4000
㍗ 3000 ξ
§2。。。
面
環1000
o
10◎0
4.3,8主要イオンの推定流出量について
4.3.6、4.3.7のことから、ふれあいの里において、主要イオン種間で、
積雪からの時間ごとの流出量にどのような違いがあるか、積雪の沈着量及 び同時期の降水の沈着量を用いて、図4−3−11のような方法で、各イオン 種の積雪中からの流出量(率)を推定した。これは、2月3日から3.月17 日までの週ごとの積雪から積雪水量を求め、各イオン種の積雪での沈着量 を、同時期の降水(雪)量から降水(雪)による沈着量を算出した。なお、積 雪水量は、積雪の密度と積雪深から算出した。流出率が1に近い場合は、
流出量速度が速く、積雪中から流出しやすい。0に近い場合、流出速度は 遅く積雪中にとどまりやすいと判断した。.
一123一
降 雪(含乾性降下物)
b
i灘iiii藝i薯…i…
霧第笏第擁笏.
擁。流 出 c
a1, a2:積雪水量から求めた沈着量
b:a1の積雪からa2の積雪までの期間の降水量から求めた沈着量 c:a1の積雪からa2の積雪までの期間の流出量(c=a1+b−a2)
と仮定すると、流出率は以下のようにして求められる。
流出率 = C/(a1+b)
図4−3−11積雪中からのイオンの流出率の推定方法
・124一
この結果、図4−3−12のように、硝酸イオン(NO3一)と非海塩硫酸イオン
(nssSO42一)は流出率が0.85以上で、他と比較して高かった。次に、海塩硫 酸イオン、塩化物イオシ、ナトリウムイオン、海塩カルシウムイオンで、
流出率は、0.8であった。また、アンモニウムイオン、カリウムイオン、
非海塩カルシウムイオン(nssCa2+)は、0.75と低かった。ただ、水素イオン だけは、流出率の変動幅が大きく判断が難しい。
以上のことから、積雪中からのイオンの流出は、イオン種間で流出速度 に差が認められる。また、その流出過程は、初期に硝酸イオンや非海塩硫 酸イオン等の酸性化物質が流出し、次に、塩化物イオンやナトリウムイオ ンなどの海塩物質が流出するように思われる。アンモニウムイオンや非海 塩カルシウムイオンなどのアルカリ性物質は、流出速度が遅く最後に流出 すると考えられる。
一125巳
∴
ま 爆
1.0
0,9
0.8
0.7
0.6
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,一.○一一.∴一一一一.一..L.F.一『一
〇 〇
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○
○ : l l :
…[コ
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: 1
: 0 : 0
・ ○
nssSO42 NO、, ssSO42 Cl N・・ssCa2+Mg2+NH4+K+・ssCa2+H+
図4−3−12各イオンの積雪からの流出率
流 出 速 度 大
流 出 速 度 小
4.3.9連続融水分析について
4.3.8の結果を受けて、採取した一定量の積雪を実験室にて自然融解さ せ、流出する主要イオン種の濃度の比率を算出した。実験をおこなった積 雪試料は、以下の地域の積雪を使用した。
・栃ノ木峠(滋賀県余呉町)、採取日2001年1.月22日、採取量 500g ・蛇谷ヶ峰(滋賀県朽木村)、採取日2001年3,月3日、i採取量 500g ・木戸峠(滋賀県志賀町)、採取日2001年3.月8日、採取量5009
積雪試料は、できる限り降雪直後のもので、乾性降下物等の影響の少な い上部層のものを採取した。また、実験室までの運搬、保存には、融解が 進まないように、クーラーボックスを利用した。
