滋賀県安曇川地域における降水と河川水の調査
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(2) 里センター、蛇谷ヶ峰、比良山系の木戸峠の. 自然環境から地地球規模の環境を学習するプロ. 3地点から、2001年2月から3月までの期間. グラムの試案を作成した。この試案では、水に. に積雪構造の調査と積雪試料を採取した。分. 関わる身近な観察実験などの体験的な学習を十. 析項目は、降水と同じである。. 分に取り入れ、酸性雨や大気環境の汚染につい. (4)以上の結果をもとに教員の環境教育に関す. ての理解を深めるようにした。. るアンケートを行い、環境教育への新たな教. (3)環境教育に関するアンケートの実施. 材の提案を行なった。. 滋賀県内での環境教育の実態を把握するため. 4.結果及び考察. に、県内の中学校理科教員へのアンケートを実. ①滋賀県北西部の安曇川では、冬季にpHの低. 施した。この結果、必修理科よりも選択理科の. 下が僅かにみられた。また、炭酸水素イオン. 中で、生徒の主体的な活動を取り入れた学習が. など主要イオン種の季節変化が認められた。. 実施されている。また、学校行事(総合的な学習. さらに、上流では、地質や土壌の影響が、下. の時間)では、地域清掃や栽培活動、リサイクル. 流では、降水や人為的な影響が大きいことが. 活動などが取り組まれていることがわかった。. わかった。. 課題として、時間数や施設不足、指導する教. ②調査地域の雨水は、冬季にpHが低下しECが. 員の数が少ない等があった。さらに、地域の自. 増加するなど、冬季に越境汚染の可能性が認. 然環境に関するデータの不足、教員の地域の自. められた。. 然環境への理解不足などがあった。. ③雨水と比較して、積雪のpHは高く、EC値は. 5.結論. 低くいことから、積雪は、降雪直後から融解. 滋賀県安曇川地域においては、降水は、平均. により連続的にイオン成分が流出しているこ. pH4.9前後で酸1生田が大半であるが、河川にお. とがわかった。また、イオン種によって、積. いては、平均pH7.0前後で冬季にややpHが低下. 雪からの流出速度に差異が認められた。. するものの、河川水中のHCO3一により、pHの低. ④河川水は、冬季に酸性物質の混入が認められ. 下は抑えられている。また、この地域の積雪は、. るが、炭酸水素イオンの中和作用で、pHの低. 降雪直後は、pHは低いが、以後急速に融解し、. 下が抑えられていることがわかった。. 化学成分が保存されることはない。このため融. 以上の結果を基に、中学校で活用できる環境教 育教材の作成をおこなった。. 雪期に河川水に影響を与えることは少ない。. 以上のことから、本調査地域の安曇川では、. (1)本研究から活用できる教材. 河川水中の炭酸水素イオン濃度(アルカリ度)も. ・地域データとしての活用. 高く、周辺地域の地質や土壌から考えて、現在. 本研究の安曇川の河川水や降水に関するデー. のところは、急激な河川水の酸性化は起こりに. タさらに積雪に関するデータは、地域の環境. くいと考えられる。しかし、将来的にも、毎年. 調査等を実施する時の指標のひとつになる。. 冬季に酸性降水が河川に流入し続けると、河川. ・簡易器機での調査 pH、 ECは、簡易機器で測定可能であり、HCO3一. 水のpHを緩衝している炭酸水素イオンの枯渇 も懸念される。そこで、本研究のような調査を. については、滴定により測定できる。また、. 今後も継続する必要性を感じた。. 降水の試料採取についても本研究の方法で、. また、こうした結果を地域の環境教育の学習に. 試料の精度が確保できる。. 役立っ教材として活用できる。. (2)環境学習プログラムの作成. 中学校の選択教科の学習内容として、地域の. 指導教官 尾関徹.
(3) 平成13年度. 学位論文題目. 滋賀県安曇川地域における降水と河川水の調査. 兵庫教育大学大学院 教科・領域教育専攻. 学校教育研究科 自然系コース. MOO206E. 水谷 裕之. 主任指導教官. 尾関 徹. 指導教官. 尾関 徹.
(4) 目 次. 1亀緒言一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一1 2.琵琶湖の環境について一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一3 2.1地形と気候一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一3. 2.2酸性雨の現状一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一10 2.3降雪と琵琶湖の水質一一一一一一一一一一一一一一一一一17 2.4水環境一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一29 3.河川水・雨水調査一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一21. 3.1調査法について一一一一一一一一一一一一一一一一一一一21 3.1.1調査地域の概要一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一21 3.1.2調査地点の設定一一一一一一一一一一一一一一一一、一一一一23 3.1.3試料採取方法と調査期間一一一一一一一一一一一一一一一26 (1) 河川水 (2) 雨水. 3.1.4分半方法と項目一一一一一一一一一一一一一一一一一一一26 (1)イオンクロマトグラフ法 (2)pHメーター法(ガラス電極法) (3)電気伝導度法. (4)pH計によるアルカリ度測定法. 3.2結果一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一30 3.2.1採取試料数一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一30 3.2,2データの精度の検討一一一一一一一一一一一一一一一一31 イオンバランス法 導電度法. 393考察一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一35 3.3.1降水量一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一35 3.3.2pHの分布一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一37 3.3.3平均イオン組成一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一39 3.3.4河川水の皐月変化について一一一一一一一一一一一一一一一47 ・河川水のpH ・河川水の主要イオン種 3。3.5雨水の祥月変化について一一一一一一一一一一一一一一一一63 ・雨水のpH ・雨水の主要イオン種 3.3.6河川水と地質の関係一一一一一一一一一一一一一一一一一一71 3.3.7河川水と降水の関係について一一一一一一一一一一一一一75 ・ECの関係、 ・各イオン種の関係 ・河川水への雨水の寄与率 ・河川水中の炭酸水素イオンによる緩衝作用について 4.積雪調査 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一88. 4.1調査法について一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一88 4.1.1調査地域の概要一一一一一一一一一一一一一一一一一一88 4.1.2調査方法と調査期間一一一一一一一一一一一一一一一一一一91 4.1.3分析方法と項目調査一一一一一一一一一一一一一一一一一一93.
(5) 4.2結果一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一94 4.2.1採取試料数一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一94 4.3.2データの精度の検討一一一一一一一一一一一一一一一一一一94 4.3考察一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一96. 4.3.1積雪量一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一96. 4.3.2pHの分布一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一98 4.3.3積雪断面図一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一100 4.3.4平均イオン組成一一一一一一一一一一一一一一一一一一一昂105. 4.3.5pH・ECの変動一一一一一一一一一一一一一一一一109 4.3.6標高差による積雪のイオン組成一一一一一一一一一一一一一一116 4.3.7イオン組成の変動一一一一一一一一一一一一一一一一一一一120 4.3.8主要イオンの推定流出量:について一一一一一一一一一一一一123 4.3.9連続融水分析について一一一一一一一一一一一一一一一一一一127. 5.総合考察一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一136 5.1調査結果のまとめ一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一136 5.2調査結果の教材化と環境教育プログラムー一一一一一一一一一一139 5.3これからの環境教育の展開一一一一一一一一一一一一一一一一一143 6.滋賀県における中学校の環境教育の実態について一一一一一一一一一一145 一環境教育の実施に関する中学校理科教員アンケートから一 6.1目的一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一145 6.2実施方法一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一145 6.2.1実施期一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一145 6.2.2対象一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一145 6.2.3アンケートの内容一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一147. 6.3結果と考察一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一147 6.3.1環境教育の実施状況一一一一一一一一一一一一一一一一一147 6.3.2必修理科の中での環境教育の取り扱い一一一一一一一一一一一149 (1)環境教育実施単元 (2)学習方法 (3)学習形態. 6.3.3選択理科の中での環境教育の取り扱い一一一一一一一一一一155 6.3.4学校行事等の中での環境教育の取り扱い一一一一一一一一一157 6.3.5必修教科の成果と課題一一一一一一一一一一一一一一一一161 6.3.6選択教科の成果と課題一一一一一一一一一一一一一一一一一163 6.3.7学校行事等の成果と課題一一一一一一一一一一一一一一一165 6.4まとめ一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一167 7.参考文献一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一171 謝. 辞一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一174. 付 録 (1)関連新聞記事 (2)選択理科学習指導案 (3)環境教育に関する教員の意見一中学校理科教員アンケートから一. (4)第9回世界湖沼会議発表抄録 (5)調査データー覧 一河川水、雨水、積雪一』.
