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4 .中期的には再び労働力不足に直面 する公算大

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に転じるわけではない。ただ、今回の雇用情 勢悪化の主因である製造業の雇用調整圧力が 低下するだけでも雇用全体へのプラス効果は 大きい。

 全体の雇用者数は、09年6月に底を打った と考えられるが、当面は製造業の雇用減少が 続く公算が大きく、調整一巡とまでは言い切 れない。今年度下期の雇用者数の動きは、過 去2回の底打ち後と同様に、下限を切り上げ つつも一進一退で推移しよう。雇用者数が回 復の勢いを取り戻すのは、製造業の雇用調整 が一巡する10年度と予想される。

4 .中期的には再び労働力不足に直面

口(就業者+失業者)の比率)を計算すると、

男性の場合、定年退職を迎える60歳を境に 急速に低下していく。59歳で90.0%だった労 働力率は、65歳で58.3%、70歳で38.8%へ低 下する(図表17)。60歳到達後は、徐々に職 を退き、年金生活に入っていくということで ある。団塊世代は、現時点では嘱託職員など の形で雇用関係を維持しているケースが少な くないとみられるが、労働市場からの退出者 は、今後、着実に増えていく見通しである。

 団塊世代は、労働力のボリュームゾーンで あるだけに、今後の労働市場に与える影響は 非常に大きい。労働力の供給量を示す労働力 人口(就業者と失業者の合計)は、98年の 6,793万人をピークに減少傾向にあるが、団 塊 世 代 が65歳 に 達 す る2012年 以 降、 減 少 ペースが加速すると予想される。90年代後

半からの雇用環境の悪化で非労働力化した離 職者が、14年(団塊世代のすべてが65歳に 達する年)までに労働市場へ復帰するとの前 (注)5をおいても、労働力人口は、10年後の 2018年 に6,377万 人、08年 比 で273万 人 減 少 すると試算される(図表18)。ちなみに、こ の水準は00〜08年平均の就業者数(6,374万 人)とほぼ同じレベルである。団塊世代全員 が65歳に達する2014年頃からは、労働需給 が再びタイト化に向かう可能性が大きい。

(3 )高齢者や女性労働力の有効利用が不可欠  中長期的な労働力人口の減少が見込まれる が、高齢者や女性労働力を有効活用すること で、労働供給の減少をある程度緩和すること は可能である。実際、団塊世代も定年退職後 に嘱託やパートタイムなどの形で雇用関係を

(備考)05年国勢調査より作成

(歳)

(%)

労働力率 男性の労働力率 女性の労働力率 定年退職

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

50  55  60  65  70

図表17 50〜70歳の年齢別労働力率

6,200 6,300 6,400 6,500 6,600 6,700 6,800

90  92  94  96  98  00  02  04  06  08  10  12  14  16  18

(年)

(万人)

労働力人口

就業者数

失業者数

試算

図表18 労働力人口の将来試算

(備考)1.試算の前提は脚注5を参照

2.09年は1〜8月の前年同期比を乗じた推定値 3.総務省『労働力調査』などより試算

(注)5 .男女別・年齢別の労働力率は景気変動の影響で変化するが、中長期的には比較的安定していると考えられる。このため、

97年以降に大幅に低下した若年層(20〜24歳の男女合計)と男性(25〜64歳)の労働力率が、団塊世代のすべてが65歳に達 する14年までに97年の水準まで回復すると仮定した。なお、65歳以上の高齢者と女性の労働力率は横ばいと仮定した。

維持する傾向が強い。

 一方、女性労働力の活用については、潜在 的な就労意欲は高いものの、それを引き出し ていくためには課題が残る。総務省の労働力 調査(詳細集計)によると、女性の年齢階級 別労働力率は、出産・育児期にあたる30歳 代がその他の年代に比べて低くなるM字カー ブを描いている(図表19)。しかし、女性無 業者のうち就職を希望しているものの、育児 などの理由で仕事を続けられず求職活動を見 送っている者を労働力人口に加算すると、年 齢階級別の労働力率は全体に上方へシフトす るとともに、M字カーブもほぼ解消される。

この差は、潜在的な労働力と考えられ、その 数は08年で222万人、女性労働力人口(2,762 万人)の8.0%にあたる。単純計算では、潜在 的な女性労働力を引き出すことで、今後10 年間の労働力人口の減少分(273万人の減少)

の8割程度を補えることになる。

 足元では、不況の影響で労働需給が大幅に 緩和しており、潜在的な労働力を引き出す必 要性は小さいが、この間を利用して将来的な 労働力不足に備えた基盤整備を進めることが 求められる。女性労働力の有効活用には、出 産・育児と仕事を両立できる環境の整備が必 要であり、民主党が打ち出している保育所の待 機待ち解消策、具体的には小・中学校の空室 などを利用した保育所の増設や「保育ママ(注)6 の増員などの実現が期待される。また、「子 ども手当(中学卒業まで月額26,000円、10年 度は半額)」が支給されることになれば、料

