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3 .雇用、個人消費 ― 雇用環境は歴史 的な悪化を示し、消費支出は低迷

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改正建築基準法の施行による着工遅延の反動 増が期待されたが、建築資材の高騰などを背 景としたマンション価格の高止まり、景気後 退や信用収縮などのマイナス要因が重なり、

前年比0.3%増とほぼ横ばいにとどまった。

GDPベースの実質住宅投資は、前年比3.1%

減と07年度から一段と落ち込んでいる。08 年度に着工戸数が前年度の水準を上回ったの は、南関東、九州・沖縄、東海だけとなった

(図表16)。 し か も、08年7〜9月 に、 南 関 東 が 前 年 比60.3% 増、 九 州・ 沖 縄 が 同49.7%

増、 近 畿 が 同35.4% 増、 北 海 道 が 同34.4%

増、北関東・甲信越や東海が約30%増とい う極めて高い増加率に達するなど、前年の大 幅な落込みによる反動増が下支えした側面が 強い。世界同時不況の影響で、09年に入っ てからはすべての地域で前年の水準を下回っ ており、北海道は1〜3月に、東海は4〜6月 に、建築確認業務が滞った07年7〜9月を上

回る減少率を記録した。とりわけ、南関東な どの都市部では、分譲住宅の減少が著しい。

マンション在庫の積上がりや銀行のマンショ ン開発資金融資の慎重化などによるデベロッ パーの資金繰り難などで、着工を抑制する動 きが強まった。足元ではマンション在庫は減 少に転じており、マンション価格の下落や住 宅ローン減税制度の延長・拡充といった明る い材料も見受けられる。しかし、雇用・所得 環境は悪化が続いており、マンション在庫の 調整局面が長引く恐れもある。当面、住宅投 資は低水準にとどまる公算が大きい。

3 .雇用、個人消費

雇用環境は歴史

0.52倍と半分近くの水準にまで低下した。足 元でも、過去最低水準で推移している。

 有効求人倍率を地域別にみると、景気回復 期に労働需給がひっ迫した地域の低下が著し い。例えば、東海は、08年3月には1.50倍だっ たのが、1年後には0.54倍と3分の1近くの水 準にまで低下、北陸も1.17倍から0.53倍へと 大幅に悪化した(図表17)。都道府県間にお ける有効求人倍率のバラツキ度合いを変動係 数(標準偏差÷平均、数値が高いとバラツキ が大きい)という指標でみると、直近のピー クである08年1月の0.330から、09年6月には 0.208と過去最低の水準にまで低下した。有 効求人倍率が高かった地域が、低い地域の水 準に収斂することで地域間格差が縮小してい る。ただ、足元では、景気の持直しや政策効 果の浸透とともに有効求人倍率が下げ止まり つつある。09年6月には、北海道、東北、北 関東・甲信越、北陸、九州・沖縄で前月より 上昇ないし横ばいの水準となり、雇用環境の

悪化に歯止めがかかる兆しもうかがえる。

 完全失業率もリーマン・ショック以降は急 速に悪化している。全国の完全失業率(季節 調整値)は、08年度上期はおおむね4%前後 の推移が続いたが、08年12月から上昇基調 を強め、09年3月には4.8%に悪化した。失業 率は景気に遅行する傾向があるため、09年 度に入っても上昇しており、7月には過去最 悪となる5.7%に達した。地域別に完全失業 率(原数値)をみると、東北と中国は09年1

〜3月に前年同期より1.0%ポイント、東海は 0.9%ポイント上昇するなど、悪化が顕著で あった。信金中金総合研究所による季節調整 値でみると、東海、北陸、北関東・甲信で 09年4〜6月に急激に悪化していることが分 かる(図表18)。自動車工場などが集積する など、従来、失業率が低水準で推移し、雇用 環境が良好だった地域で悪化が著しい。

 かつて景気が好調だった地域の雇用環境の 悪化は、雇用の受け皿が少ない地域で人口の

(備考)厚生労働省『職業安定業務統計』より作成

(倍) (倍)