(6) 1.緒言. 公害問題が全国的に注目されはじめた1970年代から1980年代にかけ、琵琶 湖でも富栄養化が進行し、赤潮等の問題が発生した。この頃から滋賀県では、 環境教育への取り組みが始まった。滋賀県教育委員会では、指導資料や実践事 例集の発行や、環境教育実践推進校を指定し具体的な実践推進に取り組んだ。 また、1980年には、学校での環境教育の取組みを支援するため、環境教育副読 本「あおい琵琶湖」を発行し、今日まで改訂を重ね活用されている。また、1983. 年のフローティングスクール「うみのこ」が就航し、県内の全小学校5年生を 対象とした宿泊湖上研修が実施されるなど、琵琶湖を中心とした多くの実践が おこなわれてきた。. 一方、1982年の琵琶湖研究所の開設、1996年に琵琶湖博物館の開館、また、. 栗東自然観察の森、県立朽木生きものふれあいの里、水鳥センターなど琵琶湖 とその集水域における研究・研修施設が充実していった。さらに、滋賀自然観 察指導者連絡会をはじめ、自然環境に関わる市民団体も発足し、県民をあげて の活動も見られるようになった。. 学校教育での環境教育は、当初、琵琶湖に関する知識的な理解をすることに 重点がおかれ、そのためのワークシートやビデオなどの視聴覚教材が開発され、. 活用されてきた。しかし、近年では、博物館や野外観察施設の充実とともに、 こうした施設や学芸員などの外部人材を活用した体験型の学習が多く見られ るようになってきた。川嶋(1998年)は、観察・実験などの直接体験塗できるだ. け多く取り入れることで、楽しく継続的に学習することが重要であると述べて いる。1>さらに、体験型の学習は、環境教育にとって重要な総合知の獲得に有. 効であるとしている。しかし、現在実施されている環境教育では、その多くの 場合、教師は、外部施設や人材と児童・生徒の間にたち、その場を設定するだ けで内容引導はすべて外部に任せるといった状況がみうけられる。確かに、教 師が児童・生徒とともに学ぶという姿勢は必要であるにしても、本来、教師が 持つべき高い専門性から考えれば、こうした外部機関による体験型の学習の実 施だけにまかせることには疑問を持たざるをえない。教師は、外部施設や人材 を活用しながら、児童・生徒とともに、体験型の学習を教師自身の手で作り上 げるという主体的な態度が必要ではないだろうか。現在の学校の状況から考え 一1一.
(7) れば、多くの困難な状況があるが、このような教師の姿勢は、今後の環境教育 の進展のためには重要である。そのためには、教師の研修と併せて、教材化の 基になる基礎的な調査データを、琵琶湖だけでなく、地球規模の視野にたち再 構築する必要がある。. 以上のことをふまえて、本研究では以下の点に着目して研究を進めた。 (1)酸性雨の実態については、これまでの本学化学研室の成果を踏まえて、調. 査方法の一部を改善し、2000年7月より、2001年7月まで調査研究を実 施した。. (2)調査地域は、滋賀県北西部に位置する一級河川の安曇川流域とした。この 地域では、例年、冬季の降雪も多く、季節的な変化や積雪についても採取・. 分析可能であること、また、県南部に比較して、交通量が少なく、さらに 工場などもなく、人為的汚染が少ない。ちなみに、県南部の堅田、守山地 区については、本学において先行研究がある。 (3)降水と河川水の関係を調べるために、安曇川本流を下流から上流にかけて. 4地点、また比較のため支流の麻生川と渓流の与市谷の2地点から河川水 を採取した。また、周辺4地点から降水を採取し、河川水との関係を検討 した。. (4)積雪については、安曇川中流部の朽木生きものふれあいの里センター、ふ. れあいの里センターと同じ地域にある四谷ヶ峰(標高809m)、上流に位置 する比良山系の木戸峠(標高800m)の3地点から、2001年2,月から3,月ま. での期間に採取し、積雪の化学組成の変動や降水との関係ならびに河川水 への影響を検討した。 (5)学校における環境教育において、酸性雨を取り上げることは多い。一方で、. これまで滋賀県の場合は、琵琶湖を中心とした水環境を扱うことが多く、. 様々な実践がなされてきた。そこで、河川水と降水の2つを同時に取り上 げることで、環境学習が、河川・降水環境調査から地球環境への学習に発 展できるのではないかと考えた。. 本研究では、こうした視点にたって、2000年から2001年の現状を調査する とともに、その調査結果をもとに、教員の環境教育に関するアンケートを行い、 環境教育への新たな教材の提案を行なった。 一2・.
(8) 2.琵琶湖の環境について. 今回の修士論文研究に入る前に、まず、従来琵琶湖の自然環境について、ど のような調査が行われ、どこまで理解されているのか、まとめることにした。. 2.1地形と気候. 滋賀県は、本州中央部に位置し、その周辺は、標高1000m前後の山地に囲 まれた盆地である。北西支部には野坂山地、北東部は伊吹山地、西部に比良 山地、東部に鈴鹿山地がある。中央には、滋賀県の1/6の面積を占める琵琶 湖が位置している。2)(図2−H)また、県の北西方向に若狭湾が、南東方向. には伊勢湾が位置し、これらを結ぶ走向が、冬の代表的な季節風と一致し、 冬季に北西風が強い。3>さらに、大阪湾から南西気流、伊勢湾から南東気流 が流入しやすく、これら気流が、降雨に影響している。. 一3・.
(9) ・、,顯翻 ,㌔ド翻購.. 難山地図謬鍵 伊吹山地. 比良山系 、. 誤. 覧雌. 撚醗. 溢 ・一 }』.!‘. ’. 響峯. 綴蟻.・.. 田鹸麺 謬雛. 懸 ・、’騰輿. 盈訂辱. ・.,. 13『E. .ノ. o 一36◎閥. o. 叩. ,’i戸. }・. 尾颯. 135km. 図2−1−1滋賀県の地形. 盗早17rn. 一4・.
(10) 図2−1−2において、県内各地の平年の.月降水量を比較すると、最北部の柳. ヶ瀬では、12月、1,月には300㎜で、大津や土山の50㎜と比較すると6倍 の量なり、冬季に最も降水章が多い。次いで梅雨期となり年間を通して他地 域よりも降水量が多い。北西部の今津では、柳ヶ瀬ほどではないが、梅雨期 に最も降水量が多く次いで冬季に多い。一方、土山、大津:は、梅雨期に多い. ものの、冬季の降水量は、年間を通じて最も少ない。以上のように、県北部 及び北西部は北陸型、東部は東海型、南部は瀬戸内型の気候に似ている。特 に、北部や北西部(本研究調査地域)では、冬季の北西季節風により、降雪量 が多い地域である。. 一5・.
(11) 柳ケ瀬 350 300 250 200 暮 150 100. 50. 0. 1月 4月置7月 10月. 今津. 彦根. 350 300 250 200 巨 150 100. 350 300 250 200 § 150 100. ノ 亀『卜●. 50. 雛拳. 50. 0. 1月 4月 7月栂月. W. 0. ,. 1月 4月 7月 絶月. ●. ●. ヤ芦昌. 大津. 土山 350 300 250 200 匿 150 100. 350 300 250 ε200 藍150 100. 50. 50. 0. 0. 1月 4月 7月 鶴月. 図2−1−2. 1月 4月 7月 10月. 滋賀県各地の平均降水量(1976∼1997) (日本気象協会「気象データひまわり」アメダス平年値より). ・6一.
(12) 本研究の調査地域は、滋賀県北西部の安曇川流域とした。この調査地域の ほぼ中央部にあたる滋賀県高島郡朽木村の近年の降水量を図2−1−3に示した。. この図は、朽木村にある県立朽木生きものふれあいの里センターで観測さ. れた記録を基にして作成した。近年の降水量の月別変化を比較すると、図 2−1ヨの今津の平均降水量に似ている。しかし、今津と比較して、年間総降 水量が多いこと、また、9月から10,月にかけての秋雨時期と、冬季の1.月か. ら2,月にかけての降水量が多いことが特徴的である。特に、9月から10月の 秋雨時期に降水量が多いことは、武田の指摘3)にもあり、今津:よりも西部の. 山間地に位置するためと思われる。しかし、本研究の調査期間であった2000. 年7月から9月上旬にかけて、降水がほとんどなく、いわゆる異常渇水(少 雨)となった。特に8月の降水量では、59㎜と少なかった。このため、安曇 川の河川水量も減少し、下流部は1ヶ月近く干上がった。また、琵琶湖の水 位も大きく低下した。(写真2−1−1). 一7一.
