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第2節 授業設計
本節では,前節の内容を踏まえ,『産業と貿易(貿易から日本が,世界が見 える)』という単元における知識の構造及び単元の構造と理論モデルにおける 単元の「問いと答え」の過程を明らかにする。
1.知識の構造
本単元の目標となる概念的知識(法則的知識)と行為の意味理解の理念型を
「第1節 授業の設計の視点」を踏まえ,次のように設定する。
《概念的知識》
世界の貿易は多極構造のもと,貿易摩擦を解消しつつ,「産業間貿易」
と「産業内貿易」よって,急速に拡大した。
《行為の意味理解の理念型》
各国は,国際協調・国際理解を図りながらも,自国の利益を最優先する。
上記の概念的知識を構成する下位の概念的知識は,以下の通りである。
〈下位の概念的知識〉
A 各国は比較優位な産業分野によって,もの(財貨・サービス)を相 互に輸出入することによって利益を得ている。
B 製品のプロダクトサイクルの各過程に即したものを輸出入することで利益を 得ている。
C 所得水準の似通った国相互で,ものを輸出入することで利益を得てい
る。
D 消費の多様性に即したものを輸出入することで利益を得ている。
E 貿易摩擦は,当事国どうしの産業構造に連動し,市場規模;と輸出入の 不均衡によって起こる。
一94一
上記の下位の概念的知識を構成する説明的知識は,以下の通りである。
Alそれぞれの国では,土地・労働・資本のうち,比較優位な分野を集 約的に行う産業製品(財貨・サービス)を相互に輸出入する。
A2 日本の貿易は,比較優位な分野を高付加価値の分野へとシフトした 産業製品を輸出する。
Bl 製品開発段階では大消費地から輸出し,製品標準化の段階では海外 から輸出すること労働力の安い国から輸出することによって,消費者の ニーズに応じつつ低コスト化する。
C1所得水準は,需要条件を決定する。その結果,需要条件の似通った国 どうしで,輸出入することによって,各国の消費者ニーズに応じている。
Dl 多くの種類のものを少しつつ世界の様々な国と輸出入することによ って,多様な消費者のニーズに応じている。
E1貿易摩擦は,日本の産業構造の変化とともに変化する。
E2 貿易摩擦による輸出抑制は,集中豪雨的な大量輸出によっておこる。
E3 貿易摩擦は,産業製品間の量的問題から,
の質的問題へとかわる。
当事国の基準,制度など
2.単元の構造
『貿易から日本・世界が見える』
(1)産業と貿易
①
②
③
④
(2)産業と貿易摩擦
①
②
③
(3)これからの貿易
得意な貿易品目 一為の意味・理論の獲得 貿易の移り変わり 了為の意味・理論の適用
現代の貿易 たな行為の忌味・理論の獲∠
貿易相手国 了為の意味・理論の応用
貿易摩擦の問題 一千の意味 ・理論の適用 貿易摩擦の移り変わり テ為の意味・理論の応用
現代の貿易摩擦 たな行為の息味・理論の劉
]得した行為の鰍・醐・基づく未来予測
【図V−2−1:単元の構造】
(1)単元の二重構造
.96一
『貿易から日本,世界が見える』という単元は,「(1)産業と貿易」,「(2)
摩擦と貿易」,「(3)これからの貿易」という小単元から成り立っている。
(1)(2)(3)の順で全て学習していくことが理想的であるが,(1)から(3)
のうち,一つだけ取り出しても学習が可能である。
(2)過程の二重構造
それぞれの小単元内において,「理論の習得」「理論の適用」という過程を設 定していると同時に,「(1)産業と貿易」では「理論の習得」過程,「(2)産業
と貿易摩擦」では「理論の適用」過程,「(3)これからの貿易」では「理論の 応用」過程という構成でもある。
(3)理論モデルの構造
理論モデルの構造について,小単元ごとに説明していく。
