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島 鱒

5.2調査結果の教材化と環境教育プログラム

  本研究の各調査結果を環境教育に生かす地域教材として活用するために  その検討と環境教育プログラムの試案を作成した。検討にあたっては、こ  れまでの本県での環境教育の実践を踏まえて、琵琶湖を中心とした水環境  の学習を、河川水、雨水、雪といった地球規模の大気・詠め循環を視野に  入れておこなうことにした。

(1) 調査結果から活用でぎる教材

  本研究の調査から活用できる教材は、中学校教育において活用できる  内容とし、以下の2つの点とした。

 ・調査データの活用

   滋賀県に関する酸1生心や河川水質に関するデータは、県衛生環境セ   ンターが調査分析したデータを蓄積している。学校で活用するには、

  それらのデータを生徒が理解できる内容に整理しなおすことが必要で   ある。また、県衛生環境センターは、県内をくまなく調査しているの   ではなくその代表的な地域のみである。特に、滋賀県北西部の地域に   おける河川水質や雨水の動態にいての年間を通した記録は少ない。ま   た、積雪の化学組成についても、その記録はあまりない。この地域の   生徒が、pH、 EC等の河川水質の調査をする場合の目安として、今回の   調査のデータが活用できる。

 ・調査手法の活用

   酸1生雨や降雪が河川水にどのように影響するかを、本研究でおこな   つたような高度な分析機器がなくても、簡易機器を活用することで、

  おおよその傾向が把握できる。(写真5−2−1、写真5−2−2)

   pH、電気伝導度、炭酸水素イオン濃度、これらの3項目を降水と河  川水について測定することで、pH、電気伝導度、炭酸水素イオン濃度   がどのように関わっているかを、また、その季節的な変化を把握する   ことができる。

   [pH]・・簡易pHメーター …  水質の特性

   [EC]・・簡易電気伝導度計 …  大まかな溶存イオン量の推定

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写真5−2。1簡易測定器具

糖.

喉蓼r・

簡易pH計、 EC計(左下)と滴定による炭酸水素イオン濃度の測定

写真5−2−2 測定方法を学ぶ中学生

・潮

.輝〆

大津市立真野中学校における3年生選択理科での環境学習の様子である。

外部講師を招聰して、水質測定の方法を学習した。(1999年11,月4日)

 この詳細については、付録(2)に記した。

・140一

[炭酸水素イオン濃度]・・滴定による炭酸水素イオン濃度の測定          …  酸性化に対する緩衝力(河川水について)

(2) 環;境教育プログラム

  中学校における、大気・水環境に関わる環境教育プログラム試案を表  5−2−1に示す。なお、より詳細な指導案として、以前に中学校の選択理  科で実施した同様の内容の学習指導案を付録(2)に添付した。

  環境に関わる学習は、自然界の理解にとどまらず社会的な事象も含ま  れ多岐にわたる。このため学校教育の限られた時間の中で、生徒に十分  な体験や活動を確保しながら実施していくには、焦点を絞る必要がある。

 この試案では、水に関わる身近な観察実験:の中から、酸性雨や大気環境  の汚染についての理解を深めるようにした。

  この試案作成にあたっては、以下の点に配慮した。

(ア) いろいろな器具を操作したり、薬品を取り扱ったり、できるだけ多    くのものを測定し、体験をつませる。−

(イ)短期間の調査で終わることなく、できれば1年間継続させる工夫を

   する。

(ウ)調査データの精度の確保のための工夫が必要である。例えば、降水    の採水の精度を保っため、本調査で使用したような、ポリバケツに    ポリエチレンの袋(幅350㎜、長さ450㎜)をつけると回収が容易で    不純物等の混入が避けられる。

(エ) このプログラムは、選択教科の中の1つの分野と考えて、4月当初に、

   応用編まで終わり、具体的な調査は、月1回として、その遠聞は別    の内容でおこない。2月ぐらいにまとめの発展編をおこなう等、学習    展開の組み合わせを工夫するとよい。

(オ)調査のテーマには、適した時期と期間がある。たとえば、夏季はマ   ツの気孔調査、冬季は雪の調査などが適している。しかし、降水と河   川水は年間を通しての調査が必要である。 このため、採水と測定を当   番制にナる等、調査を継続させるための工夫が必要である。

(カ)他地域の学校と共通の調査をおこなったり、博物館や大学などの資

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表5−2−1 環境教育プログラム(中学校)

    大気と水環境 〜酸性雨・身近な自然から地球環境問題を考える〜

 対象学年:第3学年

 該当教科:選択教科(理科・社会科)

 配当時間:35時間程度(前・後期制よりも年間を通した実施が望ましい。)

○オリエンテーション 水を調べよう

液体の違いを比べる方法 調べる器具・薬品について 簡易メーターを使って

酸性雨について学ぼう 酸性雨とは何?

