第 1 章 各国の電気事業
第 4 節 台湾
1. 台湾の電力事業の概要
(1) 台湾の電力供給
2013年の台湾の国内総生産(GDP)は7,121億ドル(IMF推計)、人口は約2,400万人である。2000 年以降、台湾経済は長期にわたって低迷し、2000年から2013年までのGDP年平均成長率は3.5%に止 まった。また、低迷する経済を反映して、2013年の台湾の発電電力量は合計2,522億kWh、2000年よ りわずか 674 億kWh 増加しただけであり、年平均伸び率は2.4%であった。同期間の発電電力量の対 GDP弾性値は0.7であった。
図 1-59 台湾の電源別の発電電力量の推移
(出所)台湾能源局
2013年の発電電力量のうち、火力発電電力量は 1,599 億kWh(発電電力量全体の 63.4%を占める、
以下同)、水力発電電力量は86億kWh(3.4%)、原子力発電電力量は416億kWh(16.5%)、再生可能 エネルギー(風力、太陽光)の発電電力量は19億kWh(0.8%)、コージェネの発電電力量は402億kWh
(15.9%)である。
また、火力発電電力量のうち、石炭火力発電電力量は869億kWh(34.4%)、石油火力発電電力量は
53億kWh(2.1%)、天然ガス(LNG)火力発電電力量は677億kWh(26.9%)である。
再生可能エネルギー発電電力量については、2000年の発電電力量はほぼゼロであったが、2013年に は16億kWhへと大幅に増えた。近年、特に風力発電の発電電力量の増加が顕著であり、2013年の風 力発電電力量は15億kWhに上った。2013年のエネルギー源別の発電電力量を2005年のそれと比べ ると、石油、石炭火力およびコージェネの発電比率が低下し、一方、天然ガス火力発電が2005年の17%
から2012年の27%へと10ポイントもの大幅な上昇になった。
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000
1995 1998 2001 2004 2007 2010 2013
石炭 石油 ガス 水力 原子力 新エネ コジェネ 億kWh
95
図 1-60 台湾の電源別の発電電力量構成の変化
(出所)台湾能源局
(2) 設備容量と構成
台湾能源局の統計によると、2012年末の台湾の発電設備容量は合計4,839万kWである70。内訳は、
火力発電設備容量が2,983万kW(発電設備全体の61.6%を占める、以下同)、水力が468万kW(9.7%)、 原子力が514万kW(10.6%)、再生可能エネルギーが153万kW(3.2%)、コージェネが720万kW(14.9%)
である。
図 1-61 2012 年末の発電設備容量の構成
(出所)台湾能源局
また、火力発電設備容量の中で、石炭火力発電は820 万kW(発電設備容量全体の16.9%を占める。
以下同)、天然ガス火力発電は1,059万kW(21.9%)、石油火力発電は333万kW(6.9%)である。
70 なお、台湾電力の統計では4,098万kWである。
39%
5%
17%
3%
17%
0%
19% 石炭
34%
石油 ガス 2%
27%
水力 3%
原子力 17%
新エネ 1%
コージェネ 16%
外円:2013年 2,522億kWh 内円:2005年 2,274億kWh
火力 61.6%
水力 9.7%
原子力 10.6%
再生可能
3.2% コージェネ 14.9%
96
発電設備構成の変化を見ると、2013年の発電設備の中で、石炭と石油火力発電の比率が2005年に比 べ低下している。他方、天然ガス火力発電の比率は高くなっている。
表 1-23 各年末の発電設備構成比率の変化
(出所)台湾能源局
また、電気事業者別の設備保有状況については、台湾電力公司(以下、台電とする)の発電設備容量
が3,221万kW、発電設備容量全体の66.5%を占め、IPP、民営企業などの一般電気事業者が1,619万
kW(33.5%)である。
表 1-24 2012 年末の発電設備の保有状況
(出所)台湾能源局
2000 2005 2010 2012 2000 2005 2010 2012
火力 2,007 2,645 3,072 2,983 57.7 61.3 62.8 61.6
石炭 810 865 880 820 23.3 20.0 18.0 16.9
天然ガス 656 1,419 1,829 1,830 18.9 32.9 37.4 37.8
石油 541 361 363 333 15.5 8.4 7.4 6.9 水力 442 451 458 468 12.7 10.5 9.4 9.7 原子力 514 514 514 514 14.8 11.9 10.5 10.6 再生可能 44 70 124 153 1.3 1.6 2.5 3.2 コージェネ 469 636 720 720 13.5 14.7 14.7 14.9
合計 3,477 4,316 4,888 4,839 100.0 100.0 100.0 100.0
構成比率(%)
発電設備 発電設備(万kW)
設備容量 万kW
構成比
%
260 5.4
台電保有 2,212 45.7
民営発電所IPP 771 15.9 火力発電小計 2,983 61.6 514 10.6
水力発電 台電保有 204 4.2
民営発電所IPP 4 0.1 水力発電小計 208 4.3 再生可能
エネルギー
台電保有 29 0.6
民営発電所IPP 28 0.6
台電保有 1 0.0
民営発電所IPP 21 0.4 バイオマス 民営発電所IPP 11 0.2 廃棄物 民営発電所IPP 63 1.3 再生可能エネルギー小計 153 3.2 720 14.9 4,839 100.0 コージェネレーション
合計
発電設備種別 揚水式水力発電
火力発電
原子力発電
風力発電 太陽エネルギー
97
台湾の電力事業は長らく国営事業の時代が続き、台湾電力公司(以下、台電と略す)が電力事業を独 占していた。台電は日本の統治時代の 1919年に設立された台湾電力株式会社を前身として 1946 年に 設立された。台電設立初期の台湾の発電事業は水力発電が中心であり、1953 年時点で水力発電が全体
の 93.7%を占めていたが、その以降、火力発電を主とする構造へと徐々に改められた。1990年代後半
以降は後述するように、発電分野では自由化が進んで台電の独占構造は徐々に弱まり、現在、台湾の発 電設備全体に占める台電のシェアは7割弱になった。