(13) 1997年. 1996年 350 300 250. 350 300 250. 屋200 隠150 100. ε200 臣150 100. 50. 50. 0. 0. 1月3月5月7月9月11月. 1月 3月 5月 7月 9月11月. 1999年. 1998年 350 300 250 200 塞 150 100. 350 300 250. 50. 0. 図2−1−3県立朽木生きものふれあいの里の近年の降水■. ・8・.
(14) 写真2−1−1 2000年8月下旬に干上がった安曇川河ロ付近の様子. (2000年8月18日 水谷撮影). 一9・.
(15) 2.2酸性雨の状況. 滋賀県における酸性雨の観測は、県立衛生環境センターが中心におこなつ. ている。1990∼1991年に県下の14地点で酸性雨調査を実施し、1992年以降 からは、それらの代表地点として、余呉、新旭、彦根、永源寺、大津の5地 点で継続観測が実施されている。4>’5>’6)そこで、県立衛生環境センターの近. 年の観測データを基に、滋賀県の酸性雨の現状を示す。・. これまでのpHの経年変化を図2−2−1に示す。各地点とも5.0∼4.4の範囲. で推移している。特に顕著な地域差は見られないが、南部の瀬田が最もpH が低い。瀬田は、名神高速道路、京滋バイパス、国道1号線などの主要幹線 道路が通り自動車等の交通量が多いことや工場などもあることから、これら. の人為的汚染によるものと思われる。また、図2−2−2の各地点の月別のpH の変化は、5地点とも11,月頃から低下し冬季の1,月∼2.月にかけて低くなり、. 3,月以降に上昇し始める傾向は同じである。特に、11,月から2月にかけての. 冬季間は、他地点と比較して最北部の余呉で最もpHが低い。余呉は、冬季に 最も降水量が多いことから、越境汚染の可能性が示唆される。それ以外の期 間は、pHの変動が大きく、明確な季節差や地域差はみられない。そこで、今 回の調査でも、冬季の日本海側地域に見られるような東アジア地域からの酸 性物質の越境汚染の有無を中心に調べた。. 一10一.
(16) 一←余呉 4一新旭. 5.0. 黹?[彦根 +永源寺 i. {瀬田. 4.8. モ46 4.4. 4.2. 90. 91. 92. 93. 94. 95. 96. 97. 99. 98. 年度. 図2−2−1県内各地の降水のpH経年変化 (滋賀県環境白書2000年より). +余呉+新旭. 5.4. {彦根一{ト永源寺. {大津 5.0. モ 4.6. 4.2. 月 1』漢’ 図2−2−2県内各地の降水のpH経月変化(97∼99平均値瓦 (滋賀顯境鰭1998年」999年・200。年より)〆1!亨 3. 4 ‘1. 1:余呉21新旭3:彦根4:永源寺51大津 (滋賀県立衛生環境センター観測地点〉. 一11一.
(17) 図2−2−3には、主要な各イオンの平均沈着量の経月変化を示したが、海塩 ノ. 起源とされる塩化物イオンの沈着量とナトリウムイオンの沈着量が、冬季に 増加していることがわかる。そして、県北部から南部にかけて、この傾向が 減少しており、日本海からの影響と考えられる。また、非海塩硫酸イオンの 沈着量と硝酸イオンの沈着量については、塩化物イオンの沈着量ほど地域差 は明確ではないが、全般に冬季に増加の傾向がある。特に最北部の余呉は他 地域よりも非海塩硫酸イオンの沈着量と硝酸イオンの沈着量が多く、越境汚 染の可能性が示唆される。非海塩カルシウムイオンの沈着量は、全般に、冬 から春にかけて増加している。アンモニ,ウムイオンの沈着量は、非海塩硫酸 イオンと同傾向にある。中山7)によれば、硫酸イオンと硝酸イオンの濃度か. ら酸性化に寄与する割合は、硝酸イオン濃度が全国と比較してやや高めであ るとしている。これは、主に自動車の排気ガスによる影響と考えられる。滋 賀県の東部や南部は、名神高速道路、北陸自動車道、さらに主要一般国道で. ある国道1号線など東西の交通の要に位置しており、交通量が多いためであ る。. 以上、滋賀県の酸性雨の現状は、年間総降水量も多く、冬季にイオン総量 が増加し、越境汚染の可能性が示唆される北部地域と、年間総降水量は少な く、総イオン量も比較的少ないがpHは低く、人為的汚染の可能性が大きいと 考えられる南部地域があり、地形や気候さらに人為的な影響に左右されてい ることがわかる。. 一12・.
(18) +余呉. 2000. {新旭 {彦根. C「. 1600. {永源寺. ㌣ε. 黶ィト大津. ぎ1200 遍. 袈…. b 400 0 4. 567891011121 23月. 図2−2−3県内の塩化物イオンの平均沈着量(97−99) (滋賀県環境白書資料1998年、1999年、2000年より). 至麹. 1200. 十 Na ㌣ε. 800 竃. 覆 琴. 400. 0. 血 図2−2−3県内のナトリウムイオンの平均沈着量(97−99) (滋賀県環境白書資料1998年、1999年、2000年より). 600. 醐(沽. ㌣ε. +余呉. {新旭 {彦根. /. {永源寺. 竃40。. ィト大津. 盟. /. 撃. 巻200 題 画. 0. 1. 図2−2−3県内の非海塩硫酸イオンの平均沈着量(97−99) (滋賀県燦境白書資料1998年、1999年、2000年より). ・13一.
(19) 500. +余呉. {新旭 齒t一彦根. NO3一. 400. 齧m永源寺. 甲ε. 黶ィ←大津. 響300 融. /. 暴200 1δ. z100 0. 一2−2−3県内の硝酸イオンの平均沈着量(97−99) (滋賀県環境白書資料1998年、ゴ999年、2000年より). →一余呉. 200. {新旭 {彦根 .+永源寺 {大津. nssCa2+ 撃 160. E. ピ12。. 舞. 舞80. 悪. 病40. /. ゴ. 0. 一2−2−3県内の非海塩カルシウムイオンの平均沈着量(97−99) (滋賀県環境白書資料1998年、1999年、2000年より). 160. →一余呉. {新旭 {彦根. mH4 十. {永源寺. ㍗ε 120. 黶ィ←大津. ぎ. 鋼80 澤. 葦40 0. 23月. 図2−2−3県内のアンモニウムイオンの平均沈着量(97−99) (滋賀県理境自書資料1998年、1999年、2000年より). 一14一.
(20) この他、長期にわたる酸性雨の記録は、滋賀大学教育学部付属環境教育湖. 沼実習センターにおいても、年間の観測が10年近くつづけられている。さ らに、志賀町在住の阪口進氏も自宅で、1986年より年間を通して観測を続け られており、県内の貴重なデータの1つとなっている。. 村野ら国立環境研究所地球環境グループは、関東地方の白根・日光連山な どで酸性霧や酸1生雨の観測等から、酸陸化物質の影響によると思われる針葉 樹(オオシラビソ・コメツガ)、広葉樹(ダケカンバ)が大量に枯れているのを. 記録している。8)阪口(1996年)によれば、滋賀県でも余呉町、木ノ本町、西. 浅井町、マキノ町など県北部で、コナラ、ミズナラなどの落葉広葉樹の立ち 枯れを確認している。9)この原因は、甲虫が運ぶナラ菌ではないかと推測さ れているが、酸1生雨や酸性雪で木が弱ったところにこれらの菌が働いて枯れ る複合的なものではないかとしている。同様の指摘は、伏見(2001年)によっ. ても報告されており、1990年ごろから県北部を中心に目立ち始めているとし ている。特に、県北部は、県内でも積雪が多く、酸性雪による影響があげら れている。(写真2二2−1). 滋賀県において、樹木の立ち枯れが指摘されはじめ、その原因は、複合的 な要因によると思われるが、その要因の1っに酸1生酔・酸1生雪が関わってい. ることが言われている。明確な因果関係は今後の研究に待たなければならな いが、酸1生雨・酸性雪の自然生態系への影響が、着実にわれわれの身のまわ りに迫っていることは事実のようだ。. 一15・.
(21) 写真2−2−1 滋賀県マキノ町赤坂山周辺での樹木の枯死した様子. (2000年8月20日 水谷撮影). 中腹部のオレンジ色に点在するのが枯死した樹木である。 少雨による影響も大きいと考えられている。. ・16・. 2000年夏季の長期間の.