①「(1)産業と貿易」の構造
「①得意な貿易品目」では,産業間貿易におけるオクシャー;オリーンの貿易理論と 行為の意味(比較優位な分野を産業化して輸出するという行為)を獲得できる
ようにした。
「②貿易の移り変わり」では,「①」において,獲得した貿易理論と行為の 意味を用いて,日本の1960,70,80年代の貿易構造が,まさに産業構造の変化と 連動していることを発見できるようにした。
「③現代の貿易」では,「①,②」において獲得した貿易理論と行為の意味 を用いて説明を試みる場を設定した。ここでのねらいは,今までの理論・行為 の意味では説明できない問題矛盾に気づけるようにすることである。
そこで,新たな,貿易理論(産業内貿易理論)・行為の意味を獲得できるよ うに構成し,現代の貿易は,産業間貿易と産業内貿易の両側面からとらえる必 要があることを発見できるようにした。
「④貿易相手国」では,「③」で獲得した理論・行為の意味を用いて,貿易 相手国とその品目について説明できるように構成し,現代の貿易は,アメ励を核 としながらも,日本やEUがより積極的に関与する多極型構造であることを発 見できるようにした。
②「(2)産業と貿易摩擦」
「①貿易摩擦の問題」では,貿易摩擦がおこる理論と行為の意味(外国の要 求・日本の行為)を獲i得できるようにした。
「②貿易摩擦の移り変わり」では,「(1)産業と貿易②貿易の移り変わり」
で獲得した理論と「①貿易摩擦の問題」で獲i得した理論と行為の意味を結びつ けて説明できるようにした。
「③現代の貿易」では,「①,②」で獲得した理論と行為の意味では説明で きない問題に直面できるようにし,矛盾に気づけるようにした。
そこで,新たな,摩擦理論と行為の意味の必要性を実感できるようにし,そ の上で新たな摩擦理論と行為の意味を獲得できるようした。そして現代の貿易 摩擦は,輸出抑制から輸入拡大,市場開放へと向かっていることを発見できる
ようにした。
③「(3)これからの貿易」
基本的には,「(1)産業と貿易」「(2)産業と貿易摩擦」の内容(理論と行 為の意味)を整理して踏まえ,これからの展望を討論する。
それと同時,現在の最新の動向である「地域統合化の動き」「直接投資の増 大傾向」「WTOの設立」を確認しておく。
3.理論モデルにおける単元の「問いと答え」の過程
本理論モデルは,小学校から高等学校までを想定して作成してある。実際に 教育内容化・教材化していくには,それぞれの発達段階を考慮して,より具体 化,簡略化,あるいは抽象化していくものである。
注①灘は沖核的傭いを示凱②1門、ま護得した行為の意味,理論を就
③Oは,矛盾凝問を就へ緋
(1)産業と貿易
髄 羅 概念的知識 主な問い 答え 資料※留意点
事実の確定・
① 得
モな貿 ユ品目
l自分纏霧
ッ雛纏灘 ]籍灘雛
i・これらは,
・砂漠の中に油田があるか
轣Cサウジアラビア。・トウモロコシ畑が
キごく広い。土地が広い国で,
z0ップコーンか,アメ励合衆国だ。・
スくさんのシャツを作ってい 驕C中国だ。・細かい部品を
・〈情報収
W,予想資 ソ〉パネル
S枚(油田,
gモロコシ畑,衣
゙工場,化
一98一
行 為 の 理 念 型 の 設 定
理 論
■
行 為
の
意 味 の 習 得 検 証
行 為 の 理 念 型
理 論 の
習
得
理 論
Alそれ
ぞれの国 で,土地
・労働・
資本のう ち,比較 優位な分 野を集約 的に行う 産業製品
(財貨・サ ービス)を
相互に輸 出入する
ことで,
利益を得
ている。
② 貿 易の移
り変わ
り
どこの国の様 子か。それは
なぜか。)
(・自分の国 にあるものを 生かして輸出 しています。
それは何か。)
・なぜ貿易を するのか。
・本当にそう かな,確かめ てみよう。
魏笏i擁諺
籔籍舞獲綴.