00/1  02/1  04/1  06/1  08/1 00/1  02/1  04/1  06/1  08/1 0.2

0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6

0.0 東海

北陸

北関東

甲信越 南関東

東北 北海道

中国 近畿

全国

四国 九州 沖縄

図表17 地域別の有効求人倍率(月次、季節調整値)

純流出を抑制した可能性がある。例えば、住 民基本台帳ベースの人口をみると、08年度 末の前年比増減率は、四国、東北、九州・沖 縄といった雇用環境が厳しい地域の減少率が 前年度末よりも縮小した。08年度は、東海 や南関東で社会増加数が前年度よりも減少し た一方、社会増加数の対人口(前年度末)比 をみると、四国は07年度の△0.34%から08年 度 に は △0.24% へ、 東 北 は △0.45% か ら △ 0.36% へ、 九 州・ 沖 縄 は △0.25% か ら △ 0.17%へマイナス幅が縮小した。景気の後退 が、雇用の地域間格差の縮小や人口の純流出 の抑制につながった可能性がある。

 雇用環境の悪化などで消費意欲も減退し、

08年度の個人消費(実質)は、前年比0.5%

減と97年度以来11年ぶりにマイナスとなっ た。四半期別にみると、08年10〜12月に前 年比0.3%減とマイナスに転じ、09年1〜3月 は同2.8%減と98年1〜3月の同3.5%減以来の 大幅な減少を記録した。

 大型小売店販売額(既存店)の推移を地域 別にみると、08年度は北海道で前年比5.6%

減、四国で同5.4%減、中部で同4.8%減と落 込みが顕著だった(図表19)。四半期別にみ る と、08年7〜9月 は、 夏 物 ク リ ア ラ ン ス セールの開始日が前年の6月から7月にシフ トした影響や猛暑効果などで減少率が前期よ

(備考)1.新潟県は北陸に含める。信金中金総合研究所による季節調整値 2.総務省『労働力調査』より作成

図表18 地域別の完全失業率の推移(四半期)

(%) (%) (%)

北海道 北関東甲信

南関東 北陸 東海

近畿 中国 四国 九州沖縄 0

1 2 3 4 5 6 7 8

95  97  99  01  03  05  07  09 0 1 2 3 4 5 6 7 8

95  97  99  01  03  05  07  09 0 1 2 3 4 5 6 7 8

95  97  99  01  03  05  07  09 東北

(年)

(年)

(年)

図表19 大型小売店販売額(既存店前年比)

全国 北海道 東北  関東  中部  近畿  中国  四国  九州  沖縄

(%)

08年Q1 08年Q2 08年Q3 08年Q4

09年Q1 09年Q2 08年度

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4

(備考)1 .関東は静岡県、近畿は福井県を含み、中部は両県 を含まない。

2 .Q1は1〜3月、Q2は4〜6月、Q3は7〜9月、Q4は10

〜12月

3.経済産業省『商業販売統計』より作成

りも改善した地域が多かったが、総じて08 年度を通じて減少率は拡大していった。特 に、09年1〜3月 は 近 畿 で8.2% 減、 中 部 で 7.5%減、中国や四国で7.4%減と大幅に減少 した。特に、百貨店は、世界同時不況の影響 によって宝飾・貴金属などの高額商品や身の 回り品が不調だったうえ、天候の不順や低価 格品志向の強まりなどで、冬物・春物衣料品 が振るわなかった。ただ、営業日数がうるう 年だった前年よりも少なかったり、近畿では 百貨店の改装などで売場面積が縮小するな ど、 一 時 的 な 要 因 も 影 響 し た と み ら れ る。

09年4〜6月は、関東以外は09年1〜3月より も前年比の減少率が縮小しており、最悪期を 脱しつつある。

 また、乗用車販売台数は、08年度に南関 東で前年比13.3%減、北陸で同12.0%減、北 海道と東海で同11.2%減と2ケタの落込みを 記録し、全地域で10%前後のマイナスとなった