(22) 2.『. R降雪と琵琶湖の水質 琵琶湖の水量は、273億tで、その河川等からの流入は、43億t/年、流出. は50億t/年といわれている。その流入量の約1/5、10億t前後が、冬季の. 積雪によるものである。しかし、近年の暖冬により、その1/2、約5億t前 後まで減少していると報告されている。10)・11)このため、夏季には、毎年のよ. うに渇水となる。同時に、水量の減少により、琵琶湖の水質にも影響を与え ている。. 2001年3.月下旬に滋賀県立琵琶湖研究所が自立型水中ロボットを使い、琵. 琶湖の最深部で低温度で酸素を多く含む水域を確認している。これは、雪解 け水が湖底まで達したためと見られている。湖底の酸素が不足すると富栄養 化の原因物質が水中に溶け出し、琵琶湖の水質悪化を引き起こす原因になる と考えられている。以上のように積雪は、「近畿の水がめ」である琵琶湖の水 量と水質を大きく左右している。. 滋賀県の積雪は、図2−3ヨに示すように、北部の余呉を中心に西部の北小 松、東部では、彦根市近辺までが、積雪の多い地域である。これらの積雪は、. 名神高速道路や北陸自動車道、東海道新幹線等の主要な交通網に支障をきた すことも多い。特に、滋賀県北部余呉町の中河内地区の福井県との県境付近 では、例年2m近くの積雪が観測されることがある。南部の大津近辺では、 降雪はあるものの、冬季間積雪として残ることは少ない。. また、これら北部地域の冬季の降水・雪に含まれるイオン総量は、夏季の ものの5倍程度になり、多くの酸性化物質を含む。こうした冬季の降雪は、 積雪として地上に保存される。これらは、融雪期に解け出し、積雪中の化学 成分も流出していく。積雪中の化学成分の変動については、寒冷な北海道・. 東北地域での碕究報告はあるが、本県のような、比較的温暖な積雪地域(暖 地性降雪地域)の報告は少ない。以上のことから、河川や琵琶湖の水質を考 える上で、その基になる積雪の化学組成の変動を知ることは重要と考える。. ・17一.
(23) ・}余呉. cm 100. ㌦・. Wσ”. 北小. 彦. 6. 40. 20 大津. 図2−3列. 最大積雪深(平均)の分布 (武田栄夫;「滋賀県の気象」1991 より). ・18一.
(24) 2.4水環境. 目本最大の湖である琵琶湖は、約400万年前にできたといわれ、世界でも. 古い湖の1つである。豊かな生物相に支えられ、その景観とともに滋賀県の 自然環境の1つのシンボルとして今日に至っている。また、その水は、近畿 1400万人の飲料水に利用されており、貴重な資源でもある。しかし、その水 質は、図2−4−1aに示すように、1980年の琵琶湖条例の施行以後、改善がみ られたものの現在では横ばい状態が続いている。また、元来きれいだった北 湖の水質が悪化し始めている。4)’5)’6). 琵琶湖には、約120の河川が流入し、流出河川は、瀬田川と人工河川であ る琵琶湖疎水のみである。琵琶湖の水質を大きく左右する流入河川の水質は、. 図2−4−1bに示すように、地域により差異はあるものの、近年は横ばい状態 で、特に改善は見られない。むしろ、北湖の河川では、悪化の傾向を示して いる。. 現在、県では24河川・28地点で、主にCOD・BOD等、有害な有機物質、栄 養塩草の水質検査が実施している。また、琵琶湖とその流入河川等を対象と する有機汚濁や富栄養化に関する多くの研究もみられる。しかし、水質の中 で大きな部分を占めている無機イオンについては、森林地域の研究はあるも のの、河川において、継続的な調査・研究は少ない。. ・19一.
(25) 4.0. 3.5. 3.0. L2・5 ぎ2沿 ≧. +南湖 揶鼈黶E北湖. 81.5. 一一. 一・・一. ツ境基準. 10 α5 0.0. 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88. 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99. 年. 図2−4−1a琵琶湖のCOD経年変化 (20α年度滋賀県環境白書より). 6,0. 5.0. 4.O. L. 敦灘瀦禰. \ \. 〆\k\γ◆. 聡。 ≧. 8. \. 2.0. tO 0.0. 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88. 89 90 91 92 93. 年. 図2−4−1b地域別流入河川のCOD経年変化 (2001年度滋賀県環境白書より). 一20・. 94 95 96 97 98 99.
(26) 3.河川水・雨水調査. 前章の第2章において、従来、調査されてきた琵琶湖の自然環;境、特に、水 環境についてまとめた。これを踏まえて、今回の修士論文の研究の計画をした。. 大別すると河川水・雨水の経月変化の調査と冬季における積雪の調査に分ける. ことができる。この第3章では、河川水・雨水調査の方法と結果について述べ る。. 3。1調査法について 3.1.1調査地域の概要. 滋賀県北西部を流れる安曇川は、県内第2位の大きさの一級河川であ る。安曇川の流路は、丹波山地の京都府百井峠に源を発し、滋賀県大津 市葛川地区の比良山地と丹波高地の間の花折断層上を北流し、高島郡朽 木村市場で向きを東に変える。さらに、高島郡安曇川町で平地に出て広 大な三角州を造り、安曇川町北舟木と南舟木の境で琵琶湖西岸に注いで てる。その流域面積は302.4km2、流路延長は43.6kmである。(写真3−H). ・21一.
(27) 醸i雛興豪. ・織. .i叢難藝畢・. 霞. 撮影日. 上流付近 中流付近 河口付近. 2001年4月6日 2001年4月6日 1997年11月2日 撮影者 水谷裕之. 写真3−1−1安曇川の流域. ・22一.
(28) 3.1.2調査地点の設定. 調査地域に、図3−Hに示したような河川水と雨水の採水地点を設定 した。. ・地点1と地点A付近(写真3−1−2). 地点1は、安曇川の河口であり、数百m先が琵琶湖岸の地点である。 周辺は水田地帯で、集落も多い。夏季には、この地点周辺200∼300mに わたり堰きとめ、鮎漁のために「やな」が設置される。また、2000年7 月から9月上旬にかけて、渇水のために完全に水量が無くなり干上がっ. た。地点Aは、地点1より約3km南西の集落内に設置した。 ・地点2と地点B付近(写真3−1−2). 地点2は、河口から約19.4km西に位置する。朽木村の中心部にある。. 周辺には、水田や集落が広がる。また、この地点の河川敷には、キャン プ場面があり、夏季には、キャンプ、釣り等で観光客が多い。地点Bは、. 地点2より約1km東部の山麓に上がった地点で、県立朽木生きものふれ あいの里センターの気象観測場に設置した。この施設は、野外観察施設 であり、周囲は雑木林に囲まれている。 ・地点3と地点C付近(写真3−1−2). 地点3は、地点2からさらに南へ8kmほど上流の地点である。花論断 層の中央に位置して、東部は比良山系、西部は丹波高地に囲まれた地域. である。地点Cは、地点3のすぐ横にある施設の庭を借用して、採水器 具を設置した。 ・地点4と地点D付近(写真3−1−2). 地点4は、地点3からさらに南へ7kmほど上流の地点であり、本調 査地点の最上流(南)部である。ここも周囲の状況は、地点3とほぼ同. じである。だだ、国道367号線に接した地点であり、交通量は多くは ないものの、自動車や冬季の融雪剤等の影響が懸念される。また、地. 点Dは、地点4のすぐ横にある中学校の4階の屋上に設置した。. 一23一.
(29) 6. 安曇川8馬 ▲蛇谷ヶ峰. ■A. ▲武奈ヶ岳. 琵琶湖. /. 4. ▲蓬莱山 /. 1:200000. (1)河川水. 地点晦. 地点名. 1.. 安曇川 安曇川 安曇川 安曇川 与市谷 麻生川. 2. 3.. 4。 5.. 6.. 住. 所. 滋賀県高島郡安曇川町船木 滋賀県高島郡朽木村宮前坊 滋賀県高島郡朽木村栃生 滋賀県大津市葛川中村 滋賀県高島郡朽木村柏 滋賀県高島郡朽木村麻生. 河口付近 舟木大橋 中流下 船橋 中流上 栃生橋 上流 中村橋 尾曾越橋. *地点5は、地点2近くの県立朽木生きものふれあいの里近くの渓流、地点6は、調査地域最北部 にある支流、いずれも安曇川本流に流れ込む。2地点は、本流との比較対象のために設定した。 (2)雨水. 地点Nd A.. B... 住. 地点名. 高島町 自宅 朽木村 県立朽木生きものふ. 所. 滋賀県高島郡高島町鴨2741番地 滋賀県高島郡朽木村柏341番地の3. 黷?「の里 C.. 朽木村 堀場製作所朽木研修. 滋賀県高島郡朽木村栃生335番地の10. D.. 大津市 大津市立葛川中学校. 滋賀県大津市中村町108番地の1. *河川水と雨水が対応している地点は、地点1と地点A、地点2と地点B、地点3と地点α地点 4と地点Dである。. 図3−1−1 調査地点. ・24・.
