕地や集落があり、農業排水や家庭排水の影響は考えられるものの、

大きな工場等はなく、その影響は少ない。

 そこで、図3−3−16aから、塩化物イオンの河川水と雨水の経月変化が よく対応していることから、河川水中の塩化物イオンは、雨水に依存し ていると予想される。一般に、塩化物イオンは、岩石風化から供給され ることが少なく、水の中では安定していることから、この塩化物イオン を使って以下のような仮定のもとに、河川水中の各イオン種が、どの程 度雨水に依存しているか試算した。

仮定1.

仮定2.

本調査地は、近くに火山温泉はなく、しかも人為的汚染も極めて少 ないと考えられる。そこで、河川水中の塩化物イオンは、雨水のみ に起源を持つものとする。

調査地の平均的な雨水の諸成分の塩化物に対する比を求め、河川水 中の塩化物イオン濃度にその比をかければ河川水中のその成分の雨 水起源量を推定できる。

[M]r:河川水中のMの成分の濃度

[M]w:河川水中の雨水起源Mの成分濃度

[Cl]r:河川水中のClの濃度

(M/Cl):雨水中のMとClの濃度比

[M]w=(MICl)× [Cl]r

 推定手順

 本調査の調査地点の中で、河川水質と雨水を同時に測定している地点Aと 地点1、地点Bと地点2、地点Cと地点4の3地点にって、上記の推定をお

こなった。

・80一

1)雨水中の各成分とCl一の濃度比

 各調査地点の成分(Cl一、 SO42一、 NO3一、 Na+、 K+、 Ca2+、雌g2+)の測定値

(μequiv L1)をもとに、各成分のCl一に対する比を求めた。

2)河川水中の雨水起源の成分濃度

 1)で求めた比を調査地点の!可川水中の塩化物イオン灘(μ・quivレ111こ かけて、各成分の雨水起源量を推定した。この場合の河川水質中の各成分濃 度は、各調査地点の雨水と同じ採水日の測定値を使った。

3)雨水の寄与率の推定

 各成分の(2)で求めた雨水起源の濃度(μequiv L1)と実際の河川水中の測 定濃度(μequiv L畠1)の比を求め、その比の分布から、各成分の雨水の寄与率 を推定した。

 なお、推定に用いたデータは、2000年9,月、10,月、11丹、2001年4月、5 月、6月、7月とした。冬季は、凍結防止剤(塩化カルシウム)などの影響が考 えられるので除外した。

 図3−3−17に、3地点での主要イオン種の雨水起源の寄与率の分布を示

した。

 ナトリウムイオンは、3地点とも0.7前後で一定している。また、標 準偏差の幅も小さい。寄与率は、1.0に近く、塩化物イオンに対応して いる。カルシウムイオンの寄与率は、0.5から0。8で、比較的標準偏差 の幅も広い。また、マグネシウムイオンの寄与率は、0.4から0.7で、

カルシウムイオンに近い。カルシウムイオンとマグネシウムイオンの2 つのイオンの起源は、岩石と雨水に由来することから妥当な値と考える。

さらに、上流部の地点4から下流部の地点2や地点1にかけて寄与率が 増加している。これは、3.3.6の図3−3−13で示した風化成分の比が上流 から下流にかけて大きくなり、風化成分主体から雨水成分主体になるこ ととも一致している。なお、その他の河川水中の推定したイオン種(SO42『、

NO3一A K+、)は、雨水寄与率が1.0以上の大きな値を示した。これらの イオン種は、土壌中への吸着や溶出、生物活動などの他の要因によるも

・81一

ナトリウムイオンの雨水寄与率

 1.0  0,8 坤0・6 愚0.4  0.2  0.0

地点4    地点2    地点1 カルシウムイオンの雨水寄与率

 1.61:::じ

 0.4

 αo L

「π二

Fll三

 地点4    地点2    地点1

マグネシウムイオンの雨水寄与率

1.2

掛0.8 隆0.4

0.0

      地点4    地点2    地点1

図3−3−17河川水各イオンの雨水寄与率(地点別)

一」

・82一

のが大きいと考えられ、今回の方法では、推定が困難ではないかと考え る。また、今回推定から除外したアンモニウムイオン、亜硝酸イオンは、

いずれも河川水中の濃度が低く、雨水寄与率が算出できなかった。

 以上のことから、各イオン種について、本調査地域における河川水へ の雨水寄与についてまとめると、塩化物イオンは雨水寄与が大きい。同 様に、ナトリウムイオンも、土壌や岩石さらに人為的な寄与もあるが雨 水寄与が大きい。カルシウムイオン、マグネシウムイオンは、一部雨水 寄与もあるが、いずれも岩石寄与が中心である。硝酸イオンは、土壌に 吸着されにくいため、雨水寄与もあるが、土壌中の肥料や腐食物等に多 量に含まれており、それらからの流出の影響が大きいと思われる。また、

