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3.雇用の悪化に歯止めがかかる兆し

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(1)景気の持直しで雇用過剰感は弱まる  雇用情勢はなお厳しい状態が続いているが、

一部指標からは雇用悪化に歯止めがかかる兆 しがうかがえる。有効求人倍率の先行指標で ある新規求人倍率は、09年2月以降横ばい圏で 推移しており、8月は有効求人数が1年3か月ぶ りに前月比プラス、有効求人倍率は前月比横 ばいにとどまった。雇用者数の前年比は大幅 な減少が続いているが、季節調整値でみれば、

09年6月をボトムに2か月連続で前月比増加し

ている(図表10)。現時点では、雇用情勢が基 調として回復に転じたかどうかの判断はできな いが、最悪期は脱したと考えられる。

 雇用の受け皿として期待される非製造業の 雇用情勢にも明るい兆しがうかがえる。非製 造業の雇用者数を業種別にみると、依然とし て人材派遣業の減少が続いているものの、医 療・福祉や飲食・宿泊などの対家計サービス の雇用者数の前年比増加数が高まってきてい る。建設業を除く非製造業雇用者数の前年比 増加数は、09年3〜4月に減少に転じたが、7 月は32万人増、8月は43万人増と上向いてい る(図表11)。

 雇用の悪化に歯止めがかかってきた最大の 要因が景気の持直しである。輸出・生産の底 打ちをきっかけに企業活動は上向いており、

企業の雇用過剰感も緩やかに改善している。

 日銀短観9月調査の「雇用人員判断D.I.(全 規模計)」をみると、全産業ベースでは09年 6月 調 査 の プ ラ ス23(プ ラ ス は 過 剰「超 」)

(年)

(万人)

就業者 失業者

労働市場への参入数(マイナスは退出)

(就業者の増加数−失業者の減少数)

00年代前半に比べて労働市場 からの退出数が少ない。

98  99  00  01  02  03  04  05  06  07  08  09 -140

-120 -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 120

図表9 就業者と失業者の前年同期差

(備考)直近は7〜8月平均。総務省『労働力調査』より作成

図表10 雇用者数の推移(季節調整値)

(備考)総務省『労働力調査』より作成 5,200

5,250 5,300 5,350 5,400 5,450 5,500 5,550

(年)

(万人)

95  96 97 98  99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09

をピークに9月調査ではプラス20へ改善し、

先行きはプラス15への改善が見込まれてい る(図表12)。非製造業も6月のプラス12を ピークに9月はプラス11、先行きはプラス8 への改善が見込まれる。製造業(全規模)は 09年3月調査でプラス38と過去最高を更新した ものの、6月調査ではプラス37へ小幅ながら改 善し、9月調査ではプラス31と2期連続で改善 した。先行き調査もプラス24への改善が見 込まれている。

(2 )非製造業の雇用過剰感は2000年代前半 に比べて弱い

 雇用人員判断D.I.は、製造業が09年3月に 過去最高の「過剰」超を記録したものの、非 製造業は過去最高に達することなく改善方向 へ転じた。「雇用人員判断D.I.」がピークを 付けた99年3月と直近のピークである09年6 月を業種別に比較すると、小売業やリースな

どが前回ピークを上回ったが、雇用に占める ウエイトが高いサービス業は前回のピークを 下回っている(図表13)。

 世界同時不況の影響が直撃した製造業に比 べて、非製造業の需要の落込みが相対的に小 幅にとどまっているためであるが、非製造業 は05〜07年頃の景気回復期に十分な雇用を 確保できなかったことが背景にある。非製造 業 の 雇 用 人 員 判 断D.I.は な お 過 剰 超 過 な が ら、過去に比べると雇用調整圧力は弱いとみ られ、緩やかながらも景気の回復基調が維持 されれば非製造業の雇用吸収力は徐々に回復 すると考えられる。

(3)製造業の雇用調整圧力は大幅に低下  製造業はリーマン・ショック後の深刻な景 気後退に伴う生産活動の落込みに対応して雇 用を削減してきたが、同時に稼動日数の短縮 や残業時間の削減なども進めてきた。このた