(30) 愛. 艶. ゴ騒 煽の. 、旛:1. 写真3−1−2 河川水・雨水の調査地点. 一25・.
(31) 3.1.3試料採取方法と調査期間. (1)河川水 河川水の採水には、山本(1999年)が使用した簡易採水器12)を高純度水で. 洗浄して使用した。橋上よりロープを使って簡易採水器を河川の流心部に おろし、その表層部の水を、容器を共洗いした後に採幽した。また、流量 が極端に少ない場合は、直接河川に入り、採水器で汲み上げた。採長後、 速やかに、簡易計測器を使用し、水温、pH、 ECを測定して、とも洗いした. ポリ容器に移した。ポリ容器は、破損しにくく、容器からの溶出物質も少 ない。使用したポリ容器は、全て薄い洗剤で洗浄後、水道水ですすぎ、さ らに高純度水、超純水で洗浄し乾燥させたものを使用した。(写真3+3) (2)雨水. 雨水の採水は、1週間に降った雨水をすべて採画する「1週間降水採水」 でおこなった。採水に使用した器具は、これまでのロートを利用したもの は、冬季の降雪時に、雪で詰まってしまうことから、口径280㎜、高さ300 ㎜の円筒形容器にポリエチレン製の袋をつけたバルク(一括式)式の採水. 器を使用した。ポリエチレン製の袋は、秋田大学工学資源学部環境物質工 学科で雨水の採水に活用されているものと同等のものであり、袋からの溶 出物質もない。また、採水時には、降水の溜まった袋を新しいものと交換 するだけでよく、作業効率がよい。ただ、夏季には、昆虫などが混入した ことが数回あるなど、異物が混入しやすい欠点がある。(図3ヨー2). 調査は全ての地点で、2000年7月から2001年7月まで、実施した。た だし、地点Cは、2000年12,月から2001年7月までである。. 3。1.4分析方法と項目. 採取した試料は、実験室に持ち帰り、超純水を通したろ紙を使ってろ過. し100mlポリビンに入れて、冷暗所保存した。また、雨水については降水 量を測定した。なお、分析に利用した水は、全てイオン交換水を2回蒸留 し、さらに超純水製造器(日本ミリポアリミテッド製mi!li−Q)により処 噛した超純水を使用した。. 一26一.
(32) 『F‘類. ゾ. 1/ 写真3−1−3 河川水採水器. diameter:280 mm. hight100cm. 図3−1−2 雨水採水器具. 一27・.
(33) (1)イオンクロマトグラフ法. 河川水、雨水に含まれる主要イオンのうち、水素イオンを除くイオンは、 イオンクロマトグラフ法で測定した。. 使用機器 DIONEX series 20001 標準溶液 東亜電波工業(株)製標準溶液(Na+23. OmgL−1, M4+18.Omgじ1, K+39.lmgL−1, Mg2+ 24.3mgL−1, Ca2+40.OmgL−1,. C1−79.OmgL−1, NO2−46.OmgL−1, NOゴ124.2mgL 1,. SO42−96.1mg L『1)を50倍希釈して、各イオン当量 濃度が20μequiv L皿1(Na+、NH4+、NO2一)、 40μequivL 1(K+ 、 Mg2+ 、 Ca2+ 、 Cl一 、 NO3一 、 SO42つ. になるようにして使用した。 測定イオン. 陽イオン(Na+、NH4+、K+、Mg2+、Ca2+). 陰イオン(Cl 、NO2一、NO3一、SO、2一). 陽イオン測定旧離液20醐メタンスルホン酸 (和光純薬特級メタンスルホン酸1.3mLを水で希釈し全 量を1しにする。) 再生液 0.375%テトラメチルアンモニウムヒドロキシ ド溶液 (和光純薬特級 15%テトラメチルアンモニウムヒドロ. キシド溶液24.3mLを水で希釈し全量を1しにする。). 陰イオン測定 溶離液 1.8副Na2CO3+1.7細NaHCO3 (和光純薬特級Na2CO319.1gと和光純薬特級NaHCO314.3g. を水に溶かして、『その溶液を10mL取り出して水で希 釈し全量を1しにする。). 再生液 25mM硫酸 (和光純薬特級濃硫酸0.75mLを水で希釈し全量を1しに する。). 一28一.
(34) (2)pHメーター法(ガラス電極法). 試料中の水素イオン濃度は、ガラス電極法で測定した。. 使用機器 堀場 F−22・電極6378型 校正標準液 堀場 100−4(pH4.0)、100−7(PH7.0)、 100−9(pH9.0). ガラス電極を試料溶液に浸漬し5分後のメーターの値を読 んだ。また、多数の試料がある場合は、直前の試料の影響が 残ることがあるので、1試料にっき3回の測定をおこなった。 (3)電気伝導度法. 使用機器 堀場 C−172. (4)pH計によるアルカリ度測定法. 河川水試料のみ測定した。 今回用いたアルカリ度(酸消費量)の測定は、試料水のpHが、 pH=4.8. になるまでに要した酸標準用液(0.02N H2SO4)の量を1L当たりのmg当 量(mg)もしくはこれに相当するCaCO3(1mg当量≒50mg)のmg数に換算し て表現した。本研究の場合、河川水g)pHのほとんどがpH=8.3以下、 pH=6。3以上であるので、炭酸成分の約98%はHCO3一の形で存在すると見 なし、HCO3一(1mg当量=61.01714mg)のmg数に換算した613). 試料水50mLをビーカーにとり、pH計の電極を浸し、スターラーでか き混ぜながら、0.02N H2SO4で滴定する。 pH計が指定されたpH=4.8に. なったら滴定を終了する。滴定量と硫酸のファクターからアルカリ度、 さらにHCO3一の量を算出した。. ・29一.
(35) 3.2結果 3.2.1採取試料数. 河川水・・全326個 地点名. 地点Nα. 採取試料数. 1.. 安曇川 河口付近. 48個. 2.. 安曇川 中流下. 56個. 3.. 安曇川 中流上. 56個. 4.. 安曇川 上流. 56個. 5.. 与市谷. 56個. 6.. 麻生川. 54個. 雨水 ・・全181個 地点名. 地点Nα. 採取試料数. A.. 高島町 自宅. 48個. B、. 朽木村. 52個. ァ立朽木生きものふれあいの里 C. D.. 朽木村 堀場製作所朽木研修所. 30個. 大津:市 大津市立葛川中学校. 51個. 一30一.
(36) 3.2.2データの精度の検討. 現在、日本国内の主な酸性雨調査では、イオンバランスによるチェック でデータの精度の確保が図られている。イオンバランスをチェックする方 法は、電気的中性の原理からの確認(イオンバテンス法)と、電気伝導度(EC). の計算値ど実測値の比較(伝導度法)による2種類で行われている。13). 本研究の河川水と雨水についても上記2種類の方法で検討した。. イオンバランス法 河川水(雨水)中のイオンについて、当量濃度単位で表したとき、河川水 (雨水)は電気的に中性なので、(陰イオンの総和)=(陽イオンの総和)となる。. 河川水(雨水)中には、多くの種類のイオンが存在するが、量的には、主成 分となるイオン種は限られている。 雨水の場合は、測定した陽イオン6種(H+、Na+、NH4+、K+、Mg2+、Ca2+) と陰イオン3種:(Cl一、NO3一、SO42 )がそのほとんどを占め、経験的には、. 目本の雨水はこの9種のイオンでほぼイオンバランスがとれている。そこ. で、陰イオンの総和をA、陽イオンの総和をCとすると A=[Cr]+[NO3一]+[SO42一] C= [H+]+[Na+ ]+[NH4+ ]+[K+ ]+[Mg2+ ]+[Ca2+]. となり、A/Cの比を計算して、その値が1から大きくはずれる場合はチ ェックする必要がある。. また、河川水についても、雨水と同様におこなったが、河川水は、全試 料がpH=6以上であり、HCO3一の濃度が高いため、陰イオンの総和Aにこの濃 度を加えた。 A=[Cr]+[NO3『]+[SO42『]+[HCO3一] C= [H+]+[Na÷ ]+[NH4+ ]+[K+ ]+[Mg2+ ]+[Ca2+]. 採取した全試料について、その関係を図3−2−1a、図3−2−1bに示す。河. 川水、雨水ともに1:1の直線の近傍にほぼ全ての試料が分布しているこ とがわかる。、. 一31・.