実験室では、超純水で洗浄した大型ロートとメスシリンダーを使い、室温 状態で自然融解させた積雪融水を50m1つっ分取した。この分取した積雪雨 水をろ過後、pH、 ECを測定し主要イオン濃度をイオンクロマトグラフで測
定した。
pH、 ECの変動を図4−3−13a、4−3−13bに示す。図4−3−13aの栃ノ木品の 場合、初期の融水(分取融水の番号1)は、pH=4.8であったが、以降融解が 進むにつれて上昇し、最終の融水(分取融水の番号10)では、pH;5.6とな つた。また、ECは、初期の融水(分取浸水の番号1)は、60μS cm−1であっ たが、以降融解が進むにつれて減少し、最終の融水(分取融水の番号10)
では、ほぼ0μScm−1に近づく。いずれの地点も融解が進むとともにpHは 上昇しpH=5.6前後に近づき、 ECが低下していくことから積雪中のイオン が急速に流出していることがわかる。
一127・
直 鵠
5.8
5.6
5。4
モ52
5.O
4.8
4.6
60 50 T 40
§
ミω30 畠20
書0
0
1 2 3 4 5 6 分取融水
7 8 9 10
モ
5.9
5.8
5.7
5.6
5.5
5.4
20
15
T
§
ω10ミ 盆
5
1 2 3 4 5 6 7 8 9 分取融水
一σ\o、
〉《) 0
分取融水 分取融水 図4−3−13a積雪の連続融水中のpH,ECの変化
分取融水の番号は、融水初期(1)から後期(9,10)の番号を示す。
山 陰
5.8
5.6
5,4
モ5.2
5、0
4.8
4.6
40 35 30
1ε25
む
の20ミ 箔15 10
5
1 2 3 4 5 6 7 8 9 分取融水
0
123456789
分取融水
図4−3−13b積雪の連続融水中のpH,ECの変化
分取融水の番号は、融水初期(Dから後期(9,10)の番号を示す。
主要イオンの積雪からの流出については、図4−3−14a1〜4−3−14c2に示 す。縦軸は、採取積雪試料500g中からの各イオンの全流出量に対する流 出開始からの積算流出量の比、横軸は、採取積雪試料500gの全融水量に 対する積算融水量の比である。図は、一定量の積雪の融解時に、そこに含 まれる各イオン成分がどれだけ流出したか、その過程(速度)を比較検討し たものである。
蛇谷ヶ峰の結果をみると、流出速度に顕著な差異が認められるのは、図 4−3−14a1の陰イオンでは、亜硝酸イオン(NO2 )の流出速度が遅いこと、図 4−3−14a1の陽イオンでは、アンモニウムイオン(NH4+)の流出速度が遅いこ
とがあげられる。さらに、細部を比較すると他のイオン種間においても、
流出速度に差が認められた。陰イオンでは、硝酸イオン、非海塩硫酸イオ ン(nssSO42一)は流出が速く、塩化物イオンや海塩硫酸イオン(ssSO42りで流出 が遅い。陽イオンでは、ナトリウムイオン、カリウムイオンは流出が速く、
アンモニウムイオン、温海塩カルシウムイオンの流出が遅かった。図
4−3−14b1、2の栃ノ漏出では、陰イオンでは、非天塩硫酸イオン(nssSO42一)
は流出が速いが、硝酸イオンはやや遅く、陽イオンでは、非海塩カルシウ ムイオンが最も流出が遅かった。図4−3−14c1、2の木戸峠では、陰イオン は、蛇谷ヶ峰とほぼ同じだが、陽イオンは、非海鳥カルシウムイオンの流 出が比較的速くなった。このように積雪試料を採取した地点により多少の 差があるものの、4.3.8でおこなった流出率の推定ともほぼ一致している。
また、大半のイオン種は、全積雪試料の40%の融解で、総イオン量の80%
程度の流出が認められた。
一130
100
80 ま\ 劇 λ 60 ヤ
淋 40繹
20
0
×NO3脚
▼nssSO42騨
ocr
◇ssSO42一 凹NO2,
Ioo
ノ 〆
ノ ノ
ノ 〆
匿
! ノ
/
/
NO3鱒
/
! 獅
!
/
/
芦一遍}一…瞳
, nssSO42帽
,!@ 80
ssSO 2一
60 C1
80
!