(図表20)。08年前半は普通乗用車が比較的 堅調だったものの、金融不安・株価下落や雇 用・所得環境などの先行き不透明感の台頭な どで、08年度下期には急激に販売が落ち込 ん だ。09年1〜3月 に は、 南 関 東 で 前 年 比 27.6%もの減少を記録するなど、軒並み20%

前後の下落率にまで悪化した。ただ、足元で は、エコカー減税(09年4月1日)、新車購入 補助金制度(09年6月19日)が功を奏して、

ハイブリッド車などの低燃費車を中心に販売 台数は総じて回復している。

 家計消費指数で地域別に消費支出の動向を みると(二人以上の世帯)、08年7〜9月は、猛 暑効果や北京オリンピック開催に伴う薄型テレ ビなどの需要拡大などが下支えして、前年比プ ラスとなった地域が多かったが、08年度下期に は消費マインドの悪化で前年水準を大幅に下 回った地域が多い(図表21)。特に、09年1〜3 月は、東北と四国は前年比7.0%減、関東は同 図表20 乗用車販売台数(普通乗用車+小型乗用車+軽乗用車)の前年比

普通乗用車 小型乗用車 軽乗用車 乗用車

(%)

-30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10

08

09

08

09

08

09

08

09

08

09

08

09

08

09

08

09

08

09

08

09

08

09

全国  北海道  東北 北関東

甲信越 南関東  北陸  東海  近畿  中国  四国 九州

沖縄 1 2 3 4 1 2  1 2 3 4 1 2  1 2 3 4 1 2  1 2 3 4 1 2  1 2 3 4  1 2  1 2 3 4 1 2  1 2 3  4 1 2  1  2 3 4 1 2  1 2 3 4 1 2  1 2 3 4 1 2  1 2 3 4 1 2

(備考)日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会資料より作成

5.9%減、東海は同5.5%減と悪化が著しかっ た。しかし、09年4〜6月は、定額給付金の支 給(支給開始日;09年3月5日〜5月28日)やエ コポイント制度(09年5月15日)の導入、株価 上昇などによる消費マインドの改善などが消 費を下支えし、減少率が縮小したり、北陸、北 海道、東海では前年水準を上回ったりするな ど、おおむね改善の傾向を示している。景気 動向に先行して推移しがちな消費者態度指数

(一般世帯、季節調整値)を地域別にみると、

08年12月調査をボトムに全ての地域で上昇し ている(図表22)。消費者マインドは低水準な がらも上向きつつある。また、足元では、消費 者物価指数が08年度上期に高騰した反動で低 下している(図表23)。特に、北海道、東北、

北陸、中国といった地域で価格の下落が進ん でおり、物価下落による実質購買力の底上げ が実質ベースの個人消費を下支えしよう。

(備考)1 .家計消費指数は、『家計調査』のうち、購入頻度が低くて不安定な高額消費部分を『家計消費状況調査』で補完し た指数

2.新潟県は北陸に含め、関東から除いている。

3.総務省『家計調査』より作成

図表21 家計消費指数の推移(二人以上の世帯の消費支出、前年比)

08年1-3月  4-6月  7-9月  10-12月  09年1-3月  4-6月 08年1-3月 4-6月  7-9月  10-12月  09年1-3月  4-6月

(%) (%)

-8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8

-15 -13 -11 -9 -7 -5 -3 -1 1 3 5 北海道

東北 関東

東海 北陸

四国

中国 近畿

全国 九州・沖縄

(備考)内閣府『消費動向調査』より作成

図表22 消費者態度指数(一般世帯、季節調整値)

25 30 35 40 45 50

06年 3月

6月 6月 6月 09年

3月 6月

25 30 35 40 45 50

北海道・東北 関東 北陸・甲信越 東海

近畿 中国・四国 九州・沖縄 全国

9月 12月 07年 3月

9月 12月 08年 3月

9月 12月 06年

3月

6月 6月 6月 09年

3月 6月 9月 12月 07年

3月

9月 12月 08年 3月

9月 12月

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