(37) 1000 ● ●●. ○. @・書●. 800 ●●. L. 1:1. ・≧. 3 600 ミ ○. 麟. ●. A 400 ヤ. 200. 0 0. 200. 400. 600. 800. 1000. 陽イオン総量/μequivじ1. 図3辺司a安曇川・河川水のイオンバランス. .700 1. 600. ●. ●. L」500 1:1. 馨. 冬400. ●. σ● ●. 劇. ●. 貿3・・. ●. ●●. ’. さ. 謎200. ●. ン 1. ● ●. 100 ●. 0. 0. 100. 200. 300. 400. 500. 600. 700. 陽イオン総量/μequiv『. 図3−2−1b雨水のイオンバランス. 一32一.
(38) 電導度法(EC). 河川水(雨水)の電気伝導度(EC)の値は、河川水(雨水)中の主要成分の濃. 度から、それぞれのイオンの水溶液中の当量電気伝導度を用いて、下式の ように求めることができる。. 計算による電気伝導度をECcalとし、実測値をECmesとする。. ECcal={389.8[H+]+50.10[Na+]+73.55[NH4+ ]+73。50[K+ ]+53.05[Mg2+ ]+5. 9.5[Ca2+]+76.35[Cl ]+71.46[NO3一 ]+80.02[SO42一]}. (河川の場合は、これに44.5[HCO3一]を加える。). この計算による電気伝導度をEC。alと実測値をEC。。、の比を調べると、. ’その値が1から大きく外れる試料は、チェックを要する。採取した全試 料について、この関係を図3−2−2a、図3−2−2bに示す。河川水、雨水と. もに1:1の直線の近傍にほぼ全ての試料が分布していることがわかる。. 以上の2種類の方法の結果により、本研究でおこなわれた河川水と 雨水の測定は、おおよそ正しく実施されたと考える。. 一33一.
(39) 100 1:1. ● ●. 7. T. ●. ● ●. 80. f●. 3●艦 ●. 、● ●. §60. ●○ ●. 3. ●. の. ミ. ’. 誓. 蹟 40 ●. 20. 0 0. 20. 40. 60「. 80. 100. ECca/μScm噂1. 図3−2−2a安曇川・河川水のεCの実測値と計算値の・. 関係. 140 1:1. 120 ● ●. 霊00 7. §、80. の. ミ. ●. 馨60. o偽. 畠. ●●●●. ●. 40. ●. 20. 0 0. 20. 40. 60. 80. 100. 120. 140. ECGal/μScm騨1. 図3−2−2b雨水のεCの案測値と計算値の関係. 一34・.
(40) 3.3考察. 3.3.1降水量. 図3−3−1に、本調査地域の4地点における降水量の経月変化を示す。. いずれの地点も、ほぼ同傾向を示しているが、全般に地点Aは、平野 部に位置するために、他の地点より降水量は少ない。また、冬季は、 北部に位置する地点B、Cに降水量が多い。. 2000年7月下旬から9月上旬までは、降水が少なく、特に8,月は少 雨となり、建設(国土交通)省がまとめた7月から8月の琵琶湖流域平. 均雨量(8月29日集計)は、累計で83mmと観測をはじめた1894年以降 で最少を記録した。図3−3−1のへ地点では、8月の降水量が10mmとな り調査期間中の最少の,月降水量であった。9,月に入ると、11日から12. 目にかけて、台風14号の影響による集中豪雨となり、本調査地域で もこの週の期間に200㎜}以上の降水量となった。10月も月間を通して 雨量が多かった。この時期の降水量は、図3−3−1に示すように、B、 D. 地点では、300mm近くになり、ほぼ2001年1,月の冬季の降水量と同程 度であった。以後、降水量は、11,月、12,月と減少するものの、冬季1. 月から3月かげて、降雪により増加した。さらに、4月は減少するが、. 梅雨時期の5月、6月に増加した。. 一35・.
(41) +A地点. 350. 一昼一B地点. +C地点. 300. →ξ一D地点. 250 蓬200 繭. 盤150 100. 50. 般. 0 月(2000年7月∼2001年7月). 図3−3−1調査地域の降水量の変化 *地点Cは、2000年12月より調奎を開始した。. 一36一.
(42) 3。3,2pHの分布. 図3−3−2aに、2000年7月から2001年7,月までの河川水の一週間毎 の6地点全地点のpHの分布を示す。河川水は、 pH=7.0∼7.2の度数が 最も多く、分布幅もpH=6.2∼pH7.8程度で狭い。. 図3−3−2bに、2000年7月から2001年7月までの一週間雨水の4地 点全てのpHの分布を示す。降水は、 pH=4.6∼4.8にピークを持つ分布 となった。また、分布幅は、pH=3.8∼pH=6.6であり、河川水と比較し. て広い。. 一37一.
(43) 140. 120. 100. 80. 60. 40. 20. 0 6. 6.4. 6.8. 7.2. 8. 7.6. pH. 図3−3−2a 河川水のpHの分布 50. 40. 30. 20. 10. 0 3.6. 4. 4.4. 4.8. 5.2. 5.6. 6. pH 図3−3−2b雨水のpHの分布. 一38一. 6、4.
(44) 3.3.3平均イオン組成 [ 河川水. ]. 図3−3−3aに、一週間ごとに採心した河川水の6地点全地点の平均 イオン組成を示す。.図より陰イオンは、炭酸水素イオン濃度が300μ equiv L−1と最も高く、次に塩化物イオン濃度が150μequiv L 1、硫酸. イオン濃度が100μequivじ1と続く。また、陽イオンは、カルシウム イオン濃度が200μequiv L−1で最も高く、ナトリウムイオン濃度が180 μequiv L−1、マグネシウムイオン濃度が100μequiv「1と続く。さら に、総イオン量は、1000μequiv L『1程度で、雨水の3倍程度であった。. また、表3−3ヨのように、安曇川の河川水のイオン組成を日本の河川 の平均値14)・近畿の河川の平均値14)と比較すると、安曇川は、陰イオ. ンでは、塩化物イオン濃度は日本の平均値、近畿の平均値と同程度だ が、硫酸イオン濃度や炭酸水素イオン濃度は低い。また、陽イオンで は、カリウムイオン濃度、マグネシウムイオン濃度は日本の河川の平 均値・近畿の河川の平均値と同程度の濃度であるが、その他の陽イオ ンでは濃度は低い。全般に各イオンともその濃度は低い。. 河川水の各主要イオン種の起源は、次のようにまとめられる。15) 1)塩化物イオン(C1一). 塩化物イオンは、陰イオンの中では、炭酸水素イオンについで多 い。塩化物イオンは、岩石から供給される量は極めて少なく、雨水 などによる海塩かちの供給による。また、人為的な汚染として、食 品や塩素化合物の燃焼による場合もある。塩化物イオンは、天然で は酸化還元をほとんど受けず、不溶性の化合物をつくることもなく、. しかも土壌に吸着される量が少ない。従って、塩化物イオンを利用 して、河川の流速や流量を知ることができる。 2)硝酸イオン(NO3一). 硝酸イオンは、窒素酸化物から光化学反応によって生じる。また、 アンモニウムイオンからも生じる。その量は、河川水中では少ない。 しかし、近年、地下水での増大が報告されている。 一39一.
(45) 撃・. 陰イオン. NOゴ SO42一. 0. 100. 200. 300. 400. 500. 6◎0. イオン濃度/μequiv L−1. 陽イオン. 0. 100. 200. 300. 400. イオン濃度/μequivビで. 図3−3−3a河川水の平均イオン組成. 一40・. 500. 600.
(46) 表3−3−1安曇川と日本・近畿の平均河川水質の比較 日本*. 近畿*. 安曇川. 5.8. 5.3. 5.4. 8.8. 7.6. 4.1. 31。0. 27.4. 16.8. 6.7. 5.5. 3.9. Mg2+ ・. 1.9. t3. t2. K+. t2. tO. tO. Ca2+. 8.8. 7.6. 4.1. C「 SO42−. HCO3 Na+. (mg/D. ・41一.