なぜ酸性雨が降るの?

酸性雨の影響は?

どんな方法で調べるの?

地域の自然を調べてみよう どんなことが調べられるか どんな方法で調べられるか どこで調べられるか どんなことがわかるか 地域に出てみよう 調査の準備をしよう 結果をまとめよう

今後どうなるか考えてみよう 参考になる資料を集めよう 資料を整理しよう

みんなで話し合ってみよう 考えをまとめよう

学習の進め方を知る。

・既習事項から、液体(水溶液〉を調べる方法を 想起し、実際におこなう。

(手触り・におい・色他)…  五感

(体積・質量・密度他)…  物理的

(リトマス紙・BTB溶液等)…  化学的

・簡易pHメーター、 EC計の操作を習得し、

いろいろなものを測定してみる。

できるだけ、身近なものをたくさ ん測定し、操作に慣れる。

・ビデオや資料を使って学習する。

・「水を調べよう」で使ったもので測定できる か試す。また、その時の注意事項を知る。

・地域で調査できることを考える。

降水・河川水・池の水質、雪、浮遊煤塵、

マツの気孔・ゴミの燃焼で出てくる気体、

自動車の排気ガス・他

・調査計画と準備

(滴定操作の習得)

課題選択で、継続的に調 査すること。

・コンピュータ等の活用

・自分たちで調べたことと比較できるように資  料を整理する。

・滋賀県、日本の実態をつかみ、世界全体まで  広げる。

・みんなの前で発表したり、地域の公民館など  にポスター掲示できるようにまとめる。

気象や地形、工場などの土地 利用など、広い分野、他教科 に広げていく。

・142・

料や設備を利用するなど、広範囲の連携を工夫することで、生徒の興 味・関心を高め、調査の内容がより発展できる。

5.3 これからの環境教育の展開

  現在の学校では、不登校、校内暴力等、以前の学校の荒廃が再燃しつつあ  る。社会の豊かさに反比例するかのように増加している。子供たちには、物  質的な豊かさが必ずしも精神的な豊かさにつながっていないことは多くの指  摘の通りであり、目標や生きがいを見失ってしまった状況にある。このこと  は、子供社会だけでなく、大人社会も同様である。以前には例を見ない陰湿・

 悪質な犯罪等が増加したり、家族関係の崩壊といった社会全体の問題として  捉えられる。これらの背景には、経済第一主義で物質的な豊かさのみを追求  してきたつけがきたように考えられる。現在では、バブル経済崩壊以降、多  くの企業でリストラが行われ、社会全体が将来の目標を見失った状況にある。

  かつて、朝日新聞のアンケート(1997年6月21目朝刊18、19面)「地球環  境世論調査」において、これからの世界で不安に感じることの第1位に「地  球環境の悪化」(43%)をあげており、さらに、これからの日本の方向性とし  て、これまでの技術立国より環境立国を目指すべきだという割合が多数を占  めていた。このことは、「地球環境問題への取り組み」をこれからの日本の目

指す1っの方向性とすべきであることを示している。大人社会がしっかりし  た将来への目標を持つことは、子供たちの精神的な豊かさを育むことにつな  がり、将来への明確な目標と社会へ貢献することでの自己の存在意義を減た  せることになる。      、

  現在、「地球環境問題」は待ったなしの状態にきている。困難ではあるが解  決に向けて具体的な行動が必要である。多くの子供たち、若者たちが研究・

 実践に関わることで、将来に対する明確な目標と生きがいが持てるのではな  いか。環境教育は、体験や感性をとおした自然認識や一定レベルの自然環境  に閉る知識理解も必要であるが、一方では、こうした解決に向けての具体的  な実践をおこなうことで、将来の方向性や生きがい等、精神的な豊かさを育  むこともできると考える。定方は(2000年)はその著書の中で「・・私の周辺  の学生を見ても、将来環境の仕事をしたいという学生がじつに多い。」と述べ、

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