図3−3〜18に示すように、各地点での降水量と河川水中の硝酸イオン濃 度を比較すると、下流より上流に高い相関がみられた。これは、土壌中 の硝酸イオンが、雨水により流れ出たものと考えられる。ちなみに、下 流で相関が低いのは、家庭排水や農業廃水などによるものと考えられる。

硫酸イオンは、本調査地には人為的汚染が少ないと考えると、雨水や岩 石がその起源と考えられる。しかし、硫酸イオンは、土壌中への吸着・

溶出も考えられ雨水との関連は明確ではない。アンモニウムイオン、カ リウムイオンは、雨水との関係はみられず、生物や土壌の影響が大きい

と考えちれる。・

・83・

地点1

55

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冨35 餐25 8.

z15

5

0     25    50    75    100    125    150

      降水量魚隣 地点2

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窪15

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0     25     50     75    100    125    150

       降水量緬m 地点4

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5

0  25  50  75    100    125    150 降水量加m

地。1 地点2 地点4

α548964

0.581271 0.747589

図3−3−18各地点の河川水中の硝酸イオン濃度と降水量の関係

一rW4一

・河川水中の炭酸水素イオンによる緩衝作用について16>

  一般に、河川や湖沼の酸性化を評価するためには、アルカリ度のモ  ニタリングが重要とされている。本研究では、アルカリ度を炭酸水素イ  オン濃度に置き換えて測定した。そこで、この炭酸水素イオン濃度で、

 調査河川の酸性化を検討する。本調査河川の場合、日本の河川の平均値  や近畿の河川の平均値と比較して、炭酸水素イオン濃度は低い。また、

 冬季にその値は減少する。

  図3−3−19より、炭酸水素イオン濃度は、全般に7,月から9月には  約380〜400μequiv L−1程度存在する。しかし、炭酸水素イオン濃度の  変化は、10月に少し減少し、12,月に回復するものの約350μequiv L−1  程度になり、1月から3月には、さらに低下している。以後、4月から  増加に向かい、6月前若干低下するものの、7月には前年度並みになる。

 こうした炭酸水素イオン濃度の変化と、図3−3¶の水素イオンの沈着  量の変化を比較すると、炭酸水素イオン濃度が低下した時期と、水素イ  オンの沈着:量が増加した時期が、多少の時間的なずれはあるが、ほぼ対  賦している。

  一般に、炭酸水素イオン濃度は、生物活動や岩石の反応速度と関係し、

 夏季に増加し冬季に減少すると言われている。一方、雨水との関係では、

 河川水中より百倍程度に濃い水素イオンを含む雨水が、河川水に混入砿  次の反応を起こして、

     H+  +  HCO3『  →  H2CO3

 炭酸水素イオンが消費されるためと考えられる。(酸緩衝作用)この反応  のpKaは約6.5なので、炭酸水素イオンがある限り、緩衝作用を持ち、

 水素イオンが添加されてもpHは変化しない。そこで、 pHの低い酸性の  雨水が混合されても、炭酸水素イオン濃度は減少するが、図3−3−4に見  られるように、河川水のpHは約6.8付近で一定に保たれているのであ  る。

 これまで、ヨーロッパや北米では、酸性雨による湖沼の酸性化が進 み、陸水生態系が大きく影響を受け、魚類の死滅した湖沼もある。こ

・85一

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月(2000年7月〜2001年7月)

図3−3−19安曇川・本流4地点の炭酸水素イオンの四月変化

炭酸水素イオン濃度は、図のX−Y線付近をほぼ平均値とすると、10月〜

11月、1月置3月、6月の3回低下したことになる。 特に、冬季から

春先にかけては大きく低下する。

一86一

うした湖沼は、もともと酸緩衝作用が小さい上に、中和能力を上回る 酸性降下物が沈着したためと考えられている。これらの地域の湖沼で は、炭酸水素イオン濃度(アルカリ度)が50μequivL−1以下で多量の酸 性降下物が沈着した場合に酸性化が認められたという報告がある。ま た、炭酸水素イオン濃度(アルカリ度)が200μequiv L−1以下で酸性化 に対して感受性の高い湖沼であり、継続的なモニタリングが必要とい

われている。

 本調査地域の安曇川では、河川水中の炭酸水素イオン濃度(アルカリ 度)も高く、周辺地域の地質や土壌から考えて、現在のところは、急激 な河川水の酸性化は起こりにくいと考えられる。しかし、将来的にも、

毎年冬季に酸性降水が河川に流入し続けると、河川水のpHを緩衝して いる炭酸水素イオンの枯渇も懸念される。そこで、今回のような調査 を今後も継続する必要性を感じた。

一87一

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