(47) 3)硫酸イオン(SO42一). 化石燃料の燃焼によって雨水中に生成されたり、人間生活に関わ る多くの食品、洗剤に含まれるので、生活排水による汚染により供 給される。また、岩石中にも含まれる。さらに、温泉、鉱泉水も多 量に硫酸塩を含むため、これらの混入も考えられる。 4)炭酸水素イオン(HCO3一). 炭酸物質は、二酸化炭素(CO2)、炭酸(H2CO3)、炭酸水素イオン(HCO3つ、. 炭酸イオン(CO3一)として存在する。その割合は、pHによって決まる。 このうち、二酸化炭素(CO2)と炭酸(H2CO3)は一括して、H2CO3とする。 H2CO3、 HCO3一. A CO3一のモル比は、 pHによって決まる。これによって、. 河川水のpHは、 pH;7.0前後なので、この間は、 H2CO3とHCO3一が共存. するが、大半は、HCO3 である。炭酸水素イオンは、生物活動による. 二酸化炭素の放出、二酸化炭素と土壌岩石の反応により生成される 割合が大きい。 4)ナトリウムイオン(Na+). 陽イオンのなかでは、カルシウムイオンについで多く、その起源 は、雨水、岩石、人為的な汚染によるものとされている。 5)アンモニウムイオン(NH4+). ’. アンモニウムイオンは、主としてタンパク態物質の分解によって 生じる。このためアンモニウムイオンの検出は、水の汚染のひとつ の目安とされている。この他、アンモニウムイオンは、深層地下水、. 貯水池の底層付近の水中などでの硝酸塩の還元や、肥料に由来する 場合もある。 6)カリウムイオン(K+). 河川水中にはごくわずかしか含まれておらず、起源は、土壌岩石 と考えられているが、詳細は不明である。植物体に多く含まれてい ることから、植物との関連性もある。 7)マグネシウムイオン(Mg2+). マグネシウムイオンは、主に土壌岩石起源と考えられるが、海水 中に多量に含まれることから、海塩の影響の多いところでは、雨水 一42一.
(48) によりもたらされることもある。 8)カルシウムイオン(Ca2+). カルシウムイオンは、河川水中の陽イオンの中で、最も多い主要 成分である。その起源は、土壌岩石である。特に、石灰岩等を含む 地層では多量のカルシウムイオンを含む。また、マグネシウムイオ ン同様、海水中にも多量に含まれるため、海塩の影響の多いきいと. ころでは、雨水によりもたらされることもある。また、降雪地域で は、融雪剤として、塩化カルシウムを用いるため、この影響もある。. 一43一.
(49) [雨水 ]. 図3−3−3bに、一週間ごとに採水した降水(雨水及び雪水)の調査4. 地点全地点の平均イオン組成を示す。陰イオンは、図より、塩化物 イオン濃度が90μequiv L−1と最も高く、次に非海塩硫酸イオン濃度 (nssSO42一)が60μequivじ1、硝酸イオン濃度が30μequiv L 1と続く。. また、陽イオンは、ナトリウムイオン濃度ぷ70μequiv L−1で最も高 く、非訟塩カルシウムイオン濃度(nssCa2+)が30μequiv L−1、アンモ. ニウムイオン濃度が30μequivじ1と続く。各イオン種とも河川水よ り濃度は低いが、アンモニウムイオン濃度、水素イオン濃度は、河 川水より高い。ここで、「非海温」とつけた項目は、その起源が海塩 に由来する部分(seasalt:ss一)と、それ以外を由来とする部分(non−. seasalt:nss一)からなる物質において、海内に由来する部分を差し引. いたものである。降水の場合、硫酸イオンとカルシウムイオンにお いて、一般的に用いられている。算出方法は、ナトリウムイオンを すべて海塩由来であるとみなして、非海塩硫酸イオンの場合は、ナ. トリウムイオンのモル濃度に0。0606(海水中のSO42フNa+モル比 =0.0606)を乗じたものを硫酸イオン濃度から差し引いて求める。また、. 非海塩カルシウムイオンの場合は、ナトリウムイオンのモル濃度に 0.0224(海水中のCa2÷/Na+モル比=0.0224)を乗じたものをカルシウムイ. オン濃度から差し引いて求める。ただし、本研究では、当量濃度(μ equiv Ul)を使用したので、非海牛硫酸イオンの場合は0.121コ口臨 海塩カルシウムイオンの場合は0.044を乗じた。. 降水中に含まれる主要イオン種の起源は、次のように考えられてい る。16)・17). 1)塩化物イオン 海士起源であるが、冬季の凍結防止剤による場合もある。. 2)硫酸イオン 主に化石燃料の燃焼により生じる硫黄酸化物が酸化されて、硫酸 一44一.
(50) 0. .20. 60. 40. 80. 100. 120. 「140. 160. 180. 200. イオン濫度/μequivじ1. ssCa2→. 陽イオン. ___⊥_____一___一__L___【 。. 20. 40. 60. 80. 100. 120. 140. イオン濃度/μequiv L−1. 図3−3−3b雨水の平均イオン組成. 一45・. 160. 180. 200.
(51) として生成される。主な発生源は発電所・大規模工場などがある。カ ルシウムイオン同様、海水中にふくまれているので、海塩起源(ss)と. 非海塩起源(nSS)に分けて考える。現在、南海塩硫酸の多くは、東ア ジアからの越境汚染と考えられている。. 3)硝酸イオン 河川水と同様であるが、おもな発生源は、自動車や船舶などのディ ーゼル機関である。その多くは、日本国内の発生と考えられるが、近 年、冬季の日本海側地域では、東アジアからの越境汚染の可能性も指 摘されている。. 4)ナトリウムイオン 海塩起源物質である。他のイオンを海塩起源(SS)と非海塩起源(nSS). に分ける基準物質に用いられる。 5)カリウムイオン. カリウムイオンは、植物体に多く含まれている成分であるため、植 物を燃焼させたときの粒子状物質を取り込んだ雨や、木の葉や幹を伝 わってくる雨、すなわち林内濠や樹幹流には多量に含まれる。しかし、 一般的には、濃度は低い。 6)アンモニウムイオン. アンモニアが溶け込んだものであり、肥料や家畜などの排泄物など 人為的な汚染によるものが多いが、硫酸アンモニウムの形で、雲の凝 結核になって、雨雲と共にもたらされるものも多い。 7)マグネシウムイオン. 一塩起源物質である。 8)カルシウムイオン. 土壌やコンクリートに多く含まれているため、道路粉塵がその起源 となる。また、冬季の凍結防止剤にもふくまれそいる。さらに黄砂と して大陸から飛来する場合もある。海水中にふくまれているので、海 塩起源(ss)と非海商起源(nss)に分けて考える。. 一46一.
(52) 3.3.4河川水の経月変化について. ・pH. 河川水の全調査地点の2000年7月から2001年7.月までのpHの経月 変化を図3−3−4a、3+4bに示す。安曇川本流の4地点(1、2、3、4) を図3−3−4aに、それ以外の2地点(5、6)を図3−3−4bに示した。図3−3−4a. より、最もpHの高い地点は、最も上流側の地点4で、2000年8.月∼9. 月の高い時期はpH=7.4前後で、2000年11月から2001年2月にかけ ての低い時期でもpH=7.1前後であった。また、最もpHの低し,・地点は. 下流側の地点1で、比較的pHの高い時期でも、 pH=7.0前後になり、. 2000年11月から2001年2,月にかけては、pH=6.6程度まで低下した。. このように、上流部(地点4)はpHが高く、下流に行くにつれてpHは 低下した。また、冬季(20ρ0年11,月から20001年2,月)は、全地点で. pHが低下した。2001年6月にも多少低下するが、7月には、全地点で 前年度程度に回復する傾向がみられた。. また、図3−3−4bに示した、渓流の地点5と支流の地点6でも、安曇. 川の本流地点と同様に、冬季の2001年2月に最も低下しているが、安 曇川本流よりもpHの明確な季節変動は少なかった。. 一47・.
(53) 一《}一地点1+地点2. 7.5. オー地点3十地点4 : 7,3. ご. 玉7ゆ. 。 /. 6.8. 安曇川本流 6.5. 月(2000年7月∼2001年7月). 図3−3−4a安曇川河川水・各地点のpHの経回変化 7.5. →←地点5. 一地点6 7。3. ∴/. 一/.. 丑乳。. 〆/・「. ∵ i 6.8. 渓流・支流 6.5. 月(2000年7月∼2001年7月). 図3−3−4b安曇川河川水・各地点のpHの経月変化. ・48一.
