第 1 章 各国の電気事業
第 4 節 台湾
3. 台湾の国家発展計画と関連エネルギー・電力計画と需要見通し
台湾の2013~2016年の年平均成長率について、Economic Outlookは4.37%、IMFは4.46%と予測
している。行政院経済建設委員会の策定した「国家発展計画(2013~2016年)」は、同時期の年平均成 長率の目標値を4.5%としている。
台湾の政策の主軸としては、「経済活性化」「公平社会」「クリーンで有能な政府」「質の高い文化・教
74 「送変電計画簡介」(2012年8月7日改訂)、台湾電力公司ウェブサイト。
http://www.taipower.com.tw/UpFile/WorkFile/elec_info_4.pdf
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育」「全面的建設」「国際親善」「和平両岸」(中国との平和的関係)とともに「永続的な環境」が掲げら れている。
「永続的な環境」には、省エネ・低炭素の法規と制度の整備、省エネ・低炭素の推進、気候変動適応 の推進、原子力発電所の安全保護措置と緊急対応能力の具体化などが含まれる。「国家発展計画(2013
~2016年)」は、エネルギー建設に関しては、経済成長に要するエネルギー需要を減らし気候変動に対 応するため、グリーンエネルギー産業の躍進、再生可能エネルギー関連政策及び法規の制定、省エネ措 置の推進強化、省エネと低炭素に有効な財政・租税制度など経済的インセンティブと法規・制度の構築、
全民のグリーン消費と省エネ意識の向上、低炭素化都市と社会の創造を掲げている。
数値目標としては、エネルギー効率を毎年2%以上引き上げ、2016年のエネルギー消費原単位(GDP 単位当たりのエネルギー消費)を2010年比で12%引き下げることになる。また、電力事業については、
老朽化発電設備の淘汰・更新を推進し、石炭火力発電所については、効率44.5%以上の超(超)臨界ユ ニットを導入することを打ち出している。また、2016 年には再生可能エネルギー発電設備の設置容量 を458万kWとし、年間発電量を122億kWhとする。そのため、風力発電と太陽光発電など再生可能 エネルギーの開発を全力で推進し、低炭素とエネルギーの合理的な使用を促進するとしている。
具体的には、陸上風力発電については、2016年の累計設備容量を 933MWとし、海上風力発電につい ては、実証奨励方法を講じて、4~6基の実証ユニットを完成させる。また、太陽光発電については、そ の発電コストが一般の小売電力価格より高い段階では、民家や工場などの屋上設置型太陽光発電を中心 に徐々に推進し、発電コストが競争力を備えるようになってから、大容量の利用を推進する。
2016 年には太陽光発電システムの累計設置容量を588MW とする。加えて、統合型実証計画を推進 し、2015 年までグリーンエネルギー産業躍進計画を展開する。2015 年には太陽光発電設置容量を
492MW、海上・陸上風力発電機を881MW、バイオマス発電を8,771MW、水素電池と燃料電池を7MW
とし、スマートメーターを100万世帯に設置する。
他方、原子力については、2014年現在、運転中の原子力発電所は3基、建設中が1基である。運転 中の原子力発電所のうち、第1原子力発電所と第2原子力発電所は台湾島最北端の新北市、第3原子力 発電所は最南端の屏東県に所在する。また、第4原子力発電所は新北市で建設中である。第1、第2、
第3原子力発電所が商業運転を開始したのは1970~80年代であり、特に第1原子力発電所は運転開始 から35年以上になり、すでに運転終了の時期が近付いている。
建設中の第4原子力発電所は、1号機と2号機それぞれ1,350MW、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)
を採用する。ABWRはGEと日立が共同開発し日立が製造、輸出する。ABWRを採用するのは日本以 外では台湾の第4原子力発電所が初めてになり、また、建造を受注したのはGEであるが、日本の原子 炉が初めて輸出されるケースになった。
表 1-25 台湾の運転中及び建設中の原子力発電所
(出所)中華民国核能学会HP
通称 正式名称 所在地 原子炉のタイプ 容量 商業運転開始時期
第1原子力発電所 茂林原子力発電所 国聖原子力発電所
馬鞍山原子力発電所
龍門原子力発電所 第4原子力発電所
第3原子力発電所 第2原子力発電所
屏東県恆春鎮 加圧水型原子炉(PWR) 1号機:1984年
2号機:1985年
新北市貢寮区 改良型沸騰水型原子炉(ABWR) 1999年着工、2015年までに商業運転 開始予定
951MW×2 1,350MW×2
新北市石門区 沸騰水型原子炉(BWR) 1号機:1978年
2号機:1979年
新北市万里区 沸騰水型原子炉(BWR) 1号機:1981年
2号機:1983年 636MW×2
985MW×2
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第4原子力発電所は2010年3月には1号機中央制御室の火災などの事故が頻発して建設が遅れてお り、また、福島原発事故後に安全性確保のため商業運転開始時期が遅れた。
第4原子力発電所は1980年代に計画が打ち出されて以来、住民や環境保護組織の反対や抗議運動が 絶えず、特に2011 年の福島原発事故以降、抗議活動や反対デモはますます盛んになった。野党の民進 党は「脱原発」を掲げて、第4原子力発電所の建設中止を主張している。2013年2月には江宜樺行政 院長が第4原子力発電所の建設続行の是非を問う公民投票を行うと表明したが、8月には採決をめぐっ て立法院で乱闘騒動になって投票が見送られるなど、公民投票は未だ実現していない。
与党の国民党は建設続行の立場であり、2013年9月には馬英九総統が、第4原子力発電所の商業運 転が未だ実現できない状況では、第1原子力発電所の運転終了も不可能であると表明した。他方、2年 後の大統領選挙で、民進党員が当選すれば、第4原子力発電の建設がさらに遅れる可能性があり、台湾 の電力供給計画の修正が必要になって、国際系統連系の検討も可能になるかもしれない。
台電は2012年、電力需要の長期予測(10208案)を策定したが、この予測は次のいくつかの前提条 件を仮定している75。
経済成長率…2013年2.31%、2014年3.37%、2015年4.38%、2016年4.21%、2017年3.97%、
2018~2022年の年平均2.83%、2023~3024年の年平均3.40%。
産業構造…GDPに占める農業の比率は2013年の1.3%から2024年には1.2%に低下。工業の比率は
2012 年の37.0%から 2024年には 38.83%に上昇。サービス業は 2012年の 61.6%から 2024 年には
60.5%に低下。
人口…2013~2024年の年平均増加率は0.12%
需要側管理…需要側管理により引き下げ可能なピークロードは2012年の481.7万kWから2024年
には531.7万kWに増加。需要側管理を差し引いた2024 年の系統全体の予想ピークロードは4,345.8
万kW。
台電の2012年の長期予測結果によると、供給電力量は2012年の2,084.8億kWhから2024年には
2,712.5 億 kWh に増加し、2012~2024 年の年平均伸び率は 2.2%になる。また、平均ロードは 2012
年の2,374.4万kWから年平均2.2%のペースで増加して、2024年には3,096.5万kWになり、ピーク
ロードは2012年の3,308.1万kWから年平均2.3%のペースで増加して、2024年には4,345.8万kW
になる。
75 台湾電力公司ウェブサイト。
http://www.taipower.com.tw/content/announcement/..%5C..%5CUpFile%5CFile%5C%E5%8F%B0%E9%9B%BB%E9
%95%B7%E6%9C%9F%E8%B2%A0%E8%BC%89%E9%A0%90%E6%B8%AC.pdf
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図 1-63 台電の長期電力需要予測
(注) 2012年をベースとする。
(出所)台湾電力公司