0
100
20
図4−3一14a1
nssSO42禰竄mO3幽 の流出が速い。
40 60 80 積算融水量/%
連続融水中の陰イオンの流出比(渋谷ケ峰)
80
ま\
ハ 60
鰍 40
20
0 十H+
▽Mg2←
●Na+
△ssCa2+
xK+
◆nssCa2+
■NH4+
、
げ
oo
Mg2+
60
NH4+
nssCa2+
0 20 40 60 積算融水量/騰
80
げやMg2+の流出が 速い。nssCa2+(黄砂)
の流出が遅い。
図4−3−14a2連続融水中の陽イオンの流出比(蛇谷ケ峰)「
一131一
ヌ\ 咽 ハ
ヤ 一 一
100
80
60
40
20
0
2一
▼nssSO4
0cr
◇ssSO、2甲 XNO3曹
■NO2層
!
!
頭
ノ 〆
! ノ
〆
!
!
戸
ノ
/
!
/
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/
/井
,臨
/
凋卜
,瓢
!
刀ピ
0 20 40 60 80 100
積算融水量/%
図4−3−14b1連続融水中の陰イオンの流出比(栃ノ木峠)
\ 咽 λ
ヤ 100
80
60
40
20
0
▽Mg2←
●Na+
△ssCa2φ XK+
十H+
■NH4+
◆nssCa2+
0 20 40 60 80 100
積算融水量/%
図4−3−14b2連続融水中の陽イオンの流出比(栃ノ木峠)
一132一
100
80
ま\ 劇
ハ 60
ヤ 碧
40
20
0
▼nssSO42−
XNO3一
◇ssSO42噌
OCr
■村02申
! ノ
! ノ
麺
!
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/
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臓一一畳一一一一一一一{i
〆
r ノ
!
!
〆
願!
!
! ノ
!
騨
!
/ ノ
0 20 40 60 80 100
積算融水量/%
図4−3−14c1連続融水中の陰イオンの流出比(木戸峠)
1◎0
ヌ\ 噸 λ
ヤ
80
60
40
20
0
▽Mg2+
△ssCa2+
●討a+
◆nssCa2+
XK+
十H+
■NH4+
0 20 40 60 80 100
積算融水量/%
図4−3−14c2連続融水中の陽イオンの流出比(木戸峠)
一133
本調査地域は、降雪はあるが比較的温暖な地域であり、降雪直後より融 解が始まるものと思われる。従って、図4−3−15に示すように、早春や気 温の上昇した時期に一気に高濃度のイオンが流出するのではなく、冬季の 積雪中のイオンは、降雪直後より連続的に流出しているものと思われる。
この時の、、各イオン種の流出は、硝酸イオンや雪占塩硫酸イオンは初期に 流出し、非海塩カルシウムイオン、アンモニウムイオンは流出が遅く、融 雪後期まで積雪中に残っているのではないかと考えられる。この積雪中の イオン種間の流出速度の違いの原因については、地域的な特性を反映した ものか、化学的な要因によるものかは不明だが、今後、さらに詳細な調査 や他地域との比較検討が必要である。
これまで、高緯度寒冷地域では、春の融雪初期に積雪中から高濃度のイ オンが流出し、特定イオンにおいて、流出速度に明確な差があることが報 告されている。日本の場合、北海道などの中緯度寒冷地域では、初冬の積 雪初期に気温の上昇を受けると、融雪水量の増加と高濃度のイオン流出が 起こることが報告されている。しかし、イオン種間の流出速度の差異につ いては明確になっていない。また、実験室で融解させた場合と野外でライ
シメーターを使った自然融解の場合でもその結果は多少異なる。37)・38)・39)・40)
一般に、積雪は、融解・凍結を繰り返しながら結晶成長し、ザラメ雪に 変化する。この過程で、雪粒表面に高濃度の不純物が濃縮されると予想さ れる。融雪は雪融の外側から始まるため、融雪初期に高濃度のイオンが流 出するとされている。(Acid shock)ところが、伏見らは、本県のような温 暖な積雪地では、冬季に融解・凍結が繰り返されることから、雪の結晶内 部の酸性化物質の分布特性を明らかにすることにより、不純物(酸性化物 質)が漏壷内部まで分布する可能性が高いことを報告している。41)つまり、
温暖な地域では、酸性化物質が比較的融雪後期まで流出し続ける可能性を 示唆している。以上のようなことから、積雪中からのイオンの流出は地域 的な特性とともに、雪の物理的な構造と大きく関わっている。
・134一