第 1 章 各国の電気事業
第 2 節 ロシア
2. 電気事業法制
43
44
建設協定(新規国際連系線のみ):送電運用者等の関連する事業者により締結される建設にあたっ ての協定
国際連系協定・運用協定:国際連系線の利用方法に関する送電系統運用者間の協定
電気計測の編成に関する協定:電力潮流の計算方法、計測データの交換に関する規則、連系点にお けるメータの検査・試験方法に関する協定
政府間国際電力取引協定:関係する政府間で締結される協定
商業契約:関係事業者で締結
② 技術協定
ロシアは国際連系線の運用を行うにあたって関係諸国と技術協定を締結している。2001 年にベラル ーシ、ロシア、エストニア、ラトビア、リトアニアとの間での同期連系運転に関する協定が締結され
BRELLという名称で会議が設置され、定期的に協議が行われている(2013年の事務局はエストニアの
送電系統運用者Elering ASで、2014年はロシア送電系統運用者SO UESが担当している)。
またロシアの所属する同期系統CISでは、1992年にCIS協議会(CIS EPC)が設立され、アゼルバ イジャン、アルメニア、ベラルーシ、グルジア、カザフスタン、キルギス、モルドバ、ロシア、タジキ スタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ウクライナが加盟している。CIS協議会では加盟国間で のパートナーシップと協力関係の構築に主眼が置かれており、加盟国の送電系統運用にかかわる技術者 のトレーニングや相互協調運用の分析等が行われている。加盟国間調整にかかわる協定は1992年2月 に締結され、その後2007年11月に改定されている52。国際連系系統の電力品質は同CIS協議会の2007 年ガイドラインで定められており、50±0.05Hz を定常周波数の範囲53とし、50±0.2Hz を最大定常周 波数偏差54とするよう定められている。また2007年5月に締結された協定「CIS諸国の共通のエネル ギー市場の下で送電系統運用者の相互協調の一般原則」において共通エネルギー市場として協調関係を 構築することが規定されている。
モンゴルとの間では2008年に技術的作業に関する協定、情報交換の組織化に関する協定そして同期 連系にかかわる監視制御に関する協定が締結されている。中国との間でもアムール川を跨ぐ 500kV 国 際連系線の運用にあたって、2011年に中国東北電力網公社とロシアの送電系統運用者であるSO UES そして連邦送電会社FGC UESの間で技術協定が締結されている。ロシア=フィンランド400kV送電 線利用に関する協定は、下表の通りである。紛争に際して第三国であるスウェーデンの仲裁裁判所に付 託することが定められているのは注目される。
52
http://www.so-ups.ru/fileadmin/files/company/international/projects/Protokol_o_vnesenii_izmenenii_v_soglashenie.p df
53 定常周波数の範囲は大陸欧州で±0.05Hzであり、同一の水準となっている。(イギリスは±0.2Hz、北欧は±0.1Hz)
54 最大定常周波数偏差は大陸欧州で0.2Hzであり、同一の水準となっている。(イギリス・北欧は±0.5Hz)
45
表 1-13 ロシア=フィンランド国際連系線(400kV)利用に係る協定の項目
項目 主要内容
1. 概説(General) 協定の対象が連系線と連系発電所であることを概説 2. 送電の実行と給電制御(Transmission implementing
and Dispatch control):
ロシア側・フィンランド側の運用・メンテナンスの責任主体を規定 3. ロシア=フィンランド送電線(Russia – Finland Power
Transmission)
対象となる国際連系線を特定化 4. 送電線の運用及び給電の方法(Power transmission
specifications of operation and dispatch control)
平常時・緊急時の運用方法
5. 送電線への連系(Transmission Connections) 国際連系線に連系する発電所とその運用について規定 6. 計測(Telemetry, Protection, Automatics, Metering
Devices)
計測対象となる設備と情報保護について規定 7. 送 電 ・ 受 電 の 制 限 (Limitations of Transmission /
Reception)
平常時・緊急における運用限度の考え方について規定 8. 利用申込の提出(Submitting Applications) 連系線利用の申し込みについて規定(メンテナンスとの関係等)
9. 送電線の給電制御(Operative Dispatch Control of Transmission)
制御主体と協力関係について規定 10. 系 統 操 作 ( Planned Switching on Power
Transmission)
系統操作に関する責任と手続きについて規定 11. 平 常 時 接 続 の 際 の 送 電 線 停 止 管 理 (Disturbance
Management (Clearing the Faults) in the Normal Transmission Connection)
平常時運用に際して送電線計画外停止時の電源運用等について 規定
12. 予 備 力 運 用 の 送 電 線 停 止 管 理 (Disturbance Management (Clearing the Faults) in the Reserve Transmission Connection)
予備力運用を行っている送電線計画外停止時の運用等について 規定
13. 送 電 設 備 の 修 繕 (Organization of Repair for Equipment and Lines)
送電設備のメンテナンス時期、維持修繕に関する責任について規 定
14. 損害の補償(Compensation of Damages) 協定の義務不実行に対する損害の補償 15. 免除(Force Majeure) 自然災害等の不可抗力対象について規定 16. 権 利 及 び 義 務 の 移 転 (Transfer of Rights and
Obligations)
第三者に協定の権利と義務を移転する際の手続きを規定 17. 紛争処理(Disputes) 紛争処理に際してスウェーデン・ストックホルムの仲裁裁判所に付
託することを規定(使用言語は英語)
18. 機密保持(Terms of Confidentiality) 協定の内容は公共の利益に属することを規定 19. 発効条件(Terms of Agreement) 関係者の署名により発効すると規定
(出所)Agreement on operation of the 400kV Cross-border Connections Between Vyborg Substation(Russia) and Yllikkala/Kymi Substations(Finland)、2009年
46