ゆ レへ ゆ
,o 馬衛
品質が一定した自動車を短 時間で,大量に生産したい。
生産ラインをベルトコンベアで結び,
流れ作業にする。
【図HI−1−3:「目的一手段」と「原因一結果」の転換図1
このように「因果関係の目的論的連関への組みかえ」を行うことにより,原 因一結果が明示された知識は,目的一手段の連関に組みかえられ,行為の意味 の抽出が可能となる。
上記の例の場合,「品質が一定した自動車:を短時間で生産したい」という」
目的は,さらに「なぜそのような目的をもったのか」,さらに高次の目的が追
一36一
求されなくてはならない,ということは言うまでもない。
以上のことから,行為の意味の抽出は,「因果関係の目的論的連関への組み かえ」という方法によって可能となる。
4.教育内容構造の設定〈教育内容抽出の実際〉
ここまでの段階において,単元の確定及び法則的知識と行為の意味(動機)
の抽出について考察してきた。ここでは,一例として,小学校第5学年社会科
『自動車をつくる工業』という単元をあげ,この教育内容抽出の実際を次頁の 図(皿一1−4:「自動車をつくる工業」教育内容抽出図)通して考察してい
く。
まず,法則的知識(理論,概念的説明的知識)と行為の意味の理念型を確認
しておく。
念的説明油画識
自動車産業は,消費者のニーズ,市場や政策の 影響を受け,生産・経営を合理化し,技術革新
によって,多品種少量生産をしている。
一読の意味の理念距 人々のニーズに応じな がらも利潤を最大限追
求する。
【図皿一1−4:概念的説明的知識と行為の意味の理念型】
概念的説明的知識と行為の意味の理念型は,次頁の図では,一番左側に位置 している。この概念的説明的知識と行為の意味の理念型を核に,教育内容の構 造が構成されている。構造は,概念的説明的知識と行為の意味の理念型の構成 要素,すなわち基本概念である「社会条件」と「生産」・「経営」及びそれらを 支える「技術」に分岐する。
「社会条件」は,政策と消費者のニーズに分岐し,「生産」は生産コスト・一 定量の生産と品質のよい製品の生産に分岐する。そして,それぞれはさらに「自 動車をつくる工業」に即して,より具体的な内容へと分岐していくのである。
(1)基本概念の確定
図において,縦軸は本単元の基本概念(空間的領域)を示している。この空 間的領域は,概念的説明的知識と行為の意味の理念型を構成する基本概念によ って,決定される。
次頁の図は対象を小学校5年としたので,あまり細分化されていないが,発 達段階が進むにつれて,産業構造との関係や貿易構造との関係,等々を考慮し
て,組み込んでいく必要がある。
小学校5年「自動車をつくる工業」教育内容構造 目 的
自動車産 業は,消費
者のニーズ,
市場や政策 の影響を受 けて,生産
・経営を合 理化し,技 術革新よっ て多品種少 量生産をし
ている。
人々のニー ズに即応し ながらも,
利潤を最大
・限追求する。
〈社会条件〉
産業を取 り巻く条件
が変わる
と,その条 件に適合し た製品を生 産する。
〈技術〉
政策に応 じた製品を 開発する
排気ガス の少ない自 動車を開発
する。
消費者のニ ーズ,.市場 に応じた製 品を開発す
る。
大量生産 から,多品 種少量生産 に変える。
生産ラインをベルトコンベア で結び,流れ作業を行う。
手 段
・スモークレスディーゼルを 開発する。
・ハイブリットカー開発す
る。
・低燃費車:を開発す
る。
・同型車:生産ラインか ら,異型車生産ラ
インに変える。
〈生産〉
結 果
生産コス トを下げ,
短時間で一 定の量を生
産する。
分業システムにして部品を関 連工場に必要な時に必要な 種類・数だけ発注する。
勤務体制・勤務時間を整 えて効率よく仕事をする。
・200mも続くコンベ
アで1分間に3m から5mの速さで
動き,タイヤ,シートな
どの部が次々と取 り付けられる。
・ドアの内張りやシート
を作り自動車工場 からの指示(時刻,
部品名,数量,色)
がコンピゴ細事で送付 される。(指示書)
・二交代制でチー ムをつくる。
危険で手間がかかる作業
は,ロボットが行う。
・溶接作業,塗装 ボードの穴あけは
ロボットが行う。