図表11 非製造業の雇用者数の前年差

(備考)1 .対家計サービスは、飲食・宿泊、生活・娯楽の 合計

2.総務省『労働力調査』より作成 卸・小売 対家計サービス 人材派遣 金融・保険 情報通信 医療・福祉 その他

09

08 (年)

(万人)

非製造業(建設を除く)

-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

(備考)1 .図表中の数値は今回と過去2回のピーク時期と 水準

2.直近は先行き見通し 3.日銀短観より作成

(年)

(%ポイント)

        99年3月 01年12月 09年6月       (02年6月) (09年3月)

全 産 業  24  21  23 製 造 業  35  34  (38)

非製造業  15  (13)  12 製造業

全産業

非製造業

92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 -40

-30 -20 -10 0 10 20 30 40

図表12 雇用人員判断D.I.の推移(全規模)

め、雇用者数に労働時間を乗じた労働投入量 ベースでは大幅な調整が進んでいる(図表14)。 直近(09年8月)の鉱工業生産指数は、リー マン・ショックに見舞われた08年9月の水準 をなお18.8%下回っているものの、労働投入 量 も08年9月 に 比 べ て11.2% 減 少 し て い る。

製 造 工 業 生 産 予 測 を 単 純 に あ て は め る と、

09年10月 の 生 産 指 数 の 水 準 は08年9月 比 で 16.1%の減少と、労働投入量の減少幅にさら に近づく見込みである。

 生産指数と労働投入量の差から推計した製 造業の過剰雇用者数は、09年2月には294万 人まで膨らんだが、8月には94万人まで縮小 している。足元の労働投入量と製造工業生産 予測指数を前提にすると、09年10月には67 万人まで縮小すると試算される(図表15)。

この水準は、製造業の雇用減少ペースが弱 まった03年前半のレベルである。今年度下

期にかけて、製造業の雇用調整圧力は徐々に 低下すると考えられる。

 もっとも過剰雇用の調整圧力が低下して も、当面は大幅に削減した時間外労働の復活 などで対応できるため、製造業の雇用が増勢

(備考)1 .全規模ベースでピークを記録した99年3月と今 回のピークである09年6月との比較

2.日銀短観より作成

鉱業

運輸 リース サービス 電気ガス

小売 卸売

不動産 建設

非製造業

その他製造 精密

製造業 輸送機械 電気機械 紙パ

金属 一般機械

食品

非鉄金属 窯業土石

石油石炭

化学

木材 繊維

全産業

鉄鋼

0 10 20 30 40 50 60

10  20  30  40  50  60

(%ポイント)

(%ポイント)

99 3月調査

09年6月調査

(備考)1 .雇用人員判断D.I.が均衡していた時期を100とした。

2.労働投入量はトレンド除去後の雇用者数から算出 3.データはすべて季節調整済み指数

4.経済産業省、総務省資料などより作成

(年)

(05年7〜9月=100)

01  02  03  04  05  06  07  08  09 65

70 75 80 85 90 95 100 105 110 115

労働投入量 雇用者数

生産指数 予測

指数

図表14 鉱工業生産と労働投入量 図表13  業種別雇用人員判断D.I.の比較(全

規模)

(備考)1 .労働投入量と生産指数の差を過剰雇用者数とした。

2.季節調整済み指数

3.経済産業省、総務省資料などより試算

(年)

(万人)

97  98  99  00  01  02  03  04  05  06  07  08  09 -100

-50 0 50 100 150 200 250 300

図表15  製造業の過剰雇用者数の推移

に転じるわけではない。ただ、今回の雇用情 勢悪化の主因である製造業の雇用調整圧力が 低下するだけでも雇用全体へのプラス効果は 大きい。

 全体の雇用者数は、09年6月に底を打った と考えられるが、当面は製造業の雇用減少が 続く公算が大きく、調整一巡とまでは言い切 れない。今年度下期の雇用者数の動きは、過 去2回の底打ち後と同様に、下限を切り上げ つつも一進一退で推移しよう。雇用者数が回 復の勢いを取り戻すのは、製造業の雇用調整 が一巡する10年度と予想される。

4 .中期的には再び労働力不足に直面

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