簸彩多面膨嬢纏
作っている,工場というよ り,研究室みたい,日本だ。
・艸ジアラビアは,土地にある 石油という資源を生かして る。・アメ効は,土地の広さを 生かして農業をしている。・
中国は働く人の数を生かし て衣類(繊維産業)などを 作っている。・資本は,技術 やもとで(資本〉を生かし て,精密製品や化学製品を つくっている。
ぎr 昇等筆解扇齢「瀦ユ 1なものく土地.労働.資1
1それを輸出し・自分の職
、 、
1本(もとで)〉を生かして
二
言・そうする.ことにより
亀
へ 唾
、
麹各国は,自国の得意な分一
亀野に集中でき,お互いに亀
亀
、
、
1利益を得ることができる 1
L」■「「,」■■7,乙■■7 」国■7
」■■7,」爵 ,」■7ノ
学工場〉
・〈検証資 料>4ケ国の
輸出シェア
※農業だけで はないことは 押さえる。・
〈予備資料〉
世界の主な国 の人口統計,
中国の玩具 工場の写真※
土地を集約的に 用する産業=農 業,労働を集約 的に使用する産 業二繊維業等,
資本を集約的に 使用する産業=
化学工業等を押
さえる。
・〈検証資料〉
「やさしい比 較優位:説の考え 方」※産業間構造としての絶対優位と比較優位の違 いをとらえられるようにする。
霧絹窮属覆ζ「 言霊蒋l l色である労働集約型の繊維l
l産を得意にして出した1
i 微を目指して戦前の繊l i維加工技術を生かすことにiへ
亀より,効率的に製品化でき亀
※前時で習 得した理論 をもとに考 えられるよ
うにする。・
〈情報収集資
の 設 定
検 証
因
果 的 説 明
行 為 の 理 念 型
の の
適 用
理
・論
の 応 用
理 論
の
A2日本 の貿易
は,比較 優位な分 野を高付 加価値化 へとシフ トし輸出 すること によって 利益を得
ている。
③ 現 代の貿 易
〈1960・70・80
年の3枚の輸
出構造カード提 示〉(・3枚の カードの時代 順はどうなっ ているのか。
またそれはな ぜか。〉(・繊 維はどうした
んだろう)
憲纒、 膨雛霧雛
灘難霧
難白髪.
髪灘肉薄
亀利益を上げることができた。亀
、 , , 」圏■7, 」■r,
乱発庫峯繋驚灘 5編τl lたお金で,工場で使う機械l iや部品をそろえたり源油i
lや雛石を輸入レ鉄鋼業i
l窒蠣奮.』51堕剴レち.膨.−」
(・最初は国内だけで足りたけ ど,やがて繊維が得意な国を探 して,そこから輸入するように
なった。)
憲冨峯τ画品 風素月
1け,しだいに技術を身にっl
lけ解職㈱産業を得1
亀 唾
i意にして罰した・ i
l●二度にわたる石油シ・ックをi
ヘ へ
1きっかけに,省エネ型の産亀
、
虚業に移行することによって,
、
ヘ へ
1さらに利益をあげた。 1
、適う7一」r,」一へ
r臓緬6薦 「革 :一壷羅ξ 熱 1鋼,カラーテレビ.冷灘などl
lの縄自鱒品な峠
1しだいに得意な分野がかわl lってきた。原材料を大量に1
隔使う素材中心から,准母ネ1
へ
亀組立型に変わってきたため。亀 L欝,一,騨,π,算,一,劇ノ璽,騨
・輸出は,今まで繊維,鉄 鋼,家電,自動車と変わっ
てきているから,もっと組 立が細かくて,難しいのが 得意になってきたと思うか
ら,コンビュターなどが多いので
はないか。さらに自動車の
料〉「輸出構 造の変化」継12 1960,70.,80,
年の各時代の 輸出構造をそ れぞれカード 化する。
・〈仮説設定 資料>1960,
70,80,
年の輸入構
造。
・原油価格
の推移 13。・
産業保護政
策の話(自動 車の生産経験の 蓄積)
・〈予備資 料〉日本の 繊維製品の
輸入推移乳4。
・〈仮説設定 資料〉「輸出 構造の変化」
1960,70,80ラ 年の各時代の 輸出構造をそ れぞれカード
一100一