金の高い民間の託児所を利用する道も開ける と考えられる。

(4 )派遣労働の過度な規制にはマイナスの 側面も

 一方、今回の雇用調整局面では非正規労働 者の解雇が相次ぎ、正社員との所得格差も問 題視されたことから、民主党の政権公約でも 掲げられたとおり、製造業派遣と仕事がある ときだけ働く登録型派遣の原則禁止や、最低 賃金の引上げ(全国平均1,000円)などが検 討されている。ただ、非正規雇用は女性や高 齢者を中心に多様な就労ニーズに対応できる といったメリットがある。実際、図表7でも みたように女性や高齢者の非正規労働の比率

(備考)1 .潜在的な労働力率は、無業者のうち就職を希望 しているものの、適当な仕事がない、家事・育児 で仕事を続けられないとの理由で求職活動を見 送っている女性を潜在的な労働力とみなし、その 数を労働力人口に加えて算出した。

2.総務省『労働力調査(詳細集計)』より作成 65.3 64.7

71.5 75.6 71.5

26.3 74.8

83.1

75.1 75.0 78.5 79.3 74.5 76.7 64.4

44.4 61.9

17.4 71.8

27.7 20.5

46.4

(歳)

(%)

15〜19 20〜24

25〜2930〜34

35〜3940〜4445〜4950〜54 55〜59 60〜6465〜69 08年の労働力率

潜在的労働力率

0 20 40 60 80 100

図表19 女性の年齢階級別労働力率

(注)6 .保育士、看護師、幼稚園教諭のほか、市町村が研修などで認定した人が乳幼児を自宅で預かる制度

は高い。企業サイドが低賃金で解雇が容易な 非正規労働者を求めてきたため、若年層を中 心にやむなく非正規雇用に甘んじている者も 少なくないが、製造業派遣の禁止や最低賃金 の引上げによって企業の海外シフトが加速 し、結果として就業機会が奪われる恐れがあ る。中長期的な労働供給を下支えするために も、多様な就業形態を維持し、潜在的な労働 力を引き出していく必要がある。製造業派遣

の原則禁止で、雇用の安定性が高まる効果も あろうが、非正規労働者の解雇リスクに対し ては、民主党が検討している求職者支援法案

(職業訓練中の求職者に生活費を支給する制 度)など、安全網を拡充することで対処すべ きである。非正規雇用の規制については、中 長期を含めた雇用全体へのメリット・デメ リットを十分検討したうえでの慎重な対応が 求められる。

〈参考文献〉

厚生労働省『厚生労働白書』(2009)

厚生労働省『労働経済白書』(2009)

内閣府「企業行動に関するアンケート調査」(2008、2009)

内閣府『年次経済財政報告』(2009)

(キーワード)  地域経済、地域別鉱工業生産、地域別輸出入、建設工事、公共工事請負金額、

有効求人倍率、完全失業率、家計消費指数、消費者態度指数、消費者物価指数

(要 旨)

 08年度の日本経済を振り返ると、上期は米国経済の減速や原燃料価格の高騰による企業のコ スト負担増で景気の悪化が続き、下期には9月のリーマン・ショックを契機とする世界同時不況 下で戦後最大級の景気後退に見舞われた。地域別の景況感も年度下期にかけて軒並み悪化した が、とりわけ、自動車など輸出産業の集積地で落込みが著しく、東海地方では経済環境が劇的に 変化した。自動車や電機メーカーなどの減産が雇用の急速な悪化をもたらし、地域経済を大きく 揺るがした。08年度の地域経済の動向を経済活動別にみてみると、以下のように要約できる。

1 .生産活動…リーマン・ショック後には、輸出の減少を主因に各地域とも軒並み大幅な減産に 追い込まれた。特に、輸送機械や電気機械の集積地で落込みが著しく、東海地方の生産が最も 落ち込んだ。ただ、在庫調整の進展などから、足元の生産活動は持ち直してきた。

2 .投資活動…設備投資は減少した地域が目立った。東海や北海道で鉄鋼、関東で自動車の大規 模な投資があったが、総じて自動車・電機・不動産などで投資計画を見直す動きが強まった。

ただ、近畿では薄型パネルやハイブリッド車関連などの工場建設が堅調であった。公共工事 は、景気対策によって09年1〜3月に増加した地域が多く、特に北海道・北陸・中国などで活 発化した。住宅投資は、07年度の建築確認の遅れによる反動増が期待されたが、景気の急速な 悪化を背景に低迷した。南関東など都市部では、マンションの落込みが顕著だった。

3 .雇用、個人消費…雇用情勢は08年度下期から急速に悪化し、有効求人倍率は過去最低の水準 で推移している。個人消費は09年1〜3月に大幅に悪化した地域が多く、特に自動車などの耐 久消費財の落込みが目立った。ただ、4〜6月には、定額給付金、エコカー減税、エコポイント 制度の導入、株価の上昇などで消費マインドが改善し、消費はやや持ち直した。

4 .金融動向…リーマン・ショック後には、資本市場の機能不全を背景に、大企業が銀行借入れ に対する依存度を強め、国内銀行の貸出残高が急増した。また、緊急保証制度の活用もあっ て、信用金庫の貸出も伸びが高まった。金融支援策の効果で倒産件数の増勢は一服している。

調

2008年度の地域経済の回顧

−リーマン・ショック後に大幅悪化も、年度末にかけては下げ止まり−

信金中央金庫 総合研究所主任研究員

ドキュメント内 ™…O瘻ムN-帯 (ページ 35-40)