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図4−3−15 安曇川流域における積雪中の化学組成の流出モデル

 降雪直後から、急速にイオンの流出がある。酸性化物質(nssSO42 NO3うは流出速度が速く、nssCa2+(黄砂)やNH4+は遅い。このため、残雪 の急激なpHの上昇、 ECの低下がみられる。こうした流出は、冬季間連 続的に起きる。

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5.総合考察

5.1調査結果のまとめ

 (1)滋賀県北西部の安曇川では、冬季にpHの低下が僅かにみられた。また、

 炭酸水素イオンなど主要イオン種の変動が認められた。

  滋賀県北西部に位置する安曇川において、2000年7月から2001年7月  まで、下流から上流に至る4地点と山間部の渓流1地点及び支流(麻生川)1  地点で、河川水を採取、分析し検討した。この結果、各論二地点ともpH  は、調査期間中pH=7.0前後で推移したが、冬季にはpH=6.5〜6.9前後と  低下がみられた。また、主要イオン種では、陰イオン中で最も多い成分で  ある炭酸水素イオンの濃度が、冬季に大きく減少した。陽イオンでは、カ  ルシウムイオンの濃度が同様に減少した。さらに、塩化物イオンの濃度は、

 冬季に上昇し、雨水の塩化物イオン沈着量とよく対応しており、雨水が河  川水の水質の一部に寄与していることがわかった。

  地点別では、上流部では、カルシウムイオンや炭酸水素イオンの濃度が  高く、地質からの影響が大きい、下流部では、塩化物イオンやナトリウム  イオン、硝酸イオンの濃度が高く、雨水や人為的汚染の影響が大きいこと  がわかった。

 (2)調査地域の雨水は、冬季にpHが低下しECが増加するなど、冬季に越境   汚染の可能性が認められた。

  雨水は、安曇川流域の4地点で、2000年7月から2001年7月まで、採  取、分析し検討した。この結果、年間のpHは、 pH=4。9前後で推移した。

 調査期間中pHが低下したのは、2000年10,月、2001年L月、2001年5月  であった。全般に、降水量の多い冬季と梅雨期にpHが低下した。主要イ   オン種のうち、海塩起源の塩化物イオン、ナトリウムイオンなどの沈着  量が、冬季に大きく増加した。酸性化物質の硝酸イオン、非海塩硫酸イオ  ンは、冬季以外に、2000年9月〜10,月、2001年5,月に増加がみられた。

 また、非海塩カルシウムイオンは、2001年1,月から3月にかけて増加して  おり、黄砂の影響と思われる。この非海塩カルシウムイオンの中和のは

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 たらきで、冬季の雨水のpHは、それほど低下しなかったと思われる。

  以上、本調査地域の雨水は、冬季に越境汚染の影響を受けている可能  性があることがわかった。

(3)雨水と比較して、積雪のpHが高く、EC値が低くいことから、積雪は、

降雪直後から融解により連続的にイオン成分が流出していることが認め

られた。

 積雪は、安曇川流域の山間部に位置する県立朽木生きものふれあいの里、

蛇谷ヶ峰、木戸峠の3地点で、2001年1月から3月まで、採取、分析し検 討した。この期間採取した試料は、平均でpH;5.45前後、 EC値は20μS/cm 程度で雨水よりもpHは高く、ECは低い。しかし、降雪初期の積雪は、 pH は低く、ECは高く、雨水と同程度かそれ以上であった。

 積雪の融解が進むと急速にイオンが流出した。特に硝酸イオンや非海塩 硫酸イオンは流出速度が速く、黄砂の成分であるカルシウムイオンとアン モニウムイオンは流出が遅くなる等、イオン種澗で流出速度に差があった。

 積雪地帯としては温暖な気候である本調査地域の積雪は、降雪直後から 積雪の融解が進み積雪中のイオン成分が急速に流出するため、融雪期まで 雪中のイオン成分が保存されることはない。従って、高緯度地方にみられ るような融雪期にイオン成分が一気に流出し湖沼や河川に影響すること はないと考えられる。

(4)河川水は、冬季に酸性物質の混入が認められるが、炭酸水素イオンの中 和作用で、pHの低下が抑えられている。

 冬季の雨水や雪による酸性化物質が河川に流入しているが、河川水中の 陰イオンの主成分である炭酸水素イオンによる中和作用

        H+ +  HCO3一 一→  H2CO3

によりpHは大きく低下することなく一定に保たれていると考えられる。

 (図5−1ヨ)このため冬季には、炭酸水素イオンの濃度が減少した。

 逆の見方をすると、現在は、河川水中のHCO3一イオンの緩衝作用が十分に 機能しているが、近い将来に、中国大陸からの酸性の汚染物質の越境汚染 量がさらに増大すると、HCO3一イオンは、上記の式の反応で完全に消費され、

安曇川の河川水のpHは、雨水のpHのレベルにまで低下する可能性がある。

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島 鱒

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