(54) ・主要イオン種. 河川水の2000年7月から2001年7月までの主要イオン種の濃度の 経月変化を図3−3−5a∼3−3−5gに示す。 [塩化物イオン(Cl一)]. 図3−3−5a1の塩化物イオン濃度は、各地点とも20QO年12,月から2001. 年3月の冬季に増加する傾向がみられた。安曇川本流の調査地点の地 点1∼4をみると上流(地点4)から河口(地点1)にかけて濃度が高くな. つた。しかし、図3−3−5a2の地点5、6は、冬季の増加があまりみら れなかった。 [ナトリウムイオン(Naり]. 図3−3−5b1のナトリウムイオン濃度も塩化物イオンほどではないが、 やはり冬季に増加がみられた。しかし、図3−3−5b2の地点5、6は、 冬季の増加があまりみられなかった。. 一49・.
(55) +地点1+地点2. 250. 250. +地点1+地点2. 一地点・一三1 200. o. 200. L. L. 喜15。. ・彗150. 9. ミ. ミr 遡100. 饗100. δ. £50. 騨. 50. Na+:安曇川本流. cr:安曇川本流 0. 0. 7891011121234567. 図3沼一5b1安曇川・各地点のナトリウムイオンの経月変化. 図3−3−5a1安曇川・各地点の塩化物イオンの経月変化. ふ. 7891011121234567 月(2000年7月∼2001年7月). 月(2000年7月∼2001年7月). 『. 250. 250. /\ ♂. 200. 200. L. L. 以\、. ξ150. ・彗150. 9. 9. ミ. ミ. 遡100. 也臼00 騨・. 舞. δ. 芝. 50. LCI㌦渓流、支流. 騨地点5. 」. 50 Na+:渓流、支流. 0. 0. ’78910叢重{21234567 月(2000年7月∼2001年7月) 図3−3−5a2安曇川・各地点の塩化物イオンの経月変化. 一一地点6. 7891011121234567 月(2000年7月∼2001年7月). 図3−3−5b2安曇川・各地点のナト1乃ムイオンの経月変化.
(56) [硫酸イオン(SO42一)]. 図3−3−5c1に示した硫酸イオン濃度については、大きな季節変化は. みられないが、安曇川本流の調査地点の地点1∼4の中で、地点4が 特に濃度が高かった。上流(地点4)から河口(地点1)にかけて濃度が. 低くなった。図3−3−5c2ゐ別河川である地点5と地点6の濃度は、本 流の4つの地点の濃度が、100μequivじ1程度に対して、50μequiv L}1. 程度と低かった。特に、地点5の濃度が低かった。 [硝酸イオン(NO3り]. 図3−3−5d1の硝酸イオン濃度は、特に季節的な変化はみられないが、 上流(地点4)から河口(地点1)にかけて濃度が高くなった。図3−3−5d2. の別河川である地点5と地点6は、本流の4つの地点と比較して濃度 が高くなった。. 一51・.
(57) 180. 50 150. L. +地点1+地点2. F 40 繊. 曇,。. o. べ. ξ. o. ミ 鑓・・. の 30. so42一 ツ曇川本流. 一{ト地点1. +地点2. 一幽一地点3. {地点4. 重1。. 、. 響. NO3一:安曇川本流. 0. 0. 7891011121…三34567. 789肇01壌121234567 月(2000年7月∼200壌年7月). 月(2000年7月∼200唾年7月). 図3−3−5c1安曇川・各地点の硫酸イオンの二月変化. 図3−3−5d1安曇川・各地点の硝酸イオンの経月変化. 甲. 50. 180 →←地点5. 150. 齟n点6. L. →←地点5. L40. 鼈. 一. n点6. 喜3。. ・彗120. 9. ミ. ミgo. 鑓・・. 騨60. 重. 誉. 30. へ. 冨30. 讐・・. ふ. {地点3+地点4. ]. ξ120. 選. 筆0. NO3㌦渓流、支流. SO、社渓流、支流. 0.. .. 0. 789101112霊234567 月(2000年7月∼2001年7月) 図3−3−5c2安曇川・各地点の硫酸イオンの経月変化. 789・1011121234567 月(2000年7月∼2001年7月). 図3−3−5d2安曇川・各地点の硝酸イオンの経月変化.
(58) [カルシウムイオン(Ca2÷)]. 図3−3−5e1の本流のカルシウムイオン濃度は、2001年2月∼3,月の. 冬季に低下した。安曇川本流の調査地点の地点1∼4をみると上流(地 点4)から河口(地点1)にかけて濃度が低くなった。図3−3−5e2の地点. 5と地点6の濃度は、本流の4っの地点と比較して低く、冬季の低下 も少なかった。 [マグネシウムイオン(血g2+)]. 図3−3−5f1のマグネシウムイオン濃度もカルシウムイオンと同傾向. で、2001年2月∼3月の冬季に低下した。図3+5f2の別河川の地点 5は、夏季に本流の4つの地点が120μequiv L−1であるのに対して、 60μequiv L『1と特に濃度が低かった。. 一53一.
(59) +地点1+地点2. 160. 400. +地点1 +地点2. 齬H一地点3一→一十点4. {塘点3 一◆一一地点4. 』300. 馳、. r. §. 鉄. L120 書. 豪. 9. @. 趣. ミ80. 蝉. 蝉. 巻100. 聖40. ミ200. Mg2+・安曇川本流. Ca2+:安曇川本流 0. 0. 7 8 9. 789101遷121234567. 10. 月(2000年7月∼2001年7月). よ 腎. }. 11 12. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 月(2000年7月∼2001年7月). 図3−3−5e1安曇川・各地点のカ1レシウムイオンの経月変化. 図3−3−5f1安曇川・各地点のマグネシウムイオンの経月変. 化 160. 400. 一■三茎点,. 豪300. L120. 一. ・毒. 9. §. ミ80. 蔓200. 趣. 一一__ノー !. 撃. ’. 蝉. 声40. 8100 Ca2㌔渓流、支流. → ・0. 0. 78910雲112笠234567 月(2000年7月∼2001年7月). .図3−3−5e2安曇川・各地点のカルシウムイオンの経月変化. →←地点5 M忌2+、渓流.支流. 鼈齟n点6. 、. 7891011121234567 月(2000年7月∼2001年7月). 図3−3−5f2安曇川・各地点のマグネシウムイオンの経月変. 化.
(60) [カリウムイオン(K+)]. 図3−3−591のカリウムイオン濃度は、2000年12,月∼2001年3,月ま. の での冬季に低下した。また、地点1で濃度が高いものの、全体として は、地点間の差は少なかった。 [炭酸水素イオン(HCO3り]. 図3−3−5h1の炭酸水素イオン濃度は、2001年1.月∼3.月の冬季に低 下した。他のイオン種と比較して、夏季に400μequiv L−1近くまで増 加するが、冬季は200μequiv L−1まで低下し、最も濃度の季節変動が. 大きいイオン種であった。また、地点3、地点4の上流部の濃度が高 かったp図3−3−5h2の別河川である地点5は本流の4っの地点と比較 して、濃度は低く、季節変動も少なかった。. 一55・.
(61) 600. 50 40. 500. o. L. L. ・彗30. ξ400. 9. ム. 9 ミ. \300. 蟹20. 騨. 6200. 蝉. +地点1+地点2. 10. 齧m地点3+地点4. 789101112 輪 廓3−3−5即. ?. {地点3+地点4. 100 HCO3一 ∴タ曇川本流. 0 1 2 3 4 5 6 7. 7 8 9. 〈20GO年7月∼2001年7月). ふ. +地点1+地点2. 呈. K+=安曇川本流. 0. /. 1011121234567 月(2000年7月∼2001年7月). 安曇川・各地点のカリウムイオンの経月変化. 図3−3。5h1安曇川・各地点の炭酸水素イオンの臨月. 600. 50. 変化. 500. →←地点5. L. 40. L. │−一. ・言400. n点6. 量. 言30. 9. 感300. ミ. 讐…. 遡20. 鱒. →←一地点5. 10 K+:渓流、支流. 宝100. 一一 n点6. HCO3}:渓流、支流. 0. 0 月(2000年7月∼2001年7月). 図3−3−592安曇川・各地点の加ウムイオンの経月変化. 7891011121234567 月(2000年7月∼2001年7月). 図3−3−5h2安曇川・各地点の炭酸水素イオンの経月 変化.
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