品質のよ い製品を生
産する。
〈経営〉
合理的・
多角的経営
をする。
自動車の各機能ごとに,
実験をする。
機能ごとにコンピューターと人 による二重検査をする。
広い土地と,安緬な労働力を 求めて,海外に進出する。
販売方法・宣伝を多種多様 にする。
・車体の安全性,衝 突耐久度の実験
(寒冷・風向・強度 の実験をする)
・一 艾齣艨Cブレーキ,
ランプ,水漏れ,排 気ガス等を検査す
る。
・1980年代後半か
ら東アジア,アメ励,
カナダに工場をっ
くる。
・自動車:ショーを開く。
販売店を拡大す る。CMを利用す
る。
原 因
一38一
【図皿一1−5:「自動車をつくる工業」教育内容抽出図813】
前頁の図では,縦軸の「社会条件」,「生産」,「経営」,「技術」は,本単元に おける基本概念を示している。
「社会条件:産業を取り巻く条件が変わると,その条件に適合した製品を生 産する。」,「生産:生産コストを下げ,短時間で一定量の生産をする,品質の よい製品を生産する。」,「経営:合理的・多角的な経営をする。」,「社会条件・
生産・経営を支えるものとしての技術」という内容になっている。
基本概念の確定は,概念的説明的知識と行為の意味を分析し,具体的社会事 象(この場合,自動車産業の実態)と照応しながら吟味し,おこなっていく。
したがって,縦軸の決定は,法則的知識と行為の意味の理念型と密接に関わ っている。すなわち,どのような法則的知識と行為の意味の理念型を設定する かで,その構成要素,基本概念が決定されるのである。
(2)具体的教育内容の確定
(1)において,具体的社会事象と照応し,吟味しながら基本概念を確定し たわけであるが,このままでは教育内容とはなり得ない。なぜなら,基本概念
と具体的社会事象との問の距離(思考)がありすぎるからである。
したがって,基本概念と具体的社会事象を両方向からの「問いの連鎖」が必 要となってくる。このときの問いは,因果関係で問うこと〈なぜ?(原因を問
う)どうなったか?(結果を聞う)〉と,目的論的連関で問うこと〈何のため に?(目的を問う)どのように?(手段を問う)〉が重要である。なぜなら,
先に説明したように,社会事象には原因と結果の関係が内在していると同時に,
人間の社会的行為の軌跡であるため,そこには目的と手段の連関が内在してい るからである。
(3)教育内容の抽出の方略(教育内容構造の設定過程)
教育内容構造の設定過程であるが,前述したことを整理しながら,抽出の方 略について整理していく。
①法則的知識と行為の意味の理念型の確定する。
②法則的知識と行為の意味の理念型を構成する基本概念の確定をする。
それと同時に,具体的事象を確定する。
具体的事象は,決して軽んじられてはならない。具体的事象とは子どもにと って,まさに問題意識をもつ出発点であり,法則的知識へとつながっていく重 要なものである。したがって,具体的:事象は豊富な情報を内包していると同時 に,より具体性をもつものであることが重要である。。
③目的論的連関・因果的関係の作成一問いの連鎖一
基本概念を「なぜ?」,「どのよ:うに?」というように,原因と手段を問うて いくのである。
図で表現するなら,基本概念から,順次,左側に位置している事象を「な ぜ?」,「どのように?」と問うことにより,右側に位置している事象を確定し ていくのである。
それと同時に,具体的社会事象を「何のために?」,「どうなったか?」とい うように,目的と結果を問うていくのである。
図で表現するなら,具体的社会事象から,順次,右側に位置している事象を
「何のために?」,「どうなったか?」と問うことにより,左側に位置している 事象を確定していくのである。
このように両方向から「問い連鎖」を行うことにより,具体的教育内容を確 定していくのである。(このように教師自身が「原因一結果」「目的一手段」の 関係相互を,活発に問い,絶えず往復運動させることが重要である。)
以上の,手続きを踏むことにより,理解説明型授業構成の論理に即した教育 内容を抽出することができる。下記は,教育内容抽出の方略を図示したもので
ある。
目 二 手 段
1.単元の設定 2.一法
則的知識 の確定